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黒豚令息の領地開拓編
視える世界
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「それは仕方ないでしょう。早急に後任を探しますので、しばしお待ち下さい。デイビッド、お前にも改めて謝罪を…」
「だったら、例の領地の納税猶予の延長、できる限り頼む。」
「そんなことで良いのか?!いや…大変だよな…ただでさえ摩素地を押し付けられたと言うのに、開拓までしなければならないなんて…わかった、可能な限り期間を延ばそう。そこは私の権限で何とかする!」
「ずいぶん軽く言うな?大丈夫なのか?」
「むしろ、そのくらいしないとそろそろ良心の呵責がすごい…」
王家の呼び出しの度に、何かしらの問題に巻き込んでばかりの友人に、アーネストはせめて何か償いをせねばと考えているようだ。
「陛下、本日はこれで下がらせて頂きますが、よろしいですか?」
「すまんな。また後日、改めて礼をしよう。」
「それでは、御前失礼致します。」
すんなりと解放されたデイビッドは、途中サロンでお茶を楽しむヴィオラ達と合流した。
「デイビッド様!大丈夫ですか?!」
「ああ、俺の方は特に何もないよ。これで終わりだ。ヴィオラも今までと同じ、聖女にも守護者にもならない。」
「嬉しいっ!ありがとうございます!」
「良かったですねヴィオラ様!お兄様もお疲れ様でした。」
「それにしても…ハルフェン侯の跡目を誰にしようか…それが問題だぞアリス。」
「あら、それならもう大丈夫ですわ!」
「大丈夫?!」
「はい、私、精霊の加護と“眼”を頂きましたから…」
にっこり微笑むアリスの傍らには、パタパタと羽を広げるルーチェが笑っている。
「へぇ、そう来たか。」
「あの人が持ってた精霊の血の力 欲しいって言うからあげたんだ」
「エリック様がどうかと声を掛けて下さいまして、是非にとお返事しましたら…あっという間の出来事でした!」
「そりゃ良かったな。よく視えるだろう?」
「はい!とても良く視えますの!こんな世界初めてで、ドキドキしてしまいました!」
「なんだ?!何が起こっているんだ!?」
「お聞きになりますか?お兄様には生涯縁の無さそうなお話ですが…」
「生涯て!?自分の妹ながら腹立つなぁ!!」
賑やかなお茶の時間が過ぎ、夕刻前にデイビッド達はようやく帰された。
「アイツ等、人をこんな煤だらけにしたまま良く城に滞在させたなぁ…」
「気にならかったのでは!?馴染み過ぎて。」
「一人だけさっさと身綺麗にしやがって…」
「だって、デイビッド様には浄化とか洗浄系の魔法使えないじゃないですか。直ぐ痛がって逃げようとするんですもん。」
「体の皮削がれる様な痛みに耐えろってか?!」
帰り際、商会に寄り着替えをする際にも、特別な礼服を汚したとあっておば様達にコンコンと説教をされ、すっかりくたびれて学園へ戻ることになった。
「ゔぇぇぇぇん!!」
「デイビッドくぅぅん!おかえり、もう僕じゃ無理だ!!」
「おう、エド!悪かったないきなり預けてよ。」
部屋では泣きじゃくるライラと、ボロボロになったエドワードがぐったりしていた。
「妹達で慣れてるからなんて気軽に引き受けた自分が情けない…」
「子供は特に性格の違いが育児に出るからなぁ。ただいまライラ。ほら、もうみんないるぞ?」
妖精があやしても泣き止まず、周りでオロオロしているばかりだったらしい。
手足をバタつかせ暴れるライラを、デイビッドがひょいと抱き上げ、背中を軽く叩いてやるとしゃくり上げながらすんと大人しくなった。
「え?デイビッド君…キミ、パパなの?!」
「んなわけあるか!元は赤の他人だよ!」
「はい!私はママです!」
「ヴィオラ!ややこしくするな!!」
部屋に入ると、一気に疲れが出て一同はその場に座り込み、動けなくなってしまった。
「あ~~…疲れた…」
「お腹空きましたねぇ…」
「よし、軽くなんか作るか…」
「軽くなんて無理!がっつり作りなさい!」
そこへシェルリアーナが戻って来てジュートのクッションにダイブした。
「もう限界!あのハゲ頭とその一味の移送でストレス溜まりまくってお腹減って死にそうよ!!肉がいいわ!肉!肉々しく肉になさい!!」
「肉々しく…?」
