1 / 40
デビュー戦、そして…
しおりを挟む
真夏の会場は、むせ返る程の客の熱気で覆われていた。
リングに上がるボクサーに、日頃溜まっている鬱憤を晴らすかのように、野次を飛ばしたり、推しのボクサーには、黄色い声援が飛んだりと混沌した趣きで会場はごった返していた。
俺は、そんな異様な熱気に呑まれそうになるも、会場のリングへと足を進めた。
リングアナウンサーが、俺の名を読み上げる。
『只今より、ミドル級4回戦を行います、青コーナー、身長180センチ、体重72キロ、Jプロモーション所属、本日プロデビュー、本名不明のボクサー、皆が言う…その名はスカーフェイス!』
スカーフェイス、それが俺の名だ。
顔の左半分に目を介して縦一直線に入った刀傷から、皆からそう呼ばれている。
セコンドを引き連れて、滑り止め用に用意されている松脂の粉がある踏み台を踏み、リングシューズに纏わせリングに俺は上がる。
リングに上がると、会場の客に見せつけるように、俺自身をアピールする。
俺が、リングインすると、今度は相手の方の名が読まれ、リングに近づいていく。
『赤コーナー、身長185センチ、体重72,2キロ、6戦6勝3ko、アルプロモーション所属メキシキの若き旋風…リカルド・モンティエル!』
リカルド・ モンティエルは、リングに上がると、リング外の観客に挨拶するかのように、お辞儀をしている。
そして……リングで相対した。
体格差も分かるもので、相手は俺よりも少し体格は勝っているようだ。
恐れているのか?
俺は勝ちに来たんだ、ここで敗北しようなんて、さらさらにも思っちゃいない。
だけど……怖さがあった。
デビュー戦で、無残にも呆気なくマットに沈められてる自分を想像してる。
そんな、俺にセコンドの一人で親友のマークが肩に手を置いて言う。
「やれることはやった、あとやるだけだ、あのキツイ練習を思い出せ、お前は出来る奴だ」
その言葉に励まされ少しだけ、緊張は解れた気がした。
トレーナーのダマトにも、「お前には人を倒す才能がある、今までのトレーニングでそれを引き出した、怖いか?いい事だ、それを操れるようになれ、恐怖は火だ、恐れのない奴に勝利はない」
分かったよ…俺はこの恐怖を飼いならしてみせるから、だから、見ててくれ、俺の試合、闘いを!
リングアナウンサーの紹介も終わり、各セコンドは、リング外で選手を見守っている。
熱気溢れるリングで相手と相対し審判から、試合には、正々堂々戦うように告げられ、いよいよ、ゴングが鳴る。
構えは、お互いオードソックスだ。
そのゴングが鳴るや、俺は相手に詰め寄り、左ジャブ、右ボディへと繰り出し、相手へ牽制する。
しかし、相手は、左ジャブをパーリングで防ぎ、右ボディを距離を取られる。
リカルドは、自分の周りをサークリングしながら左ジャブが飛ぶ。
それは鋭く、俺の顔へ1発、2発、3発と当たる。
流石、試合慣れしてるのか、ペースを掴むのが上手いと悔しいが思う。
奴はアウトボクサーなのか、まともに打ち合わず、着実に距離を取りながら、その鋭いジャブを、繰り出し、その度に全弾とはいかないが、ヒットするその攻撃に、俺の心は苛立つ。
しかし、それを見越してかセコンドから、声が聞こえる。
「落ち着け、スカー!ガードだ、相手はリーチが長い!タイミングを見て懐に潜り込め!」
そうだ、練習でも言われてたじゃないか、お前は頭に血が登りやすい、きっと試合中でも、そうだと、試合前にも言われだが、お前は実感主義の傾向がある。
その度に俺たちセコンドが声をかける、それで、頭を冷やせと。
その言葉で冷静さを取り戻す俺は、ジャブを掻い潜り左ボディをヒットさせた。
それが、効いたのか、ロープ際まで後退するリカルドを追撃しようとする、俺は迫ると…なんと体を入れ替え、お返しとばかりにと、左フックを入れてきた。
効いたのかのように見えたのは、演技だったのか…、それを間一髪、スリッピングアウェーでしのぎ、ダウンこそ間逃れたたが、ダメージは、あるようで今度はこちらが、ピンチだ。
ガードを固め、相手の攻撃を凌ぎ、致命的な一撃を貰わないと後退する。
レフェリーストップがかからないかと、不安にもなるが、幸い、全弾上手く捌ききっている。
