437 / 512
黒豚令息の領地改革編
王族様大集合
「はぁ~い!今日一日限定アリスティア姫殿下付き特別魔導具師のリズでぇ~す!機械の調整バッチリ完了しました!」
デスクに並べられた薄い箱状の魔導具は3つ。
蓋を開け、シェルリアーナと魔石のセットを終えると、勿体ぶるように王族達へ一礼する。
「本日はこのような席を設けて頂き、誠にありがたく存じます。これより、アデラ王太子殿下よりご依頼の魔導具、お披露目させて頂ける栄誉を賜り、喜びに堪えません。」
「私共の研究の成果、どうぞご覧下さいませ!」
2人が魔導具のスイッチを入れると、パチパチッと魔石から魔力が流れる音がして、鏡の様な部分に何かが写った。
[あー!あー!お?聞こえるか?!おーーい!!スゴイぞ、本当に顔が見えた!シャーリィ、ほら君も見てみろ!本当にデイビッドの間抜け面が見える、あがっ!!]
[皆様ご機嫌よう、この度は私共の我儘をお聞き入れ下さり誠にありがとうございます。アデラはラムダ国との末永い友好と国交をお約束しますわ。]
真ん中の魔導具からは、豪華なアデラの王宮と、ふっとばされたサラムとシャーリーンが映し出された。
[ヴィオラァァーー!!私だ!見えるか!?やっとヴィオラの顔が見られた!今日も花も恥らう可愛らしさだな!?]
[あの、ちょ、レア!私が映らない!]
[あれからずっと心配しておったのだぞ?手紙も嬉しかったが、やはり声が聞きたかった!ああ、ここから触れられたらどんなに良いことか!]
[レア!どいてくれ!私にも挨拶を!]
[ああ、紹介しよう。この真面目が無骨の皮被った様なつまらん男が私の異母兄だ。王太子などとだいそれた事を言っているが気にするな。よし、もう下がっていいぞ?]
[傍若無人!!]
本の積み上がった部屋には、アザーレアと見覚えの無い男性が写し出される。
王太子と聞こえたのは幻聴だろうか。
[お初お目に掛かる。キリフ国のイェルハルドだ。この素晴らしい魔導具の開発者に心から礼を言う。]
[お久し振りですね、兄上。]
[シャーリーン…息災そうで何よりだ。]
[お、久方振りだなぁ義兄上!相変わらずお堅い奴め!ここは気楽にしろ!つまらんではないか!]
[確かに堅いな。サラム殿ほどとは言わんが、この場でくらい素で話して見せろ!つまらん!]
つまらんつまらんと連呼されたキリフの王太子は、真面目な話を切り出そうとして初っ端から挫かれ、黙り込んでしまった。
3面ある機械の画面に、それぞれの姿が映る。
エルム、アデラ、キリフ、そしてラムダ、4カ国の次代の代表が一同に顔を合わせる機会すら難しい中、自国に在りながら言葉を交わすなど、それこそ幻想の様な話だ。
[言いたい事は各々山程あるだろうが、ここは一先ず当初の目的を果たしておかなければな!]
[皆心の準備は良いか!?では頼むぞアリスティア!]
「はい!それでは、ここに4国の和平を約束し、次代の同盟国となる事を宣言致します!各国異論ございませんか?!」
「意義なーし!」
「無論だ!」
「うむ!これからもよろしく頼むぞ!?」
教会の騒動のせいで果たされなかった同盟宣言を、各国の王太子の前で堂々宣言し、ラムダ国の長年の野望も果たされた。
今代でなく次代の宣誓をしたのは、王太子達は現国王達のやり方から各々脱却するつもりであるからだそうだ。
3国の画面と兄から承認の拍手が送られ、アリスティアはやり切った顔で画面の前で1人の王女として礼を取った。
[アーネスト殿!!不躾ながら初めてお会いする!エルムの王太子ブルータス・トルメンタ・エルムと申す!訳あってラムダへの対応は妹を代理に立てていたが、これからは私も同盟国の代表として話し合いに参加しよう。よろしく頼む!]
「もちろんです!こちらこそ若輩者ではありますが、よろしくお願いします。アザーレア様にはいつもお世話になって…」
「いや…迷惑をかけていることは承知している…その、中々止められなくて…」
「私も妹には手を焼かされることもありますので、ご心配なく。それに、お仕事は早くて正確ですよ?」
[仕事の後直ぐに暴走してどっか行くだろ…?]