保冷庫で熟成中の鹿と羊、作りかけの生ソーセージ、浅漬けのパンチェッタ、ウサギ魔物のハーブオイル漬け、それから配合を試験中の魔物と畜肉を数種類混合した挽き肉。
代わりにスープには野菜をどっさり入れ、サラダも豊富にしないと気が済まない。
ヴィオラにも頼んで魔導式のオーブンも稼働させ、とにかく肉を焼いていく。
隣でレタスをちぎるヴィオラにライラが興味を持ち、気まぐれに手を出しては、自分も手伝っているつもりで喜んでいる。
「ライラちゃん上手ねぇ!」
「きゃっきゃっ!」
「ミス・ヴィオラは子供の扱いが得意なんだね…」
「いえ、好きなだけです!赤ちゃんのお世話ってこっちも元気がもらえるし、何よりかわいいですから!」
「君は良い奥さんになるよ。」
「えへへ~!エド先輩こそ、大変な中ライラちゃんのお世話してくれたじゃないですか!」
「僕は…その、家庭を持った時の予行練習になるかな…とか…不純な動機で引き受けただけだよ…」
「エライと思いますよ?そういうの全然しない男性の方がまだまだ多い世の中ですから!」
「そうかな?でも、家事育児のプロのお手本見せつけられて、ちょっと辛いよ…」
「誰がプロだ!?」
パンを焼く時間はないので、炊いた米に浅塩で漬けた簡易パンチェッタを混ぜてタマリで炒め、野菜と卵も加えて皿に盛ると彩りにトマトを飾って完成。
飛びつくシェルリアーナの横で、ヴィオラがライラに食前の挨拶を教えている。
「今この糧に感謝を。」
「ヲー!」
「いただきます。」
「まーちゅ!」
肉も野菜もモリモリ食べるライラに、ヴィオラは疲れも忘れて嬉しそうに世話をしている。
「そう言えばさ、もう来週は親善会だけど、準備の方は良いの?」
「はっ!忘れてました!それまでテストがぎっちり詰まってて、勉強しないと…」
「今年は夏休みがほとんどない生徒が多くて、教員も休めなさそうですよねぇ…」
「異例中の異例だからな。その代わり 王都の騒ぎも収まって来たし、諸悪の根源のひとつも潰せて、スッキリするんじゃねぇの?」
事実、ハルフェン派の聖霊教の貴族は大人しくなるだろうし、着実に過ごしやすい環境が整い始めている。
鹿と羊の串焼きとウサギのソテーに満足したシェルリアーナとヴィオラが寮へ帰ると、エドワードも翼を広げて夜空へと飛んで行った。
「またねデイビッド君、お休み!」
「おう、またな。」
「ふぇぇ…」
「ライラも…明日はもう帰らなきゃなぁ…」
ハルフェンの脅威がなくなったので、ライラはまた乳児院に戻ることになる。
トントンと背中をゆすってやると直ぐに眠るライラを、デイビッドは床に下ろさずしばらく抱いたままジュートの上に寝転んでいた。
夜中に3回ライラのおしめを取り換えたデイビッドが、朝早く外で洗い物をしていると、グズるライラをあやしに妖精が集まって来た。
「ナカナイデ」
「ボクタチガ ツイテルヨ」
「ホラ イナイイナイバァ~」
今日から授業は一時休止。
テスト期間が開始する。
「ライラちゃんおはよう!」
「あきゃー!」
ライラに頬ずりするヴィオラも今日から忙しい。
パンの焼ける香りの中、デイビッドは悲しい報告をせねばならず少し気が重かった。
「ーーと言うわけで、ライラはまた乳児院に帰るよ。」
「そんな……!!!」
「学業の妨げになるだろ?正直な話、俺達のどっちにもまだ引き取れる資格はねぇんだよ。」
「デイビッド様にはありますよね!?」
「扶養が可能になるのは20歳超えてから。それまでは親父の庇護下で院長の世話になってた方がいい。数日だけなら何とかなっても、この先どうにもならなくなる事だってあるかも知れない。」
「うっ…うぅっ…ライラちゃん…」
「夏休みの間なら何とか…後は…そうだなぁ…」
いっそベビーシッターでも雇えれば…などと考えてみるが、学園にいたのでは現実的ではない。
ギリギリまでライラを抱きしめていたヴィオラが、足を引きずるように教室へ向かう姿を、デイビッドは申し訳ない気持ちで見送った。
「ものすっごい落ち込んでましたねヴィオラ様。」
「アレはマズイな…テストなんかにも影響しそうだ…」
エリックも今日から教員としてのスケジュールがびっちり詰まっている。
デイビッドは採点が始まるまでもう少し猶予があるため、今日はその前にしなくてはならない仕事を近づけてしまおうと動き出した。
スヤスヤ眠るライラを横目にデイビッドが久々デスクに向かっていると、どこからか声がした。
「よお!元気そうだな黒豚ちゃん!」
「あ?」
