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黒豚令息の領地開拓編
エビ祭り
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メインディッシュの大皿程ある半円形の竜の魔石を抱え、水精の涙を手にしたデイビッドが砂浜に上がると、涙の引っ込んだヴィオラが唇を引き結んで待っていた。
「なんですか…今の…」
「人魚みたいなのがメリュジーヌのジーナで、でっかい方が海竜レヴィアタンだ。」
「説明されても何も分かりませんよぉ!そのキラキラしたおっきいの、魔石ですよね!?」
「さっきの竜の頭に付いてたヤツらしい…」
「竜?!竜の魔石!?竜ですよ?竜!なんでそんなに平然としてられるんですか!!」
「ヴィオラも一緒に見ただろ?」
「見たからって理解できるものじゃないですよ!なんでそんなサラッと受け入れちゃうんですか!?」
「騒いだ所で仕方ねぇからだよ。向こうは好意と誠意を見せてくれたんだ。こっちも精一杯返さねぇと。」
「心臓が止まるかと思いました。」
「俺もだよ?!」
深い瑠璃色の美しい魔石には不思議な温もりがあり、角度により内包物がキラキラと表情を変え見る者を惹き付ける。
水精の涙から生まれた真珠は、布に包まれていながら隙間から眩い程の桃色のイリデッセンスを放っている。
どちらかひとつでも国宝を軽く超える価値のある代物だ。
「国に献上とか…」
「そんな事したら精霊と海竜の意思を無碍にする事になる…まぁ、何とかして持ってるよ…」
デイビッドが持って来た荷物からなるべく綺麗な布を取り出し、しゃがみ込んで魔石を包んでいると、背中に靴底で思い切り踏みつけられる感触と、寒気がする程の怒気を感じ、また顔が引きつった。
「本当に死ぬかと思ったのよ!?」
「それは…俺のせいなのか…?」
振り向きざまに、シェルリアーナ渾身の一撃を顔面に食らい、また鼻血が止まらなくなったまま、今度の今度こそ釣竿を手に岩場に座ったデイビッドは、今日の出来事が幸運なのか災難だったのかについて考えていた。
「後ろ向いたら化け物がいて…ヴィオラが危ないと思って助けに行こうとしたら、まさかの竜種!しかもこんな山の中にリヴァイアサン!!頭が真っ白になって気がついたらずぶ濡れでエリックに横抱きにされてて、「流石の魔女も竜には敵わないんですね~」なんて言われて、もう死にたいくらい恥ずかしかったんだから!!」
「まぁ…水精がいなきゃ、全員食われて終わりだった可能性もあるからなぁ…」
「なに夢みたいなこと言ってんの?現実じゃそれが当たり前なのよ!!」
「実体験を夢で片付けようとすんなよ…」
「夢より有り得ないわ!!」
再度蹴りを食らいながら、デイビッドは本日2匹目の魚を釣り上げた。
「お、デカい。ナマズだ。」
「私コレ好き!また衣つけて揚げてよ!」
「へいへい…」
糸を手繰り寄せ、網で引き上げると大きなナマズは暴れたが
これも生簀に入れ次の糸を垂れようとした時、横の罠カゴの仕掛けが揺れて、何か掛かっている気配がしているのに気が付いた。
引き上げてみると、ずっしりと重く中で何かが忙しなく動いているのが分かるが、どうも魚のようではない。
カゴが水面に上がって来ると、最初に喜んだのはヴィオラだった。
「エビだぁっ!!」
「おお、こりゃすげぇな。ロブスターだ!」
引き上げられた網カゴの中には、大きなロブスターが何匹もゴジャゴジャ蠢いていた。
狭いカゴの中では立派なハサミが邪魔になり、身動きが取れなくなって絡まってしまっている。
「やっぱりどっかが汽水になってんだな。海水の入り口が見つかったら他にももっと捕れるかも知れねぇぞ?!」
「本当ですか!?…この湖の中にエビがたくさん…」
「エビ限定で夢が膨らんでる…」
湖底は水も澄んで泥も少ない様なので、今回は泥抜きの必要も無さそうだ。
ロブスターはカゴごと水中で揺らしてゴミを落とし、パイクとナマズはその場で捌いてアラを再び仕掛けに入れ、湖の深みへ下ろした。
その隣で、さっきから一言も口を聞かなくなったエリックが、難しい顔をしながらチキンを咥えたまま何か考え込んでいる。
