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黒豚令息と訳あり令嬢の学園生活
アプローチ
ヴィオラ達も少し端により、座って一休みするとシェルリアーナが飲み物のワゴンを運ぶ給仕を呼び止めた。
「何かいかが?お酒は…どうかしら?デビュタントなら多少飲んでも怒られないわよ?」
「うーん…止めておきます。ジュースにして下さい。」
ついでに可愛らしいお菓子がたくさん乗ったプレートも用意してもらったが、一口食べてその違和感に気が付いた。
「…何かしら…最高級品のはずなのに…何かこう、物足りない様な…?」
「これもすごく美味しいですよ。でもはっきり言って、いつも食べてるお菓子の方が美味しいです!」
「…やられたわ……」
「もう戻れなくなっちゃったんですね、私達…」
ヴィオラとシェルリアーナが変な所で呪いの発動を感じている頃、作り物の笑顔に戻ったアリスティアは、あちこちの男性に誘われても、貴賓や招待客以外の話は尽く断っていた。
そこへ異国の正装の歳の近いに少年が現れ、アデラ国の挨拶をした。
「この出会い月と海の女神に感謝を。今晩はアリスティア様。」
「はじめまして。アリスティア・セル・ラムダです。」
「アデラの第三王子、アデラール・ジャファルガ・シュラームと申します。ジャファルとお呼び下さい。」
「ジャファル様、よろしくお願いします。」
アリスティアはにっこりと微笑んで見せたが、ジャファルの顔はどこか別のことが気になって仕方がない様子だった。
視線が人混みの方へ泳いでいる。
「どなたかお探しですか?」
「あ、いえ、友人の姿が見えないので、少し探しておりました。」
「まぁ、お友達ですか?よろしければ私も一緒にお探ししましょうか?」
「…お心遣い感謝します。ですが、人前にはあまり出たがらない者なので、その…ここはおそらく彼にとって居心地のいい場所ではないでしょうから…」
ジャファルはそう言うと、少し辛そうに自分の耳飾りに触れた。
「ジャファル様、お加減が優れませんか?」
「ご心配なく。私の魔力は音に敏感で、魔道具で抑えていないと必要以上に周りの声が聞こえ過ぎてしまうのです。」
耳元の音を最低限まで遮断すると、ジャファルはようやく背筋を伸ばした。
「友人の声が聞こえるかと思ったのですが、上手くいかないものですね。周りの声など聞くのではなかった…」
「何かお聞きになってしまわれたのですね…?」
「ご安心下さい。個人の意見が国の総意ではない事ぐらい承知しておりますから…」
そう言いながら、ジャファルはさっきよりも警戒の色を強め、アリスティアから離れて行った。
アリスティアがジャファルを心配していると直ぐにカミールも現れた。
「弟が大変失礼しました。アリスティア様、今宵はおめでとうございます。素晴らしいデビュタントでした。」
「ありがとうございますカミール様。こちらこそ申し訳ありません、弟さんのご友人に会場で何か失礼があったようで…」
「そうでしたか…友人も自国の貴族には好かれていないと常々申しておりましたから…ラムダの姫君には少しお辛い話かと思いますが、我々の色はラムダでもまだ珍しく、心から受け入れられてはいないのですよ。未だ他国では蛮族の扱いを受ける事もございます。きっと彼も…。兄君のご友人と聞きましたが、ご存知ありませんか?私と同じ色を纏った青年なのですが…」
アリスティアは、改めてカミールの顔をまじまじと見つめた。
「デイビッド…さま…?」
「ああ!そうそう、やはりご存知でしたか!」
「カミール様とその…面影が…」
「そうなんです。遠縁に当たるのでかなり近い見た目をしているかと。驚きましたか?」
カミールの一見優しげな瞳が、アリスティアが敵か味方か品定めしている。
市井の噂に惑わされるような愚かな王族なら、ここで切り捨て二度と話しかけはしないつもりだ。
「ここだけの話なのですが…」
「…なんでしょう?」
(私、大ファンなんです。お兄様を出し抜いて、なんとか近づけはしたものの、王族の肩書が邪魔をしてまだ友人枠にすら入れてもらえないの。どうしたらいいかしら?)
