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黒豚令息と訳あり令嬢の学園生活〜怒涛の進学編〜
成果
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湯が湧くと真っ先にバケツに移し、負傷者達の身体を拭いていく。
「うえっタオルが真っ黒だ。」
「お前、かかとの皮ズル剥けてんじゃねぇかよ!痛そ~…」
「これ、足挫いてねぇか?すごい腫れてるぞ?!」
「手足が震えてる!なんか病気?!」
「低血糖発作だ。保存食の袋の中に飴かキャラメルが残ってっから口に入れてやれ!あとはすぐに薬草茶が沸くから、そっちの袋のモルトシロップ足して飲ませてやるといい。」
生徒同士おっかなびっくり手当てしている間に、米を炊き、鍋に鹿の脂を引いてサイコロ状にした肉を炒め、今朝作った余りを空き瓶に詰めておいたタレに絡めて皿に移し、同じ鍋でスープを作る。
新鮮な肉が豊富だったので使わなかった保存肉と、野菜のペーストと調味料を煮込み、とにかく速さ重視で品数を増やそうとするとここで生の野菜が足りなくなる。
それも仕方ないかと思っていると、カインと他数名の生徒が、思い思いに食べられる野草を集めて見せに来た。
「この草、来る時に摘んでたろ?ピリッとするヤツ!」
「タンポポなら、家でも取って食べてたから…」
「ソレルあったよ!酸っぱいから俺嫌いだけど!」
「やるじゃねぇかお前等!よし、直ぐ仕上げてやるよ!」
炊けた飯をタレと肉で炒め、野草のサラダとスープを添えて、少し重めの昼食が完成した。
「あーうめぇー!」
「肉と飯…至高…」
「これ日曜のメニューになんないかな。」
「タレは何とかなりそうだけど、肉はこの量無理だろ。」
「ってことは、いつもの飯より豪華なもん食ってんのか、俺達?」
「遠征訓練なのに?」
「今更気づいたのか君達…」
呑気な事を言う生徒達を、コールマンが少し遠い目で見ていた。
途中加わった生徒達も、差し出された器からゆっくり食事を口に運んでいる。
「どうだ?俺達の飯は?」
「貴族組の方で何食ってたか知らねぇけどさ、こっちのも悪くないだろ?」
「肉食えよ!肉!!」
4人は顔を見合わせながら驚きと戸惑いの表情をしている。
「お前等、ずっとこんな食事を摂ってたのか?訓練中なのに…?」
「保存食…なのか?!これが?」
「美味しい…すごく美味しいです!」
「どうせ碌なもん食ってなかったんだろ?いきなり腹に詰め込むなよ?歩けなくなるぞ?!」
4人の内、空腹と低血糖による症状が出ていた2人は、食べてすぐ顔色が戻り、手足の震えが止まって動けるようになっていた。
「俺達、騎士団で使われてるビスケットと干し肉とピクルスと、後は豆とオートミールくらいしか食べてなくてさ…」
「それも高位貴族からの差し入れだから、下っ端はほとんど食べる権利無くて…」
「自分の手持ちも、良いものは上に差し出さないと睨まれるんです。」
「とにかく上を気遣わなくちゃいけないから、精神的にも辛いし、怪我しても自分で何とかしなきゃなのにその時間も無くて…」
「保存食の料理もドロドロで食べる頃には冷めてて最悪だったな。」
「ところでこの料理は一体なんなんだ!?料理人でも連れてるのか?!部外者の参加は禁止じゃ…」
そこで改めて後続隊の8人はデイビッドの方を見た。
「どうだ?衛生兵の実力次第で隊の質はここまで変わる。実感したか?」
「すっげぇぇ!めっちゃ実感した!!」
「俺達、全員超元気だもんな!?」
「後はトップの質の問題だな。ありゃダメだ。どっか入って下積みになった途端使いもんにならねぇで泣き見るな。」
「新入生からもっと貴族的な身分意識を捨てさせて訓練させるべきですかね?!」
「上が実践しなきゃ無理だろうよ。講師があの調子じゃ、どんなに教えても無駄無駄。」
怪我した2人は治療してムスタに乗せる事になり、足の様子を見る。
「遠征に新品の靴履いてくるバカがいるか!!」
「うぅ…せっかく買ったのに…」
「こっちは捻挫か…このまま歩いたのか、だいぶ酷いな?湿布薬と添え木しといてやるから、帰ったら即シモンズ先生のとこ行って説教食らってこい。」
「は…はぁい…」
靴擦れの酷い生徒の足には包帯を巻き、表面に石鹸を擦り付けて摩擦を軽減する。
捻挫には膏薬を貼り、添え木と板で関節が動かないようキツめに固定しておく。
「そういやデイビッドはいつも飯の時お茶淹れるよな。なんかこだわってんの?」
「隊の状態で効能別に淹れてんだよ。疲労回復、栄養補給、発汗、解毒、精神安定…火を通せば水に当たることも無くなるし、気候から来る病気の予防にもなる。体に入れるもんなら、ただの水分補給で終わらせちゃもったいねぇだろ?」
「……その知識はどこで?」
