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7代目デュロック辺境伯爵編
千客万来
この夏、グロッグマン商会の化粧品部門の新商品は、ヒュリス成分を使った石鹸と整髪剤。
ディルケの星をイメージした、透明な中に青を閉じ込めた涼やかな見た目で、実際に使うとハーブの爽やかな香りとともにミントの清涼感が火照った体に嬉しい一品だ。
(顔には使うなって言われたっけ?どれが試作品だ?)
いくつもある石鹸のサンプルの欠片を前に、立ち込めるハーブの香りで匂いが判別できず、適当に使った石鹸で顔を洗い、デイビッドは後悔した。
「いっててて!!しまった一番ハッカがキツいヤツだった!目が開かねぇ!シャワーのレバーどこだ!?」
強いミントの刺激が目に滲みて、洗い流そうと壁際を探っていると、不意に後ろでドアの開く音がした。
「エリックか?」
丁度いいところへ来たと思い、目の開かない顔を音の方へ向けると、いきなり甲高い耳をつんざくような叫び声が聞こえた。
「キャァァァァッ!!ゴメンナサイィィッ!!」
「なっ!ヴィオラ?!」
勢い良くドアが閉まり、物をひっくり返したりぶつかったり転んだりする音がして、バタバタと足音が遠ざかる。
「やっちまった……」
すぐ泡を流して脱衣場に出ると、脱いだ服の反対側に恐らくヴィオラの着替えやタオルがそのまま置き去りにされ、この後の展開が容易に想像できてゾッとした。
(完全に事故なんですが…)
まさか触るわけにもいかず、自分の着替えを済ませ、ヴィオラの荷物はその場に残して斜向かいの自分の研究室へ戻ると、タオルケットを頭から被って丸まったヴィオラがいて、鋭い目で睨むシェルリアーナと目が合った。
「アンタ何考えてんの!?」
「言っとくけど、先に居たのは俺の方だからな…?」
「乙女の裸見てなんとも思わないのかって聞いてんのよ!!」
「石鹸が滲みて目が開かなかったんだよ!エリックかと思って声かけたらまさかのヴィオラで…」
「は?!」
「鉢合わせたのは悪かった、でも完全に避けようのないアクシデントだよ!ヴィオラには嫌な思いさせただろうけど…背中越しだったと思うし、本当に数秒も経ってねぇよ…」
「なんで見られたのがアンタなのよ!!普通逆じゃない!?」
「うぇぇぇん!!」
「俺は何も見てねぇよ…それより早く何とかしてやれよ…」
恐らく、裸のまま廊下を突っ切って戻って来てしまったのだろう。
半べそのヴィオラを連れて、シェルリアーナはシャワー室へ向かった。
(振り返るんじゃなかった…以前は人の気配にはもっと敏感だったはずなのに…俺も気が弛んだなぁ…)
実際は弛んだのではない。気を許したのだと言う事にデイビッドは気が付いていない。
それほど身近に、常に隣りに居ることが当たり前となった生活が、デイビッドには理解できていないのだ。
ここまで来て、自分はいつ捨てられてもおかしくない異物だと信じ切っている。
(救いようのないブタだなぁ…)
実はカウチで寝た振りをしながら一部始終を伺っていたエリックは、落ち込むデイビッドを見てそんなことを考えていた。
「ごべっ…ごべんなざいぃ…」
「いい加減泣き止みなさいな…」
「だっで…だっでドア開けたらデイビッド様がいて、何が起きたかわかんなくて固まったちゃって…」
「抜いだ服とか着替えとかもあったでしょう?」
「反対の棚にいたので見えなかったし…浮かれてたんですぅぅ……」
「浮かれてた…?」
「今日は特に暑かったので、汗流したくて…それで、湯上がりでいい匂いしてたらデイビッド様が少しでも意識してくれないかなーって…」
「下心があったのはヴィオラの方だったのね…」
「でも後ろだけです!お尻までしか見てません!」
「しっかり見たんじゃないの!」
