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黒豚令息の領地改革編
王配の影
「ままじゃないやつ!ままじゃないやつ!」
「うっせぇな!いいだろガワの完成度こんだけ高くしてんだから!」
「ぶぅぅ…」
ライラはトムティットに運ばれて不機嫌そうにしている。
ぐにゃぐにゃとした鏡の中の世界は、トムティットにしか道はわからず、出口を探すのは難しい。
一面に鏡がキラキラと窓の様に張り付いた空間に、時折人が映り、何かをしているのが見える。
ーどんな秘密も鏡の前では決して口にしてはならないー
古くから女の子達の間でそんな話が、真しめやかに囁かれているのも、トムティットの様な妖魔や悪魔が鏡の中から人の秘密を覗き見していたからかも知れない。
「はいよ、ただいまぁーっと!今日も元気に行ってきましたよぉ!?」
「まぁまぁー!」
てこてこ駆けて来るライラを捕まえて抱き上げると、手足をバタつかせて大喜びする。
「今日はライラの好きなトウモロコシのクリームスープだぞ。」
「ともこしー!」
「チキンサラダに芋もあるからな。」
「野菜が足んないわよ!!あと肉足して!なるべく赤身の!」
「幻聴かと思った…」
エリックもヴィオラも居ないなら、流石に来ないかと思ったシェルリアーナが、いつの間にかソファに座っている。
「姐さん、完全にここの住人になってんね。」
「婚約者がいてこれか…」
「習慣にしたのは誰よ!責任取んなさいよ!!」
正直、他人の婚約者と2人で過ごしていいものか悩みながら、トマトのマリネにバジルとフレッシュチーズを和えていると、シェルリアーナがライラの相手をし始めた。
「ライラちゃん、これは何かしら?」
「ぷーん」
「そうよ、スプーンね。さぁ持ってみて?」
「あぅー?」
「あら、ちゃんとしっかり握れるのね!でもそれでは食べにくいでしょう?向きはこう…持ち方はこう…上手よぉ!さぁ、お姉さんの真似ができるかしら?」
「あむあむ!」
「あら!とても良くできました。ライラちゃんは立派なレディになれるわね!?」
「んまー!」
(へぇ…意外としっかりしてんな…ライラが赤ん坊の頃に振り回されてた印象しかなかったのに…)
流石女性とでも言うのか、子供に対する母性本能は備わっているようで、慈しむようにあれこれ丁寧に優しく教えている。
相変わらず、所作のひとつひとつが美しく、洗練された動きで、しかしまぁよく食べる。
それを見て、ライラも負けじとスプーンをぎこちなく動かしながら、何でも好き嫌いせずパクパク口に入れている。
デイビッドが何も言わず2人の給仕に徹すると、シェルリアーナは、満足そうにデザートまで食べ終えて帰って行った。
2人の時にデイビッドに構わないのは、エリックに遠慮してのことだろうか。
なるほど、淑女の手本と言われるだけあるものだ。
(しっかし…相変わらず良く食うなぁ…)
シェルリアーナが居なくなり、ライラの寝支度を整えているとエリックが戻って来た。
「ただいまぁー!デイビッド様、嫌な話と悪い話とそうでもない話、どれから聞きます?」
「どれも聞きたくねぇよ!」
「じゃ悪い話から!デイビッド様の愛妾希望者が7名に増えたそうです。」
「あれ、まだ終わってねぇのか!?」
「それから、アーネスト殿下から明日にも直々に会いたいと連絡が来てました。はいコレ召喚状!」
「確かにそれは嫌だなぁ…」
「あと、ジェイムス様がグロッグマン商会の本部の裏手にある屋敷に到着したそうです。」
「どうでもいい!今更用なんてねぇよ!」
「奥様もご一緒なのですが…?」
「もう関係ねぇよ。親父のことはあの人に任せるし、あの人のことは親父にどうにかしてもらう。それだけだ。」
夕食を食べそびれたエリックが、チキンサラダのサンドイッチとスープを食べていると、ライラの寝床から何やらボソボソ話し声が聞こえてきた。
「その時…大きな岩の上から…」
(読み聞かせか…顔に似合わずマメだなぁ…)
「…人喰い鬼は…言いました…」
(本のチョイス!相変わらずどんなセンスしてんの?)