「視察をなさっているものと理解しております…」
[かたじけない…]
妹に振り回される者同士の友情も芽生えたようで何よりである。
[私も初めて顔を合わせたな、アーネスト殿。同じ王太子同士よしなに頼む。]
「こちらこそ!お初お目にかかります。イェルハルド殿の人望と細やかで柔軟な政策の数々はお聞きしております。是非私も見習わせて頂きたい。」
[その基礎を築き、既にキリフで民の人心を掴んだ男がそこに居るだろう?アーネスト殿は本当に素晴らしい参謀に恵まれたな。私はそのお零れに預かるだけさ…]
「そうなのかデイビッド!?」
「鉱夫や作業員が揉めないよう、なんだかんだ決まり事やら契約を作って仕事に当たらせただけだ。それから、俺を勝手に参謀扱いするな!本当なら国となんざ関わりたくねぇんだよ!」
チーズケーキとシフォンケーキを切り分るデイビッドが悪態を吐いたが、その場の誰もがもう手遅れな事を口には出さずにいた。
[この素晴らしい魔道具の開発者にはどんな褒美を遣わそうか!なぁ、シャーリィ?!]
[ええ、この恩に報いなければそれこそ王族の恥となりましょう!]
[その通りだ!エリザベス、シェルリアーナ、何が欲しい?言ってみろ!エルムを挙げて礼をしようぞ!]
[我がキリフも同じく、民の命を救う魔道具を遣わし給うた奇跡の魔道具師と魔術師のお2人に、最大の敬意と感謝を!]
[欲しい物があれば何でも言ってみろ!叶えてやるぞ!]
それを聞いてエリザベスとシェルリアーナは慌てふためいた。
「そそそそんな!私はこのような大役をお与え下さった殿下方に感謝はすれど、何か頂けるような事はしておりません!!」
「エリザベスの言う通りでございます!それに、正統な報酬ならば既に頂いております!」
[あんなものただの機械の代金だ。そうではない、この発明に対する礼がしたい!どうだ?金銭や物でなくても構わんぞ?!]
すると、姿勢を正して緊張する2人にデイビッドが耳打ちした。
(王族には王族の矜持ってモンがあるんだよ。固辞するのは逆に礼を欠く事になる。そうなると気不味いだろ?何か1つでもいいから欲しいもん貰っとけよ。)
(うぅ…そういう事なら…)
エリザベスはおずおず前へ出ると、渾身のカーテシーで頭を下げた。
「私共の作った魔道具をお褒め頂き誠にありがとう存じます。私は魔道具師です。今後も魔道具の開発改良に勤しんで参ります故に、今後採掘される魔石のごく個人的な輸入のご許可を賜りたく存じます。」
「私も同じく、魔術師として各国の魔性素材の入手の許可を頂きとう存じます。」
[欲がないな!デイビッド、お前が変な教育してるんじゃないか?]
「なんでだよ!」
[褒美となった瞬間消えるだろお前は!]
「成し遂げてもいない仕事の報酬は受け取らねぇ主義なだけだ!」
[途中経過分だっていいだろう!?]
「やなこった!そこはこっちの意地もあるんだよ!他人に任せた事業は代金以外は受け取らねぇ事にしてんだよ!」
その時、濃厚なチョコレートケーキを切り分け、大きな1切れをヴィオラに渡すデイビッドを、エルムの王太子ブルータスがじっと見つめていた。
「あぁ…チーズケーキ…しかも今日のはタルト!サクサクしっとり滑らかで飲むように食べられてしまう…」
「シフォンケーキも夢の様な軟らかさと口溶けですね!」
「緊張してお腹空いちゃったわ…私も少しだけならいいかしら?」
せっかく集まるのだからと、デイビッドに頼んでケーキの用意をさせた姫達は、各画面と談笑しながら手が止まらない。
「シャーリーン様とアザーレア様の元へは日持ちのする焼き菓子をお贈りさせて頂きましたが、いかがでしたか?」
「それが…お恥ずかしながら、昨日の内に食べてしまって…」
「私も気が付いたらなくなっていたな!デビィ次はもっと大量に送れ!」
「王族に個人が作ったモンなんざそう送れるかよ!毒見が泣くぞ!」
話をしながら、ヴィオラにタルトを差し出すその一瞬だけ、ふっと視線が柔らかくなる事にブルータスは気が付いた。
[そちらの…王族ではないもう一人のお嬢さんは…もしや…]
[おお!ようやく気が付いたか愚兄よ!彼女こそ私が愛してやまないヴィオラ令嬢だ!]