「こうなったら見なきゃ損かと思って!」
「意外と肉食なのよねぇこの子…」
デイビッドの前でだけ被る子猫の皮を、シェルリアーナはとうに見抜いている。
それすらかわいいのだから良いだろうと思っていたが、そろそろヴィオラの方がこの関係の距離に限界らしい。
(まだ無理よ…あっちの血の気が引いてる内は、保護者の立場から降りては来ないわ…)
デイビッドがヴィオラに触れるのは、危険な時か、完全に身内の代理か、教員として接する時だけ。
それ以外は指すら触れない。
ヴィオラに触れられている時は自分は人形の代用品だと思っている。
好きだから触れ合いたいヴィオラと、大切だからこそ離れたいデイビッド。
この追いかけっこは、もうしばらく終わりそうにない。
ようやく落ち着いたヴィオラがシャワーを浴びて戻る頃には、デイビッドは既に作り置きの料理を残し出掛けた後だった。
「シャワー浴びたいって出て行ったと思ったら裸で戻って来るんですもの、驚いちゃったわよ!」
「タオル巻いてただけ冷静だったのでは?」
「アンタ…起きてたでしょ?」
「目は閉じてましたよ。」
「なかなかやるネェ、お嬢ちゃん!」
「しれっとなんか混ざってくるのヤメて!?」
シェルリアーナはべそべそするヴィオラの髪を梳かしながら、だんだんデイビッドが哀れに思えてきていた。
(よく考えたら、爆弾級のトラウマ持ちが良く耐えてる方よ…)
この日から、デイビッドに対するシェルリアーナの態度は(極々ほんの)少しだけ軟化した。
「ヒェェ…もうあんなに並んでる!!」
「大丈夫よ!ホールの手伝いも増やしたし、対策だって十分取ったんだから!」
「にしてもこの目玉メニューすごくない…?」
壁に大きく張られた紙には「本日オススメ!大砂鳥の卵とボアベーコン、鹿肉入り炒め飯!!」と書かれている。
「この鍋は俺が担当してやるから、お前等は各自持ち場を守れよ!」
「こっちは…?」
「なんだろうこれ?」
反対の壁には「謎肉饅頭好評発売中!」という広告が貼られ、デカいダンプリングと思われるイラストが書かれている。
デイビッドがミランダに頼んで即興で作ってもらった物だ。
「初めて見るのに、好評って…誰に?」
「ウチの居候。」
「なるほど…持ち帰りかぁ!これなら場所は取らないし、このメニューなら購買とも被らない!」
「手が空いたら肉ダネ包むの手伝ってくれ。作り置きが利くからとにかく数仕込んどけよ?」
いよいよ開店時間になると、生徒が一斉に中へ入って来た。
ホール係がテーブル順に注文カードを確認し、厨房係がそれぞれ手際良く調理を開始する。
「焼き飯入りました!」
「焼き飯もうひとつ!」
「こっちも焼き飯!」
「はいよ~。」
腹ペコ男児には、この肉と卵がたっぷり入った焼き飯が魅力的のようだ。
「思ったより大盛りでさ!食ったらめちゃくちゃウマくって、手が止まらないんだよ!」
「騎士科で作るのよりずっと美味しい。材料ほとんど同じなのに…」
3分の1の生徒が焼き飯を頼むので、他の料理をする時間がだいぶ稼げて厨房は大助かりだ。
更に持ち帰りで捌ける生徒もいるので混雑具合いが昨日程ではなくなった。
「売れてますね!このでっかいダンプリング!」
「鍋が空いたらどんどん蒸せなんて言われたけど、本当に次々作らないと間に合わないくらい!」
できる先から注文が入るのも嬉しい。
他のメニューを作る手にも余裕ができ、一品一品の出来もどんどん上がっていく。
こうして学生食堂は大盛況で、運営側の生徒も利用する側の生徒も満足のいく結果を得ることができた。
「俺…なんであの時先生にハンバーグなんて頼んじまったんだろう…」
「え?まさか美味しくなかったの?」