「それはそれは!難しい問題ですね?!」
コソコソ話すアリスティアに、カミールはつい笑顔になった。
「ご一緒にお探ししても?」
「ありがとうございます。でもよろしいのですか?貴女は今夜の主役でしょう?」
「あら、ご挨拶ならほとんど済ませましたわ。」
2人は談笑しながらゆっくりと会場の中を歩いていった。
「ところで…先ほど踊られていたご令嬢は、貴女のご友人ですか?」
「はい!同じ学園に通うとても仲の良い友達です。」
「あちらにいらっしゃる方ですよね。あ、ホラ!こっちに気がついた。」
ソファでくつろぐヴィオラとシェルリアーナの元へアリスティア達が近づくと、2人はさっと立ち上がり深く膝を折ろうとする。
「そんな挨拶はいらないわよ。2人ともここに居たのね?!」
「ご歓談中に失礼。アデラの第二王子、アデラール・ジャスカミール・ジャルバンと申します。カミールとお呼び下さい。お二人のお名前をお聞きしてもよろしいですか?」
「ロシェ家長女、シェルリアーナと申します。」
「ロ、ローベル家のヴィオラと申します…」
「シェルリアーナ様にヴィオラ様…この出会い月と海の女神に感謝を…」
ヴィオラとシェルリアーナも、カミールの顔を見てやはり固まってしまう。
特にヴィオラは、目を見開いたまま黙り込んでしまった。
カミールと目が合うと、慌てて逸らし再び緊張した様子だ。
「し、失礼致しました!」
「いえいえ、私も貴女に見惚れておりました。よろしければ私と一曲踊って頂けませんか?」
「あら!」
「まぁ!」
「わ、私とですか?!」
シェルリアーナとアリスティアは顔を見合わせてしまった。
(ヴィオラを選ぶなんて…この方、人を見る目はあるようね…)
(デイビッド様の遠縁に当たる方だそうです。女性の好みまで似るものなのですかね…?!)
(通りで!印象はまるで違うのに連想であの顔が出て来たのよ!おかしいと思ったらそういう事!…あの娘、どう出るかしら…)
「あ…あの…とても、ありがたいお申し出、なのですが…私、こ…婚約者が、おりますので…」
「デビュタントの婚約者を放って置く様な相手に、そこまで義理立てる必要はありませんよ?!」
「で、でも、私…人前で踊った事が無くて…」
「そんな!パーティーで婚約者とダンスもしない不義理な男など気に掛ける必要はありません。どうか私に貴女の手を取る栄誉を頂けませんか?」
(改めて聞くと正当な意見ね…)
(そろそろ助けて差し上げないと…むしろカミール様を…)
その頃、ローベル子爵は旧友に囲まれて、娘を持つ父親同士、熱い語り合いがはじまったので、デイビッドとエリックはようやく開放され、会場へ戻って来た。
「いや~、疲れましたね…」
「ヴィオラのデビュタントの記憶が子爵の泣き顔で終了するかと思った…」
広い会場を見回し、ヴィオラを探すと反対側のスペースで誰かと話をしているのがわずかに見えた。
「あれ…カミールか?!」
「よく見えますね?!あ、でもあの装いはアデラのものですよ。間違いないんじゃないですか?声かけられてるみたい。アデラの男性は惚れっぽくて積極的なんでしたっけ?ねぇ、ってもう行っちゃった…」
エリックの話を最後まで聞く前に、デイビッドはどんどん先に行ってしまった。
「何かいかが?お酒は…どうかしら?デビュタントなら多少飲んでも怒られないわよ?」
「うーん…止めておきます。ジュースにして下さい。」
ついでに可愛らしいお菓子がたくさん乗ったプレートも用意してもらったが、一口食べてその違和感に気が付いた。
「…何かしら…最高級品のはずなのに…何かこう、物足りない様な…?」
「これもすごく美味しいですよ。でもはっきり言って、いつも食べてるお菓子の方が美味しいです!」
「…やられたわ……」
「もう戻れなくなっちゃったんですね、私達…」
ヴィオラとシェルリアーナが変な所で呪いの発動を感じている頃、作り物の笑顔に戻ったアリスティアは、あちこちの男性に誘われても、貴賓や招待客以外の話は尽く断っていた。
そこへ異国の正装の歳の近いに少年が現れ、アデラ国の挨拶をした。
「この出会い月と海の女神に感謝を。今晩はアリスティア様。」
「はじめまして。アリスティア・セル・ラムダです。」
「アデラの第三王子、アデラール・ジャファルガ・シュラームと申します。ジャファルとお呼び下さい。」
「ジャファル様、よろしくお願いします。」
アリスティアはにっこりと微笑んで見せたが、ジャファルの顔はどこか別のことが気になって仕方がない様子だった。
視線が人混みの方へ泳いでいる。
「どなたかお探しですか?」
「あ、いえ、友人の姿が見えないので、少し探しておりました。」
「まぁ、お友達ですか?よろしければ私も一緒にお探ししましょうか?」
「…お心遣い感謝します。ですが、人前にはあまり出たがらない者なので、その…ここはおそらく彼にとって居心地のいい場所ではないでしょうから…」
ジャファルはそう言うと、少し辛そうに自分の耳飾りに触れた。
「ジャファル様、お加減が優れませんか?」
「ご心配なく。私の魔力は音に敏感で、魔道具で抑えていないと必要以上に周りの声が聞こえ過ぎてしまうのです。」
