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7代目デュロック辺境伯爵編
リベンジ
「ニューゲートの英雄にカンパーイ!!」
「よぉ!イクス!なにシケた面してんだ?!こっち来いよ!」
「新ルートはクロッツ始まって以来の超難関指定だとよ!」
「無事戻っただけじゃなく、道を1本通したんだ!初見のダンジョンルートじゃ最短記録だと!」
「たいしたもんだよ!この街の誇りだぜお前は!!」
「中はどうだったんだ?!聞かせてくれよ!」
「あーあ、アイシアが羨ましい~!こんな強くて素敵な人が彼氏なんて!」
「イクス!」「イクス!?」「イクス!!」
サウラリース、ダンジョンの街クロッツでは、ニューゲート出現から街中を上げてお祭り騒ぎだ。
なにせ20年振りの新路出現と言うのだから仕方ない。
どこの酒場もイクスの話題で持ちきりだ。
「ああ…ありがとう。悪い、今は少し忙しいんだ。また今度な…」
しかし、当の本人はどこか嬉しそうではなく、イクスは歯切れの悪い生返事を返すとギルドの酒場を後にし、すぐ裏の宿の一室に駆け込んでしまう。
部屋では納得のいかない面持ちで荒れる恋人を、アイシアが宥めていた。
「あんなの実力じゃない!」
「落ち着いてよイクス。」
「確かに道は通したけど、途中路の別口から出て来ただけで距離も最短だろうし、そもそもまともに戦闘だってしてないんだ!」
「初めてで罠が上手く作動してなかっただけよきっと。」
「いや…ダンジョンで最も危険なのは最初の1周目なんだ!道も罠の位置も分からない冒険者は、ダンジョンにとって最高に都合の良い獲物だ。罠と魔物が一斉に襲いかかって来るのが普通なんだよ…」
「運だって実力の内よ!それに、他の2人を守りきったんだから、ギルドからも感謝されたでしょ?」
「いや…守られたのはむしろ俺の方だ…とにかく何もかもおかしな奴等だったよ…」
あれから何度もギルドや管理局に呼び出され、新通路の詳細について説明をした。
ダンジョンの中でも特に珍しい“水の迷宮”に、各ギルドは浮き足立ち、少しでも事前情報を得ようと必死だった。
しかし、罠が一切作動せず、通路にはナメクジとカタツムリぐらいしか現れなかったと聞くと、どの調査員達も首を傾げていた。
そんなはずはない。何か見落としはないかとしつこく聞かれたが、イクスにはそれ以上話すことができなかった。
結局デイビッドが落ちた入り口は、その後再び閉ざされてしまったので、出て来た途中の道を魔法で固定し、出入り口にしたそうだ。
その後組まれた調査隊は、危険性の高い水性魔物に備えた重装備と、かなりの高ランク冒険者達で編成されたが、速攻魔魚と大型のカエルの魔物に襲われ、四方から伸びてくる触手生物に翻弄されてしまい、まだ数十mも進めていないそうだ。
普通に罠が作動し、普通に大量の魔物が湧き出て、普通に殺されかけ、普通に迷い、出てくる魔物も質が悪く、おまけに足元は水と来た。
すぐさまこのゲートには厳重な警備が立てられ、超難関の高位ランクダンジョンに指定され、しばらくは管理局預かりで調査が進められるそうだ。
屈強な戦士達が我こそはと名乗りを上げ調査に乗り出して行ったが、ほとんどが出鼻を挫かれて戻って来た。
(イクスがほぼ素通りできたのは、強い水竜の気配と水霊の加護をまとったデイビッドを恐れて魔物が逃げ出したことと、知性を持った魔物達が手を貸した事で、ダンジョン自体がデイビッド含む3人を獲物として認識できず、罠が作動しなかった事が原因だ。そもそもあの開かずの入り口が開いたのも、この水霊に関わる加護に反応した祭壇が、水宮への立ち入りを許したせいである。)
更にイクスを驚かせたのは、ギルドに戻って報告をしようとしたら、自分宛てになんと金貨3枚もの大金が振り込まれ、デュロック当主の推薦冒険者に認定されていた事だ。
貴族の推薦は、ランクの高い低いに関わらず、相応の任務を受けさせる上で、最も信頼と実績のある冒険者であるという証明だ。
ギルドと依頼者の信用が手放しで得られ、依頼の質も明確に変わるため、これの有る無しで冒険者としての格が一気に上がるのだ。
(金貨3枚?ただ付いて歩いただけで、霊薬まで台無しにした俺に?!)
