181 / 411
黒豚令息と訳あり令嬢の学園生活〜怒涛の進学編〜
港へ
しおりを挟む
日曜の朝早く、デイビッドはエリック達の昼食を作り置いて、出かける支度を整えた。
ファルコは早くから外に出て、ご機嫌で遊んでいる。
そこへカインがやって来た。
「ずいぶん早いな。荷物それだけでいいのか?」
「ああ。言われた通りグローブと、上着は厚手の奴にしてきた。なんか手伝おうか?」
「いや、いい。大丈夫ならもう出ようか。」
ファルコにカインを先に乗せ、後ろの荷台に自分も足をかけると、ファルコが羽ばたき出した。
顔を出したエリックに手を振ると、ファルコが駆け出し地上は直ぐに遠くなる。
「ハァーーー!やっぱスゲェーー!!」
「鐙から足を離すなよ?!旋回するぞ!?」
ファルコは昨日より少し大胆な動きで速度を上げ、くるくると回りながら上昇し、風を切って郊外の道の上を飛んでいった。
「ワァァー!空が迫って来る!目が回りそうだ!」
「手綱を握れ。馬と同じだ。こっちが制御しねぇと振り落とされるぞ?」
ベルトで繋がっているとは言え、宙ぶらりんにされるのはまずい。
港まで障害物がないので、直線で速度を上げるファルコは抑えていないと簡単に最高速度を出そうとする。
「…で…ダメか?」
「ああ?なんだ?!」
「一番早く飛んでみたらダメか?!」
「…ぜってぇ手ぇ離すなよ?!」
ファルコは良しの合図が出たので、喜んで羽を翻した。
地上の生物には決して越えられない、空の覇者の本気の速度でファルコは港を目指した。
「おーい、カイン。大丈夫か?」
「おぉ…」
港の直ぐ横の馬小屋で、カインは水を飲むファルコの横でひっくり返っていた。
「あの速さは俺も初めてだったよ。すげぇな、まだあれから20分しかたってねぇや。」
「は…はやかった…俺達、風になってた…」
「風超えてたろ…で、どうだった?」
「どうって…?もう最高過ぎて言葉が出て来ねぇよ!こんな日が本当に来るなんて思わなかった…人生で一番楽しい日だ!!」
寝転んだまま全身で喜びを表すカインを起こすと、デイビッドは今日の目的のため市場へ向かった。
「うわぁ…でっかい船だなぁ。」
「ジッキンゲンの大型のパドルシップだ。あれにも乗ってみるか?」
「いや、船はいいや。船酔いするんだ俺…ボートで精いっぱいだ。」
「3日も乗ってりゃ、どんな波が来ても甲板に立ってられるようになるぞ?!」
「ハハハ!お前船にも乗るのか?なんでもありだな!」
港のメルカートは、今朝の積み荷と買付けの商人達で大賑わいだ。
デイビッドはアデラから来た果実と、不思議な木の実の箱を開けて満足そうにすると、担当者に何か言付けて別の場所へ向かった。
「今のでっかいの何の実だ?」
「アレか、カカオだよ。チョコレートの原料だ。」
「チョコって木の実からできるのか?!知らなかった!」
「俺はもう少し回るから、なんか好きなもん見て来いよ。」
「そうか?じゃあ剣とか見たいんだけど…」
「あそこの青い旗の先が鍛冶屋の並びだから行ってみな。そんなに広くねぇから後で探しに行く。」
「わかった!!じゃあ後でな!?」
カインが行ってしまうと、デイビッドは再び仕入れの品を確認しながら良さそうな物を手に入れていった。
アデラと帝国から来た果物の荷物を眺めていると、積み荷の向こうから誰かが手を降っていた。
「おにーさん!おにーさーん!!」
「ん?ああ!あの時の坊主か!?」
「久しぶり!おにーさんも買い物に来たの?」
昨年春の終わり頃、ここへ来た時にジューススタンドを引いて売り歩いていた少年が飛び跳ねながら寄って来る。