耳元の音を最低限まで遮断すると、ジャファルはようやく背筋を伸ばした。
「友人の声が聞こえるかと思ったのですが、上手くいかないものですね。周りの声など聞くのではなかった…」
「何かお聞きになってしまわれたのですね…?」
「ご安心下さい。個人の意見が国の総意ではない事ぐらい承知しておりますから…」
そう言いながら、ジャファルはさっきよりも警戒の色を強め、アリスティアから離れて行った。
アリスティアがジャファルを心配していると直ぐにカミールも現れた。
「弟が大変失礼しました。アリスティア様、今宵はおめでとうございます。素晴らしいデビュタントでした。」
「ありがとうございますカミール様。こちらこそ申し訳ありません、弟さんのご友人に会場で何か失礼があったようで…」
「そうでしたか…友人も自国の貴族には好かれていないと常々申しておりましたから…ラムダの姫君には少しお辛い話かと思いますが、我々の色はラムダでもまだ珍しく、心から受け入れられてはいないのですよ。未だ他国では蛮族の扱いを受ける事もございます。きっと彼も…。兄君のご友人と聞きましたが、ご存知ありませんか?私と同じ色を纏った青年なのですが…」
アリスティアは、改めてカミールの顔をまじまじと見つめた。
「デイビッド…さま…?」
「ああ!そうそう、やはりご存知でしたか!」
「カミール様とその…面影が…」
「そうなんです。遠縁に当たるのでかなり近い見た目をしているかと。驚きましたか?」
カミールの一見優しげな瞳が、アリスティアが敵か味方か品定めしている。
市井の噂に惑わされるような愚かな王族なら、ここで切り捨て二度と話しかけはしないつもりだ。
「ここだけの話なのですが…」
「…なんでしょう?」
(私、大ファンなんです。お兄様を出し抜いて、なんとか近づけはしたものの、王族の肩書が邪魔をしてまだ友人枠にすら入れてもらえないの。どうしたらいいかしら?)
「それはそれは!難しい問題ですね?!」
コソコソ話すアリスティアに、カミールはつい笑顔になった。
「ご一緒にお探ししても?」
「ありがとうございます。でもよろしいのですか?貴女は今夜の主役でしょう?」
「あら、ご挨拶ならほとんど済ませましたわ。」
2人は談笑しながらゆっくりと会場の中を歩いていった。
「ところで…先ほど踊られていたご令嬢は、貴女のご友人ですか?」
「はい!同じ学園に通うとても仲の良い友達です。」
「あちらにいらっしゃる方ですよね。あ、ホラ!こっちに気がついた。」
ソファでくつろぐヴィオラとシェルリアーナの元へアリスティア達が近づくと、2人はさっと立ち上がり深く膝を折ろうとする。
「そんな挨拶はいらないわよ。2人ともここに居たのね?!」
「ご歓談中に失礼。アデラの第二王子、アデラール・ジャスカミール・ジャルバンと申します。カミールとお呼び下さい。お二人のお名前をお聞きしてもよろしいですか?」
「ロシェ家長女、シェルリアーナと申します。」
「ロ、ローベル家のヴィオラと申します…」
「シェルリアーナ様にヴィオラ様…この出会い月と海の女神に感謝を…」
ヴィオラとシェルリアーナも、カミールの顔を見てやはり固まってしまう。
特にヴィオラは、目を見開いたまま黙り込んでしまった。
カミールと目が合うと、慌てて逸らし再び緊張した様子だ。
「し、失礼致しました!」
「いえいえ、私も貴女に見惚れておりました。よろしければ私と一曲踊って頂けませんか?」
「あら!」
「まぁ!」
「わ、私とですか?!」
シェルリアーナとアリスティアは顔を見合わせてしまった。
(ヴィオラを選ぶなんて…この方、人を見る目はあるようね…)
(デイビッド様の遠縁に当たる方だそうです。女性の好みまで似るものなのですかね…?!)
(通りで!印象はまるで違うのに連想であの顔が出て来たのよ!おかしいと思ったらそういう事!…あの娘、どう出るかしら…)
「あ…あの…とても、ありがたいお申し出、なのですが…私、こ…婚約者が、おりますので…」
「デビュタントの婚約者を放って置く様な相手に、そこまで義理立てる必要はありませんよ?!」
「で、でも、私…人前で踊った事が無くて…」
「そんな!パーティーで婚約者とダンスもしない不義理な男など気に掛ける必要はありません。どうか私に貴女の手を取る栄誉を頂けませんか?」
(改めて聞くと正当な意見ね…)
(そろそろ助けて差し上げないと…むしろカミール様を…)
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「いや~、疲れましたね…」
「ヴィオラのデビュタントの記憶が子爵の泣き顔で終了するかと思った…」
広い会場を見回し、ヴィオラを探すと反対側のスペースで誰かと話をしているのがわずかに見えた。
「あれ…カミールか?!」
「よく見えますね?!あ、でもあの装いはアデラのものですよ。間違いないんじゃないですか?声かけられてるみたい。アデラの男性は惚れっぽくて積極的なんでしたっけ?ねぇ、ってもう行っちゃった…」
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カクヨムで公開したものに手を入れたものです。