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黒豚令息と訳あり令嬢の学園生活
黒い獣
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「大変なのはわかった!でもそれは俺に言う事か?!」
近衛も護衛も専属の魔術師も大勢抱えた王族の救出劇に、果たしてデイビッドは必要だろうか。
「ハァハァ…転移の罠が発動して…ハァ…ヴィオラ様も巻き込まれてしまわれて!!」
「なら俺か!!」
ヴィオラが関わっているなら話は別だ。
例え拒否されても力尽くで救出に加わってやろうという気にもなる。
目的が王族の誘拐なら、ヴィオラは無関係だ。
が、人質にされ酷い目に遭わされる可能性も非常に高い。
打てる手を必死で考えていると、窓の外から弱々しい鳴き声が聞こえてきた。
「…プゥ……」
「ヴィオラの使い魔!!戻って来たのか!」
使い魔が存在できているなら、まだそう遠くへは行っていないはずだ。
「使い魔…そうだ迷子探し!!」
エリックの棚を漁り大きな錬成釜を引っ張り出すと、中に素材を入れていく。
「疲れてるとこすまんが、エリックを呼んで来てくれないか?」
「わかりました!何卒お力添えをお願いします!」
そう言って侍女見習いの少女は立ち上がり、また廊下を駆けて行った。
(思い出せ…使い魔の作り方…あの時、なんて言ってた…)
ーまずは核ー
星の入った黒曜魔石をひとつ。
ー身体の素材ー
干したアルラウネの花と枝葉。
ー性質の素材ー
ヒポグリフの尾羽根と羽毛。
ー調和の素材ー
アリーから貰った世界樹の疑果実をあるだけ。
ーそして術者の一部ー
ヴィオラが入れていたのは髪を数本。
しかし、デイビッドには魔力が無い。
魔力抵抗の無い人間の一部が、果たして役に立つだろうか。
ひたすら考え込むデイビッドの手には無意識に鋏が握られていた。
銀色の良く研がれた鋭い刃が絶え間なく動き、指が止まると逆手に翻し、強く握り締めて間髪無く振り降ろす。
ーー「血の方が強力なものができる」ーー
(確かシェルはそう言ってた…)
左腕から流れ出る鮮血を眺めていると、エリックとシェルリアーナが飛び込んで来た。
「デイビッド様!アリスティア様とヴィオラ様が誘拐されたと…」
「学園中大騒ぎよ!これからどうし…」
「よう、来たか。」
2人の目に、髪をバッサリ切り落とし、腕から血を流すデイビッドの姿が映り、一瞬言葉を失ったがすぐに騒ぎ出した。
「来たかじゃないでしょ?!なにやってんですか!!」
「なんでアンタが流血沙汰起こしてんのよ!?バカなの?!早く止血しなさい!!」
散々言われてようやく正気を失いかけていた事を自覚させられ、座らされると、傷の痛みにやっと気づくことができた。
エリックはまず先にデイビッドの手当てをしなければならなくなり、この時間だけでも勿体ない気がしてしまう。
「錬成釜ですか…大方使い魔でも作ろうとして焦ったんでしょ?なんで持てができないんですかね、この家系の男性陣は…」
「このとぐろ巻いてるの全部アンタの髪?!なんでこんなてんこ盛りにしたのよ!後ろ髪ほとんど切っちゃって!ヴィオラが戻ったら大泣きするわよ?!」
黒々した渦の中から、辛うじて見える素材を確認したエリックは、自分の棚から世界樹の実を取り出し、針傷の所から数滴絞り出し、蓋に手を掛けた。
「まさか、錬成する気?!」
「仕方ないでしょう?どうせ次の一言は「エリック、頼む」なんですから。本当に人の使い方が分かってない主人は厄介ですよ。」
「待って、この赤い実は何?」
「世界樹の疑似果ですって。例のアルラウネから生えてきたそうですよ?」