「まさか!今まで食べた中で一番ウマかった!だからかな…今日頼んだハンバーグがフツーっていうか…なんか感動が無くて…昨日まで毎日でも食べたかったのに…一番好きな食いもんだったんだ、ハンバーグ…」
「そっか…」
幾らかの呪いは発動したものの料理も好評で、この時の調理メンバーは、この後の芸術祭で“食は美学”という持論で新たな分野を切り開く事になる。
サイモン教授も思わず笑顔の成果を叩き出した学生食堂は、夏季の特別授業期間の間、多くの生徒の救いとなり、更に商業科にとっては後々にも為になったと言われる経験となったそうだ。
次の日。
朝早くヴィオラの為に朝からクランペットを焼いていると、一匹の妖精が現れ、デイビッドに手紙を差し出した。
中には地図が1枚と、アリスティアのサインが書かれたクロードの面会許可書が同封されている。
(場所は…へぇ、コンラッド領の先か。そこまで遠くなくて助かった。)
そこは一侯爵家の領地で、王妃の生家に当たる。
恐らく親としての責任を取ったのだろう。
デイビッドは封筒をしまい込み、また出かける支度を始めた。
焼き立てのクランペットに、たっぷりのバターとゴールデンシロップ。
トウモロコシのスープに茹でたソーセージとスクランブルエッグに、トマトとレタスのサラダも付けてヴィオラを待つと、直ぐに魔法陣からにょきにょき生えて来る。
「わぁ!いいにおい~…おはようございますデイビッド様!」
「休みなのに早いな?」
「ライラちゃんと二度寝します!」
「そうか…」
起きグズるライラを着替えさせ、顔を拭いてやるとヴィオラを見つけてにこにこ笑う。
トウモロコシをひと粒ひと粒摘んで食べるライラを横目に、デイビッドはまたオーブンの前に立った。
「また何か作るんですか?」
「まぁ、ちょっとな…」
ピスタチオをすり潰し、たっぷり緑色のペーストにすると、ケーキの生地に混ぜて焼き上げ、上からも緑色のアイシングを垂らすとこれでもかと緑のケーキが出来上がる。
デイビッドは一切れ口にすると、少し懐かしそうにしながら砕いたピスタチオを振りかけた。
ディルケの星をイメージした、透明な中に青を閉じ込めた涼やかな見た目で、実際に使うとハーブの爽やかな香りとともにミントの清涼感が火照った体に嬉しい一品だ。
(顔には使うなって言われたっけ?どれが試作品だ?)
いくつもある石鹸のサンプルの欠片を前に、立ち込めるハーブの香りで匂いが判別できず、適当に使った石鹸で顔を洗い、デイビッドは後悔した。
「いっててて!!しまった一番ハッカがキツいヤツだった!目が開かねぇ!シャワーのレバーどこだ!?」
強いミントの刺激が目に滲みて、洗い流そうと壁際を探っていると、不意に後ろでドアの開く音がした。
「エリックか?」
丁度いいところへ来たと思い、目の開かない顔を音の方へ向けると、いきなり甲高い耳をつんざくような叫び声が聞こえた。
「キャァァァァッ!!ゴメンナサイィィッ!!」
「なっ!ヴィオラ?!」
勢い良くドアが閉まり、物をひっくり返したりぶつかったり転んだりする音がして、バタバタと足音が遠ざかる。
「やっちまった……」
すぐ泡を流して脱衣場に出ると、脱いだ服の反対側に恐らくヴィオラの着替えやタオルがそのまま置き去りにされ、この後の展開が容易に想像できてゾッとした。
(完全に事故なんですが…)
まさか触るわけにもいかず、自分の着替えを済ませ、ヴィオラの荷物はその場に残して斜向かいの自分の研究室へ戻ると、タオルケットを頭から被って丸まったヴィオラがいて、鋭い目で睨むシェルリアーナと目が合った。
「アンタ何考えてんの!?」
「言っとくけど、先に居たのは俺の方だからな…?」
「乙女の裸見てなんとも思わないのかって聞いてんのよ!!」
「石鹸が滲みて目が開かなかったんだよ!エリックかと思って声かけたらまさかのヴィオラで…」