「よぉ!元気そうだな。どうだ?店の調子は?」
「もうホントにすごいよ!?おにーさんが来てくれた後にさ、すっごい大きなお店の偉い人が来て、家のジュースの作り方を是非使わせてくれって父さんと話ししてったんだ!そしたらジャムみたいな瓶詰めになってさ、家でも売ってるけどすごい人気なんだ!」
「そうか、そりゃ良かったな。」
「瓶詰めが売れると家にもお金が入るんだって。おかげで母さんの薬も買えたし、お姉ちゃんも学校行けるって喜んでた!」
「へえ。どんな客が買ってくんだ?」
「女の人が多いよ。でも商団のおじさんとか、あと旅の人も欲しがるんだ。」
「なるほどねぇ…携帯栄養か…」
「瓶の模様にね、俺の絵が描いてあるんだよ!?ジュースのワゴン引いてるとこがそのまま貼ってあるんだ!」
嬉しそうにペラペラ喋る少年は、デイビッドの正体を知らない。
例のフルーツペーストは様々な所で役に立っているようで、それを実感できたデイビッドは内心喜んでいた。
少年と別れてからも目欲しい積み荷を回って物色し終えると、次は鍛冶屋街へ向かう。
くず鉄を溶かして型に流し入れている職人達や、港から入って来た武器や道具を運ぶ人足を眺めながらカインを探すと、真ん中辺りの小さな店の中で真剣な顔をしているのを見つけた。
「なんか気になる物でもあったか?」
「デイビッド!もう用事は済んだのか?」
「粗方な。何見てるのかと思ったら剣か。買うのか?」
「いやぁ、買えねぇよ!ただ見てただけさ…」
カインの目の先には、一振りのロングソードが飾られている。
「騎士団に入るなら、支給の剣もいいけど、やっぱりいつか自分の剣も手に入れたいなーなんて思ってただけだよ。」
鍛冶屋街を抜けると、そこは屋台の並ぶ飯屋の広場だった。
朝の早い労働者達は昼前には腹が減るので、ここは常に賑わっている。
「いい匂いだなぁ!美味そうな屋台がいっぱいだ!」
「一回り見て行くか…」
そろそろこちらも腹拵えするかと見回すと、あっという間に人が来て捕まってしまった。
「若旦那!お久しぶりじゃないですか!?」
「あ、本当だ!若旦那、来てたなら声掛けて下さいよ!」
「げ!見つかった!」
逃げようとする何本も手が伸びてきて、空いていた席に座らされ、あれよという間に屋台の飯が並べられる。
「若旦那って…お前実は凄いとこのお坊ちゃんなんじゃねぇのかよ?!」
「ただの商家だよ…親父が手広くて顔が割れてるから、こういうトコじゃ気ぃ遣われて面倒なんだけどよ…。」
「さぁさぁ!お二人共、若いんだから食べて食べて!!」
「気に入ったらお包みしますよ?!お土産にいかが?」
「アデラから入った味付けが近頃評判良くて!どうだい若旦那?」
「何か飲むかい?若い人に人気なのはソーダ入りの果実水なんだけど、甘くないハーブ水も売れ行きが良くてねぇ!」
代わる代わるテーブルに現れる人々と、その度短い会話をしながら食事が進む。
「すげぇウマい!何だコレ?」
「羊肉だな。削いで野菜と薄焼き生地に巻いてあるのか…」
「ピリ辛なのが中の甘いソースと合っててクセになるな!」
「チーズの種類も増えたな…」
「こっちの揚げたのもウマい!!この黒いソースがとにかくなんにでも合う!」
「果物と野菜…香草…スパイス…かなり煮詰めてあるのに旨味があって…味が濃いのも肉体労働の後にはうってつけってワケか。」
あれこれ考えながら2人で食事を楽しんでいると、何やらバルの並びの方から荒っぽい声がいくつも聞こえ、女性が何人か走って来るのが見えた。
「揉め事か?」
「風貌から見て冒険者って奴だな。」