やがてライラが眠ると、デイビッドも本を閉じて洗い物を片付けシャツを脱いだ。
「肩の傷、だいぶ治りましたね。」
「ああ、抜糸の後のカサブタも取れた。もう古傷だよ。」
「んなワケないでしょが!」
「明日、昼前に城に行く。お前もついて来いよ。」
「はいはい、わかりましたから…お休みなさい。」
最近疲れなのか、デイビッドの眠りがいつもより早く、そして深い。
涼風の立つ頃、暑さから解放されて人の眠りが深くなるとは聞くが、今はまだ夏の盛りの中。
(疲れが溜まってるんじゃないのかなぁ…)
魔法が一切使えない分、何もかも手作業で時間がかかる上に、自前の仕事と育児にまで追われ、やはり体力も限界なのではないかと、少し不安に思うエリックだった。
「ぶぅぅ…」
「そんな嫌な顔すんなよ!仕方ねぇだろ、そういう係りなの、俺は!」
「ままぁ…」
「行って来いライラ。帰ったらおいしいもん作って待ってるから、な?」
「…あ~い。」
デイビッドに化けたトムティットの背中越しに、手を振るライラを見送ると、エリックに手伝わせながら城向きの服に着替え、頼んでおいた馬車に乗り込んだ。
「久しぶりですね。こうして2人で行動するのも!」
「なに楽しそうにしてんだよ。」
「いえ、なんと言うかここ最近は新メンバーばっかりお呼びが掛かって、古参の従者の存在をお忘れなのかと思いましてね。」
「たかが1年ちょいで古参振るなよ!その間自由にさせてやってんだろ?!」
「ただそこに居るだけでおもしろ…奇跡が起こるデイビッド様ですよ!?かぶりつきで見てたいじゃないですか。」
「見せモンじゃねーよ!!」
馬車は大門を通り過ぎ、正規の訪いとしての最低限の作法に従い、一家臣として大げさに振る舞うと、アーネストが迎えにやって来た。
「すまない…急に呼び出したりして…」
「国の王太子殿下が、一体なんの用だ?」
「少し…君に謝らなくてはならない事が起きたんだ…こちらへ来て欲しい…」
アーネストは顔色を悪くしながら、2人を貴族牢へと案内した。
「彼に見覚えがあるだろう?」
「あ、こないだの曲者。やっぱりこっちの関係者だったか。」
兵に引きずり出されて来たのはディオニスの倉庫街でデイビッドを襲った妖獣の契約者だった。
デイビッドが契約妖獣と共に捕らえてから、どこの刺客かアーネストに調査諸々を押し付けるため、城に送り付けたのが到着していたらしい。
「で?コイツ、どこに雇われた刺客だった?」
「いや…刺客ではない。気を悪くしないで聞いて欲しい。彼は…君に付けられた王妃の“目”つまり、影なんだ…」
「はぁ?!」
自由の利かない王族は、それぞれに自身の代わりに見聞を広め、情報を集めて持ち帰る“影”というモノを持っている。
どこで誰が何をしていたか、どのような会話をしていたかなど、見たまま全てを主に報告する役目の者達だ。
主の目として耳として、そして手足として動き、自身は決して人々の記憶に残らないよう徹して振る舞う特殊な訓練を積んだ者が多い。
「貴族員で君の動向を探りながら、妖獣を使って怪しい動きをしていないかずっと見張っていたらしい。」
「へぇ…いい気はしねぇな。」
「当然だ!罪を犯したわけでもないのに、監視を付けるなんて、王族とは言え本来許されることではない!」
「俺なんか監視して、何か面白いことがあるか?」
確かに王家に対する隠し事は山の様にあるが、大抵はエリックが監視に来る妖精を追い払って黙らせてくれているし、部屋の中はルーチェの領域なので、他所者は入って来られない。
聞かれて困る会話は大っぴらにしてはいないはずだ。
「それが…母上は、君を王妃派に入れようとしていたらしい…」
「は?ほとんど関わりもねぇのに?」
「…君の母君はあのカトレア様だろう?あの方は王妃派で、結婚される前はかなり懇意にしていたそうなんだ…」