そして、ゴングが鳴る。
インターバルだ、自陣に戻り束の間の休息を取る。
「苦戦してるようだな、だがお前には、取っておきがあるだろう?まだ、それがあるから不安にはなるなよ」
目蓋の腫れを冷ますエンスウェルを腫れた箇所に、当てながらマークが励ましてくれる。
取っておきか…それなら、勝てるか。
俺の最大の武器であるあれを使ってみるさ。
インターバル終了が終わり、次のラウンドの鐘が鳴る。
ここを切り開くには、あれを狙う。
リカルドがこちらを倒す為に、右ストレートを叩き込んでくるが、それを外しクリンチになる。
そして…クリンチがもつれにもつれ、コーナーポストまで移動するのを、レフェリーがクリンチを解くように割ってはいる。
クリンチが解け、相手は再び右ストレートを見舞うと、俺はそれに合わすかのように、左ストレートをクロスで決めた。
相手は、ダウンし、レフェリーが駆け寄るが、目が虚ろになっており、立てる様子では、無かった。
それを見たレフェリーは、続行不能と見なし試合終了のジェスチャーをする。
勝った…上手くクロスカウンターがハマり、勝利に繋がった。
リングアナウンサーがリングに上がり、勝者の名を読み上げる。
『勝者、jプロモーション所属スカーフェイス!』
会場が湧き上がり、両陣営のセコンドが入る。
マークが、俺に抱きつき勝利を祝った。
「やったじゃねーか、スカー!早速1勝だぜ」
「まだだろ?先は長いんだ、浮かれてはいられないさ」
「そう言うなって、なっ、ダマトさんだってそう思うだろ?」
「スカーの言う通りだ、マークははしゃぎ過ぎだぞ」
「ちぇ、みんな意外と慎ましいというか…」
そして…リングでマイクパフォーマンスも終わり、帰宅に向かうはずだったんだ。
なのに…帰路に向かう為に車内に乗車しようとしたら、突如、銃声が鳴ったんだ。
マーク…が、マークが…撃たれてたんだ。
胸を撃たれ、血が溢れ出し来た。
マークを抱え車に乗せ、ダマトが急いで、エンジンを掛け車を出すも、相手はそれ以上撃っては来なかった。
「マーク!聞こえるか!!待ってろすぐ病院に連れて行くからな!」
「ダマトさん……ス、カー…俺は、助、か、らないから…へへ、ス、カーよ今夜みてぇに、み、ん、なをあっと、言、わ、せ、て」
「もういい喋るな!ダマトのおっさん、病院はどれぐらいで着く?」
「10分ぐらいだ、胸の傷をガーゼで押さえとけ」
「もうやってる!」
傷口を押さえるも、血が溢れ、ガーゼも血だらけになる。止まってくれと神様にお祈りしながら、一生懸命、押さえつける。
マークのからも、明らかに血の気が、引いてるのが分かる。
「ス、カー、もう…い、い、ぉれは、助か、らん…お、れを撃ったや、つ、はユー、スティ、ティアだ。」
ユースティティアだって、あのマフィア組織が…なんで奴らがマークを…
リングに上がるボクサーに、日頃溜まっている鬱憤を晴らすかのように、野次を飛ばしたり、推しのボクサーには、黄色い声援が飛んだりと混沌した趣きで会場はごった返していた。
俺は、そんな異様な熱気に呑まれそうになるも、会場のリングへと足を進めた。
リングアナウンサーが、俺の名を読み上げる。
『只今より、ミドル級4回戦を行います、青コーナー、身長180センチ、体重72キロ、Jプロモーション所属、本日プロデビュー、本名不明のボクサー、皆が言う…その名はスカーフェイス!』
スカーフェイス、それが俺の名だ。
顔の左半分に目を介して縦一直線に入った刀傷から、皆からそう呼ばれている。
セコンドを引き連れて、滑り止め用に用意されている松脂の粉がある踏み台を踏み、リングシューズに纏わせリングに俺は上がる。
リングに上がると、会場の客に見せつけるように、俺自身をアピールする。
俺が、リングインすると、今度は相手の方の名が読まれ、リングに近づいていく。
『赤コーナー、身長185センチ、体重72,2キロ、6戦6勝3ko、アルプロモーション所属メキシキの若き旋風…リカルド・モンティエル!』
リカルド・ モンティエルは、リングに上がると、リング外の観客に挨拶するかのように、お辞儀をしている。
そして……リングで相対した。
体格差も分かるもので、相手は俺よりも少し体格は勝っているようだ。
恐れているのか?