冒険者とは便利な言葉だ。
荒くれ者もチンピラもヤクザ崩れも関係ない。
破落戸も傭兵上がりも元盗賊も、ギルドに登録してしまえば皆“冒険者”だ。
その日暮らしの日雇い労働者を、ずいぶんと耳障りの良い言い方で都合良く隠してしまったものだ。
酒瓶を片手に昼の前から酔った男共が数人、若い男性をいたぶっている。
怒声と下卑た笑い声がやたら響いてうるさい。
どうしたものかと考えていると、殴り飛ばされた若者がデイビッド達のテーブルの所まで吹き飛ばされてきた。
ファルコは早くから外に出て、ご機嫌で遊んでいる。
そこへカインがやって来た。
「ずいぶん早いな。荷物それだけでいいのか?」
「ああ。言われた通りグローブと、上着は厚手の奴にしてきた。なんか手伝おうか?」
「いや、いい。大丈夫ならもう出ようか。」
ファルコにカインを先に乗せ、後ろの荷台に自分も足をかけると、ファルコが羽ばたき出した。
顔を出したエリックに手を振ると、ファルコが駆け出し地上は直ぐに遠くなる。
「ハァーーー!やっぱスゲェーー!!」
「鐙から足を離すなよ?!旋回するぞ!?」
ファルコは昨日より少し大胆な動きで速度を上げ、くるくると回りながら上昇し、風を切って郊外の道の上を飛んでいった。
「ワァァー!空が迫って来る!目が回りそうだ!」
「手綱を握れ。馬と同じだ。こっちが制御しねぇと振り落とされるぞ?」
ベルトで繋がっているとは言え、宙ぶらりんにされるのはまずい。
港まで障害物がないので、直線で速度を上げるファルコは抑えていないと簡単に最高速度を出そうとする。
「…で…ダメか?」
「ああ?なんだ?!」
「一番早く飛んでみたらダメか?!」
「…ぜってぇ手ぇ離すなよ?!」
ファルコは良しの合図が出たので、喜んで羽を翻した。
地上の生物には決して越えられない、空の覇者の本気の速度でファルコは港を目指した。
「おーい、カイン。大丈夫か?」
「おぉ…」
港の直ぐ横の馬小屋で、カインは水を飲むファルコの横でひっくり返っていた。
「あの速さは俺も初めてだったよ。すげぇな、まだあれから20分しかたってねぇや。」
「は…はやかった…俺達、風になってた…」
「風超えてたろ…で、どうだった?」
「どうって…?もう最高過ぎて言葉が出て来ねぇよ!こんな日が本当に来るなんて思わなかった…人生で一番楽しい日だ!!」
寝転んだまま全身で喜びを表すカインを起こすと、デイビッドは今日の目的のため市場へ向かった。
「うわぁ…でっかい船だなぁ。」
「ジッキンゲンの大型のパドルシップだ。あれにも乗ってみるか?」
「いや、船はいいや。船酔いするんだ俺…ボートで精いっぱいだ。」
「3日も乗ってりゃ、どんな波が来ても甲板に立ってられるようになるぞ?!」
「ハハハ!お前船にも乗るのか?なんでもありだな!」
港のメルカートは、今朝の積み荷と買付けの商人達で大賑わいだ。
デイビッドはアデラから来た果実と、不思議な木の実の箱を開けて満足そうにすると、担当者に何か言付けて別の場所へ向かった。
「今のでっかいの何の実だ?」
「アレか、カカオだよ。チョコレートの原料だ。」
「チョコって木の実からできるのか?!知らなかった!」
「俺はもう少し回るから、なんか好きなもん見て来いよ。」
「そうか?じゃあ剣とか見たいんだけど…」
「あそこの青い旗の先が鍛冶屋の並びだから行ってみな。そんなに広くねぇから後で探しに行く。」
「わかった!!じゃあ後でな!?」
カインが行ってしまうと、デイビッドは再び仕入れの品を確認しながら良さそうな物を手に入れていった。
アデラと帝国から来た果物の荷物を眺めていると、積み荷の向こうから誰かが手を降っていた。
「おにーさん!おにーさーん!!」
「ん?ああ!あの時の坊主か!?」
「久しぶり!おにーさんも買い物に来たの?」
昨年春の終わり頃、ここへ来た時にジューススタンドを引いて売り歩いていた少年が飛び跳ねながら寄って来る。
「よぉ!元気そうだな。どうだ?店の調子は?」
「もうホントにすごいよ!?おにーさんが来てくれた後にさ、すっごい大きなお店の偉い人が来て、家のジュースの作り方を是非使わせてくれって父さんと話ししてったんだ!そしたらジャムみたいな瓶詰めになってさ、家でも売ってるけどすごい人気なんだ!」
「そうか、そりゃ良かったな。」
「瓶詰めが売れると家にもお金が入るんだって。おかげで母さんの薬も買えたし、お姉ちゃんも学校行けるって喜んでた!」
「へえ。どんな客が買ってくんだ?」
「女の人が多いよ。でも商団のおじさんとか、あと旅の人も欲しがるんだ。」
「なるほどねぇ…携帯栄養か…」
「瓶の模様にね、俺の絵が描いてあるんだよ!?ジュースのワゴン引いてるとこがそのまま貼ってあるんだ!」
嬉しそうにペラペラ喋る少年は、デイビッドの正体を知らない。
例のフルーツペーストは様々な所で役に立っているようで、それを実感できたデイビッドは内心喜んでいた。
少年と別れてからも目欲しい積み荷を回って物色し終えると、次は鍛冶屋街へ向かう。
くず鉄を溶かして型に流し入れている職人達や、港から入って来た武器や道具を運ぶ人足を眺めながらカインを探すと、真ん中辺りの小さな店の中で真剣な顔をしているのを見つけた。
「なんか気になる物でもあったか?」
「デイビッド!もう用事は済んだのか?」
「粗方な。何見てるのかと思ったら剣か。買うのか?」
「いやぁ、買えねぇよ!ただ見てただけさ…」
カインの目の先には、一振りのロングソードが飾られている。
「騎士団に入るなら、支給の剣もいいけど、やっぱりいつか自分の剣も手に入れたいなーなんて思ってただけだよ。」
鍛冶屋街を抜けると、そこは屋台の並ぶ飯屋の広場だった。
朝の早い労働者達は昼前には腹が減るので、ここは常に賑わっている。
「いい匂いだなぁ!美味そうな屋台がいっぱいだ!」
「一回り見て行くか…」
そろそろこちらも腹拵えするかと見回すと、あっという間に人が来て捕まってしまった。
「若旦那!お久しぶりじゃないですか!?」
「あ、本当だ!若旦那、来てたなら声掛けて下さいよ!」
「げ!見つかった!」
逃げようとする何本も手が伸びてきて、空いていた席に座らされ、あれよという間に屋台の飯が並べられる。
「若旦那って…お前実は凄いとこのお坊ちゃんなんじゃねぇのかよ?!」
「ただの商家だよ…親父が手広くて顔が割れてるから、こういうトコじゃ気ぃ遣われて面倒なんだけどよ…。」
「さぁさぁ!お二人共、若いんだから食べて食べて!!」
「気に入ったらお包みしますよ?!お土産にいかが?」
「アデラから入った味付けが近頃評判良くて!どうだい若旦那?」
「何か飲むかい?若い人に人気なのはソーダ入りの果実水なんだけど、甘くないハーブ水も売れ行きが良くてねぇ!」
代わる代わるテーブルに現れる人々と、その度短い会話をしながら食事が進む。
「すげぇウマい!何だコレ?」
「羊肉だな。削いで野菜と薄焼き生地に巻いてあるのか…」
「ピリ辛なのが中の甘いソースと合っててクセになるな!」
「チーズの種類も増えたな…」
「こっちの揚げたのもウマい!!この黒いソースがとにかくなんにでも合う!」