「“あの”が“どの”かは知らねぇよ。あの人が何してるのか正直なんもわからねぇし、興味もねぇからな。」
「カトレア様と言えば現代魔術の最先端の技術をお持ちの最高位魔術師として有名なんだ。」
「知らねー…」
「高位貴族の魔術教師もされていて、大勢の教え子を抱える才女で…」
「残念だが、俺には一切関係無い。魔法が凄いってのは何となく知ってたが、そんな話は初耳だな。」
「そんな…」
「そのくらい希薄な関係なんだよ。親子としては当に終わってる。今後の付き合いも、仕事上で親父の配偶者としか見る気はない。」
「そうか…ではあれは本当に母上の独断なのか…」
アーネストが話すには、王妃はかつて学園でカトレアと交流のあった先輩に当たる存在だったらしい。
同じ魔法学を修め、かなり懇意にしていた上に、婚約者同士も仲が良かった。
将来は家族揃って王家を支えてくれる大切な家臣となるだろうと、かなり期待していたそうだ。
しかし生まれた子供に難があり、世間でも問題視されていると聞き、当てが外れてしまった。
カトレアも王家に夫が出仕していることもあり、自身は自由に好きな仕事に専念してしまい、王家とはあまり関わりを持とうとはしなかった。
だんだん関係が薄れて来た頃、今度は息子のアーネストの元へデイビッドがやって来た。
母親が王妃と仲が良かった事は周知の事。きっと彼も自分に懐くだろうと思っていたが、そんなことは欠片もなく、アーネストの相手が済んだら直ぐに国からも飛び出してどこかへ行ってしまった。
そこから何年も帰らず、散々世話になった王家を蔑ろにしたデイビッドに腹を立てた王妃は、帰国の知らせと共に、その動向を“影”に探らせていたそうだ。
「うっせぇな!いいだろガワの完成度こんだけ高くしてんだから!」
「ぶぅぅ…」
ライラはトムティットに運ばれて不機嫌そうにしている。
ぐにゃぐにゃとした鏡の中の世界は、トムティットにしか道はわからず、出口を探すのは難しい。
一面に鏡がキラキラと窓の様に張り付いた空間に、時折人が映り、何かをしているのが見える。
ーどんな秘密も鏡の前では決して口にしてはならないー
古くから女の子達の間でそんな話が、真しめやかに囁かれているのも、トムティットの様な妖魔や悪魔が鏡の中から人の秘密を覗き見していたからかも知れない。
「はいよ、ただいまぁーっと!今日も元気に行ってきましたよぉ!?」
「まぁまぁー!」
てこてこ駆けて来るライラを捕まえて抱き上げると、手足をバタつかせて大喜びする。
「今日はライラの好きなトウモロコシのクリームスープだぞ。」
「ともこしー!」
「チキンサラダに芋もあるからな。」
「野菜が足んないわよ!!あと肉足して!なるべく赤身の!」
「幻聴かと思った…」
エリックもヴィオラも居ないなら、流石に来ないかと思ったシェルリアーナが、いつの間にかソファに座っている。
「姐さん、完全にここの住人になってんね。」
「婚約者がいてこれか…」
「習慣にしたのは誰よ!責任取んなさいよ!!」
正直、他人の婚約者と2人で過ごしていいものか悩みながら、トマトのマリネにバジルとフレッシュチーズを和えていると、シェルリアーナがライラの相手をし始めた。
「ライラちゃん、これは何かしら?」
「ぷーん」
「そうよ、スプーンね。さぁ持ってみて?」
「あぅー?」
「あら、ちゃんとしっかり握れるのね!でもそれでは食べにくいでしょう?向きはこう…持ち方はこう…上手よぉ!さぁ、お姉さんの真似ができるかしら?」
「あむあむ!」
「あら!とても良くできました。ライラちゃんは立派なレディになれるわね!?」
「んまー!」
(へぇ…意外としっかりしてんな…ライラが赤ん坊の頃に振り回されてた印象しかなかったのに…)