「ひゃいっ!エルムの気高き太陽の愛し子、ブルータス殿下にご挨拶を…」
[あーあー、そう畏まるなヴィオラ!ここに映っているのはただの私の愚兄だ。以前話しただろう?初恋拗らせ面倒クサ王子の話!]
[待てアザーレア!その話、まさか外でしたのか!?]
[ああ、気持ち悪い兄が居ると話のネタにさせてもらったぞ!?]
[ヤメてくれ!!私の印象最悪じゃないか!!]
[安心しろ、印象最悪な王太子も寛大に受け入れてくれる器の者達ばかりだぞ?]
[あれはほんの一時の気の迷いで…]
[気の迷いなら部屋に飾ってあるあの絵も捨てろ!気持ち悪い!]
[アザーレア!ちょっと口を閉じろ!]
そこに黙って話を聞いていたセルジオを加わった。
「兄上…流石に僕も、存在しない理想女性の絵画をいつまでも部屋に飾って置くのはどうかと思いますよ?」
[セルジオ!貴様も裏切る気か!?]
「裏切るも何も、疚しい事をお考えなのは兄上でしょう?」
[お!なんだ!?楽しそうだな!俺にも聞かせてくれ!]
[ヤメてくれ!!!]
段々と会話がカオスになっていく。
そんな中、キリフの画面だけは至って穏やかに会話が進んでいる。
[デイビッド殿、貴殿に送った魔石は気に入って頂けただろうか?]
「ああ、見たことも無い性質の魔石なんで、色々試してるとこなんだ。こっちの夏は暑いから、特に重宝させてもらったよ。」
[それは良かった。時に、先程名前を伺ったヴィオラ殿は貴殿の婚約者だとか?]
「ああ、まだ1年半経ったところだけどな。」
[そうか…シャーリーンの事は本当に済まなかった…貴殿の気持ちなど考えもせず、多大な迷惑をかけた。ヴィオラ殿、キリフはお2人の婚約を心より祝福する。彼の者なら間違いない、必ずや幸福な婚姻を迎えられると断言しよう。]
「ももももったいないお言葉ありがとうございます!!」
デスクに並べられた薄い箱状の魔導具は3つ。
蓋を開け、シェルリアーナと魔石のセットを終えると、勿体ぶるように王族達へ一礼する。
「本日はこのような席を設けて頂き、誠にありがたく存じます。これより、アデラ王太子殿下よりご依頼の魔導具、お披露目させて頂ける栄誉を賜り、喜びに堪えません。」
「私共の研究の成果、どうぞご覧下さいませ!」
2人が魔導具のスイッチを入れると、パチパチッと魔石から魔力が流れる音がして、鏡の様な部分に何かが写った。
[あー!あー!お?聞こえるか?!おーーい!!スゴイぞ、本当に顔が見えた!シャーリィ、ほら君も見てみろ!本当にデイビッドの間抜け面が見える、あがっ!!]
[皆様ご機嫌よう、この度は私共の我儘をお聞き入れ下さり誠にありがとうございます。アデラはラムダ国との末永い友好と国交をお約束しますわ。]
真ん中の魔導具からは、豪華なアデラの王宮と、ふっとばされたサラムとシャーリーンが映し出された。
[ヴィオラァァーー!!私だ!見えるか!?やっとヴィオラの顔が見られた!今日も花も恥らう可愛らしさだな!?]
[あの、ちょ、レア!私が映らない!]
[あれからずっと心配しておったのだぞ?手紙も嬉しかったが、やはり声が聞きたかった!ああ、ここから触れられたらどんなに良いことか!]
[レア!どいてくれ!私にも挨拶を!]
[ああ、紹介しよう。この真面目が無骨の皮被った様なつまらん男が私の異母兄だ。王太子などとだいそれた事を言っているが気にするな。よし、もう下がっていいぞ?]
[傍若無人!!]
本の積み上がった部屋には、アザーレアと見覚えの無い男性が写し出される。
王太子と聞こえたのは幻聴だろうか。
[お初お目に掛かる。キリフ国のイェルハルドだ。この素晴らしい魔導具の開発者に心から礼を言う。]
[お久し振りですね、兄上。]
[シャーリーン…息災そうで何よりだ。]
[お、久方振りだなぁ義兄上!相変わらずお堅い奴め!ここは気楽にしろ!つまらんではないか!]
