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黒豚特別非常勤講師
フェア・レディの精神
「ここの切り替えには必ず共布を挟みましょう。少し重くなりますが奥行きが出て、布が傷みにくく縫いやすくなります。ギャザーを寄せたら下にフリルを落とすように添わせて、全て縫い止めず遊びを持たせると躍動感が出ますよ。」
「先生!このネックラインにレースを重ねて足してもいいですか?」
「素敵なアイデアね!!エレガントさが増して、露出も減ってフォーマル感も出て…なのに動く度にレースの見える角度が変わって、強調していないのに胸元が華やかになるこのデザイン…ねぇ貴女お名前は…?」
「ア、アニスと申します!」
「そう…貴女のデザインとても素敵だわ!」
「こ…光栄です!」
服飾室では、この日、過去最高に熱い課外授業が行われた。
特別講師のフィズ子爵夫人は、実に楽しそうに講義を終え、迎えに来た秘蔵の甥っ子を盛大に抱きしめた。
「素晴らしい時間をありがとう!!久々の気晴らしになったわ!やっぱり若いエネルギーは良いわね!とても良い出会いもあったし…」
「喜んでもらえたなら…よかった…です…義叔母上…くるし…」
「あのドレス達は大々的に、貸し衣装として提携のお店に出すわ!もちろん、金を積まれて先客を蔑ろにするような店には二度と卸すもんですか!」
「生徒達にも大好評でした。お忙しい中本当にありがとうございます。」
「いいのよ!私は貴方から貰う情報でいつも助かっているもの。それこそ金貨を積んでも得難い話ばかりだわ。それも益々磨きがかかって…なのに相変わらず自分自身は全然磨く気がないのね。そんな薄汚れたままで女の子の前に出るなんて…」
「う………」
「せめてタイくらい付けなさいと言ってるでしょう?無いならいくらでも送るわよ?!」
「わかった、わかりましたから!でも…似合わない物を付けても、意味がないですし…」
「どんな人間にも、まるで体の一部のようにぴったりと寄り添う一品は必ずあるものですよ?!ところで、デイビッド!私ひとつ欲しいものができたのよ。今回の報酬に手に入れられないかしら?」
「手に入るモノならいいですが…?」
「レディ・アニスを私のアトリエに入れたいわ!」
「そうきたか…」
「もうすぐ夏休みでしょう?なんとか口説いて連れてこられないかしら?彼女のアイデアは斬新なのに安定感があってとても輝いていた…是非とも私の下で修行させたいの!!頼んだわよ!!」
「はー…い…」
弾むように帰って行く義叔母を見送り、なんだかどっと疲れたデイビッドだった。
それから淑女科の女生徒達と、服飾職人を目指す男子生徒数人によるドレス製作が始まった。
毎日のように服飾室へ通い、自分達の夢のドレスを完成へと近づけていく。
実はその間、何度もドレスに触ろうとしに来た部外者もいたが、ミス・アプリコットが店で使用している防犯装置と同じ物を置いていってくれたので、本番まで無事ドレスを守ることができた。
夏休み前ともなると、教員も生徒もそれは忙しない。
課題製作、帰省の支度、そしてテスト、テスト、テスト…
作る方も解く方もみんな必死だ。
夏休みは2ヶ月半もあり、領地に帰る者も大勢いる。
が、残って寮生活を続けなければならない者もいる。
「休み中はなるべく新聞に目を通す時間を作ってみてくれ!ゴシップ誌は論外だぞ!!地方紙でもちゃんと固い所の奴を選ぶ事!できたら自領の現状を把握してくるといい。一学期で得たものを活かすチャンスだ。二学期は領地経営に関わる書類制作が課題になるんだってな!自分の親兄弟が何してるかしっかり見て来いよー!」
デイビッドの授業も月曜日で終了。
領地経営科の生徒達は残念そうな顔をしていた。
デイビッドはデイビッドで、教員らしくテストの採点に追われ、毎日誰かしらの先生が作った答案用紙とにらめっこの日が続いた。
あまり来なかった教員室にも慣れ、落ち着けはしないものの、周りの教員方と他愛ない会話もするようになった。
興味のないものに無頓着なデイビッドの、これは確かな成長なのだろう。
そしていよいよ、明日は親善会。
生徒達の言うパーティーだ。
食べて、踊って、有志の出し物や、プロの演奏を聞く機会でもある。
前日は支度のためいったん帰宅する生徒が多い中、ドレス製作組は最後の仕上げに取り掛かっていた。
「サイズ良し!!」
「裾吊れてない?」
「コルセット見えてないかしら?」
「胸元が少しさみしくなっちゃった…」
「ビジュー余ってない?スパンコールは!?」
「刺繍が…間に合わなかった…」
明日はミス・アプリコットが、プロの髪結いと化粧師を派遣してくれるそうだ。
靴や小物やアクセサリーも、提携の貸衣装屋から運ばれて来て、少女達の目はキラキラし通しだ。
「男性衣装まであったのか!?」
「それは作ったんです。おかけで手がミシン蛸ですよー。」
「ここにも有望者か…」
生徒達は、時間ギリギリいっぱいまで奮闘し、明日に備えてぐっすりと眠った。
そしてついに、パーティー当日。
本番を迎えた生徒達は、緊張でガチガチの者がほとんどだ。
「そんな顔ではいけませんよ?!さぁ笑って!ドレスを着るなら極上の笑顔でなければ!」
「「「アプリコット先生!!!」」」
急遽やって来たフィズ子爵夫人に励まされ、次々とドレスに着替えさせられていく。
「できたら1枚ずつ写真を撮らせてちょうだい!貴女達は最高のモデルよ?!」
「は…恥ずかしいです…それに私は平民だし…」
「…アニスさん…それから他の皆さんも!顔を上げて、何があっても俯いてはいけません!背筋を伸ばして、自信を振りまいて歩くのよ?!自分こそ最高のフェア・レディと信じて!私のドレスはどんな困難も乗り越えて、前に進む女性を支える、言わば戦闘服よ?身分なんて気にしないで、最高に輝いていらっしゃい!さぁ、もっと笑って?!笑顔は何にも勝る武器でしてよ?!」
「「「はいっ!!」」」
大人の女性の激励を受け、アニス達はついにパーティー会場へと向かって行った。
入口では先生方が入場者のチェックをしている。
開場からだいぶ経っていたので、人はもう集まっていて、アニス達が入ると一斉に注目を浴びた。
少女達は、感嘆のため息と、羨望の眼差しと、少しの悪意に晒されて、会場の中でより一層輝いていた。
「ほぉ~…圧巻だな!」
「他に言うことはないのかい?」
「もう散々言ってきましたよ!!」
この日デイビッドはシモンズ先生と救護室係で、完全に裏手の待機組になっていた。
エリックは会場内で警備兼、生徒のトラブル解決に当たっている。
学園長の短い挨拶の後、楽団の音楽が流れ、会場は一気に賑やかになる。
楽しい“パーティー”の始まりだ。
「先生!このネックラインにレースを重ねて足してもいいですか?」
「素敵なアイデアね!!エレガントさが増して、露出も減ってフォーマル感も出て…なのに動く度にレースの見える角度が変わって、強調していないのに胸元が華やかになるこのデザイン…ねぇ貴女お名前は…?」
「ア、アニスと申します!」
「そう…貴女のデザインとても素敵だわ!」
「こ…光栄です!」
服飾室では、この日、過去最高に熱い課外授業が行われた。
特別講師のフィズ子爵夫人は、実に楽しそうに講義を終え、迎えに来た秘蔵の甥っ子を盛大に抱きしめた。
「素晴らしい時間をありがとう!!久々の気晴らしになったわ!やっぱり若いエネルギーは良いわね!とても良い出会いもあったし…」
「喜んでもらえたなら…よかった…です…義叔母上…くるし…」
「あのドレス達は大々的に、貸し衣装として提携のお店に出すわ!もちろん、金を積まれて先客を蔑ろにするような店には二度と卸すもんですか!」
「生徒達にも大好評でした。お忙しい中本当にありがとうございます。」
「いいのよ!私は貴方から貰う情報でいつも助かっているもの。それこそ金貨を積んでも得難い話ばかりだわ。それも益々磨きがかかって…なのに相変わらず自分自身は全然磨く気がないのね。そんな薄汚れたままで女の子の前に出るなんて…」
「う………」
「せめてタイくらい付けなさいと言ってるでしょう?無いならいくらでも送るわよ?!」
「わかった、わかりましたから!でも…似合わない物を付けても、意味がないですし…」
「どんな人間にも、まるで体の一部のようにぴったりと寄り添う一品は必ずあるものですよ?!ところで、デイビッド!私ひとつ欲しいものができたのよ。今回の報酬に手に入れられないかしら?」
「手に入るモノならいいですが…?」
「レディ・アニスを私のアトリエに入れたいわ!」
「そうきたか…」