「もうめちゃくちゃよ…でもこのままじゃ素材に対して核が弱過ぎるわ。もっと強力な物じゃ無いと…そうよ、指輪に使った魔鉱石!残ってたら出しなさい。」
デイビッドがデスクから半分になった魔鉱石を取り出すと、必要な大きさに砕き、シェルリアーナが魔力を込め始めた。
「魔女の魔力が宿った高純度の魔鉱石なんて、この先二度と見られないかも知れませんね。」
「ごちゃごちゃうるさいわ!さぁ、これで素材は安定するはずよ。これだけあれば相当な従魔が作れるわ。」
仕上げに消えかけのヴィオラの使い魔を釜に入れ、銀色の手袋を嵌めたエリックが蓋をして詠唱を始めた。
「精霊術の錬成なんて初めて見たわ…」
釜がガタガタ震え出し、詠唱が終わると同時に勢い良く何かが飛び出して部屋の隅に跳ねて行く。
出てきたのは黒い影の塊。
生き物の姿すらしていない、揺らめく霧のよう闇のような存在から、真っ黒な2つの目玉だけがこちらを見ている。
「失敗したの?!」
「いいえ、余りに思念が強過ぎて形が定まらないんです。なにせ4人分ですからね。」
シェルリアーナとエリックはデイビッドの方を見た。
「何を作ろうとしたか、覚えてます?」
「え…と…?早くて、空が飛べて、強い感じの生き物…」
「あやふや…」
「あれが霧散する前にさっさと形を決めなさい!私達の苦労を水の泡にするつもり?!」
「そう言われても…なんだろう?なんか強いイメージ…竜とか?」
デイビッドがそう口にした瞬間、黒い影が窓の隙間を物凄い速さですり抜けて何処かへ飛んで行ってしまった。
「ヴィオラ様の元へ行ったようですね。あれは追えませんよ。後はもう成り行きに任せましょう。」
「……エリック、貴方大丈夫?」
「実はこう見えてちょっと限界かも…魔力ごっそり持っていかれましたからね…あ……」
エリックが膝から崩れるようにソファへ座ると、だんだん顔色が悪くなる。
「枯渇ギリギリよ。無茶するわ。ほら、横になりなさい。」
シェルリアーナはエリックの額に手を当て、自分の魔力をゆっくり注いでいった。
「はは…シェル様の魔力、強いですね。熟成したブランデーみたい…ガツンと来ます…」
「黙りなさい。私の魔力は特殊だから、あんまり人に分け与えられるものじゃないのよ。今回だけ特別よ?!」
「エリック、悪かった。知らずに無理させて…」
「ハァー…これだから人の使い方を知らない人は…」
エリックは、わざとらしく溜息を吐いてデイビッドの方へ顔を向けた。
「あのですねぇ、僕は貴方の従者なんですよ?!主人がただ一言やれと言えばそれは絶対なんです。素材集めから何から全部任せてしまえばそれで良いのに。そうでなくたって、こっちは年上なんですよ?もっと甘えて頼っていいんですって。なんでわかってもらえないのかなぁ…」
「頼りないからじゃないかしら?!静かにしてなさい!」
空になった錬成釜に長い髪がまだ引っ掛って残っている。
シェルリアーナはそれをつまんでまじまじと見た。
「他人の髪って気持ち悪いもんじゃねぇのか?」
「髪が気持ち悪くて魔女なんかやってらんないわよ!あの量は流石に引いたけど!?ねぇ、前から聞きたかったのよ。なんでこんなに伸ばしてたの?私の髪より長かったでしょ?」
「それが思い出せないんだよなぁ…願掛けか何かした気もするけど、なんで切らなかったか覚えてない。」
釜を洗って棚に戻し、床に散らばった髪を掃いて掃除している間も、ヴィオラの事が心配で浮かない顔のデイビッドを見て、シェルリアーナも少し不安になった。
そこへまた慌ただしい足音が飛び込んて来る。
「大変ですっ!アリスティア殿下とヴィオラ様が転移先から黒い獣に連れ拐われました!!」
さっきと同じ侍女見習いが、息も絶え絶えに泣きながら倒れ込む。