「は?!」
「鉢合わせたのは悪かった、でも完全に避けようのないアクシデントだよ!ヴィオラには嫌な思いさせただろうけど…背中越しだったと思うし、本当に数秒も経ってねぇよ…」
「なんで見られたのがアンタなのよ!!普通逆じゃない!?」
「うぇぇぇん!!」
「俺は何も見てねぇよ…それより早く何とかしてやれよ…」
恐らく、裸のまま廊下を突っ切って戻って来てしまったのだろう。
半べそのヴィオラを連れて、シェルリアーナはシャワー室へ向かった。
(振り返るんじゃなかった…以前は人の気配にはもっと敏感だったはずなのに…俺も気が弛んだなぁ…)
実際は弛んだのではない。気を許したのだと言う事にデイビッドは気が付いていない。
それほど身近に、常に隣りに居ることが当たり前となった生活が、デイビッドには理解できていないのだ。
ここまで来て、自分はいつ捨てられてもおかしくない異物だと信じ切っている。
(救いようのないブタだなぁ…)
実はカウチで寝た振りをしながら一部始終を伺っていたエリックは、落ち込むデイビッドを見てそんなことを考えていた。
「ごべっ…ごべんなざいぃ…」
「いい加減泣き止みなさいな…」
「だっで…だっでドア開けたらデイビッド様がいて、何が起きたかわかんなくて固まったちゃって…」
「抜いだ服とか着替えとかもあったでしょう?」
「反対の棚にいたので見えなかったし…浮かれてたんですぅぅ……」
「浮かれてた…?」
「今日は特に暑かったので、汗流したくて…それで、湯上がりでいい匂いしてたらデイビッド様が少しでも意識してくれないかなーって…」
「下心があったのはヴィオラの方だったのね…」
「でも後ろだけです!お尻までしか見てません!」
「しっかり見たんじゃないの!」
「こうなったら見なきゃ損かと思って!」
「意外と肉食なのよねぇこの子…」
デイビッドの前でだけ被る子猫の皮を、シェルリアーナはとうに見抜いている。
それすらかわいいのだから良いだろうと思っていたが、そろそろヴィオラの方がこの関係の距離に限界らしい。
(まだ無理よ…あっちの血の気が引いてる内は、保護者の立場から降りては来ないわ…)
デイビッドがヴィオラに触れるのは、危険な時か、完全に身内の代理か、教員として接する時だけ。
それ以外は指すら触れない。
ヴィオラに触れられている時は自分は人形の代用品だと思っている。
好きだから触れ合いたいヴィオラと、大切だからこそ離れたいデイビッド。
この追いかけっこは、もうしばらく終わりそうにない。
ようやく落ち着いたヴィオラがシャワーを浴びて戻る頃には、デイビッドは既に作り置きの料理を残し出掛けた後だった。
「シャワー浴びたいって出て行ったと思ったら裸で戻って来るんですもの、驚いちゃったわよ!」
「タオル巻いてただけ冷静だったのでは?」
「アンタ…起きてたでしょ?」
「目は閉じてましたよ。」
「なかなかやるネェ、お嬢ちゃん!」
「しれっとなんか混ざってくるのヤメて!?」
シェルリアーナはべそべそするヴィオラの髪を梳かしながら、だんだんデイビッドが哀れに思えてきていた。
(よく考えたら、爆弾級のトラウマ持ちが良く耐えてる方よ…)
この日から、デイビッドに対するシェルリアーナの態度は(極々ほんの)少しだけ軟化した。
「ヒェェ…もうあんなに並んでる!!」
「大丈夫よ!ホールの手伝いも増やしたし、対策だって十分取ったんだから!」
「にしてもこの目玉メニューすごくない…?」
壁に大きく張られた紙には「本日オススメ!大砂鳥の卵とボアベーコン、鹿肉入り炒め飯!!」と書かれている。
「この鍋は俺が担当してやるから、お前等は各自持ち場を守れよ!」
「こっちは…?」
「なんだろうこれ?」
反対の壁には「謎肉饅頭好評発売中!」という広告が貼られ、デカいダンプリングと思われるイラストが書かれている。