そしてもう一つ。驚くべき事に、数年前ダンジョン探索中に仲間を庇って負った肩の傷が綺麗に消えていた。
恐らく、世界樹の雫の恩恵だろう。呪いと共に体の不調を全て癒してくれたようだ。
(礼のしようがない…本当に、何者だったんだあの2人は…)
その後もイクスは慢心せず、より一層身を粉にしてギルドのために働きながら、冒険者としてもかなり名を挙げたそうだ。
「採取道に入りたい。同行者2人。元冒険者と初心者だ。」
「やったぁーー!!」
朝一の汽車に乗り、サウラリースへ戻って来たデイビッド達は、再びライラをアルテミシアに預け(と言うか預かりたがられ)、ダンジョンへ再挑戦しに来ていた。
ダンジョンの入り口は大勢の冒険者でごった返し、初心者向けの探索道は人で溢れ返っていた。
ニューゲートが開くと、魔力の流れが変わり、ダンジョン内の動植物が変化することがある。
普段は見つからない、高額取引き対象の採取物を探すなら今が狙い時なのだ。
デイビッドは人波を避け、初心者向けの道ではなく、本格的な採取目的の道へヴィオラを案内するつもりだ。
地図や装備も揃え、先日より本格的な準備を整えて、いざダンジョンへ。
「なぁ!アンタもしかしてイクスに助けてもらったって言う水の迷宮に迷い込んだ冒険者じゃないのか?!」
「ホントだ!なぁなぁ、中に入ったんだろう?どうだった?」
「どうって言われてもなぁ、罠も魔物もいない道を偶然歩けたんで、ほとんど散歩して帰って来たようなもんだったよ。」
「なんだそりゃ!?」
「運がいいなんてもんじゃねぇな!」
「イクスのおかげで横道通って最短距離で出て来ちまったし、マッピングなんて小難しい事は出来ねぇから、ほとんど人任せの迷子だったよ。」
「なぁんだ…」
話しかけて来た冒険者達はつまらなそうに離れて行った。
「ホントは…どうだったんですか?」
「元の遺跡が拡張して祭壇の内部が成長した特殊構造になってた。水性魔物の巣窟で、少しでも水に入れば何かしらに手足を食い千切られるか、引きずり込まれて餌にされちまうだろうな。大丈夫、正規の報告は管理局に出してある。ここでは目立たない方が都合がいい。」
分かれ道に来ると、やはり探索道は混み合っている。
プレートを見せ、その横の採取道に進むと、いくらか静かで薄暗い洞窟には光る苔やキノコが生えていた。
「今灯りを…」
「いや、暗がりに目を慣らした方がいい。地図に寄ると、この先の地下庭園は薄暗くて足元が悪いらしい。最低限の灯りで動けるようにして行こう。」
灯りの変わりに、目に魔力を集中させて視力を上げると、淡い光の中に色々な物が見えて来る。
洞窟が終わると、足元が急に石畳になり、ここにも遺跡が現れた。
そこは、丸く石の柱で囲まれたステージの様な場所で、階段を降りると茂みがあり、森が広がっていた。
「わぁぁ…凄い…キレイ!」
「へぇ、あっちを昼の森とするなら、こっちは夜の森ですね。」
「魔物もそこそこ出るから気をつけろよ?あと、壁沿いには罠もあるらしいから、端には寄らないように。」
「あ!星見草が生えてる!採ってもいいですか?」
「もちろん!そのために来たんだからな。今日は俺を護衛と思えばいい。」
「前回真っ先に穴に落ちた人が護衛とか…」
「不可抗力だったろアレは!!」
ヴィオラが星見草やホタルイチゴを摘む間、エリックとデイビッドは辺りを少し警戒しながら採取を手伝った。
(何か飛んでる…キラキラした…光るチョウチョ!)
