85 / 512
黒豚令息と訳あり令嬢の学園生活
ガールズトーク
夏休み明けて、最初のテスト期間。
ヴィオラはまだ短い学園生活の中で、早くも友人ができた。
今日から午後の空いた食堂に集まって、テストに向けて勉強会をする。
「えー!ヴィオラすごい!頭良いんだね!!」
「ううん、家庭教室の先生がすごかったのと、夏休み中講習受けてたから…」
「努力の賜物系才女か…これは手強いわね!」
「でもさぁ、今回の夜会巻きメガネの出題範囲、完全に高位貴族向けじゃん?やる意味ないよ私達…」
「数学の範囲は一学期の内容からって、広すぎよ!」
領地経営科のチェルシー。
商業科のローラとミランダ。
淑女科のアニスとソフィア。
そしてヴィオラ。
テーブルにノートと教科書を並べてやる気は満々!
ペンと紙の擦れる音だけが静かに聞こえてくる…
カリカリカリカリ…シャッ…ペラ…カリカリカリ…
「ところでさぁ。次の授業、デイビッド先生のコマ、自習になったの、なんでか知ってる?」
「え?自己都合としか聞いてないよ。」
「昨日資料運んでたら、腕に包帯巻いて歩いてんの見たのよ。」
「マジ?例のヒポグリフにでも噛まれたのかな?」
「え…心配…だね…」
「元気そうだったし大丈夫じゃない?」
「…アタシさぁ、昔飼ってた豚にデイビッドって名前つけてたから、もう名前聞くだけで豚の顔しか出て来ないんだよね。」
「本人見ても豚しか出て来ないんだから同じじゃない?」
「こないだ髪型変えたよね。」
「そこは切らないんだ?!って思った。」
「男子にからかわれてたよね。項がセクシーとか言われて。」
「めちゃキレてたよね。アタシ、その時のモノマネできるよ?!確かこうやって…『ほ~ぅ面白い冗談だ!豚に項があるたぁ初耳だなぁ?黙って話聞けアホが!!』どう?」
「似てる!!」
「ウケる!!」
「アハハハ!もう!笑わせないでよチェルシー!」
「いっつも眉間にしわ寄せててさぁ!なんであんな枯れたオッサンみたいな顔して授業するのかしらね?!あれでカイン様と同い年とか、信じられる??」
「え?本当に18なの?!嘘かと思ってた!」
「あの顔でエリック先生より年下なんだよ?!もう訳わかんないよね!?」
「あ。ねぇ、この問3の公式教えて!」
カリカリカリカリ…カリカリカリカリ…
「そういえば、ローラが前言ってた、小説の新人賞の応募ってもうしたの?」
「もちろん!一次選考、通過したよ!?」
「え?すごいね!おめでとう!」
「さすが作家志望!」
「上位5作に入ったらまとめて製本してもらえるのよ!もうすごい楽しみなの~!」
「三次選考まであるんでしょ?」
「でも手応えあったよ!」
「この子ね、エリック先生をモデルに小説書いてるのよ。」
「ちょっとミラ!いいじゃないカッコイイんだから!」
「どんなお話なの…?」
「んーとね、ドラゴンの呪いを受けて竜人になった孤高の剣士と、その従者になった主人公の禁断のラブロマンス。私達下宿先が同室だから毎晩読まされてたのよ。」
「まさかのそっち?!」
「別にいいでしょ?!テーマが「今までになかったラブロマンス」だったんだもの!」
「そこそこ読めたし、面白かったわよ?ただ、剣士のやり取りに、ちょいちょいデイビッド先生っぽさ出すのはどうかと思ったわ…」
「うわぁ…」
「仕方ないでしょ?!あの2人いつもセットでいるんだから!イメージしやすかったの!!」
「もうドラゴンじゃなくて豚の呪いでいいんじゃない?」
「もうっ!やめてよぉ!!」
「ねぇ誰かぁ、帝国語の文法教えてぇ~!」
カリカリカリカリ…シャッ…カリカリカリカリ…
「呪いって言えばさぁ…デイビッド先生の研究室に行くと呪われるってホント?」
「あ!それ!!実は私、一度呪われた事があるの…」
「ステラが?何があったの?」
「夏休み前にうっかり研究室訪ねたら、焼きたてのデニッシュくれてさ…もうそこからデニッシュの事しか考えらんなくなって、しばらくどこ行ってもデニッシュ食べてた…でもあの日食べたデニッシュには出会えなくて!!気づいたら前ボタンひとつずらすことになってた!」