俺は勝ちに来たんだ、ここで敗北しようなんて、さらさらにも思っちゃいない。
だけど……怖さがあった。
デビュー戦で、無残にも呆気なくマットに沈められてる自分を想像してる。
そんな、俺にセコンドの一人で親友のマークが肩に手を置いて言う。
「やれることはやった、あとやるだけだ、あのキツイ練習を思い出せ、お前は出来る奴だ」
その言葉に励まされ少しだけ、緊張は解れた気がした。
トレーナーのダマトにも、「お前には人を倒す才能がある、今までのトレーニングでそれを引き出した、怖いか?いい事だ、それを操れるようになれ、恐怖は火だ、恐れのない奴に勝利はない」
分かったよ…俺はこの恐怖を飼いならしてみせるから、だから、見ててくれ、俺の試合、闘いを!
リングアナウンサーの紹介も終わり、各セコンドは、リング外で選手を見守っている。
熱気溢れるリングで相手と相対し審判から、試合には、正々堂々戦うように告げられ、いよいよ、ゴングが鳴る。
構えは、お互いオードソックスだ。
そのゴングが鳴るや、俺は相手に詰め寄り、左ジャブ、右ボディへと繰り出し、相手へ牽制する。
しかし、相手は、左ジャブをパーリングで防ぎ、右ボディを距離を取られる。
リカルドは、自分の周りをサークリングしながら左ジャブが飛ぶ。
それは鋭く、俺の顔へ1発、2発、3発と当たる。
流石、試合慣れしてるのか、ペースを掴むのが上手いと悔しいが思う。
奴はアウトボクサーなのか、まともに打ち合わず、着実に距離を取りながら、その鋭いジャブを、繰り出し、その度に全弾とはいかないが、ヒットするその攻撃に、俺の心は苛立つ。
しかし、それを見越してかセコンドから、声が聞こえる。
「落ち着け、スカー!ガードだ、相手はリーチが長い!タイミングを見て懐に潜り込め!」
そうだ、練習でも言われてたじゃないか、お前は頭に血が登りやすい、きっと試合中でも、そうだと、試合前にも言われだが、お前は実感主義の傾向がある。
その度に俺たちセコンドが声をかける、それで、頭を冷やせと。
その言葉で冷静さを取り戻す俺は、ジャブを掻い潜り左ボディをヒットさせた。
それが、効いたのか、ロープ際まで後退するリカルドを追撃しようとする、俺は迫ると…なんと体を入れ替え、お返しとばかりにと、左フックを入れてきた。
効いたのかのように見えたのは、演技だったのか…、それを間一髪、スリッピングアウェーでしのぎ、ダウンこそ間逃れたたが、ダメージは、あるようで今度はこちらが、ピンチだ。
ガードを固め、相手の攻撃を凌ぎ、致命的な一撃を貰わないと後退する。
レフェリーストップがかからないかと、不安にもなるが、幸い、全弾上手く捌ききっている。
そして、ゴングが鳴る。
インターバルだ、自陣に戻り束の間の休息を取る。
「苦戦してるようだな、だがお前には、取っておきがあるだろう?まだ、それがあるから不安にはなるなよ」
目蓋の腫れを冷ますエンスウェルを腫れた箇所に、当てながらマークが励ましてくれる。
取っておきか…それなら、勝てるか。
俺の最大の武器であるあれを使ってみるさ。
インターバル終了が終わり、次のラウンドの鐘が鳴る。
ここを切り開くには、あれを狙う。
リカルドがこちらを倒す為に、右ストレートを叩き込んでくるが、それを外しクリンチになる。
そして…クリンチがもつれにもつれ、コーナーポストまで移動するのを、レフェリーがクリンチを解くように割ってはいる。
クリンチが解け、相手は再び右ストレートを見舞うと、俺はそれに合わすかのように、左ストレートをクロスで決めた。
相手は、ダウンし、レフェリーが駆け寄るが、目が虚ろになっており、立てる様子では、無かった。
それを見たレフェリーは、続行不能と見なし試合終了のジェスチャーをする。
勝った…上手くクロスカウンターがハマり、勝利に繋がった。