[確かに堅いな。サラム殿ほどとは言わんが、この場でくらい素で話して見せろ!つまらん!]
つまらんつまらんと連呼されたキリフの王太子は、真面目な話を切り出そうとして初っ端から挫かれ、黙り込んでしまった。
3面ある機械の画面に、それぞれの姿が映る。
エルム、アデラ、キリフ、そしてラムダ、4カ国の次代の代表が一同に顔を合わせる機会すら難しい中、自国に在りながら言葉を交わすなど、それこそ幻想の様な話だ。
[言いたい事は各々山程あるだろうが、ここは一先ず当初の目的を果たしておかなければな!]
[皆心の準備は良いか!?では頼むぞアリスティア!]
「はい!それでは、ここに4国の和平を約束し、次代の同盟国となる事を宣言致します!各国異論ございませんか?!」
「意義なーし!」
「無論だ!」
「うむ!これからもよろしく頼むぞ!?」
教会の騒動のせいで果たされなかった同盟宣言を、各国の王太子の前で堂々宣言し、ラムダ国の長年の野望も果たされた。
今代でなく次代の宣誓をしたのは、王太子達は現国王達のやり方から各々脱却するつもりであるからだそうだ。
3国の画面と兄から承認の拍手が送られ、アリスティアはやり切った顔で画面の前で1人の王女として礼を取った。
[アーネスト殿!!不躾ながら初めてお会いする!エルムの王太子ブルータス・トルメンタ・エルムと申す!訳あってラムダへの対応は妹を代理に立てていたが、これからは私も同盟国の代表として話し合いに参加しよう。よろしく頼む!]
「もちろんです!こちらこそ若輩者ではありますが、よろしくお願いします。アザーレア様にはいつもお世話になって…」
「いや…迷惑をかけていることは承知している…その、中々止められなくて…」
「私も妹には手を焼かされることもありますので、ご心配なく。それに、お仕事は早くて正確ですよ?」
[仕事の後直ぐに暴走してどっか行くだろ…?]
「視察をなさっているものと理解しております…」
[かたじけない…]
妹に振り回される者同士の友情も芽生えたようで何よりである。
[私も初めて顔を合わせたな、アーネスト殿。同じ王太子同士よしなに頼む。]
「こちらこそ!お初お目にかかります。イェルハルド殿の人望と細やかで柔軟な政策の数々はお聞きしております。是非私も見習わせて頂きたい。」
[その基礎を築き、既にキリフで民の人心を掴んだ男がそこに居るだろう?アーネスト殿は本当に素晴らしい参謀に恵まれたな。私はそのお零れに預かるだけさ…]
「そうなのかデイビッド!?」
「鉱夫や作業員が揉めないよう、なんだかんだ決まり事やら契約を作って仕事に当たらせただけだ。それから、俺を勝手に参謀扱いするな!本当なら国となんざ関わりたくねぇんだよ!」
チーズケーキとシフォンケーキを切り分るデイビッドが悪態を吐いたが、その場の誰もがもう手遅れな事を口には出さずにいた。
[この素晴らしい魔道具の開発者にはどんな褒美を遣わそうか!なぁ、シャーリィ?!]
[ええ、この恩に報いなければそれこそ王族の恥となりましょう!]
[その通りだ!エリザベス、シェルリアーナ、何が欲しい?言ってみろ!エルムを挙げて礼をしようぞ!]
[我がキリフも同じく、民の命を救う魔道具を遣わし給うた奇跡の魔道具師と魔術師のお2人に、最大の敬意と感謝を!]
[欲しい物があれば何でも言ってみろ!叶えてやるぞ!]
それを聞いてエリザベスとシェルリアーナは慌てふためいた。
「そそそそんな!私はこのような大役をお与え下さった殿下方に感謝はすれど、何か頂けるような事はしておりません!!」
「エリザベスの言う通りでございます!それに、正統な報酬ならば既に頂いております!」
[あんなものただの機械の代金だ。そうではない、この発明に対する礼がしたい!どうだ?金銭や物でなくても構わんぞ?!]