「こっちこっち!なんだよ、俺のこと、もう忘れちまったのか?」
振り向くと真横に置かれた鏡の中から、自分の姿がニタニタ笑っていた。
「だったら、例の領地の納税猶予の延長、できる限り頼む。」
「そんなことで良いのか?!いや…大変だよな…ただでさえ摩素地を押し付けられたと言うのに、開拓までしなければならないなんて…わかった、可能な限り期間を延ばそう。そこは私の権限で何とかする!」
「ずいぶん軽く言うな?大丈夫なのか?」
「むしろ、そのくらいしないとそろそろ良心の呵責がすごい…」
王家の呼び出しの度に、何かしらの問題に巻き込んでばかりの友人に、アーネストはせめて何か償いをせねばと考えているようだ。
「陛下、本日はこれで下がらせて頂きますが、よろしいですか?」
「すまんな。また後日、改めて礼をしよう。」
「それでは、御前失礼致します。」
すんなりと解放されたデイビッドは、途中サロンでお茶を楽しむヴィオラ達と合流した。
「デイビッド様!大丈夫ですか?!」
「ああ、俺の方は特に何もないよ。これで終わりだ。ヴィオラも今までと同じ、聖女にも守護者にもならない。」
「嬉しいっ!ありがとうございます!」
「良かったですねヴィオラ様!お兄様もお疲れ様でした。」
「それにしても…ハルフェン侯の跡目を誰にしようか…それが問題だぞアリス。」
「あら、それならもう大丈夫ですわ!」
「大丈夫?!」
「はい、私、精霊の加護と“眼”を頂きましたから…」
にっこり微笑むアリスの傍らには、パタパタと羽を広げるルーチェが笑っている。
「へぇ、そう来たか。」
「あの人が持ってた精霊の血の力 欲しいって言うからあげたんだ」
「エリック様がどうかと声を掛けて下さいまして、是非にとお返事しましたら…あっという間の出来事でした!」
「そりゃ良かったな。よく視えるだろう?」
「はい!とても良く視えますの!こんな世界初めてで、ドキドキしてしまいました!」
「なんだ?!何が起こっているんだ!?」
「お聞きになりますか?お兄様には生涯縁の無さそうなお話ですが…」
「生涯て!?自分の妹ながら腹立つなぁ!!」
賑やかなお茶の時間が過ぎ、夕刻前にデイビッド達はようやく帰された。
「アイツ等、人をこんな煤だらけにしたまま良く城に滞在させたなぁ…」
「気にならかったのでは!?馴染み過ぎて。」
「一人だけさっさと身綺麗にしやがって…」
「だって、デイビッド様には浄化とか洗浄系の魔法使えないじゃないですか。直ぐ痛がって逃げようとするんですもん。」
「体の皮削がれる様な痛みに耐えろってか?!」
帰り際、商会に寄り着替えをする際にも、特別な礼服を汚したとあっておば様達にコンコンと説教をされ、すっかりくたびれて学園へ戻ることになった。
「ゔぇぇぇぇん!!」
「デイビッドくぅぅん!おかえり、もう僕じゃ無理だ!!」
「おう、エド!悪かったないきなり預けてよ。」
部屋では泣きじゃくるライラと、ボロボロになったエドワードがぐったりしていた。
「妹達で慣れてるからなんて気軽に引き受けた自分が情けない…」
「子供は特に性格の違いが育児に出るからなぁ。ただいまライラ。ほら、もうみんないるぞ?」
妖精があやしても泣き止まず、周りでオロオロしているばかりだったらしい。
手足をバタつかせ暴れるライラを、デイビッドがひょいと抱き上げ、背中を軽く叩いてやるとしゃくり上げながらすんと大人しくなった。
「え?デイビッド君…キミ、パパなの?!」
「んなわけあるか!元は赤の他人だよ!」
「はい!私はママです!」
「ヴィオラ!ややこしくするな!!」
部屋に入ると、一気に疲れが出て一同はその場に座り込み、動けなくなってしまった。
「あ~~…疲れた…」
「お腹空きましたねぇ…」
「よし、軽くなんか作るか…」
「軽くなんて無理!がっつり作りなさい!」
そこへシェルリアーナが戻って来てジュートのクッションにダイブした。
「もう限界!あのハゲ頭とその一味の移送でストレス溜まりまくってお腹減って死にそうよ!!肉がいいわ!肉!肉々しく肉になさい!!」
「肉々しく…?」
保冷庫で熟成中の鹿と羊、作りかけの生ソーセージ、浅漬けのパンチェッタ、ウサギ魔物のハーブオイル漬け、それから配合を試験中の魔物と畜肉を数種類混合した挽き肉。
代わりにスープには野菜をどっさり入れ、サラダも豊富にしないと気が済まない。
ヴィオラにも頼んで魔導式のオーブンも稼働させ、とにかく肉を焼いていく。