流石女性とでも言うのか、子供に対する母性本能は備わっているようで、慈しむようにあれこれ丁寧に優しく教えている。
相変わらず、所作のひとつひとつが美しく、洗練された動きで、しかしまぁよく食べる。
それを見て、ライラも負けじとスプーンをぎこちなく動かしながら、何でも好き嫌いせずパクパク口に入れている。
デイビッドが何も言わず2人の給仕に徹すると、シェルリアーナは、満足そうにデザートまで食べ終えて帰って行った。
2人の時にデイビッドに構わないのは、エリックに遠慮してのことだろうか。
なるほど、淑女の手本と言われるだけあるものだ。
(しっかし…相変わらず良く食うなぁ…)
シェルリアーナが居なくなり、ライラの寝支度を整えているとエリックが戻って来た。
「ただいまぁー!デイビッド様、嫌な話と悪い話とそうでもない話、どれから聞きます?」
「どれも聞きたくねぇよ!」
「じゃ悪い話から!デイビッド様の愛妾希望者が7名に増えたそうです。」
「あれ、まだ終わってねぇのか!?」
「それから、アーネスト殿下から明日にも直々に会いたいと連絡が来てました。はいコレ召喚状!」
「確かにそれは嫌だなぁ…」
「あと、ジェイムス様がグロッグマン商会の本部の裏手にある屋敷に到着したそうです。」
「どうでもいい!今更用なんてねぇよ!」
「奥様もご一緒なのですが…?」
「もう関係ねぇよ。親父のことはあの人に任せるし、あの人のことは親父にどうにかしてもらう。それだけだ。」
夕食を食べそびれたエリックが、チキンサラダのサンドイッチとスープを食べていると、ライラの寝床から何やらボソボソ話し声が聞こえてきた。
「その時…大きな岩の上から…」
(読み聞かせか…顔に似合わずマメだなぁ…)
「…人喰い鬼は…言いました…」
(本のチョイス!相変わらずどんなセンスしてんの?)
やがてライラが眠ると、デイビッドも本を閉じて洗い物を片付けシャツを脱いだ。
「肩の傷、だいぶ治りましたね。」
「ああ、抜糸の後のカサブタも取れた。もう古傷だよ。」
「んなワケないでしょが!」
「明日、昼前に城に行く。お前もついて来いよ。」
「はいはい、わかりましたから…お休みなさい。」
最近疲れなのか、デイビッドの眠りがいつもより早く、そして深い。
涼風の立つ頃、暑さから解放されて人の眠りが深くなるとは聞くが、今はまだ夏の盛りの中。
(疲れが溜まってるんじゃないのかなぁ…)
魔法が一切使えない分、何もかも手作業で時間がかかる上に、自前の仕事と育児にまで追われ、やはり体力も限界なのではないかと、少し不安に思うエリックだった。
「ぶぅぅ…」
「そんな嫌な顔すんなよ!仕方ねぇだろ、そういう係りなの、俺は!」
「ままぁ…」
「行って来いライラ。帰ったらおいしいもん作って待ってるから、な?」
「…あ~い。」
デイビッドに化けたトムティットの背中越しに、手を振るライラを見送ると、エリックに手伝わせながら城向きの服に着替え、頼んでおいた馬車に乗り込んだ。
「久しぶりですね。こうして2人で行動するのも!」
「なに楽しそうにしてんだよ。」
「いえ、なんと言うかここ最近は新メンバーばっかりお呼びが掛かって、古参の従者の存在をお忘れなのかと思いましてね。」
「たかが1年ちょいで古参振るなよ!その間自由にさせてやってんだろ?!」
「ただそこに居るだけでおもしろ…奇跡が起こるデイビッド様ですよ!?かぶりつきで見てたいじゃないですか。」
「見せモンじゃねーよ!!」
馬車は大門を通り過ぎ、正規の訪いとしての最低限の作法に従い、一家臣として大げさに振る舞うと、アーネストが迎えにやって来た。
「すまない…急に呼び出したりして…」
「国の王太子殿下が、一体なんの用だ?」