そのうちヴィオラがスッと立ち上がり、ふらふらと1頭の蝶を追い始めた。
すかさずデイビッドがその肩に手を掛ける。
「ヴィオラ、ストップ!」
「はっ!あれ、私何して…」
「そいつは夜光蝶の仲間だ。光で獲物を誘い込んで、森の奥に連れて行って魔物に襲わせる。今、魅了にかかり掛けてたろ?気をつけな!?」
「私、頭がボーッとして…これが魅了魔法!?」
「夜光系の魔物は、特に光を使って視覚から相手の思考を奪うんだ。誘い込まれたら最後、正気に戻る前に餌にされちまう。」
「綺麗な蝶だと思ったのに、そんな危険なものだなんて!」
「幻覚や幻聴で惑わせに来るモノもいますし、中にはナイトメアに近い種類も多くいますので、甘く見ないことですね。」
良く見ると、エリックは飛んでいた光る蝶を何頭も捕まえていた。
「どうするんですか…それ…」
「夜光蝶は薬の原材料にもなるんですよ。シェル様にあげたら喜ぶかなぁって思いまして!」
「そんな毒虫みたいなモン喜び…そうだな、確かに。アイツなら。」
ヴィオラが採取袋に素材を集めて次へ進もうとすると、デイビッドが何かを指差した。
「ヴィオラ、ほらあそこ、ヘビウリの花が咲いてるぞ?」
「え?わぁぁ!キレイ!!」
ヴィオラの目の先に、真っ白なレースの様な花がふわふわと咲いている。
淡く光る花がいくつも咲き乱れる姿は、まるで妖精が踊っているようだ。
「光が当たると咲かなくなるんだ。」
「だから光を使うなって言ったんですね…持って帰れないかなぁ…」
「手ぇ出した途端、絡みつかれて絞め殺されちまうからなぁ…」
「あ、そういう植物!?」
「普通は強力な光源を当てて近づかせないのが一般的ですからねぇ!?」
「綺麗…ロマンチックですねぇ…」
「な?夜の森ってのもなかなかオツなもんだろ?」
「あの光ってるほとんどが何かしらの魔物の罠ですけどねぇ?!」
幻想的な光の森を堪能し、採取を切り上げて先へ進むと、また石の通路が現れる。
デイビッドは腰に提げていたロープのような物を解き、いつでも使えるよう腕に巻き付けた。
「よぉ!イクス!なにシケた面してんだ?!こっち来いよ!」
「新ルートはクロッツ始まって以来の超難関指定だとよ!」
「無事戻っただけじゃなく、道を1本通したんだ!初見のダンジョンルートじゃ最短記録だと!」
「たいしたもんだよ!この街の誇りだぜお前は!!」
「中はどうだったんだ?!聞かせてくれよ!」
「あーあ、アイシアが羨ましい~!こんな強くて素敵な人が彼氏なんて!」
「イクス!」「イクス!?」「イクス!!」
サウラリース、ダンジョンの街クロッツでは、ニューゲート出現から街中を上げてお祭り騒ぎだ。
なにせ20年振りの新路出現と言うのだから仕方ない。
どこの酒場もイクスの話題で持ちきりだ。
「ああ…ありがとう。悪い、今は少し忙しいんだ。また今度な…」
しかし、当の本人はどこか嬉しそうではなく、イクスは歯切れの悪い生返事を返すとギルドの酒場を後にし、すぐ裏の宿の一室に駆け込んでしまう。
部屋では納得のいかない面持ちで荒れる恋人を、アイシアが宥めていた。
「あんなの実力じゃない!」
「落ち着いてよイクス。」
「確かに道は通したけど、途中路の別口から出て来ただけで距離も最短だろうし、そもそもまともに戦闘だってしてないんだ!」
「初めてで罠が上手く作動してなかっただけよきっと。」
「いや…ダンジョンで最も危険なのは最初の1周目なんだ!道も罠の位置も分からない冒険者は、ダンジョンにとって最高に都合の良い獲物だ。罠と魔物が一斉に襲いかかって来るのが普通なんだよ…」
「運だって実力の内よ!それに、他の2人を守りきったんだから、ギルドからも感謝されたでしょ?」
「いや…守られたのはむしろ俺の方だ…とにかく何もかもおかしな奴等だったよ…」
あれから何度もギルドや管理局に呼び出され、新通路の詳細について説明をした。