「私はお姉ちゃんが3年にいるんだけど、2人でわかんないとこ聞きに行ったらプリン出されてさ…それからお姉ちゃん…毎日プリン買いに行ってて…そしたらスカートやばくなったって…」
「なにそれ…怖い。そうやって仲間増やそうとしてんのかな…」
「あ、政治のプリント持ってる人いない?見せてー。」
カリカリカリカリカリカリカリカリ…
「話変わるけど、最近テレンス先輩見かけなくない?あの長い睫毛、目の保養にしてたのに。」
「ちょっとローラ!知らないの?アイツ、夏休み中にヴィオラの恋人名乗ろうとして消されたんだって!」
「なにそれ!消されたって誰に?」
「知らないけど、ヴィオラも迷惑してたでしょ?変な噂流されそうになったりしてさ、大丈夫だった?」
「あ、うん…近くに来ないならそれでいいかな…って」
「甘いわねぇ!次顔見たら蹴飛ばしてやんなさいよ!!」
「ふふ…同じこと言われたわ。」
「誰に?」
「淑女科の先輩。すごく心配してくれたの。」
「テレンス先輩なんだけど…夏休み半ばくらいに、血相変えて馬車で帰るとこ見ちゃったのよねアタシ。丁度親がうるさいから寮に帰ってきたとこで。馬車から降りたら、大慌てで何かから逃げるみたいに先輩が走って来てさ「急げ、早くしないとアイツに捕まる」って言いながら帰ってったのよ。」
「怖ーい!それもうホラーじゃない!」
「天罰よ。女の子ホイホイ引っ掛けてプレイボーイ気取ってるから!」
「この歴史の文章問題って答えなんだっけ?!」
カリカリカリカリ…ペラ…カリカリカリ
「…ねぇ、ヴィオラ…私、貴女にひとつ聞きたいことがあるんだけど、いいかな…」
「どうしたの?アニス。深刻な顔して…」
「あのさ……ヴィオラの婚約者がデイビッド先生って…本当…?」
「「「えええええっ???」」」
「え…えへへ…まだあんまり公言はできないんだけど…ほ…ホントだよ…」
「ウソ…」
「そんなことある??」
「ごめん…アタシ、結構酷い事言っちゃった…」
「ううん、いつも自分で言ってるし、気にしないと思う。」
「…そう言えば…ヴィオラ、夏休み中にオシャレしてたでしょ?あの時、何色の服にも必ず黒のポイントが入ってたじゃない?きっと黒髪か黒い瞳の素敵な人が婚約者なんだろうなって、ずっと思ってたのよ…確かに色々黒いわ!!」
「よく見てるね。」
「じゃ、じゃあその指輪、もしかして!!?」
「う…うん…婚約指輪…えへへ…」
「うっわ!!待って待って!頭がキャパオーバー!!」
「すごいキレイ…見た事ない宝石ね…コレ店なんかじゃ絶対売ってないヤツ!!」
「想像つかない…どうやって選んだんだろ…」
「でも…なんだろう…すごく大事にされてる感は伝わるわ…」
「「「それよ!!」」」
「あ、ありがとう…」
「さ!気持ち切り替えて勉強するわよ!!」
カリカリカリカリカリカリカリ…
「ねぇねぇところでさぁ……」
ーーーーーーー
女子達の後ろでは、男子達も勉強していた。
「女の子たち、デイビッド先生の話しテた?なんて言ってたか聞き取れなかったンだけど。クレイグ君わかった?」
「ノール…世の中知らない方が良いこともあるんだよ…」
明日はテスト。
学生達に幸あれ。
ヴィオラはまだ短い学園生活の中で、早くも友人ができた。
今日から午後の空いた食堂に集まって、テストに向けて勉強会をする。
「えー!ヴィオラすごい!頭良いんだね!!」
「ううん、家庭教室の先生がすごかったのと、夏休み中講習受けてたから…」
「努力の賜物系才女か…これは手強いわね!」
「でもさぁ、今回の夜会巻きメガネの出題範囲、完全に高位貴族向けじゃん?やる意味ないよ私達…」
「数学の範囲は一学期の内容からって、広すぎよ!」
領地経営科のチェルシー。
商業科のローラとミランダ。
淑女科のアニスとソフィア。
そしてヴィオラ。
テーブルにノートと教科書を並べてやる気は満々!
ペンと紙の擦れる音だけが静かに聞こえてくる…
カリカリカリカリ…シャッ…ペラ…カリカリカリ…
「ところでさぁ。次の授業、デイビッド先生のコマ、自習になったの、なんでか知ってる?」
「え?自己都合としか聞いてないよ。」
「昨日資料運んでたら、腕に包帯巻いて歩いてんの見たのよ。」
「マジ?例のヒポグリフにでも噛まれたのかな?」
「え…心配…だね…」
「元気そうだったし大丈夫じゃない?」
「…アタシさぁ、昔飼ってた豚にデイビッドって名前つけてたから、もう名前聞くだけで豚の顔しか出て来ないんだよね。」
「本人見ても豚しか出て来ないんだから同じじゃない?」
「こないだ髪型変えたよね。」
「そこは切らないんだ?!って思った。」
「男子にからかわれてたよね。項がセクシーとか言われて。」
「めちゃキレてたよね。アタシ、その時のモノマネできるよ?!確かこうやって…『ほ~ぅ面白い冗談だ!豚に項があるたぁ初耳だなぁ?黙って話聞けアホが!!』どう?」
「似てる!!」
「ウケる!!」
「アハハハ!もう!笑わせないでよチェルシー!」
「いっつも眉間にしわ寄せててさぁ!なんであんな枯れたオッサンみたいな顔して授業するのかしらね?!あれでカイン様と同い年とか、信じられる??」
「え?本当に18なの?!嘘かと思ってた!」
「あの顔でエリック先生より年下なんだよ?!もう訳わかんないよね!?」
「あ。ねぇ、この問3の公式教えて!」
カリカリカリカリ…カリカリカリカリ…
「そういえば、ローラが前言ってた、小説の新人賞の応募ってもうしたの?」
「もちろん!一次選考、通過したよ!?」
「え?すごいね!おめでとう!」
「さすが作家志望!」
「上位5作に入ったらまとめて製本してもらえるのよ!もうすごい楽しみなの~!」
「三次選考まであるんでしょ?」
「でも手応えあったよ!」
「この子ね、エリック先生をモデルに小説書いてるのよ。」
「ちょっとミラ!いいじゃないカッコイイんだから!」
「どんなお話なの…?」
「んーとね、ドラゴンの呪いを受けて竜人になった孤高の剣士と、その従者になった主人公の禁断のラブロマンス。私達下宿先が同室だから毎晩読まされてたのよ。」
「まさかのそっち?!」
「別にいいでしょ?!テーマが「今までになかったラブロマンス」だったんだもの!」
「そこそこ読めたし、面白かったわよ?ただ、剣士のやり取りに、ちょいちょいデイビッド先生っぽさ出すのはどうかと思ったわ…」
「うわぁ…」
「仕方ないでしょ?!あの2人いつもセットでいるんだから!イメージしやすかったの!!」
「もうドラゴンじゃなくて豚の呪いでいいんじゃない?」
「もうっ!やめてよぉ!!」
「ねぇ誰かぁ、帝国語の文法教えてぇ~!」
カリカリカリカリ…シャッ…カリカリカリカリ…
「呪いって言えばさぁ…デイビッド先生の研究室に行くと呪われるってホント?」
「あ!それ!!実は私、一度呪われた事があるの…」
「ステラが?何があったの?」
「夏休み前にうっかり研究室訪ねたら、焼きたてのデニッシュくれてさ…もうそこからデニッシュの事しか考えらんなくなって、しばらくどこ行ってもデニッシュ食べてた…でもあの日食べたデニッシュには出会えなくて!!気づいたら前ボタンひとつずらすことになってた!」
「私はお姉ちゃんが3年にいるんだけど、2人でわかんないとこ聞きに行ったらプリン出されてさ…それからお姉ちゃん…毎日プリン買いに行ってて…そしたらスカートやばくなったって…」
「なにそれ…怖い。そうやって仲間増やそうとしてんのかな…」
「あ、政治のプリント持ってる人いない?見せてー。」
カリカリカリカリカリカリカリカリ…
「話変わるけど、最近テレンス先輩見かけなくない?あの長い睫毛、目の保養にしてたのに。」
「ちょっとローラ!知らないの?アイツ、夏休み中にヴィオラの恋人名乗ろうとして消されたんだって!」
「なにそれ!消されたって誰に?」