「少し…君に謝らなくてはならない事が起きたんだ…こちらへ来て欲しい…」
アーネストは顔色を悪くしながら、2人を貴族牢へと案内した。
「彼に見覚えがあるだろう?」
「あ、こないだの曲者。やっぱりこっちの関係者だったか。」
兵に引きずり出されて来たのはディオニスの倉庫街でデイビッドを襲った妖獣の契約者だった。
デイビッドが契約妖獣と共に捕らえてから、どこの刺客かアーネストに調査諸々を押し付けるため、城に送り付けたのが到着していたらしい。
「で?コイツ、どこに雇われた刺客だった?」
「いや…刺客ではない。気を悪くしないで聞いて欲しい。彼は…君に付けられた王妃の“目”つまり、影なんだ…」
「はぁ?!」
自由の利かない王族は、それぞれに自身の代わりに見聞を広め、情報を集めて持ち帰る“影”というモノを持っている。
どこで誰が何をしていたか、どのような会話をしていたかなど、見たまま全てを主に報告する役目の者達だ。
主の目として耳として、そして手足として動き、自身は決して人々の記憶に残らないよう徹して振る舞う特殊な訓練を積んだ者が多い。
「貴族員で君の動向を探りながら、妖獣を使って怪しい動きをしていないかずっと見張っていたらしい。」
「へぇ…いい気はしねぇな。」
「当然だ!罪を犯したわけでもないのに、監視を付けるなんて、王族とは言え本来許されることではない!」
「俺なんか監視して、何か面白いことがあるか?」
確かに王家に対する隠し事は山の様にあるが、大抵はエリックが監視に来る妖精を追い払って黙らせてくれているし、部屋の中はルーチェの領域なので、他所者は入って来られない。
聞かれて困る会話は大っぴらにしてはいないはずだ。
「それが…母上は、君を王妃派に入れようとしていたらしい…」
「は?ほとんど関わりもねぇのに?」
「…君の母君はあのカトレア様だろう?あの方は王妃派で、結婚される前はかなり懇意にしていたそうなんだ…」
「“あの”が“どの”かは知らねぇよ。あの人が何してるのか正直なんもわからねぇし、興味もねぇからな。」
「カトレア様と言えば現代魔術の最先端の技術をお持ちの最高位魔術師として有名なんだ。」
「知らねー…」
「高位貴族の魔術教師もされていて、大勢の教え子を抱える才女で…」
「残念だが、俺には一切関係無い。魔法が凄いってのは何となく知ってたが、そんな話は初耳だな。」
「そんな…」
「そのくらい希薄な関係なんだよ。親子としては当に終わってる。今後の付き合いも、仕事上で親父の配偶者としか見る気はない。」
「そうか…ではあれは本当に母上の独断なのか…」
アーネストが話すには、王妃はかつて学園でカトレアと交流のあった先輩に当たる存在だったらしい。
同じ魔法学を修め、かなり懇意にしていた上に、婚約者同士も仲が良かった。
将来は家族揃って王家を支えてくれる大切な家臣となるだろうと、かなり期待していたそうだ。
しかし生まれた子供に難があり、世間でも問題視されていると聞き、当てが外れてしまった。
カトレアも王家に夫が出仕していることもあり、自身は自由に好きな仕事に専念してしまい、王家とはあまり関わりを持とうとはしなかった。
だんだん関係が薄れて来た頃、今度は息子のアーネストの元へデイビッドがやって来た。
母親が王妃と仲が良かった事は周知の事。きっと彼も自分に懐くだろうと思っていたが、そんなことは欠片もなく、アーネストの相手が済んだら直ぐに国からも飛び出してどこかへ行ってしまった。
そこから何年も帰らず、散々世話になった王家を蔑ろにしたデイビッドに腹を立てた王妃は、帰国の知らせと共に、その動向を“影”に探らせていたそうだ。
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