すると、姿勢を正して緊張する2人にデイビッドが耳打ちした。
(王族には王族の矜持ってモンがあるんだよ。固辞するのは逆に礼を欠く事になる。そうなると気不味いだろ?何か1つでもいいから欲しいもん貰っとけよ。)
(うぅ…そういう事なら…)
エリザベスはおずおず前へ出ると、渾身のカーテシーで頭を下げた。
「私共の作った魔道具をお褒め頂き誠にありがとう存じます。私は魔道具師です。今後も魔道具の開発改良に勤しんで参ります故に、今後採掘される魔石のごく個人的な輸入のご許可を賜りたく存じます。」
「私も同じく、魔術師として各国の魔性素材の入手の許可を頂きとう存じます。」
[欲がないな!デイビッド、お前が変な教育してるんじゃないか?]
「なんでだよ!」
[褒美となった瞬間消えるだろお前は!]
「成し遂げてもいない仕事の報酬は受け取らねぇ主義なだけだ!」
[途中経過分だっていいだろう!?]
「やなこった!そこはこっちの意地もあるんだよ!他人に任せた事業は代金以外は受け取らねぇ事にしてんだよ!」
その時、濃厚なチョコレートケーキを切り分け、大きな1切れをヴィオラに渡すデイビッドを、エルムの王太子ブルータスがじっと見つめていた。
「あぁ…チーズケーキ…しかも今日のはタルト!サクサクしっとり滑らかで飲むように食べられてしまう…」
「シフォンケーキも夢の様な軟らかさと口溶けですね!」
「緊張してお腹空いちゃったわ…私も少しだけならいいかしら?」
せっかく集まるのだからと、デイビッドに頼んでケーキの用意をさせた姫達は、各画面と談笑しながら手が止まらない。
「シャーリーン様とアザーレア様の元へは日持ちのする焼き菓子をお贈りさせて頂きましたが、いかがでしたか?」
「それが…お恥ずかしながら、昨日の内に食べてしまって…」
「私も気が付いたらなくなっていたな!デビィ次はもっと大量に送れ!」
「王族に個人が作ったモンなんざそう送れるかよ!毒見が泣くぞ!」
話をしながら、ヴィオラにタルトを差し出すその一瞬だけ、ふっと視線が柔らかくなる事にブルータスは気が付いた。
[そちらの…王族ではないもう一人のお嬢さんは…もしや…]
[おお!ようやく気が付いたか愚兄よ!彼女こそ私が愛してやまないヴィオラ令嬢だ!]
「ひゃいっ!エルムの気高き太陽の愛し子、ブルータス殿下にご挨拶を…」
[あーあー、そう畏まるなヴィオラ!ここに映っているのはただの私の愚兄だ。以前話しただろう?初恋拗らせ面倒クサ王子の話!]
[待てアザーレア!その話、まさか外でしたのか!?]
[ああ、気持ち悪い兄が居ると話のネタにさせてもらったぞ!?]
[ヤメてくれ!!私の印象最悪じゃないか!!]
[安心しろ、印象最悪な王太子も寛大に受け入れてくれる器の者達ばかりだぞ?]
[あれはほんの一時の気の迷いで…]
[気の迷いなら部屋に飾ってあるあの絵も捨てろ!気持ち悪い!]
[アザーレア!ちょっと口を閉じろ!]
そこに黙って話を聞いていたセルジオを加わった。
「兄上…流石に僕も、存在しない理想女性の絵画をいつまでも部屋に飾って置くのはどうかと思いますよ?」
[セルジオ!貴様も裏切る気か!?]
「裏切るも何も、疚しい事をお考えなのは兄上でしょう?」
[お!なんだ!?楽しそうだな!俺にも聞かせてくれ!]
[ヤメてくれ!!!]
段々と会話がカオスになっていく。
そんな中、キリフの画面だけは至って穏やかに会話が進んでいる。
[デイビッド殿、貴殿に送った魔石は気に入って頂けただろうか?]
「ああ、見たことも無い性質の魔石なんで、色々試してるとこなんだ。こっちの夏は暑いから、特に重宝させてもらったよ。」
[それは良かった。時に、先程名前を伺ったヴィオラ殿は貴殿の婚約者だとか?]