「果物と野菜…香草…スパイス…かなり煮詰めてあるのに旨味があって…味が濃いのも肉体労働の後にはうってつけってワケか。」
あれこれ考えながら2人で食事を楽しんでいると、何やらバルの並びの方から荒っぽい声がいくつも聞こえ、女性が何人か走って来るのが見えた。
「揉め事か?」
「風貌から見て冒険者って奴だな。」
冒険者とは便利な言葉だ。
荒くれ者もチンピラもヤクザ崩れも関係ない。
破落戸も傭兵上がりも元盗賊も、ギルドに登録してしまえば皆“冒険者”だ。
その日暮らしの日雇い労働者を、ずいぶんと耳障りの良い言い方で都合良く隠してしまったものだ。
酒瓶を片手に昼の前から酔った男共が数人、若い男性をいたぶっている。
怒声と下卑た笑い声がやたら響いてうるさい。
どうしたものかと考えていると、殴り飛ばされた若者がデイビッド達のテーブルの所まで吹き飛ばされてきた。
47
あなたにおすすめの小説
国王一家は堅実です
satomi
恋愛
オスメーモ王国…そこは国王一家は麗しくいつも輝かんばかりのドレスなどを身につけている。
その実態は、国王一家は国民と共に畑を耕したり、国民(子供)に読み書きを教えたり庶民的な生活をしている。
国王には現在愛する妻と双子の男女の子に恵まれ、幸せに生活している。
外部に行くときは着飾るが、領地に戻れば庶民的で非常に無駄遣いをしない王族である。
国庫は大事に。何故か、厨房担当のワーグが王家の子どもたちからの支持を得ている。
『伯爵令嬢 爆死する』
三木谷夜宵
ファンタジー
王立学園の中庭で、ひとりの伯爵令嬢が死んだ。彼女は婚約者である侯爵令息から婚約解消を求められた。しかし、令嬢はそれに反発した。そんな彼女を、令息は魔術で爆死させてしまったのである。
その後、大陸一のゴシップ誌が伯爵令嬢が日頃から受けていた仕打ちを暴露するのであった。
カクヨムでも公開しています。
結婚30年、契約満了したので離婚しませんか?
おもちのかたまり
恋愛
恋愛・小説 11位になりました!
皆様ありがとうございます。
「私、旦那様とお付き合いも甘いやり取りもしたことが無いから…ごめんなさい、ちょっと他人事なのかも。もちろん、貴方達の事は心から愛しているし、命より大事よ。」
眉根を下げて笑う母様に、一発じゃあ足りないなこれは。と確信した。幸い僕も姉さん達も祝福持ちだ。父様のような力極振りではないけれど、三対一なら勝ち目はある。
「じゃあ母様は、父様が嫌で離婚するわけではないんですか?」
ケーキを幸せそうに頬張っている母様は、僕の言葉にきょとん。と目を見開いて。…もしかすると、母様にとって父様は、関心を向ける程の相手ではないのかもしれない。嫌な予感に、今日一番の寒気がする。
◇◇◇◇◇◇◇◇◇
20年前に攻略対象だった父親と、悪役令嬢の取り巻きだった母親の現在のお話。
ハッピーエンド・バットエンド・メリーバットエンド・女性軽視・女性蔑視
上記に当てはまりますので、苦手な方、ご不快に感じる方はお気を付けください。
傍観している方が面白いのになぁ。
志位斗 茂家波
ファンタジー
「エデワール・ミッシャ令嬢!貴方にはさまざな罪があり、この場での婚約破棄と国外追放を言い渡す!」
とある夜会の中で引き起こされた婚約破棄。
その彼らの様子はまるで……
「茶番というか、喜劇ですね兄さま」
「うん、周囲が皆呆れたような目で見ているからな」
思わず漏らしたその感想は、周囲も一致しているようであった。
これは、そんな馬鹿馬鹿しい婚約破棄現場での、傍観者的な立場で見ていた者たちの語りである。