隣でレタスをちぎるヴィオラにライラが興味を持ち、気まぐれに手を出しては、自分も手伝っているつもりで喜んでいる。
「ライラちゃん上手ねぇ!」
「きゃっきゃっ!」
「ミス・ヴィオラは子供の扱いが得意なんだね…」
「いえ、好きなだけです!赤ちゃんのお世話ってこっちも元気がもらえるし、何よりかわいいですから!」
「君は良い奥さんになるよ。」
「えへへ~!エド先輩こそ、大変な中ライラちゃんのお世話してくれたじゃないですか!」
「僕は…その、家庭を持った時の予行練習になるかな…とか…不純な動機で引き受けただけだよ…」
「エライと思いますよ?そういうの全然しない男性の方がまだまだ多い世の中ですから!」
「そうかな?でも、家事育児のプロのお手本見せつけられて、ちょっと辛いよ…」
「誰がプロだ!?」
パンを焼く時間はないので、炊いた米に浅塩で漬けた簡易パンチェッタを混ぜてタマリで炒め、野菜と卵も加えて皿に盛ると彩りにトマトを飾って完成。
飛びつくシェルリアーナの横で、ヴィオラがライラに食前の挨拶を教えている。
「今この糧に感謝を。」
「ヲー!」
「いただきます。」
「まーちゅ!」
肉も野菜もモリモリ食べるライラに、ヴィオラは疲れも忘れて嬉しそうに世話をしている。
「そう言えばさ、もう来週は親善会だけど、準備の方は良いの?」
「はっ!忘れてました!それまでテストがぎっちり詰まってて、勉強しないと…」
「今年は夏休みがほとんどない生徒が多くて、教員も休めなさそうですよねぇ…」
「異例中の異例だからな。その代わり 王都の騒ぎも収まって来たし、諸悪の根源のひとつも潰せて、スッキリするんじゃねぇの?」
事実、ハルフェン派の聖霊教の貴族は大人しくなるだろうし、着実に過ごしやすい環境が整い始めている。
鹿と羊の串焼きとウサギのソテーに満足したシェルリアーナとヴィオラが寮へ帰ると、エドワードも翼を広げて夜空へと飛んで行った。
「またねデイビッド君、お休み!」
「おう、またな。」
「ふぇぇ…」
「ライラも…明日はもう帰らなきゃなぁ…」
ハルフェンの脅威がなくなったので、ライラはまた乳児院に戻ることになる。
トントンと背中をゆすってやると直ぐに眠るライラを、デイビッドは床に下ろさずしばらく抱いたままジュートの上に寝転んでいた。
夜中に3回ライラのおしめを取り換えたデイビッドが、朝早く外で洗い物をしていると、グズるライラをあやしに妖精が集まって来た。
「ナカナイデ」
「ボクタチガ ツイテルヨ」
「ホラ イナイイナイバァ~」
今日から授業は一時休止。
テスト期間が開始する。
「ライラちゃんおはよう!」
「あきゃー!」
ライラに頬ずりするヴィオラも今日から忙しい。
パンの焼ける香りの中、デイビッドは悲しい報告をせねばならず少し気が重かった。
「ーーと言うわけで、ライラはまた乳児院に帰るよ。」
「そんな……!!!」
「学業の妨げになるだろ?正直な話、俺達のどっちにもまだ引き取れる資格はねぇんだよ。」
「デイビッド様にはありますよね!?」
「扶養が可能になるのは20歳超えてから。それまでは親父の庇護下で院長の世話になってた方がいい。数日だけなら何とかなっても、この先どうにもならなくなる事だってあるかも知れない。」
「うっ…うぅっ…ライラちゃん…」
「夏休みの間なら何とか…後は…そうだなぁ…」
いっそベビーシッターでも雇えれば…などと考えてみるが、学園にいたのでは現実的ではない。
ギリギリまでライラを抱きしめていたヴィオラが、足を引きずるように教室へ向かう姿を、デイビッドは申し訳ない気持ちで見送った。
「ものすっごい落ち込んでましたねヴィオラ様。」
「アレはマズイな…テストなんかにも影響しそうだ…」
エリックも今日から教員としてのスケジュールがびっちり詰まっている。
デイビッドは採点が始まるまでもう少し猶予があるため、今日はその前にしなくてはならない仕事を近づけてしまおうと動き出した。
スヤスヤ眠るライラを横目にデイビッドが久々デスクに向かっていると、どこからか声がした。
「よお!元気そうだな黒豚ちゃん!」
「あ?」
「こっちこっち!なんだよ、俺のこと、もう忘れちまったのか?」
振り向くと真横に置かれた鏡の中から、自分の姿がニタニタ笑っていた。
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