リングアナウンサーがリングに上がり、勝者の名を読み上げる。
『勝者、jプロモーション所属スカーフェイス!』
会場が湧き上がり、両陣営のセコンドが入る。
マークが、俺に抱きつき勝利を祝った。
「やったじゃねーか、スカー!早速1勝だぜ」
「まだだろ?先は長いんだ、浮かれてはいられないさ」
「そう言うなって、なっ、ダマトさんだってそう思うだろ?」
「スカーの言う通りだ、マークははしゃぎ過ぎだぞ」
「ちぇ、みんな意外と慎ましいというか…」
そして…リングでマイクパフォーマンスも終わり、帰宅に向かうはずだったんだ。
なのに…帰路に向かう為に車内に乗車しようとしたら、突如、銃声が鳴ったんだ。
マーク…が、マークが…撃たれてたんだ。
胸を撃たれ、血が溢れ出し来た。
マークを抱え車に乗せ、ダマトが急いで、エンジンを掛け車を出すも、相手はそれ以上撃っては来なかった。
「マーク!聞こえるか!!待ってろすぐ病院に連れて行くからな!」
「ダマトさん……ス、カー…俺は、助、か、らないから…へへ、ス、カーよ今夜みてぇに、み、ん、なをあっと、言、わ、せ、て」
「もういい喋るな!ダマトのおっさん、病院はどれぐらいで着く?」
「10分ぐらいだ、胸の傷をガーゼで押さえとけ」
「もうやってる!」
傷口を押さえるも、血が溢れ、ガーゼも血だらけになる。止まってくれと神様にお祈りしながら、一生懸命、押さえつける。
マークのからも、明らかに血の気が、引いてるのが分かる。
「ス、カー、もう…い、い、ぉれは、助か、らん…お、れを撃ったや、つ、はユー、スティ、ティアだ。」
ユースティティアだって、あのマフィア組織が…なんで奴らがマークを…
0
あなたにおすすめの小説
熟女愛好家ユウスケの青春(熟女漁り)
MisakiNonagase
恋愛
高校まで勉強一筋で大学デビューをしたユウスケは家庭教師の教え子の母親と不倫交際するが、彼にとって彼女とが初の男女交際。そこでユウスケは自分が熟女好きだと自覚する。それからユウスケは戦略と実戦を重ねて、清潔感と聞き上手を武器にたくさんの熟女と付き合うことになるストーリーです。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
JKメイドはご主人様のオモチャ 命令ひとつで脱がされて、触られて、好きにされて――
のぞみ
恋愛
「今日から、お前は俺のメイドだ。ベッドの上でもな」
高校二年生の蒼井ひなたは、借金に追われた家族の代わりに、ある大富豪の家で住み込みメイドとして働くことに。
そこは、まるでおとぎ話に出てきそうな大きな洋館。
でも、そこで待っていたのは、同じ高校に通うちょっと有名な男の子――完璧だけど性格が超ドSな御曹司、天城 蓮だった。
昼間は生徒会長、夜は…ご主人様?
しかも、彼の命令はちょっと普通じゃない。
「掃除だけじゃダメだろ? ご主人様の癒しも、メイドの大事な仕事だろ?」
手を握られるたび、耳元で囁かれるたび、心臓がバクバクする。
なのに、ひなたの体はどんどん反応してしまって…。
怒ったり照れたりしながらも、次第に蓮に惹かれていくひなた。
だけど、彼にはまだ知られていない秘密があって――
「…ほんとは、ずっと前から、私…」
ただのメイドなんかじゃ終わりたくない。
恋と欲望が交差する、ちょっぴり危険な主従ラブストーリー。
屈辱と愛情
守 秀斗
恋愛
最近、夫の態度がおかしいと思っている妻の名和志穂。25才。仕事で疲れているのかとそっとしておいたのだが、一か月もベッドで抱いてくれない。思い切って、夫に聞いてみると意外な事を言われてしまうのだが……。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる