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黒豚令息と訳あり令嬢の学園生活〜怒涛の進学編〜
マダム・ネリー
土曜の午前中は、有志参加で調理室を使い実習を行っている。
元々デイビッドが担当に割り振られたコマではあったが、初日から外部講師を招き、本格的なプロのワザを指導すると言って逃げた。
今日はその3回目。
やって来たのは有名な料理研究家にして、かつて王都中の女性達を虜にしたパティシエールの元チーフ。
とても朗らかで優しげな高齢のマダムがにこにこしながら立っている。
「皆さん、今日はよろしくお願いしますね。」
ほっそりとした腰にエプロンをまとい、凛々しい佇まいの彼女こそ本日の主役。
マダム・ネリーの登場に、教室中がそわそわしている。
「今日はこちらの本に出てきたケーキを焼いてみようと思います。ミセス・メルバシリーズの第1巻…皆さんお読みになった事はありますか?今回作るのは序章に出てくる“旅立つ日の夜明けのケーキ”基本のレモンタルトを…」
「あのー…口挟んで申し訳ないんですけど、俺ここにいる必要ありますか…?」
マダムの横には、さっきから居心地を悪くしたデイビッドが立たされている。
「あらダメよ、いなくなっちゃ。今日の貴方は私の助手なんですからね?まぁなんですかエプロンも付けずに。無いなら私のフリルでよろしければ予備をお貸ししましょうか?」
「自前のするんで勘弁して下さい!!」
ピンクのフリルエプロンを渡されそうになり、全力で拒否すると、デイビッドも他の生徒同様自分のエプロンをかけた。
「まずはレモンカードを作ります。材料の分量を計って最初にボールに入れるのはーー…」
マダム・ネリーが指導に回る間、デイビッドは先に各作業を進め、工程別に分けたボールをいくつも用意していると、一番遅かったグループが追いついてきたのでマダムもデイビッドの元へ戻って来た。
「あら、貴方ずいぶんと要領が良くなったのねぇ。それにどれも申し分ない出来だわ。こんなに腕を上げてくれたなんて、とても嬉しいわねぇ。私も教えた甲斐があったわ。」
「そりゃどうも…」
タルト生地を型に敷き、ピケして下焼きをしている間にフィリングのレモンカードとメレンゲを泡立てる。
周りが機材を使って素早く卵白を泡立てる間、デイビッドはひたすらボールをかき回していた。
「デイビッド先生は魔導式の泡立て器は使わないんですか?便利なのに。」
「使えねぇんだよ。俺じゃ反応しねぇの。いつだって全工程手作業だよ!」
それでもきめ細やかでしっかりとツノの立つメレンゲが出来上がると、そこからはスピード勝負。
焼き上がったタルトに、レモンカードを流し入れメレンゲとレモンのコンフィを飾ってオーブンへ。
焼いている間も生徒達への指導で忙しいマダムに代わり、デイビッドが片付けと次の工程の用意をする。
「魔導オーブンは焦げる心配はありませんが、手動の旧式オーブンでは決して火から目を離してはなりません。」
チリチリとメレンゲに焼き色がついてきたら、直ぐに焦げてしまうので張り付いて見ていないといけない。
工程別に作ったボールを全て完成まで持っていき、マダムの手元にはレモンタルトが10も出来上がり、焼けた順に取り出されていく。
「焼き加減も彩りも完璧ね。お店に出しても文句無しの出来じゃなくて?」
焼き立てのタルトにレモンバームとミントの葉を飾り、断面と味を確認するために切り分けて生徒に配る。
マダムはまず一口食べて嬉しそうに笑った。
「あらあらあら!腕を上げたなんてものではなかったわね。貴方、私のお店に来ない?ここまで忠実に…いいえ?舌がいいせいかしら、それ以上の出来だわ。すごいじゃないの!」
オーブンの前でしゃがんで焼き加減を見ていたデイビッドの頭を、マダムは子供にしてやるように優しく撫でた。
「そういうのいいんで…」
「頑張った子はちゃんと褒めたいのよ。今まで数え切れない程指導はしてきたけれど、これほど美味しく仕上げた生徒は他にいないわ。その才能にもっと早くに気が付いていれば別の道もあったのに。」
「気ままに焼く程度が一番性に合ってますから…」
気まま…最近は気ままというより脅迫される事もあるが…
生徒達は配られたケーキを食べて感動していた。
「うわぁ!美味しい!」
「流石マダム・ネリーのケーキ!」
「こんなに美味しいレモンタルト初めて!」
マダムは生徒達の焼いたタルトの出来栄えを見て、最後の工程の指導をしながら、授業のまとめに入った。
抑えるポイント、材料を混ぜるタイミング、アレンジ方法、生徒達はひとつも聞き漏らすまいと、真剣にノートを取っている。
マダムが指導用の調理台に戻ると、使われた形跡すら残さずピカピカにされていた。
「惜しい事をしたわ。怪我人の暇潰しだなんて思わずに、もっとしつこく貴方を勧誘しておくべきでした。貴方の焼いたケーキ、私が作るより美味しいわ。こんなに悔しい思いは久しぶりよ?だからお菓子作りって止められないの。」
「買い被りすぎでしょう。普通に教えられた通り作って出来たものですよ?」
「恐らく、材料を分量の他に味と香りで測っているのでしょうね。通常では感じ取れない微細な変化を貴方は味わい分けているのよ。それじゃ流石の私も敵わないわね。」
「先生のお作りになるケーキはいつでも最高ですよ。」
「あら嬉しい!私も少し火がついてしまったわ。帰ったら早速色々試してみなくっちゃ!」
まるで少女のように笑うマダムの元へ、生徒達が次々と質問に来る。
デイビッドが空いた皿を洗っていると、こちらにも生徒が数名やって来た。
「あの、デイビッド先生…聞いてもいいですか…?」
「ん?ああ、なんか用か?」
「ミセス・メルバの謎解きのケーキを完成させたって本当ですか?」
「…人違いじゃねぇの?」
「で、でも、ローラが言ってたんです!ケーキの謎は解けた!って…」
「あー、本に出てた花の焼き菓子か。古いやり方で雑に作ったヤツだから、美味いかどうか知らねぇよ?」
「朗読会にたまたまいらしていたシリーズの作者が口にして、これこそメルバの少女時代を表した乙女のケーキだって絶賛されたそうです。」
「どこまで流れてったんだアレ…」
まずローラが学園の読書愛好会に持ち込み、メンバーの一人が市井のファンクラブに持って行き、更にその中の誰かがメルバシリーズの朗読会へ…と人から人へ手渡され、ほんの小さな一切れとなったそれは、最後の最後に偶然現れた執筆者の口に入って終わったそうな。
「完成もなにも、労働者が仕事の合間に作る焼き菓子だから、そんな大層なもんじゃねぇはずなんだけどな…」
「そんな事ないわ。姪が大喜びしていたもの。私にも再現できなかったケーキよ?少しは誇りなさい!」
そこへマダムが来てデイビッドの前に座った。
「ミセス・メルバの“春待つ乙女の花のケーキ”。あれはね、私が少女の頃、お祖母様が作って下さったケーキなのよ。レシピは母に受け継がれたけれど、私が忙しくしている内にどちらも亡くなってしまって…最後にそのケーキを食べたのは姪だったわ。でももうレシピはどこかに行ってしまって見つからなかった。」
その後何度も挑戦してみたが、なかなかコレといったものは出来ず、その都度姪と2人でがっかりしたそうだ。
そしてその姪が後に小説家となり、叔母をモデルに書き出したのが“ミセス・メルバの魔法料理店”。
作中の料理はほとんどマダム・ネリーの監修だが、このケーキだけは詳細が分からず、逆に謎にしてしまう事で、読者に情報を求めたのだそうだ。
「そしてついに辿り着いたのが貴方よ。3年も前に会っていたというのに、縁って不思議なものね。さぁ、作ってちょうだい?」
「え?今ここで?!」
「そのために呼んだんだもの。ここなら必要な物は全て揃っているでしょう。今度は私が生徒よ?」
「……花…採って来るんで、待ってて下さい…」
しばらくして、カゴいっぱいに青い花を詰めて戻ったデイビッドは、皆の前でもうひとつケーキを焼くことになった。
それを食べたマダム・ネリーは、それはそれは喜んで、ケーキを大切に包んで持って帰ったそうだ。
元々デイビッドが担当に割り振られたコマではあったが、初日から外部講師を招き、本格的なプロのワザを指導すると言って逃げた。
今日はその3回目。
やって来たのは有名な料理研究家にして、かつて王都中の女性達を虜にしたパティシエールの元チーフ。
とても朗らかで優しげな高齢のマダムがにこにこしながら立っている。
「皆さん、今日はよろしくお願いしますね。」
ほっそりとした腰にエプロンをまとい、凛々しい佇まいの彼女こそ本日の主役。
マダム・ネリーの登場に、教室中がそわそわしている。
「今日はこちらの本に出てきたケーキを焼いてみようと思います。ミセス・メルバシリーズの第1巻…皆さんお読みになった事はありますか?今回作るのは序章に出てくる“旅立つ日の夜明けのケーキ”基本のレモンタルトを…」
「あのー…口挟んで申し訳ないんですけど、俺ここにいる必要ありますか…?」
マダムの横には、さっきから居心地を悪くしたデイビッドが立たされている。
「あらダメよ、いなくなっちゃ。今日の貴方は私の助手なんですからね?まぁなんですかエプロンも付けずに。無いなら私のフリルでよろしければ予備をお貸ししましょうか?」
「自前のするんで勘弁して下さい!!」
ピンクのフリルエプロンを渡されそうになり、全力で拒否すると、デイビッドも他の生徒同様自分のエプロンをかけた。
「まずはレモンカードを作ります。材料の分量を計って最初にボールに入れるのはーー…」
マダム・ネリーが指導に回る間、デイビッドは先に各作業を進め、工程別に分けたボールをいくつも用意していると、一番遅かったグループが追いついてきたのでマダムもデイビッドの元へ戻って来た。
「あら、貴方ずいぶんと要領が良くなったのねぇ。それにどれも申し分ない出来だわ。こんなに腕を上げてくれたなんて、とても嬉しいわねぇ。私も教えた甲斐があったわ。」
「そりゃどうも…」
タルト生地を型に敷き、ピケして下焼きをしている間にフィリングのレモンカードとメレンゲを泡立てる。
周りが機材を使って素早く卵白を泡立てる間、デイビッドはひたすらボールをかき回していた。
「デイビッド先生は魔導式の泡立て器は使わないんですか?便利なのに。」
「使えねぇんだよ。俺じゃ反応しねぇの。いつだって全工程手作業だよ!」
それでもきめ細やかでしっかりとツノの立つメレンゲが出来上がると、そこからはスピード勝負。
焼き上がったタルトに、レモンカードを流し入れメレンゲとレモンのコンフィを飾ってオーブンへ。
焼いている間も生徒達への指導で忙しいマダムに代わり、デイビッドが片付けと次の工程の用意をする。
「魔導オーブンは焦げる心配はありませんが、手動の旧式オーブンでは決して火から目を離してはなりません。」
チリチリとメレンゲに焼き色がついてきたら、直ぐに焦げてしまうので張り付いて見ていないといけない。
工程別に作ったボールを全て完成まで持っていき、マダムの手元にはレモンタルトが10も出来上がり、焼けた順に取り出されていく。
「焼き加減も彩りも完璧ね。お店に出しても文句無しの出来じゃなくて?」
焼き立てのタルトにレモンバームとミントの葉を飾り、断面と味を確認するために切り分けて生徒に配る。
マダムはまず一口食べて嬉しそうに笑った。
「あらあらあら!腕を上げたなんてものではなかったわね。貴方、私のお店に来ない?ここまで忠実に…いいえ?舌がいいせいかしら、それ以上の出来だわ。すごいじゃないの!」
オーブンの前でしゃがんで焼き加減を見ていたデイビッドの頭を、マダムは子供にしてやるように優しく撫でた。
「そういうのいいんで…」
「頑張った子はちゃんと褒めたいのよ。今まで数え切れない程指導はしてきたけれど、これほど美味しく仕上げた生徒は他にいないわ。その才能にもっと早くに気が付いていれば別の道もあったのに。」
「気ままに焼く程度が一番性に合ってますから…」
気まま…最近は気ままというより脅迫される事もあるが…
生徒達は配られたケーキを食べて感動していた。
「うわぁ!美味しい!」
「流石マダム・ネリーのケーキ!」
「こんなに美味しいレモンタルト初めて!」
マダムは生徒達の焼いたタルトの出来栄えを見て、最後の工程の指導をしながら、授業のまとめに入った。
抑えるポイント、材料を混ぜるタイミング、アレンジ方法、生徒達はひとつも聞き漏らすまいと、真剣にノートを取っている。
マダムが指導用の調理台に戻ると、使われた形跡すら残さずピカピカにされていた。
「惜しい事をしたわ。怪我人の暇潰しだなんて思わずに、もっとしつこく貴方を勧誘しておくべきでした。貴方の焼いたケーキ、私が作るより美味しいわ。こんなに悔しい思いは久しぶりよ?だからお菓子作りって止められないの。」
「買い被りすぎでしょう。普通に教えられた通り作って出来たものですよ?」
「恐らく、材料を分量の他に味と香りで測っているのでしょうね。通常では感じ取れない微細な変化を貴方は味わい分けているのよ。それじゃ流石の私も敵わないわね。」
「先生のお作りになるケーキはいつでも最高ですよ。」
「あら嬉しい!私も少し火がついてしまったわ。帰ったら早速色々試してみなくっちゃ!」
まるで少女のように笑うマダムの元へ、生徒達が次々と質問に来る。
デイビッドが空いた皿を洗っていると、こちらにも生徒が数名やって来た。
「あの、デイビッド先生…聞いてもいいですか…?」
「ん?ああ、なんか用か?」
「ミセス・メルバの謎解きのケーキを完成させたって本当ですか?」
「…人違いじゃねぇの?」
「で、でも、ローラが言ってたんです!ケーキの謎は解けた!って…」
「あー、本に出てた花の焼き菓子か。古いやり方で雑に作ったヤツだから、美味いかどうか知らねぇよ?」
「朗読会にたまたまいらしていたシリーズの作者が口にして、これこそメルバの少女時代を表した乙女のケーキだって絶賛されたそうです。」
「どこまで流れてったんだアレ…」
まずローラが学園の読書愛好会に持ち込み、メンバーの一人が市井のファンクラブに持って行き、更にその中の誰かがメルバシリーズの朗読会へ…と人から人へ手渡され、ほんの小さな一切れとなったそれは、最後の最後に偶然現れた執筆者の口に入って終わったそうな。
「完成もなにも、労働者が仕事の合間に作る焼き菓子だから、そんな大層なもんじゃねぇはずなんだけどな…」
「そんな事ないわ。姪が大喜びしていたもの。私にも再現できなかったケーキよ?少しは誇りなさい!」
そこへマダムが来てデイビッドの前に座った。
「ミセス・メルバの“春待つ乙女の花のケーキ”。あれはね、私が少女の頃、お祖母様が作って下さったケーキなのよ。レシピは母に受け継がれたけれど、私が忙しくしている内にどちらも亡くなってしまって…最後にそのケーキを食べたのは姪だったわ。でももうレシピはどこかに行ってしまって見つからなかった。」
その後何度も挑戦してみたが、なかなかコレといったものは出来ず、その都度姪と2人でがっかりしたそうだ。
そしてその姪が後に小説家となり、叔母をモデルに書き出したのが“ミセス・メルバの魔法料理店”。
作中の料理はほとんどマダム・ネリーの監修だが、このケーキだけは詳細が分からず、逆に謎にしてしまう事で、読者に情報を求めたのだそうだ。
「そしてついに辿り着いたのが貴方よ。3年も前に会っていたというのに、縁って不思議なものね。さぁ、作ってちょうだい?」
「え?今ここで?!」
「そのために呼んだんだもの。ここなら必要な物は全て揃っているでしょう。今度は私が生徒よ?」
「……花…採って来るんで、待ってて下さい…」
しばらくして、カゴいっぱいに青い花を詰めて戻ったデイビッドは、皆の前でもうひとつケーキを焼くことになった。
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カクヨムで公開したものに手を入れたものです。