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黒豚令息と訳あり令嬢の学園生活
ヴィオラの入学
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ヴィオラは、鏡の前で贈られてきた学園の制服を着て、くるくると回ってみた。
チャコールグレーにチェックのポイントが入った制服は可愛らしく、プリーツたっぷりのスカートも、清楚で少女らしさが良く出ている。
「ねぇディディ、似合うかしら?」
木彫りの子豚に話しかけると、横の侍女がにっこり笑う。
「もちろん、とても似合っておいでですよ?!」
そこへ子爵もやって来て、ヴィオラを抱きしめる。
「ああ…ヴィオラ!辛いことがあったらいつでも帰ってきなさい!私はどんな時もお前の味方だよ!」
「ありがとうお父様!でも、私は大丈夫。だってデイビッド様がついてて下さるんですもの!何があってもきっと守ってくれると約束したのよ!?何も怖くないわ!」
「ああ、ああそうだな…彼がいるなら安心だ。」
「お嬢様、そろそろ馬車のお時間です。」
「お父様、行ってきます!!私、たくさん勉強してお父様のお役にも立てるようになりますね!」
「体に気を付けてな!ヴィオラ、ヴィオラー!!」
いつまでも手を振る子爵に見送られ、ヴィオラはついに学園へ向かった。
馬車に揺られて1時間程経つと、大きな建物の中に入り、広い馬車止めに降りると、案内の事務員が出てきて、中へ通された。
その間に荷物を寮へ運んでおいてくれるそうだ。
学園長の部屋で、生徒証とバッヂを渡され、教科書とノートや筆記用具の入った鞄を貰った。
優しそうな学園長に安心し、今後の予定を聞かされて、学園の中を案内するかと言われたが、思わず大丈夫と断ってしまった。
「あ!いえ…申し訳ありません!学舎の中は自分で回りますので、大丈夫です…」
「はっはっはっ!なら、よろしいかな!?他に聞きたいことはあるかね?」
「あ…あの…えと…いえ…大丈夫です…」
「ミス・ヴィオラ、それでは寮へ行って書類を出して来るといい。部屋は決まっているそうだから、寮母さんに聞きなさい。それから…ここだけの話だがね?デイビッド殿の研究室は、東側の建物の一番端の部屋だよ…?」
「あ、あ、あ、ありがとうございます!!」
学園長は真っ赤になって部屋を出ていくヴィオラを微笑ましげに見送った。
「ええ?かわいい子ですね!」
「あれがデイビッド先生の婚約者ですか…」
「初々しい…あれは相当初心ですよ?!」
「青春とは、うらやましいですなぁ…」
教員室から覗いていた先生方も興味津々だ。
女子寮は南側の建物で、3つで一組のドアがズラリと並んでいた。
寮母に案内されたのは、2階の一番角にある3つのドアの真ん中だった。
「今後は3人一組で、当番なんかもしてもらうことになるからね。」
寮母はヴィオラの部屋の右隣のドアをノックした。
「はぁーい!」
中から背の高い、流れるような銀髪の美女が現れ、寮母に挨拶した。
「こんにちはミセス・エルマ!なんのご用かしら?」
「こんにちは、ミス・シェルリアーナ。こちら、今日からお隣になるミス・ヴィオラよ。1年生だから色々教えてやってちょうだい!?ミス・ヴィオラ、こちらは3年生のミス・シェルリアーナ。お隣同士仲良くしてね。」
「あら、そう。よろしくね!ミス・ヴィオ…ラ?」
「はい!ヴィオラと申します。よろしくお願いします!」
「それじゃ、これが部屋の鍵よ。食事は朝と夕方の6時から8時まで。詳しくは規約を見て、分からなければ先輩に聞くといいわ!」
そう言って寮母が下へ降りていくと、シェルリアーナはいきなりヴィオラの肩をつかんだ。
「あ…あ…貴女ヴィオラって…ヴィオラって??」
「あの…なんでしょう…?」
ヴィオラは、その時自分の薄暗い過去を思い出し、罵倒されるのではと身構えた。
シェルリアーナは辺りを見回し、誰もいないことを確認すると、小声でヴィオラに耳打ちする。
「貴女、デイビッドの婚約者のヴィオラさん!?そうでしょう?」
「え?!あ、あの!そう…です…けど…」
恥ずかしくなって顔を赤らめるヴィオラを見て、シェルリアーナは言葉を失った。
「ご…ごめんあそばせ!ちょっと…取り乱してしまいましたわ。改めて、私はシェルリアーナ。困ったことがあったらいつでも力になりますわ!どうぞよろしく!?」
「あ、ありがとうございます。先輩!」
頼れる先輩に安心したヴィオラは、にこにこと自分の部屋へ入り片付けを始めた。
一方残されたシェルリアーナは、しばらくその場から動けなかった
「残り10分……」
ペンの音だけが響く教室で、デイビッドは虚ろな目で生徒を見つめていた。
(今頃ヴィオラはもう着いたんだろうか…誰か案内してるのか?生徒だったらどうしよう、嫌な目に遭ってないか…心配だ…)
この部屋にいるのは、一学期の出席日数が足りず、進級するために出席数を増やしたい生徒達だ。
その中にはあの生徒会のテレンスもいる。
(あと3分……あと1分……あと30秒……)
「はい!終了ーーー!!紙裏返して、即刻教室出ろー!」
生徒がいなくなると、さっさと答案用紙を回収し、封筒に入れて糊付けして教員室へと持って行った。
「はい!出席数不足組のテスト終わりました!!では、失礼します!!」
バタバタと教員室を出ていくデイビッド。
それをまた後ろから見ている教員達。
「見ました?!あの嬉しそうな顔!!」
「幸せそうでしたねぇ…」
「はぁ~甘酸っぱいわぁ…」
デイビッドの観察は、この辺りから教員室のちょっとした楽しみになっていった。
小走りに廊下を進んでいると、前から更に全力で駆けて来るシェルリアーナが目に入った。
「おいおい、そのスピードはちょっと危ねぇぞ?」
「いたぁぁぁっ!!デイビッド・デュロック!ちょっとこっち来いっ!!」
「口わっっる!!どうした?!なんか変なモンでも食ったか?!」
「あああアンタ!!本当に婚約者なんていたの??」
「居ちゃ悪いか!!そこは事実だよ!?前に話したろ!?もう忘れたのかよ!」
「貴方の噂なんて6割はガセの癖に…本当だったなんて…どっかから拐ってきたんじゃないでしょうね?!正直におっしゃいっ!?」
「なんか前にもおんなじ事聞かれたなぁ?!おい!エリックといいシェルといい、お前等人をなんだと思ってんだ?!!」
「かわいかった……」
「は?もう会ったのか?!!」
「寮の隣室に来ましたの…更に奥隣は二学期からアリスティア様がお入りになる予定ですわ。今後はこの3人で寮生活を送る事になりますの……」
「ヴィオラは?!」
「落ち着きなさい!今頃部屋で荷物でも開いてますわ。あんなにかわいい子が、貴方の婚約者だなんて…信じられませんでしたわ…貴方…あのかわいい私の後輩を泣かしでもしたら丸焼きにしますわよ…?!」
「早くも先輩面!?しないって!!させたくねぇの!俺が!!」
「………後で研究室に案内しますわ。せいぜい楽しみにしてなさいませ。」
シェルリアーナはそれだけ言い捨てると、複雑な表情で廊下を戻って行った。
チャコールグレーにチェックのポイントが入った制服は可愛らしく、プリーツたっぷりのスカートも、清楚で少女らしさが良く出ている。
「ねぇディディ、似合うかしら?」
木彫りの子豚に話しかけると、横の侍女がにっこり笑う。
「もちろん、とても似合っておいでですよ?!」
そこへ子爵もやって来て、ヴィオラを抱きしめる。
「ああ…ヴィオラ!辛いことがあったらいつでも帰ってきなさい!私はどんな時もお前の味方だよ!」
「ありがとうお父様!でも、私は大丈夫。だってデイビッド様がついてて下さるんですもの!何があってもきっと守ってくれると約束したのよ!?何も怖くないわ!」
「ああ、ああそうだな…彼がいるなら安心だ。」
「お嬢様、そろそろ馬車のお時間です。」
「お父様、行ってきます!!私、たくさん勉強してお父様のお役にも立てるようになりますね!」
「体に気を付けてな!ヴィオラ、ヴィオラー!!」
いつまでも手を振る子爵に見送られ、ヴィオラはついに学園へ向かった。
馬車に揺られて1時間程経つと、大きな建物の中に入り、広い馬車止めに降りると、案内の事務員が出てきて、中へ通された。
その間に荷物を寮へ運んでおいてくれるそうだ。
学園長の部屋で、生徒証とバッヂを渡され、教科書とノートや筆記用具の入った鞄を貰った。
優しそうな学園長に安心し、今後の予定を聞かされて、学園の中を案内するかと言われたが、思わず大丈夫と断ってしまった。
「あ!いえ…申し訳ありません!学舎の中は自分で回りますので、大丈夫です…」
「はっはっはっ!なら、よろしいかな!?他に聞きたいことはあるかね?」
「あ…あの…えと…いえ…大丈夫です…」
「ミス・ヴィオラ、それでは寮へ行って書類を出して来るといい。部屋は決まっているそうだから、寮母さんに聞きなさい。それから…ここだけの話だがね?デイビッド殿の研究室は、東側の建物の一番端の部屋だよ…?」
「あ、あ、あ、ありがとうございます!!」
学園長は真っ赤になって部屋を出ていくヴィオラを微笑ましげに見送った。
「ええ?かわいい子ですね!」