「知らないけど、ヴィオラも迷惑してたでしょ?変な噂流されそうになったりしてさ、大丈夫だった?」
「あ、うん…近くに来ないならそれでいいかな…って」
「甘いわねぇ!次顔見たら蹴飛ばしてやんなさいよ!!」
「ふふ…同じこと言われたわ。」
「誰に?」
「淑女科の先輩。すごく心配してくれたの。」
「テレンス先輩なんだけど…夏休み半ばくらいに、血相変えて馬車で帰るとこ見ちゃったのよねアタシ。丁度親がうるさいから寮に帰ってきたとこで。馬車から降りたら、大慌てで何かから逃げるみたいに先輩が走って来てさ「急げ、早くしないとアイツに捕まる」って言いながら帰ってったのよ。」
「怖ーい!それもうホラーじゃない!」
「天罰よ。女の子ホイホイ引っ掛けてプレイボーイ気取ってるから!」
「この歴史の文章問題って答えなんだっけ?!」
カリカリカリカリ…ペラ…カリカリカリ
「…ねぇ、ヴィオラ…私、貴女にひとつ聞きたいことがあるんだけど、いいかな…」
「どうしたの?アニス。深刻な顔して…」
「あのさ……ヴィオラの婚約者がデイビッド先生って…本当…?」
「「「えええええっ???」」」
「え…えへへ…まだあんまり公言はできないんだけど…ほ…ホントだよ…」
「ウソ…」
「そんなことある??」
「ごめん…アタシ、結構酷い事言っちゃった…」
「ううん、いつも自分で言ってるし、気にしないと思う。」
「…そう言えば…ヴィオラ、夏休み中にオシャレしてたでしょ?あの時、何色の服にも必ず黒のポイントが入ってたじゃない?きっと黒髪か黒い瞳の素敵な人が婚約者なんだろうなって、ずっと思ってたのよ…確かに色々黒いわ!!」
「よく見てるね。」
「じゃ、じゃあその指輪、もしかして!!?」
「う…うん…婚約指輪…えへへ…」
「うっわ!!待って待って!頭がキャパオーバー!!」
「すごいキレイ…見た事ない宝石ね…コレ店なんかじゃ絶対売ってないヤツ!!」
「想像つかない…どうやって選んだんだろ…」
「でも…なんだろう…すごく大事にされてる感は伝わるわ…」
「「「それよ!!」」」
「あ、ありがとう…」
「さ!気持ち切り替えて勉強するわよ!!」
カリカリカリカリカリカリカリ…
「ねぇねぇところでさぁ……」
ーーーーーーー
女子達の後ろでは、男子達も勉強していた。
「女の子たち、デイビッド先生の話しテた?なんて言ってたか聞き取れなかったンだけど。クレイグ君わかった?」
「ノール…世の中知らない方が良いこともあるんだよ…」
明日はテスト。
学生達に幸あれ。
あなたにおすすめの小説
【完結】魔女令嬢はただ静かに生きていたいだけ
⚪︎
恋愛
公爵家の令嬢として傲慢に育った十歳の少女、エマ・ルソーネは、ちょっとした事故により前世の記憶を思い出し、今世が乙女ゲームの世界であることに気付く。しかも自分は、魔女の血を引く最低最悪の悪役令嬢だった。
待っているのはオールデスエンド。回避すべく動くも、何故だが攻略対象たちとの接点は増えるばかりで、あれよあれよという間に物語の筋書き通り、魔法研究機関に入所することになってしまう。
ひたすら静かに過ごすことに努めるエマを、研究所に集った癖のある者たちの脅威が襲う。日々の苦悩に、エマの胃痛はとどまる所を知らない……
【完結】旦那様、どうぞ王女様とお幸せに!~転生妻は離婚してもふもふライフをエンジョイしようと思います~
魯恒凛
恋愛
地味で気弱なクラリスは夫とは結婚して二年経つのにいまだに触れられることもなく、会話もない。伯爵夫人とは思えないほど使用人たちにいびられ冷遇される日々。魔獣騎士として人気の高い夫と国民の妹として愛される王女の仲を引き裂いたとして、巷では悪女クラリスへの風当たりがきついのだ。
ある日前世の記憶が甦ったクラリスは悟る。若いクラリスにこんな状況はもったいない。白い結婚を理由に円満離婚をして、夫には王女と幸せになってもらおうと決意する。そして、離婚後は田舎でもふもふカフェを開こうと……!
そのためにこっそり仕事を始めたものの、ひょんなことから夫と友達に!?
「好きな相手とどうやったらうまくいくか教えてほしい」
初恋だった夫。胸が痛むけど、お互いの幸せのために王女との仲を応援することに。
でもなんだか様子がおかしくて……?
不器用で一途な夫と前世の記憶が甦ったサバサバ妻の、すれ違い両片思いのラブコメディ。
※5/19〜5/21 HOTランキング1位!たくさんの方にお読みいただきありがとうございます
※他サイトでも公開しています。
【無断転載・AI利用禁止 / No Unauthorized Use or AI Training】
本作品の無断転載・複製・AI学習利用を禁じます。
Unauthorized reproduction or use for AI training is strictly prohibited.
© 魯恒凛 / RoKourin
何もしなかっただけです
希臘楽園
ファンタジー
公爵令嬢であり王太子の婚約者であった私は、「地味だ」という理由で婚約を破棄され、王宮を去った。
それまで私が担っていた役目を、誰も知らないまま。
――ただ何もしなくなっただけで、すべては静かに崩れていく。
AIに書かせてみた第14弾は、「追放ざまぁ」系の短編。
どうぞお好きに
音無砂月
ファンタジー
公爵家に生まれたスカーレット・ミレイユ。
王命で第二王子であるセルフと婚約することになったけれど彼が商家の娘であるシャーベットを囲っているのはとても有名な話だった。そのせいか、なかなか婚約話が進まず、あまり野心のない公爵家にまで縁談話が来てしまった。
なんでも奪っていく妹に、婚約者まで奪われました
ねむ太朗
恋愛
伯爵令嬢のリリアーナは、小さい頃から、妹のエルーシアにネックレスや髪飾りなどのお気に入りの物を奪われてきた。
とうとう、婚約者のルシアンまでも妹に奪われてしまい……
誘拐された公爵令嬢ですが、なぜか皇帝に溺愛されています』
富士山麓
恋愛
舞踏会で王太子から婚約破棄を告げられそうになった瞬間――
目の前に現れたのは、馬に乗った仮面の皇帝だった。
そのまま攫われた公爵令嬢ビアンキーナは、誘拐されたはずなのに超VIP待遇。
一方、助けようともしなかった王太子は「無能」と嘲笑され、静かに失墜していく。
選ばれる側から、選ぶ側へ。
これは、誰も断罪せず、すべてを終わらせた令嬢の物語。
ある王国の王室の物語
朝山みどり
恋愛
平和が続くある王国の一室で婚約者破棄を宣言された少女がいた。カップを持ったまま下を向いて無言の彼女を国王夫妻、侯爵夫妻、王太子、異母妹がじっと見つめた。
顔をあげた彼女はカップを皿に置くと、レモンパイに手を伸ばすと皿に取った。
それから
「承知しました」とだけ言った。
ゆっくりレモンパイを食べるとお茶のおかわりを注ぐように侍女に合図をした。
それからバウンドケーキに手を伸ばした。
カクヨムで公開したものに手を入れたものです。