「喋りはしないだけで口は動いてるのよね。」
「むしろすごい速さでお弁当が無くなっていきますね…」
「ぼんやりしてると食い尽くされるぞ?!」
たった数時間の内に人生がひっくり返りそうな出来事が立て続けに起きた事で、4人の精神的疲労は過去最高と思われる程になった。
予定より少し早いが引き上げようという事になり、湖畔に生えているクレソンを食べていたムスタに声をかけ、ファルコを呼ぶとクチバシを真っ赤に染めて草むらから現れた。
「血…じゃねぇな、草苺か。よくそんなになるまで食ったな!?」
「ファルコも食いしん坊ですね。」
「キュルルル」
空になったバスケットに帰り道で見つけた薬草を摘みながら進む後ろで、樽に移したロブスターのガシャガシャという音が絶え間なくしている。
「はぁ…楽しみですね…」
「これだけデカいと食べでもありそうだな。」
キャンプ地へ戻ると、草むらにしゃがみ込むベルダが、何かを夢中でスケッチしていた。
「何してんだ?」
「ああ、君達か。おかえり!今アリーが歩き草達と踊ってるんだよ。」
見ると、輪になって回る赤や黄色の根っこに混じって、アリーもくるくる踊っている。
「なんだありゃ…雨乞いか?」
「かも知れないね!この所少し空気が乾燥してるから。」
「おいおい、あいつ等が雨なんか呼んだらホントに降ってきちまうんじゃねぇのか?」
デイビッドは湖で貰った宝物を馬車のキャビネットに丁寧にしまい、珍しく鍵をかけた。
(このくらいはしとかねぇと…)
こんなキャビネットの鍵など気休めだが、大切にしているという意思表示でもあり、鍵を別の引き出しに入れ、直ぐにオーブンの前に立った。
白ワインとレモンでパイクを締めたら、今日はよく叩いて卵白を繋ぎに加えすり身にし、小麦粉とバターでふわふわに焼き上げる。
これは王城の厨房で教わったレシピで、肉でも魚でも滑らかになるまですり潰し、焼く、蒸す、茹でるなど加熱して作る料理だ。
(初めての割には上出来じゃねぇか?)
夜番の料理長が少し照れながら教えてくれたこの料理。直接見て覚えただけあってなかなか上手くいったようだ。
その横では、大きな年季の入った両手鍋から湯が吹きこぼれ、急いで引き上げて重しを乗せた蓋を外すと、中から真っ赤に湯で上がったロブスターが顔を出した。
熱々を布越しに掴み、ハサミを落としたら、バキッと真ん中から割って身を外し、内臓と足を分けて皿の上に盛っていく。
「ハァ…おっきなエビ…」
ハサミの中身をほじくっていると、待てができなくなったヴィオラが横から口を開けて待っていた。
「甘い!プリプリで今まで食べた中で一番美味しい!!」
「冬に食べたのは氷漬けの解凍品だったからな。捕れ立てはもっと美味いだろ?」
「この幸せが終わらなければいいのに…」
「よっぽどだな…」
剥いた殻と頭を鍋に入れ、出汁を取ったらザルで濾し、玉ねぎ、ニンジン、セロリ、砕いた干しキノコを加えて煮込んだら、仕上げに生クリームをたっぷり注いで弱火でコトコト沸かして裏漉しすれば、これも城のコックに教わったスープの完成だ。
ナマズはリクエスト通り、オレガノと酒でサッと茹がいて臭みを取り、小麦粉を叩いて衣をたっぷり纏わせて油の中へ泳がしていく。
切った芋にマンドラゴラも混ぜてカラッと揚げたらナマズチップスが出来上がる。
更に残しておいた生のロブスターの剥き身に小麦粉をはたき、卵液に潜らせパン粉を纏わせたらこれも油の中へ。
カラッと揚がったら、リシュリュー風ソースにゆで卵と香味野菜を刻んで混ぜ込んだソースとレモンを添えて、豪快なフライにしてしまう
エビのスープにパイクのすり身を乗せ、上からパセリを散らしたら、少し手の込んだ貴族向け料理と、頭付きの大海老と揚げ物を並べて、今夜は大ご馳走だ。
「いただきますっ!エビッ!!」
着替えたヴィオラが窓から飛び出して来てテーブルに着くと、サラッとしたフレアパンツ姿のシェルリアーナと、早くも部屋着のエリックも現れた。
「このクネル、ふわふわで口溶けがいいのね…エビのスープが濃厚過ぎて一口で高級レストランにいる気分になるわ…別に行きたくないけど。」