「あれがデイビッド先生の婚約者ですか…」
「初々しい…あれは相当初心ですよ?!」
「青春とは、うらやましいですなぁ…」
教員室から覗いていた先生方も興味津々だ。
女子寮は南側の建物で、3つで一組のドアがズラリと並んでいた。
寮母に案内されたのは、2階の一番角にある3つのドアの真ん中だった。
「今後は3人一組で、当番なんかもしてもらうことになるからね。」
寮母はヴィオラの部屋の右隣のドアをノックした。
「はぁーい!」
中から背の高い、流れるような銀髪の美女が現れ、寮母に挨拶した。
「こんにちはミセス・エルマ!なんのご用かしら?」
「こんにちは、ミス・シェルリアーナ。こちら、今日からお隣になるミス・ヴィオラよ。1年生だから色々教えてやってちょうだい!?ミス・ヴィオラ、こちらは3年生のミス・シェルリアーナ。お隣同士仲良くしてね。」
「あら、そう。よろしくね!ミス・ヴィオ…ラ?」
「はい!ヴィオラと申します。よろしくお願いします!」
「それじゃ、これが部屋の鍵よ。食事は朝と夕方の6時から8時まで。詳しくは規約を見て、分からなければ先輩に聞くといいわ!」
そう言って寮母が下へ降りていくと、シェルリアーナはいきなりヴィオラの肩をつかんだ。
「あ…あ…貴女ヴィオラって…ヴィオラって??」
「あの…なんでしょう…?」
ヴィオラは、その時自分の薄暗い過去を思い出し、罵倒されるのではと身構えた。
シェルリアーナは辺りを見回し、誰もいないことを確認すると、小声でヴィオラに耳打ちする。
「貴女、デイビッドの婚約者のヴィオラさん!?そうでしょう?」
「え?!あ、あの!そう…です…けど…」
恥ずかしくなって顔を赤らめるヴィオラを見て、シェルリアーナは言葉を失った。
「ご…ごめんあそばせ!ちょっと…取り乱してしまいましたわ。改めて、私はシェルリアーナ。困ったことがあったらいつでも力になりますわ!どうぞよろしく!?」
「あ、ありがとうございます。先輩!」
頼れる先輩に安心したヴィオラは、にこにこと自分の部屋へ入り片付けを始めた。
一方残されたシェルリアーナは、しばらくその場から動けなかった
「残り10分……」
ペンの音だけが響く教室で、デイビッドは虚ろな目で生徒を見つめていた。
(今頃ヴィオラはもう着いたんだろうか…誰か案内してるのか?生徒だったらどうしよう、嫌な目に遭ってないか…心配だ…)
この部屋にいるのは、一学期の出席日数が足りず、進級するために出席数を増やしたい生徒達だ。
その中にはあの生徒会のテレンスもいる。
(あと3分……あと1分……あと30秒……)
「はい!終了ーーー!!紙裏返して、即刻教室出ろー!」
生徒がいなくなると、さっさと答案用紙を回収し、封筒に入れて糊付けして教員室へと持って行った。
「はい!出席数不足組のテスト終わりました!!では、失礼します!!」
バタバタと教員室を出ていくデイビッド。
それをまた後ろから見ている教員達。
「見ました?!あの嬉しそうな顔!!」
「幸せそうでしたねぇ…」
「はぁ~甘酸っぱいわぁ…」
デイビッドの観察は、この辺りから教員室のちょっとした楽しみになっていった。
小走りに廊下を進んでいると、前から更に全力で駆けて来るシェルリアーナが目に入った。
「おいおい、そのスピードはちょっと危ねぇぞ?」
「いたぁぁぁっ!!デイビッド・デュロック!ちょっとこっち来いっ!!」
「口わっっる!!どうした?!なんか変なモンでも食ったか?!」
「あああアンタ!!本当に婚約者なんていたの??」
「居ちゃ悪いか!!そこは事実だよ!?前に話したろ!?もう忘れたのかよ!」
「貴方の噂なんて6割はガセの癖に…本当だったなんて…どっかから拐ってきたんじゃないでしょうね?!正直におっしゃいっ!?」
「なんか前にもおんなじ事聞かれたなぁ?!おい!エリックといいシェルといい、お前等人をなんだと思ってんだ?!!」
「かわいかった……」
「は?もう会ったのか?!!」
「寮の隣室に来ましたの…更に奥隣は二学期からアリスティア様がお入りになる予定ですわ。今後はこの3人で寮生活を送る事になりますの……」
「ヴィオラは?!」
「落ち着きなさい!今頃部屋で荷物でも開いてますわ。あんなにかわいい子が、貴方の婚約者だなんて…信じられませんでしたわ…貴方…あのかわいい私の後輩を泣かしでもしたら丸焼きにしますわよ…?!」
「早くも先輩面!?しないって!!させたくねぇの!俺が!!」
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