「帰らずの森のある騒動記」という連載作品に乗っている兄妹でもあります。
力は弱くて魔法も使えないけど強化なら出来る。~俺を散々こき使ってきたパーティの人間に復讐しながら美少女ハーレムを作って魔王をぶっ倒します
枯井戸
ファンタジー
──大勇者時代。
誰も彼もが勇者になり、打倒魔王を掲げ、一攫千金を夢見る時代。
そんな時代に、〝真の勇者の息子〟として生を授かった男がいた。
名はユウト。
人々は勇者の血筋に生まれたユウトに、類稀な魔力の才をもって生まれたユウトに、救世を誓願した。ユウトもまた、これを果たさんと、自身も勇者になる事を信じてやまなかった。
そんなある日、ユウトの元へ、ひとりの中性的な顔立ちで、笑顔が爽やかな好青年が訪ねてきた。
「俺のパーティに入って、世界を救う勇者になってくれないか?」
そう言った男の名は〝ユウキ〟
この大勇者時代にすい星のごとく現れた、〝その剣技に比肩する者なし〟と称されるほどの凄腕の冒険者である。
「そんな男を味方につけられるなんて、なんて心強いんだ」と、ユウトはこれを快諾。
しかし、いままで大した戦闘経験を積んでこなかったユウトはどう戦ってよいかわからず、ユウキに助言を求めた。
「戦い方? ……そうだな。なら、エンチャンターになってくれ。よし、それがいい。ユウトおまえはエンチャンターになるべきだ」
ユウトは、多少はその意見に疑問を抱きつつも、ユウキに勧められるがまま、ただひたすらに付与魔法(エンチャント)を勉強し、やがて勇者の血筋だという事も幸いして、史上最強のエンチャンターと呼ばれるまでに成長した。
ところが、そればかりに注力した結果、他がおろそかになってしまい、ユウトは『剣もダメ』『付与魔法以外の魔法もダメ』『体力もない』という三重苦を背負ってしまった。それでもエンチャンターを続けたのは、ユウキの「勇者になってくれ」という言葉が心の奥底にあったから。
──だが、これこそがユウキの〝真の〟狙いだったのだ。
この物語は主人公であるユウトが、持ち前の要領の良さと、唯一の武器である付与魔法を駆使して、愉快な仲間たちを強化しながら成り上がる、サクセスストーリーである。
帰国した王子の受難
ユウキ
恋愛
庶子である第二王子は、立場や情勢やら諸々を鑑みて早々に隣国へと無期限遊学に出た。そうして年月が経ち、そろそろ兄(第一王子)が立太子する頃かと、感慨深く想っていた頃に突然届いた帰還命令。
取り急ぎ舞い戻った祖国で見たのは、修羅場であった。
【完結】婚約破棄される未来見えてるので最初から婚約しないルートを選びます
22時完結
恋愛
レイリーナ・フォン・アーデルバルトは、美しく品格高い公爵令嬢。しかし、彼女はこの世界が乙女ゲームの世界であり、自分がその悪役令嬢であることを知っている。ある日、夢で見た記憶が現実となり、レイリーナとしての人生が始まる。彼女の使命は、悲惨な結末を避けて幸せを掴むこと。
エドウィン王子との婚約を避けるため、レイリーナは彼との接触を避けようとするが、彼の深い愛情に次第に心を開いていく。エドウィン王子から婚約を申し込まれるも、レイリーナは即答を避け、未来を築くために時間を求める。
悪役令嬢としての運命を変えるため、レイリーナはエドウィンとの関係を慎重に築きながら、新しい道を模索する。運命を超えて真実の愛を掴むため、彼女は一人の女性として成長し、幸せな未来を目指して歩み続ける。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる