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黒豚令息と訳あり令嬢の学園生活〜怒涛の進学編〜
アリーの友達
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「ぼくも たたかえるんだよ!」
「わかったから、ここで大人しくしててくれよ。外は人も来てるし、見つかったら大変だろう?最近のお前は妖精にしちゃなんか存在がハッキリしてきてるし…」
「ぼく ほんとは つよいんだよ!」
「知ってるよ。誰も敵わねぇよ本気出した妖精になんか。」
部屋の中では、勇むルーチェをデイビッドがクッキーとミルクで宥めていた。
「よぉ、終わったか?」
「最悪の結果でしたけどね。犯人は生徒で教会の関係者でした。更生出来ると良いんですけど…あ、そうだ、レオニード君に会いましたよ。中途卒業してもう働かされてました。」
「頭のいい奴らしいからな。切り捨てるのも惜しいんだろ。当面下っ端扱いだろうけど…」
「プレゼント気に入ってくれるかなぁ。」
ルーチェは、バターたっぷりのクッキーを2枚かじり、人形用のカップに注いだミルクを飲んでやっと落ち着いた。
「またどっからこんなカワイイ物を…」
「サイズ丁度いいだろ?」
可愛らしい陶器の茶器と、椅子とテーブルのセットに座る妖精の絵本の様な光景が、向かい合ったデイビッドには全く似合わない。
「エリク げんきになったの よかったね」
「おかげ様で!君も大事無くて本当に良かった。」
「終わったんならいい加減寝かしてくれ…」
デイビッドの暗殺未遂というなかなか過激なこの事件。
実はまだ完全には終わっておらず、デイビッドにはこの後更なる災難が待ち受けているのだった。
「…なんだコレは……」
危険人物護送中の馬車の中、レオニードはポケットに突っ込まれた紙切れを思い出し、忌々しげに取り出して広げてみた。
それはアイスクリームショップのチラシで、開きかけた所にエリックの姿が写っている。
「何の嫌がらせだ?!」
乱雑に破り捨てようと力を入れた瞬間、チラシが開いてエリックの反対側に写った女性が目に入る。
シワの寄った広告の中から微笑んでいるのは、最愛の義妹シェルリアーナの姿だった。
「あ゙っ!!な゙っ!あぁっ!!…こ…の……!!」
くしゃくしゃになってしまったチラシを手に震えるレオニードは、エリックの余計なお世話に見事に振り回され、更に捻れた恨みを滾らせることになった。
次の日、ベルダの授業は休講で、研究生5人は温室に呼び出された。
「いや~来週辺りまではまともに授業もできそうにないから、いっその事こっちで作業しようと思ってね!」
「気分転換できていいかも~!」
「こっちにはあまり来ないから新鮮だね。」
「僕はしばらく魔法棟で会議があるから、席を外すよ!?みんな頑張ってね!?」
温室の端の部屋に道具を並べ、今日は花に囲まれながら薬を作っていく。
湿度や温度の影響も考慮しなければならないデイビッドの作業は、調節までに時間がかかりなかなか進まない。
手元に集中していると、いつの間にか散歩に出て行ったエリザベスの悲鳴が温室に響き渡った。
「なんだ?!」
「リズ!大丈夫かい?!」
声のする方へ向かうと、立ち入り禁止の扉を開き、中を見てしまったエリザベスが触手に足を取られ、床にへたり込んでいた。
「な、な、なにコレェェッ!!」
「こ…これは…魔性植物?こんな巨大な?!」
「動いてる?!早く先生を!この…リズを離しなさいっ!」
「待て!!」
魔法を放とうとするシェルリアーナの腕を、後ろからデイビッドがつかみ、なんとか阻止する。
「なにするのよ!?」
「大丈夫だから落ち着けよ。たぶん、いきなり人が来て驚いただけだ…な?そうだろアリー。」
名前を呼ぶと、エリザベスの足に絡んでいた触手がするすると離れ、物陰からアリーが顔を半分出してこちらを見ていた。
「こうなったらしかたねぇ…アリー、出てきていいぞ?大丈夫、ベルダの仲間だ。信用出来る。お前もちゃんと謝れよ?」
身構える4人の前に姿を現したのは、人の背より少し小柄な人型の植物。
ゆっくりと歩いて来る魔物の姿にみんな釘付けになっていた。
「こ…これって…」
「まさか…」
「アルラウネのアリーだ。」
「「アルラウネぇぇっ!?」」
「あああの時のアルラウネ?!なんか大きくなってない?!」
「進化したらこうなった。」
「成体のアルラウネがなんでこんなところにいるの?!」
「デイビッド君!危険だ、直ぐに離れて!!」
デイビッドは慌てふためくエドワード達を見て、これがアルラウネに対する正しい反応なのかと改めて思わされた。
「大丈夫、コイツは俺が拾って来てベルダとその辺にいるドライアドがずっと世話してたんだ。名前はアリー。危険はねぇよ…」
「ア…アリー デス オドカシテ ゴメンナサイ…」
「「「しゃべった!!?」」」
アリーはデイビッドの背中に隠れながら、エリザベスに近付いた。
「アリー ビックリシテ ヒドイコト シチャッタ…イタクナイ?」
「え?あ!大丈夫!私もちょっと驚いただけ…勝手に開けてごめんね…?!」
「それで?こっちの…馬鹿でかい植物は一体なんだい?」
「…それに首突っ込んだら下手すると卒業できなくなるぞ…」
「君、どんだけ秘密抱えて生きてるの?」
「出来ることなら全部捨てちまいてぇよ!」
立ち入り禁止のドアを閉め、アリーを連れて改めて温室へ出ると、リディアが慌てて飛んできた。
「悪いな。アリーの事バレちまったんで紹介したよ。次から場所も変えねぇと、そろそろ隠しきれねぇな。」
リディアはふるふると首を横に振り、4人と向き合って優雅なお辞儀をした。
「ドライアドが隠蔽無しに姿を現すなんて…」
「デイビッド君、よっぽど信用されてるんだね…尊敬するよ…」
「成り行きで見えるようになっただけだ。」
「見えたくらいで懐く様な種族じゃないのさ。彼女達に信頼されるため、どれだけの人間が虚しい努力をしているか知らないのかい?」
「植物とのコミュニケーションなんて手探りでどうにかなるもんじゃないからね。」
聞けば命を落とすことなどザラだと言う。
その覚悟なしに関われる存在では無いというのが専門家達の認識だそうだ。
アリーとの交流に散々振り回されて来たつもりだったデイビッドの苦労など、世の魔性植物学者達にとっては遊んでいる様なものだったらしい。
デイビッドとアリーのやり取りは、リディアという強力な助っ人に加え、先駆者であるベルダの存在と、何よりアリー自身がひたすらデイビッドに信頼を寄せていたことで成り立った、奇跡と言っても過言ではないギリギリのものだったようだ。
では何故リディアはデイビッドをここまで信用しているのだろうか。
「何かあるんだよ。極稀だけど、魔物に好かれるって人も居るしね。デイビッド君はそういう類いの人なんじゃないのかな?」
「アタシ、アルラウネなんて初めて見るわ!」
「普通は見られないよ。乾眠期に結界で覆われたガラス越しにちょっと覗ける程度の存在だよ?それでも感動したのに…動いて喋っておまけに懐いてるなんて…」
「そ…素材…とか…分けてもらえたりとか…したり…しないかな…」
エリザベスが挙動不審に目を逸らしながら呟いた。
「イイヨ ナニガホシイ?」
ツルに小枝に葉っぱに樹皮、終いには花まで咲かせて、アリーはにこにこしながら4人に全て差し出した。
「ちょっと待って!!ここここんなにもらえないよ!?」
「それひとつでどのくらいの価値があるか…考えただけで恐ろしいな…」
「ベルダ先生の授業で、君がトンデモ発言ばっかりする理由もなんとなくわかってきたよ。」
「コイツ生き様が変なのよ。」
「変の一言で片付けんな!!」
アリーは新しくできた友達に、少し緊張しながら、それでも嬉しそうにしていた。
「頼むから極秘扱いにしてくれよ!?見つかったら厄介な上に、国の機関に取り上げられちまうからよ…」
「そうか、かわいがってるんだね!」
「俺から引き離されたら…たぶん大暴れするって…ベルダが言ってた…」
「王都半壊くらいさせるんじゃない?!」
「頼むから機嫌損ねないでよね?!そんな最終兵器になんて誰も敵わないからね?!」
「その内専用の施設が必要になるな…」
「わかったよ。僕は秘密にする。絶対にね。」
「ア、アタシも!先におどかしちゃったのアタシだし…誰にも言わないよ?!」