「こんなにかじってもまだあるなんて!こんなに大きなエビ…最高過ぎます!」
ヴィオラはとことんエビに魅せられてしまい、残った尻尾を愛おしげに見つめていた。
「なんですか…今の…」
「人魚みたいなのがメリュジーヌのジーナで、でっかい方が海竜レヴィアタンだ。」
「説明されても何も分かりませんよぉ!そのキラキラしたおっきいの、魔石ですよね!?」
「さっきの竜の頭に付いてたヤツらしい…」
「竜?!竜の魔石!?竜ですよ?竜!なんでそんなに平然としてられるんですか!!」
「ヴィオラも一緒に見ただろ?」
「見たからって理解できるものじゃないですよ!なんでそんなサラッと受け入れちゃうんですか!?」
「騒いだ所で仕方ねぇからだよ。向こうは好意と誠意を見せてくれたんだ。こっちも精一杯返さねぇと。」
「心臓が止まるかと思いました。」
「俺もだよ?!」
深い瑠璃色の美しい魔石には不思議な温もりがあり、角度により内包物がキラキラと表情を変え見る者を惹き付ける。
水精の涙から生まれた真珠は、布に包まれていながら隙間から眩い程の桃色のイリデッセンスを放っている。
どちらかひとつでも国宝を軽く超える価値のある代物だ。
「国に献上とか…」
「そんな事したら精霊と海竜の意思を無碍にする事になる…まぁ、何とかして持ってるよ…」
デイビッドが持って来た荷物からなるべく綺麗な布を取り出し、しゃがみ込んで魔石を包んでいると、背中に靴底で思い切り踏みつけられる感触と、寒気がする程の怒気を感じ、また顔が引きつった。
「本当に死ぬかと思ったのよ!?」
「それは…俺のせいなのか…?」
振り向きざまに、シェルリアーナ渾身の一撃を顔面に食らい、また鼻血が止まらなくなったまま、今度の今度こそ釣竿を手に岩場に座ったデイビッドは、今日の出来事が幸運なのか災難だったのかについて考えていた。
「後ろ向いたら化け物がいて…ヴィオラが危ないと思って助けに行こうとしたら、まさかの竜種!しかもこんな山の中にリヴァイアサン!!頭が真っ白になって気がついたらずぶ濡れでエリックに横抱きにされてて、「流石の魔女も竜には敵わないんですね~」なんて言われて、もう死にたいくらい恥ずかしかったんだから!!」
「まぁ…水精がいなきゃ、全員食われて終わりだった可能性もあるからなぁ…」
「なに夢みたいなこと言ってんの?現実じゃそれが当たり前なのよ!!」
「実体験を夢で片付けようとすんなよ…」
「夢より有り得ないわ!!」
再度蹴りを食らいながら、デイビッドは本日2匹目の魚を釣り上げた。
「お、デカい。ナマズだ。」
「私コレ好き!また衣つけて揚げてよ!」
「へいへい…」
糸を手繰り寄せ、網で引き上げると大きなナマズは暴れたが
これも生簀に入れ次の糸を垂れようとした時、横の罠カゴの仕掛けが揺れて、何か掛かっている気配がしているのに気が付いた。
引き上げてみると、ずっしりと重く中で何かが忙しなく動いているのが分かるが、どうも魚のようではない。
カゴが水面に上がって来ると、最初に喜んだのはヴィオラだった。
「エビだぁっ!!」
「おお、こりゃすげぇな。ロブスターだ!」
引き上げられた網カゴの中には、大きなロブスターが何匹もゴジャゴジャ蠢いていた。
狭いカゴの中では立派なハサミが邪魔になり、身動きが取れなくなって絡まってしまっている。
「やっぱりどっかが汽水になってんだな。海水の入り口が見つかったら他にももっと捕れるかも知れねぇぞ?!」
「本当ですか!?…この湖の中にエビがたくさん…」
「エビ限定で夢が膨らんでる…」
湖底は水も澄んで泥も少ない様なので、今回は泥抜きの必要も無さそうだ。
ロブスターはカゴごと水中で揺らしてゴミを落とし、パイクとナマズはその場で捌いてアラを再び仕掛けに入れ、湖の深みへ下ろした。
その隣で、さっきから一言も口を聞かなくなったエリックが、難しい顔をしながらチキンを咥えたまま何か考え込んでいる。
「喋りはしないだけで口は動いてるのよね。」
「むしろすごい速さでお弁当が無くなっていきますね…」
「ぼんやりしてると食い尽くされるぞ?!」