「ああ、まだ1年半経ったところだけどな。」
[そうか…シャーリーンの事は本当に済まなかった…貴殿の気持ちなど考えもせず、多大な迷惑をかけた。ヴィオラ殿、キリフはお2人の婚約を心より祝福する。彼の者なら間違いない、必ずや幸福な婚姻を迎えられると断言しよう。]
「ももももったいないお言葉ありがとうございます!!」
あなたにおすすめの小説
【完結】魔女令嬢はただ静かに生きていたいだけ
⚪︎
恋愛
公爵家の令嬢として傲慢に育った十歳の少女、エマ・ルソーネは、ちょっとした事故により前世の記憶を思い出し、今世が乙女ゲームの世界であることに気付く。しかも自分は、魔女の血を引く最低最悪の悪役令嬢だった。
待っているのはオールデスエンド。回避すべく動くも、何故だが攻略対象たちとの接点は増えるばかりで、あれよあれよという間に物語の筋書き通り、魔法研究機関に入所することになってしまう。
ひたすら静かに過ごすことに努めるエマを、研究所に集った癖のある者たちの脅威が襲う。日々の苦悩に、エマの胃痛はとどまる所を知らない……
【完結】旦那様、どうぞ王女様とお幸せに!~転生妻は離婚してもふもふライフをエンジョイしようと思います~
魯恒凛
恋愛
地味で気弱なクラリスは夫とは結婚して二年経つのにいまだに触れられることもなく、会話もない。伯爵夫人とは思えないほど使用人たちにいびられ冷遇される日々。魔獣騎士として人気の高い夫と国民の妹として愛される王女の仲を引き裂いたとして、巷では悪女クラリスへの風当たりがきついのだ。
ある日前世の記憶が甦ったクラリスは悟る。若いクラリスにこんな状況はもったいない。白い結婚を理由に円満離婚をして、夫には王女と幸せになってもらおうと決意する。そして、離婚後は田舎でもふもふカフェを開こうと……!
そのためにこっそり仕事を始めたものの、ひょんなことから夫と友達に!?
「好きな相手とどうやったらうまくいくか教えてほしい」
初恋だった夫。胸が痛むけど、お互いの幸せのために王女との仲を応援することに。
でもなんだか様子がおかしくて……?
不器用で一途な夫と前世の記憶が甦ったサバサバ妻の、すれ違い両片思いのラブコメディ。
※5/19〜5/21 HOTランキング1位!たくさんの方にお読みいただきありがとうございます
※他サイトでも公開しています。
【無断転載・AI利用禁止 / No Unauthorized Use or AI Training】
本作品の無断転載・複製・AI学習利用を禁じます。
Unauthorized reproduction or use for AI training is strictly prohibited.
© 魯恒凛 / RoKourin
何もしなかっただけです
希臘楽園
ファンタジー
公爵令嬢であり王太子の婚約者であった私は、「地味だ」という理由で婚約を破棄され、王宮を去った。
それまで私が担っていた役目を、誰も知らないまま。
――ただ何もしなくなっただけで、すべては静かに崩れていく。
AIに書かせてみた第14弾は、「追放ざまぁ」系の短編。
どうぞお好きに
音無砂月
ファンタジー
公爵家に生まれたスカーレット・ミレイユ。
王命で第二王子であるセルフと婚約することになったけれど彼が商家の娘であるシャーベットを囲っているのはとても有名な話だった。そのせいか、なかなか婚約話が進まず、あまり野心のない公爵家にまで縁談話が来てしまった。
なんでも奪っていく妹に、婚約者まで奪われました
ねむ太朗
恋愛
伯爵令嬢のリリアーナは、小さい頃から、妹のエルーシアにネックレスや髪飾りなどのお気に入りの物を奪われてきた。
とうとう、婚約者のルシアンまでも妹に奪われてしまい……
誘拐された公爵令嬢ですが、なぜか皇帝に溺愛されています』
富士山麓
恋愛
舞踏会で王太子から婚約破棄を告げられそうになった瞬間――
目の前に現れたのは、馬に乗った仮面の皇帝だった。
そのまま攫われた公爵令嬢ビアンキーナは、誘拐されたはずなのに超VIP待遇。
一方、助けようともしなかった王太子は「無能」と嘲笑され、静かに失墜していく。
選ばれる側から、選ぶ側へ。
これは、誰も断罪せず、すべてを終わらせた令嬢の物語。
ある王国の王室の物語
朝山みどり
恋愛
平和が続くある王国の一室で婚約者破棄を宣言された少女がいた。カップを持ったまま下を向いて無言の彼女を国王夫妻、侯爵夫妻、王太子、異母妹がじっと見つめた。
顔をあげた彼女はカップを皿に置くと、レモンパイに手を伸ばすと皿に取った。
それから
「承知しました」とだけ言った。
ゆっくりレモンパイを食べるとお茶のおかわりを注ぐように侍女に合図をした。
それからバウンドケーキに手を伸ばした。
カクヨムで公開したものに手を入れたものです。