「僕も…こんなスリリングな体験、早々できないよ。友達の秘密は守るから安心して?!」
こうしてアリーの存在を知る仲間が増え、デイビッドは友人と機密レベルの隠し事を共有する仲になってしまった。
「わかったから、ここで大人しくしててくれよ。外は人も来てるし、見つかったら大変だろう?最近のお前は妖精にしちゃなんか存在がハッキリしてきてるし…」
「ぼく ほんとは つよいんだよ!」
「知ってるよ。誰も敵わねぇよ本気出した妖精になんか。」
部屋の中では、勇むルーチェをデイビッドがクッキーとミルクで宥めていた。
「よぉ、終わったか?」
「最悪の結果でしたけどね。犯人は生徒で教会の関係者でした。更生出来ると良いんですけど…あ、そうだ、レオニード君に会いましたよ。中途卒業してもう働かされてました。」
「頭のいい奴らしいからな。切り捨てるのも惜しいんだろ。当面下っ端扱いだろうけど…」
「プレゼント気に入ってくれるかなぁ。」
ルーチェは、バターたっぷりのクッキーを2枚かじり、人形用のカップに注いだミルクを飲んでやっと落ち着いた。
「またどっからこんなカワイイ物を…」
「サイズ丁度いいだろ?」
可愛らしい陶器の茶器と、椅子とテーブルのセットに座る妖精の絵本の様な光景が、向かい合ったデイビッドには全く似合わない。
「エリク げんきになったの よかったね」
「おかげ様で!君も大事無くて本当に良かった。」
「終わったんならいい加減寝かしてくれ…」
デイビッドの暗殺未遂というなかなか過激なこの事件。
実はまだ完全には終わっておらず、デイビッドにはこの後更なる災難が待ち受けているのだった。
「…なんだコレは……」
危険人物護送中の馬車の中、レオニードはポケットに突っ込まれた紙切れを思い出し、忌々しげに取り出して広げてみた。
それはアイスクリームショップのチラシで、開きかけた所にエリックの姿が写っている。
「何の嫌がらせだ?!」
乱雑に破り捨てようと力を入れた瞬間、チラシが開いてエリックの反対側に写った女性が目に入る。
シワの寄った広告の中から微笑んでいるのは、最愛の義妹シェルリアーナの姿だった。
「あ゙っ!!な゙っ!あぁっ!!…こ…の……!!」
くしゃくしゃになってしまったチラシを手に震えるレオニードは、エリックの余計なお世話に見事に振り回され、更に捻れた恨みを滾らせることになった。
次の日、ベルダの授業は休講で、研究生5人は温室に呼び出された。
「いや~来週辺りまではまともに授業もできそうにないから、いっその事こっちで作業しようと思ってね!」
「気分転換できていいかも~!」
「こっちにはあまり来ないから新鮮だね。」
「僕はしばらく魔法棟で会議があるから、席を外すよ!?みんな頑張ってね!?」
温室の端の部屋に道具を並べ、今日は花に囲まれながら薬を作っていく。
湿度や温度の影響も考慮しなければならないデイビッドの作業は、調節までに時間がかかりなかなか進まない。
手元に集中していると、いつの間にか散歩に出て行ったエリザベスの悲鳴が温室に響き渡った。
「なんだ?!」
「リズ!大丈夫かい?!」
声のする方へ向かうと、立ち入り禁止の扉を開き、中を見てしまったエリザベスが触手に足を取られ、床にへたり込んでいた。
「な、な、なにコレェェッ!!」
「こ…これは…魔性植物?こんな巨大な?!」
「動いてる?!早く先生を!この…リズを離しなさいっ!」
「待て!!」
魔法を放とうとするシェルリアーナの腕を、後ろからデイビッドがつかみ、なんとか阻止する。
「なにするのよ!?」
「大丈夫だから落ち着けよ。たぶん、いきなり人が来て驚いただけだ…な?そうだろアリー。」
名前を呼ぶと、エリザベスの足に絡んでいた触手がするすると離れ、物陰からアリーが顔を半分出してこちらを見ていた。
「こうなったらしかたねぇ…アリー、出てきていいぞ?大丈夫、ベルダの仲間だ。信用出来る。お前もちゃんと謝れよ?」
身構える4人の前に姿を現したのは、人の背より少し小柄な人型の植物。
ゆっくりと歩いて来る魔物の姿にみんな釘付けになっていた。
「こ…これって…」
「まさか…」
「アルラウネのアリーだ。」
「「アルラウネぇぇっ!?」」
「あああの時のアルラウネ?!なんか大きくなってない?!」