たった数時間の内に人生がひっくり返りそうな出来事が立て続けに起きた事で、4人の精神的疲労は過去最高と思われる程になった。
予定より少し早いが引き上げようという事になり、湖畔に生えているクレソンを食べていたムスタに声をかけ、ファルコを呼ぶとクチバシを真っ赤に染めて草むらから現れた。
「血…じゃねぇな、草苺か。よくそんなになるまで食ったな!?」
「ファルコも食いしん坊ですね。」
「キュルルル」
空になったバスケットに帰り道で見つけた薬草を摘みながら進む後ろで、樽に移したロブスターのガシャガシャという音が絶え間なくしている。
「はぁ…楽しみですね…」
「これだけデカいと食べでもありそうだな。」
キャンプ地へ戻ると、草むらにしゃがみ込むベルダが、何かを夢中でスケッチしていた。
「何してんだ?」
「ああ、君達か。おかえり!今アリーが歩き草達と踊ってるんだよ。」
見ると、輪になって回る赤や黄色の根っこに混じって、アリーもくるくる踊っている。
「なんだありゃ…雨乞いか?」
「かも知れないね!この所少し空気が乾燥してるから。」
「おいおい、あいつ等が雨なんか呼んだらホントに降ってきちまうんじゃねぇのか?」
デイビッドは湖で貰った宝物を馬車のキャビネットに丁寧にしまい、珍しく鍵をかけた。
(このくらいはしとかねぇと…)
こんなキャビネットの鍵など気休めだが、大切にしているという意思表示でもあり、鍵を別の引き出しに入れ、直ぐにオーブンの前に立った。
白ワインとレモンでパイクを締めたら、今日はよく叩いて卵白を繋ぎに加えすり身にし、小麦粉とバターでふわふわに焼き上げる。
これは王城の厨房で教わったレシピで、肉でも魚でも滑らかになるまですり潰し、焼く、蒸す、茹でるなど加熱して作る料理だ。
(初めての割には上出来じゃねぇか?)
夜番の料理長が少し照れながら教えてくれたこの料理。直接見て覚えただけあってなかなか上手くいったようだ。
その横では、大きな年季の入った両手鍋から湯が吹きこぼれ、急いで引き上げて重しを乗せた蓋を外すと、中から真っ赤に湯で上がったロブスターが顔を出した。
熱々を布越しに掴み、ハサミを落としたら、バキッと真ん中から割って身を外し、内臓と足を分けて皿の上に盛っていく。
「ハァ…おっきなエビ…」
ハサミの中身をほじくっていると、待てができなくなったヴィオラが横から口を開けて待っていた。
「甘い!プリプリで今まで食べた中で一番美味しい!!」
「冬に食べたのは氷漬けの解凍品だったからな。捕れ立てはもっと美味いだろ?」
「この幸せが終わらなければいいのに…」
「よっぽどだな…」
剥いた殻と頭を鍋に入れ、出汁を取ったらザルで濾し、玉ねぎ、ニンジン、セロリ、砕いた干しキノコを加えて煮込んだら、仕上げに生クリームをたっぷり注いで弱火でコトコト沸かして裏漉しすれば、これも城のコックに教わったスープの完成だ。
ナマズはリクエスト通り、オレガノと酒でサッと茹がいて臭みを取り、小麦粉を叩いて衣をたっぷり纏わせて油の中へ泳がしていく。
切った芋にマンドラゴラも混ぜてカラッと揚げたらナマズチップスが出来上がる。
更に残しておいた生のロブスターの剥き身に小麦粉をはたき、卵液に潜らせパン粉を纏わせたらこれも油の中へ。
カラッと揚がったら、リシュリュー風ソースにゆで卵と香味野菜を刻んで混ぜ込んだソースとレモンを添えて、豪快なフライにしてしまう
エビのスープにパイクのすり身を乗せ、上からパセリを散らしたら、少し手の込んだ貴族向け料理と、頭付きの大海老と揚げ物を並べて、今夜は大ご馳走だ。
「いただきますっ!エビッ!!」
着替えたヴィオラが窓から飛び出して来てテーブルに着くと、サラッとしたフレアパンツ姿のシェルリアーナと、早くも部屋着のエリックも現れた。
「このクネル、ふわふわで口溶けがいいのね…エビのスープが濃厚過ぎて一口で高級レストランにいる気分になるわ…別に行きたくないけど。」
「こんなにかじってもまだあるなんて!こんなに大きなエビ…最高過ぎます!」
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