ダンジョンの中でも特に珍しい“水の迷宮”に、各ギルドは浮き足立ち、少しでも事前情報を得ようと必死だった。
しかし、罠が一切作動せず、通路にはナメクジとカタツムリぐらいしか現れなかったと聞くと、どの調査員達も首を傾げていた。
そんなはずはない。何か見落としはないかとしつこく聞かれたが、イクスにはそれ以上話すことができなかった。
結局デイビッドが落ちた入り口は、その後再び閉ざされてしまったので、出て来た途中の道を魔法で固定し、出入り口にしたそうだ。
その後組まれた調査隊は、危険性の高い水性魔物に備えた重装備と、かなりの高ランク冒険者達で編成されたが、速攻魔魚と大型のカエルの魔物に襲われ、四方から伸びてくる触手生物に翻弄されてしまい、まだ数十mも進めていないそうだ。
普通に罠が作動し、普通に大量の魔物が湧き出て、普通に殺されかけ、普通に迷い、出てくる魔物も質が悪く、おまけに足元は水と来た。
すぐさまこのゲートには厳重な警備が立てられ、超難関の高位ランクダンジョンに指定され、しばらくは管理局預かりで調査が進められるそうだ。
屈強な戦士達が我こそはと名乗りを上げ調査に乗り出して行ったが、ほとんどが出鼻を挫かれて戻って来た。
(イクスがほぼ素通りできたのは、強い水竜の気配と水霊の加護をまとったデイビッドを恐れて魔物が逃げ出したことと、知性を持った魔物達が手を貸した事で、ダンジョン自体がデイビッド含む3人を獲物として認識できず、罠が作動しなかった事が原因だ。そもそもあの開かずの入り口が開いたのも、この水霊に関わる加護に反応した祭壇が、水宮への立ち入りを許したせいである。)
更にイクスを驚かせたのは、ギルドに戻って報告をしようとしたら、自分宛てになんと金貨3枚もの大金が振り込まれ、デュロック当主の推薦冒険者に認定されていた事だ。
貴族の推薦は、ランクの高い低いに関わらず、相応の任務を受けさせる上で、最も信頼と実績のある冒険者であるという証明だ。
ギルドと依頼者の信用が手放しで得られ、依頼の質も明確に変わるため、これの有る無しで冒険者としての格が一気に上がるのだ。
(金貨3枚?ただ付いて歩いただけで、霊薬まで台無しにした俺に?!)
そしてもう一つ。驚くべき事に、数年前ダンジョン探索中に仲間を庇って負った肩の傷が綺麗に消えていた。
恐らく、世界樹の雫の恩恵だろう。呪いと共に体の不調を全て癒してくれたようだ。
(礼のしようがない…本当に、何者だったんだあの2人は…)
その後もイクスは慢心せず、より一層身を粉にしてギルドのために働きながら、冒険者としてもかなり名を挙げたそうだ。
「採取道に入りたい。同行者2人。元冒険者と初心者だ。」
「やったぁーー!!」
朝一の汽車に乗り、サウラリースへ戻って来たデイビッド達は、再びライラをアルテミシアに預け(と言うか預かりたがられ)、ダンジョンへ再挑戦しに来ていた。
ダンジョンの入り口は大勢の冒険者でごった返し、初心者向けの探索道は人で溢れ返っていた。
ニューゲートが開くと、魔力の流れが変わり、ダンジョン内の動植物が変化することがある。
普段は見つからない、高額取引き対象の採取物を探すなら今が狙い時なのだ。
デイビッドは人波を避け、初心者向けの道ではなく、本格的な採取目的の道へヴィオラを案内するつもりだ。
地図や装備も揃え、先日より本格的な準備を整えて、いざダンジョンへ。
「なぁ!アンタもしかしてイクスに助けてもらったって言う水の迷宮に迷い込んだ冒険者じゃないのか?!」
「ホントだ!なぁなぁ、中に入ったんだろう?どうだった?」
「どうって言われてもなぁ、罠も魔物もいない道を偶然歩けたんで、ほとんど散歩して帰って来たようなもんだったよ。」
「なんだそりゃ!?」
「運がいいなんてもんじゃねぇな!」
「イクスのおかげで横道通って最短距離で出て来ちまったし、マッピングなんて小難しい事は出来ねぇから、ほとんど人任せの迷子だったよ。」
「なぁんだ…」
話しかけて来た冒険者達はつまらなそうに離れて行った。
「ホントは…どうだったんですか?」
「元の遺跡が拡張して祭壇の内部が成長した特殊構造になってた。水性魔物の巣窟で、少しでも水に入れば何かしらに手足を食い千切られるか、引きずり込まれて餌にされちまうだろうな。大丈夫、正規の報告は管理局に出してある。ここでは目立たない方が都合がいい。」
分かれ道に来ると、やはり探索道は混み合っている。
プレートを見せ、その横の採取道に進むと、いくらか静かで薄暗い洞窟には光る苔やキノコが生えていた。
「今灯りを…」
「いや、暗がりに目を慣らした方がいい。地図に寄ると、この先の地下庭園は薄暗くて足元が悪いらしい。最低限の灯りで動けるようにして行こう。」
灯りの変わりに、目に魔力を集中させて視力を上げると、淡い光の中に色々な物が見えて来る。
洞窟が終わると、足元が急に石畳になり、ここにも遺跡が現れた。
そこは、丸く石の柱で囲まれたステージの様な場所で、階段を降りると茂みがあり、森が広がっていた。
「わぁぁ…凄い…キレイ!」
「へぇ、あっちを昼の森とするなら、こっちは夜の森ですね。」
「魔物もそこそこ出るから気をつけろよ?あと、壁沿いには罠もあるらしいから、端には寄らないように。」
「あ!星見草が生えてる!採ってもいいですか?」
「もちろん!そのために来たんだからな。今日は俺を護衛と思えばいい。」
「前回真っ先に穴に落ちた人が護衛とか…」
「不可抗力だったろアレは!!」
ヴィオラが星見草やホタルイチゴを摘む間、エリックとデイビッドは辺りを少し警戒しながら採取を手伝った。
(何か飛んでる…キラキラした…光るチョウチョ!)
そのうちヴィオラがスッと立ち上がり、ふらふらと1頭の蝶を追い始めた。
すかさずデイビッドがその肩に手を掛ける。
「ヴィオラ、ストップ!」
「はっ!あれ、私何して…」
「そいつは夜光蝶の仲間だ。光で獲物を誘い込んで、森の奥に連れて行って魔物に襲わせる。今、魅了にかかり掛けてたろ?気をつけな!?」
「私、頭がボーッとして…これが魅了魔法!?」
「夜光系の魔物は、特に光を使って視覚から相手の思考を奪うんだ。誘い込まれたら最後、正気に戻る前に餌にされちまう。」
「綺麗な蝶だと思ったのに、そんな危険なものだなんて!」
「幻覚や幻聴で惑わせに来るモノもいますし、中にはナイトメアに近い種類も多くいますので、甘く見ないことですね。」
良く見ると、エリックは飛んでいた光る蝶を何頭も捕まえていた。
「どうするんですか…それ…」
「夜光蝶は薬の原材料にもなるんですよ。シェル様にあげたら喜ぶかなぁって思いまして!」
「そんな毒虫みたいなモン喜び…そうだな、確かに。アイツなら。」
ヴィオラが採取袋に素材を集めて次へ進もうとすると、デイビッドが何かを指差した。
「ヴィオラ、ほらあそこ、ヘビウリの花が咲いてるぞ?」
「え?わぁぁ!キレイ!!」
ヴィオラの目の先に、真っ白なレースの様な花がふわふわと咲いている。
淡く光る花がいくつも咲き乱れる姿は、まるで妖精が踊っているようだ。
「光が当たると咲かなくなるんだ。」
「だから光を使うなって言ったんですね…持って帰れないかなぁ…」
「手ぇ出した途端、絡みつかれて絞め殺されちまうからなぁ…」
「あ、そういう植物!?」
「普通は強力な光源を当てて近づかせないのが一般的ですからねぇ!?」
「綺麗…ロマンチックですねぇ…」
「な?夜の森ってのもなかなかオツなもんだろ?」
「あの光ってるほとんどが何かしらの魔物の罠ですけどねぇ?!」
幻想的な光の森を堪能し、採取を切り上げて先へ進むと、また石の通路が現れる。
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