「進化したらこうなった。」
「成体のアルラウネがなんでこんなところにいるの?!」
「デイビッド君!危険だ、直ぐに離れて!!」
デイビッドは慌てふためくエドワード達を見て、これがアルラウネに対する正しい反応なのかと改めて思わされた。
「大丈夫、コイツは俺が拾って来てベルダとその辺にいるドライアドがずっと世話してたんだ。名前はアリー。危険はねぇよ…」
「ア…アリー デス オドカシテ ゴメンナサイ…」
「「「しゃべった!!?」」」
アリーはデイビッドの背中に隠れながら、エリザベスに近付いた。
「アリー ビックリシテ ヒドイコト シチャッタ…イタクナイ?」
「え?あ!大丈夫!私もちょっと驚いただけ…勝手に開けてごめんね…?!」
「それで?こっちの…馬鹿でかい植物は一体なんだい?」
「…それに首突っ込んだら下手すると卒業できなくなるぞ…」
「君、どんだけ秘密抱えて生きてるの?」
「出来ることなら全部捨てちまいてぇよ!」
立ち入り禁止のドアを閉め、アリーを連れて改めて温室へ出ると、リディアが慌てて飛んできた。
「悪いな。アリーの事バレちまったんで紹介したよ。次から場所も変えねぇと、そろそろ隠しきれねぇな。」
リディアはふるふると首を横に振り、4人と向き合って優雅なお辞儀をした。
「ドライアドが隠蔽無しに姿を現すなんて…」
「デイビッド君、よっぽど信用されてるんだね…尊敬するよ…」
「成り行きで見えるようになっただけだ。」
「見えたくらいで懐く様な種族じゃないのさ。彼女達に信頼されるため、どれだけの人間が虚しい努力をしているか知らないのかい?」
「植物とのコミュニケーションなんて手探りでどうにかなるもんじゃないからね。」
聞けば命を落とすことなどザラだと言う。
その覚悟なしに関われる存在では無いというのが専門家達の認識だそうだ。
アリーとの交流に散々振り回されて来たつもりだったデイビッドの苦労など、世の魔性植物学者達にとっては遊んでいる様なものだったらしい。
デイビッドとアリーのやり取りは、リディアという強力な助っ人に加え、先駆者であるベルダの存在と、何よりアリー自身がひたすらデイビッドに信頼を寄せていたことで成り立った、奇跡と言っても過言ではないギリギリのものだったようだ。
では何故リディアはデイビッドをここまで信用しているのだろうか。
「何かあるんだよ。極稀だけど、魔物に好かれるって人も居るしね。デイビッド君はそういう類いの人なんじゃないのかな?」
「アタシ、アルラウネなんて初めて見るわ!」
「普通は見られないよ。乾眠期に結界で覆われたガラス越しにちょっと覗ける程度の存在だよ?それでも感動したのに…動いて喋っておまけに懐いてるなんて…」
「そ…素材…とか…分けてもらえたりとか…したり…しないかな…」
エリザベスが挙動不審に目を逸らしながら呟いた。
「イイヨ ナニガホシイ?」
ツルに小枝に葉っぱに樹皮、終いには花まで咲かせて、アリーはにこにこしながら4人に全て差し出した。
「ちょっと待って!!ここここんなにもらえないよ!?」
「それひとつでどのくらいの価値があるか…考えただけで恐ろしいな…」
「ベルダ先生の授業で、君がトンデモ発言ばっかりする理由もなんとなくわかってきたよ。」
「コイツ生き様が変なのよ。」
「変の一言で片付けんな!!」
アリーは新しくできた友達に、少し緊張しながら、それでも嬉しそうにしていた。
「頼むから極秘扱いにしてくれよ!?見つかったら厄介な上に、国の機関に取り上げられちまうからよ…」
「そうか、かわいがってるんだね!」
「俺から引き離されたら…たぶん大暴れするって…ベルダが言ってた…」
「王都半壊くらいさせるんじゃない?!」
「頼むから機嫌損ねないでよね?!そんな最終兵器になんて誰も敵わないからね?!」
「その内専用の施設が必要になるな…」
「わかったよ。僕は秘密にする。絶対にね。」
「ア、アタシも!先におどかしちゃったのアタシだし…誰にも言わないよ?!」
「僕も…こんなスリリングな体験、早々できないよ。友達の秘密は守るから安心して?!」
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