デイビッドがミランダに頼んで即興で作ってもらった物だ。
「初めて見るのに、好評って…誰に?」
「ウチの居候。」
「なるほど…持ち帰りかぁ!これなら場所は取らないし、このメニューなら購買とも被らない!」
「手が空いたら肉ダネ包むの手伝ってくれ。作り置きが利くからとにかく数仕込んどけよ?」
いよいよ開店時間になると、生徒が一斉に中へ入って来た。
ホール係がテーブル順に注文カードを確認し、厨房係がそれぞれ手際良く調理を開始する。
「焼き飯入りました!」
「焼き飯もうひとつ!」
「こっちも焼き飯!」
「はいよ~。」
腹ペコ男児には、この肉と卵がたっぷり入った焼き飯が魅力的のようだ。
「思ったより大盛りでさ!食ったらめちゃくちゃウマくって、手が止まらないんだよ!」
「騎士科で作るのよりずっと美味しい。材料ほとんど同じなのに…」
3分の1の生徒が焼き飯を頼むので、他の料理をする時間がだいぶ稼げて厨房は大助かりだ。
更に持ち帰りで捌ける生徒もいるので混雑具合いが昨日程ではなくなった。
「売れてますね!このでっかいダンプリング!」
「鍋が空いたらどんどん蒸せなんて言われたけど、本当に次々作らないと間に合わないくらい!」
できる先から注文が入るのも嬉しい。
他のメニューを作る手にも余裕ができ、一品一品の出来もどんどん上がっていく。
こうして学生食堂は大盛況で、運営側の生徒も利用する側の生徒も満足のいく結果を得ることができた。
「俺…なんであの時先生にハンバーグなんて頼んじまったんだろう…」
「え?まさか美味しくなかったの?」
「まさか!今まで食べた中で一番ウマかった!だからかな…今日頼んだハンバーグがフツーっていうか…なんか感動が無くて…昨日まで毎日でも食べたかったのに…一番好きな食いもんだったんだ、ハンバーグ…」
「そっか…」
幾らかの呪いは発動したものの料理も好評で、この時の調理メンバーは、この後の芸術祭で“食は美学”という持論で新たな分野を切り開く事になる。
サイモン教授も思わず笑顔の成果を叩き出した学生食堂は、夏季の特別授業期間の間、多くの生徒の救いとなり、更に商業科にとっては後々にも為になったと言われる経験となったそうだ。
次の日。
朝早くヴィオラの為に朝からクランペットを焼いていると、一匹の妖精が現れ、デイビッドに手紙を差し出した。
中には地図が1枚と、アリスティアのサインが書かれたクロードの面会許可書が同封されている。
(場所は…へぇ、コンラッド領の先か。そこまで遠くなくて助かった。)
そこは一侯爵家の領地で、王妃の生家に当たる。
恐らく親としての責任を取ったのだろう。
デイビッドは封筒をしまい込み、また出かける支度を始めた。
焼き立てのクランペットに、たっぷりのバターとゴールデンシロップ。
トウモロコシのスープに茹でたソーセージとスクランブルエッグに、トマトとレタスのサラダも付けてヴィオラを待つと、直ぐに魔法陣からにょきにょき生えて来る。
「わぁ!いいにおい~…おはようございますデイビッド様!」
「休みなのに早いな?」
「ライラちゃんと二度寝します!」
「そうか…」
起きグズるライラを着替えさせ、顔を拭いてやるとヴィオラを見つけてにこにこ笑う。
トウモロコシをひと粒ひと粒摘んで食べるライラを横目に、デイビッドはまたオーブンの前に立った。
「また何か作るんですか?」
「まぁ、ちょっとな…」
ピスタチオをすり潰し、たっぷり緑色のペーストにすると、ケーキの生地に混ぜて焼き上げ、上からも緑色のアイシングを垂らすとこれでもかと緑のケーキが出来上がる。
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