「……成功はしたようね。事態は悪化したけれど…」
「またなんか言われんのかなぁ…めんどくせぇ…」
丁度そのタイミングで、窓の外に大きな黒い獣に乗ったヴィオラとアリスティアがゆっくり降りてくるのが見えた。
近衛も護衛も専属の魔術師も大勢抱えた王族の救出劇に、果たしてデイビッドは必要だろうか。
「ハァハァ…転移の罠が発動して…ハァ…ヴィオラ様も巻き込まれてしまわれて!!」
「なら俺か!!」
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が、人質にされ酷い目に遭わされる可能性も非常に高い。
打てる手を必死で考えていると、窓の外から弱々しい鳴き声が聞こえてきた。
「…プゥ……」
「ヴィオラの使い魔!!戻って来たのか!」
使い魔が存在できているなら、まだそう遠くへは行っていないはずだ。
「使い魔…そうだ迷子探し!!」
エリックの棚を漁り大きな錬成釜を引っ張り出すと、中に素材を入れていく。
「疲れてるとこすまんが、エリックを呼んで来てくれないか?」
「わかりました!何卒お力添えをお願いします!」
そう言って侍女見習いの少女は立ち上がり、また廊下を駆けて行った。
(思い出せ…使い魔の作り方…あの時、なんて言ってた…)
ーまずは核ー
星の入った黒曜魔石をひとつ。
ー身体の素材ー
干したアルラウネの花と枝葉。
ー性質の素材ー
ヒポグリフの尾羽根と羽毛。
ー調和の素材ー
アリーから貰った世界樹の疑果実をあるだけ。
ーそして術者の一部ー
ヴィオラが入れていたのは髪を数本。
しかし、デイビッドには魔力が無い。
魔力抵抗の無い人間の一部が、果たして役に立つだろうか。
ひたすら考え込むデイビッドの手には無意識に鋏が握られていた。
銀色の良く研がれた鋭い刃が絶え間なく動き、指が止まると逆手に翻し、強く握り締めて間髪無く振り降ろす。
ーー「血の方が強力なものができる」ーー
(確かシェルはそう言ってた…)
左腕から流れ出る鮮血を眺めていると、エリックとシェルリアーナが飛び込んで来た。
「デイビッド様!アリスティア様とヴィオラ様が誘拐されたと…」
「学園中大騒ぎよ!これからどうし…」
「よう、来たか。」
2人の目に、髪をバッサリ切り落とし、腕から血を流すデイビッドの姿が映り、一瞬言葉を失ったがすぐに騒ぎ出した。
「来たかじゃないでしょ?!なにやってんですか!!」
「なんでアンタが流血沙汰起こしてんのよ!?バカなの?!早く止血しなさい!!」
散々言われてようやく正気を失いかけていた事を自覚させられ、座らされると、傷の痛みにやっと気づくことができた。
エリックはまず先にデイビッドの手当てをしなければならなくなり、この時間だけでも勿体ない気がしてしまう。
「錬成釜ですか…大方使い魔でも作ろうとして焦ったんでしょ?なんで持てができないんですかね、この家系の男性陣は…」
「このとぐろ巻いてるの全部アンタの髪?!なんでこんなてんこ盛りにしたのよ!後ろ髪ほとんど切っちゃって!ヴィオラが戻ったら大泣きするわよ?!」
黒々した渦の中から、辛うじて見える素材を確認したエリックは、自分の棚から世界樹の実を取り出し、針傷の所から数滴絞り出し、蓋に手を掛けた。
「まさか、錬成する気?!」
「仕方ないでしょう?どうせ次の一言は「エリック、頼む」なんですから。本当に人の使い方が分かってない主人は厄介ですよ。」
「待って、この赤い実は何?」
「世界樹の疑似果ですって。例のアルラウネから生えてきたそうですよ?」
「もうめちゃくちゃよ…でもこのままじゃ素材に対して核が弱過ぎるわ。もっと強力な物じゃ無いと…そうよ、指輪に使った魔鉱石!残ってたら出しなさい。」
デイビッドがデスクから半分になった魔鉱石を取り出すと、必要な大きさに砕き、シェルリアーナが魔力を込め始めた。
「魔女の魔力が宿った高純度の魔鉱石なんて、この先二度と見られないかも知れませんね。」
「ごちゃごちゃうるさいわ!さぁ、これで素材は安定するはずよ。これだけあれば相当な従魔が作れるわ。」
仕上げに消えかけのヴィオラの使い魔を釜に入れ、銀色の手袋を嵌めたエリックが蓋をして詠唱を始めた。
「精霊術の錬成なんて初めて見たわ…」
釜がガタガタ震え出し、詠唱が終わると同時に勢い良く何かが飛び出して部屋の隅に跳ねて行く。
出てきたのは黒い影の塊。
生き物の姿すらしていない、揺らめく霧のよう闇のような存在から、真っ黒な2つの目玉だけがこちらを見ている。
「失敗したの?!」
「いいえ、余りに思念が強過ぎて形が定まらないんです。なにせ4人分ですからね。」
シェルリアーナとエリックはデイビッドの方を見た。
「何を作ろうとしたか、覚えてます?」
「え…と…?早くて、空が飛べて、強い感じの生き物…」
「あやふや…」
「あれが霧散する前にさっさと形を決めなさい!私達の苦労を水の泡にするつもり?!」
「そう言われても…なんだろう?なんか強いイメージ…竜とか?」
デイビッドがそう口にした瞬間、黒い影が窓の隙間を物凄い速さですり抜けて何処かへ飛んで行ってしまった。
「ヴィオラ様の元へ行ったようですね。あれは追えませんよ。後はもう成り行きに任せましょう。」
「……エリック、貴方大丈夫?」
「実はこう見えてちょっと限界かも…魔力ごっそり持っていかれましたからね…あ……」
エリックが膝から崩れるようにソファへ座ると、だんだん顔色が悪くなる。
「枯渇ギリギリよ。無茶するわ。ほら、横になりなさい。」
シェルリアーナはエリックの額に手を当て、自分の魔力をゆっくり注いでいった。
「はは…シェル様の魔力、強いですね。熟成したブランデーみたい…ガツンと来ます…」
「黙りなさい。私の魔力は特殊だから、あんまり人に分け与えられるものじゃないのよ。今回だけ特別よ?!」
「エリック、悪かった。知らずに無理させて…」
「ハァー…これだから人の使い方を知らない人は…」
エリックは、わざとらしく溜息を吐いてデイビッドの方へ顔を向けた。
「あのですねぇ、僕は貴方の従者なんですよ?!主人がただ一言やれと言えばそれは絶対なんです。素材集めから何から全部任せてしまえばそれで良いのに。そうでなくたって、こっちは年上なんですよ?もっと甘えて頼っていいんですって。なんでわかってもらえないのかなぁ…」
「頼りないからじゃないかしら?!静かにしてなさい!」
空になった錬成釜に長い髪がまだ引っ掛って残っている。
シェルリアーナはそれをつまんでまじまじと見た。
「他人の髪って気持ち悪いもんじゃねぇのか?」
「髪が気持ち悪くて魔女なんかやってらんないわよ!あの量は流石に引いたけど!?ねぇ、前から聞きたかったのよ。なんでこんなに伸ばしてたの?私の髪より長かったでしょ?」
「それが思い出せないんだよなぁ…願掛けか何かした気もするけど、なんで切らなかったか覚えてない。」
釜を洗って棚に戻し、床に散らばった髪を掃いて掃除している間も、ヴィオラの事が心配で浮かない顔のデイビッドを見て、シェルリアーナも少し不安になった。
そこへまた慌ただしい足音が飛び込んて来る。
「大変ですっ!アリスティア殿下とヴィオラ様が転移先から黒い獣に連れ拐われました!!」
さっきと同じ侍女見習いが、息も絶え絶えに泣きながら倒れ込む。
「……成功はしたようね。事態は悪化したけれど…」
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