「もうすぐ夏休みでしょう?なんとか口説いて連れてこられないかしら?彼女のアイデアは斬新なのに安定感があってとても輝いていた…是非とも私の下で修行させたいの!!頼んだわよ!!」
「はー…い…」
弾むように帰って行く義叔母を見送り、なんだかどっと疲れたデイビッドだった。
それから淑女科の女生徒達と、服飾職人を目指す男子生徒数人によるドレス製作が始まった。
毎日のように服飾室へ通い、自分達の夢のドレスを完成へと近づけていく。
実はその間、何度もドレスに触ろうとしに来た部外者もいたが、ミス・アプリコットが店で使用している防犯装置と同じ物を置いていってくれたので、本番まで無事ドレスを守ることができた。
夏休み前ともなると、教員も生徒もそれは忙しない。
課題製作、帰省の支度、そしてテスト、テスト、テスト…
作る方も解く方もみんな必死だ。
夏休みは2ヶ月半もあり、領地に帰る者も大勢いる。
が、残って寮生活を続けなければならない者もいる。
「休み中はなるべく新聞に目を通す時間を作ってみてくれ!ゴシップ誌は論外だぞ!!地方紙でもちゃんと固い所の奴を選ぶ事!できたら自領の現状を把握してくるといい。一学期で得たものを活かすチャンスだ。二学期は領地経営に関わる書類制作が課題になるんだってな!自分の親兄弟が何してるかしっかり見て来いよー!」
デイビッドの授業も月曜日で終了。
領地経営科の生徒達は残念そうな顔をしていた。
デイビッドはデイビッドで、教員らしくテストの採点に追われ、毎日誰かしらの先生が作った答案用紙とにらめっこの日が続いた。
あまり来なかった教員室にも慣れ、落ち着けはしないものの、周りの教員方と他愛ない会話もするようになった。
興味のないものに無頓着なデイビッドの、これは確かな成長なのだろう。
そしていよいよ、明日は親善会。
生徒達の言うパーティーだ。
食べて、踊って、有志の出し物や、プロの演奏を聞く機会でもある。
前日は支度のためいったん帰宅する生徒が多い中、ドレス製作組は最後の仕上げに取り掛かっていた。
「サイズ良し!!」
「裾吊れてない?」
「コルセット見えてないかしら?」
「胸元が少しさみしくなっちゃった…」
「ビジュー余ってない?スパンコールは!?」
「刺繍が…間に合わなかった…」
明日はミス・アプリコットが、プロの髪結いと化粧師を派遣してくれるそうだ。
靴や小物やアクセサリーも、提携の貸衣装屋から運ばれて来て、少女達の目はキラキラし通しだ。
「男性衣装まであったのか!?」
「それは作ったんです。おかけで手がミシン蛸ですよー。」
「ここにも有望者か…」
生徒達は、時間ギリギリいっぱいまで奮闘し、明日に備えてぐっすりと眠った。
そしてついに、パーティー当日。
本番を迎えた生徒達は、緊張でガチガチの者がほとんどだ。
「そんな顔ではいけませんよ?!さぁ笑って!ドレスを着るなら極上の笑顔でなければ!」
「「「アプリコット先生!!!」」」
急遽やって来たフィズ子爵夫人に励まされ、次々とドレスに着替えさせられていく。
「できたら1枚ずつ写真を撮らせてちょうだい!貴女達は最高のモデルよ?!」
「は…恥ずかしいです…それに私は平民だし…」
「…アニスさん…それから他の皆さんも!顔を上げて、何があっても俯いてはいけません!背筋を伸ばして、自信を振りまいて歩くのよ?!自分こそ最高のフェア・レディと信じて!私のドレスはどんな困難も乗り越えて、前に進む女性を支える、言わば戦闘服よ?身分なんて気にしないで、最高に輝いていらっしゃい!さぁ、もっと笑って?!笑顔は何にも勝る武器でしてよ?!」
「「「はいっ!!」」」
大人の女性の激励を受け、アニス達はついにパーティー会場へと向かって行った。
入口では先生方が入場者のチェックをしている。
開場からだいぶ経っていたので、人はもう集まっていて、アニス達が入ると一斉に注目を浴びた。
少女達は、感嘆のため息と、羨望の眼差しと、少しの悪意に晒されて、会場の中でより一層輝いていた。
「ほぉ~…圧巻だな!」
「他に言うことはないのかい?」
「もう散々言ってきましたよ!!」
この日デイビッドはシモンズ先生と救護室係で、完全に裏手の待機組になっていた。
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