「んー?クロノスでも教わったし、旅の途中の経験もあるし…後は軍人だった爺さんの受け売りかな。つってもガキの頃に亡くなってるから、残ってた手記とか読んでああそうかって思っただけだけどよ。」
「なる…ほど…?」
それを聞いたコールマンは納得のいかない顔をしていた。
食べ終わり、片付けを済ませてもまだまだ時間が余る。
先行隊と中隊から来た4人は疲れた様子で、陽だまりでうつらうつらしていた。
余程疲労が溜まっていたようだ。
午後になり、ようやく出発する頃には体力がだいぶ回復した2人が自隊に戻るかこのまま歩くか選ばされていた。
「良かったら…このまま一緒に戻ってもいいですか…?」
「僕も…向こうに行っても臭くて気持ち悪くなるだけだし…」
こうして後続隊は計12名とコールマンとデイビッドで進むことになった。
浅層は歩きやすく、魔物などの脅威もほとんどない。
和気あいあいと話をしながら元気に歩く後続隊に、後から入った4名は少し困惑していた。
その内に、一行は遂に森を抜け、元の入り口まで戻って来た。
「やったぁ!森から出られた!」
「でも、なんだかんだ楽しかったよな?!」
「飯がうまかった!飯が!!」
はしゃぐ後続隊と比べ、他隊の生徒達は地べたにへたり込み、動けない様子だった。
元気なのは馬に乗っていた貴族子息達くらいだ。
「全隊集合!ここで討伐の成果と記録を取る!近隣のギルドマスターが各隊を回るため、良く話を聞く様に!」
「「「はいっ!!」」」
近くの領から駆り出されたギルドマスターが、先行隊から順に回り、回収した大岩トカゲの討伐記録証明を出し、獲物を回収をするそうだ。
何かが入った大きな樽を荷台に乗せた従業員を引き連れ、ギルドマスターが書類に記録を残す間、今回の遠征隊の隊長役の生徒が口を出した。
「これは小隊ごとの成果にはなりませんか?一個隊としてはかなりその…実力に差がありまして、我々の努力が何の役にも立っていない連中にまで分配されるのは心外なのですが…」
ギルドマスターとしてはどうでもいいのだろうが、引率の教員陣の方を見ると大きく頷いているので、改めて成果は小隊ごとに精算されることになった。
「一番隊は6匹。5匹は頭部のみ。一体分確認。合格!」
「はいよ成果ロックリザード6匹と…」
教員が課題の合否を確認し、ギルドマスターが書類に要項を書き殴り、隊長役に無言で渡すと、従業員達が肉を樽に放り込んでいく。
「アレ…なんだ?」
「中に溶解処理用の人工のブロブか強酸性の粘性生物が入ってんだよ。肉でも骨でも何でも溶かして食ってくれるから、解体現場じゃ重宝するんだ。」
「スライムかぁ!じゃ、あのトカゲいらねぇんだ!?」
「腐った素材なんかいらねぇよ。証明が終わったらゴミだ!」
しかし、ギルドマスターの話はまだ続いていた。
「それから大角鹿一頭。これは大きいな、いい角だ。」
「お褒め頂きありがとうございます。」
先行隊の生徒がニヤニヤしながら頭を下げている。
(なんだよ…あれ仕留めたのデイビッドだろ?!)
(俺は構わねぇけどよ、討伐の虚偽申告は騎士でも冒険者でもご法度だ…バレたらただじゃ済まないから、お前等は真似すんなよ。)
「次、中隊の第1隊…」
腐った血肉の臭いに顔をしかめながら、退屈そうに各隊を回るギルドマスターが、とうとう後続隊の方へやって来た。
「うえっタオルが真っ黒だ。」
「お前、かかとの皮ズル剥けてんじゃねぇかよ!痛そ~…」
「これ、足挫いてねぇか?すごい腫れてるぞ?!」
「手足が震えてる!なんか病気?!」
「低血糖発作だ。保存食の袋の中に飴かキャラメルが残ってっから口に入れてやれ!あとはすぐに薬草茶が沸くから、そっちの袋のモルトシロップ足して飲ませてやるといい。」
生徒同士おっかなびっくり手当てしている間に、米を炊き、鍋に鹿の脂を引いてサイコロ状にした肉を炒め、今朝作った余りを空き瓶に詰めておいたタレに絡めて皿に移し、同じ鍋でスープを作る。
新鮮な肉が豊富だったので使わなかった保存肉と、野菜のペーストと調味料を煮込み、とにかく速さ重視で品数を増やそうとするとここで生の野菜が足りなくなる。
それも仕方ないかと思っていると、カインと他数名の生徒が、思い思いに食べられる野草を集めて見せに来た。
「この草、来る時に摘んでたろ?ピリッとするヤツ!」
「タンポポなら、家でも取って食べてたから…」
「ソレルあったよ!酸っぱいから俺嫌いだけど!」
「やるじゃねぇかお前等!よし、直ぐ仕上げてやるよ!」
炊けた飯をタレと肉で炒め、野草のサラダとスープを添えて、少し重めの昼食が完成した。
「あーうめぇー!」
「肉と飯…至高…」
「これ日曜のメニューになんないかな。」
「タレは何とかなりそうだけど、肉はこの量無理だろ。」
「ってことは、いつもの飯より豪華なもん食ってんのか、俺達?」
「遠征訓練なのに?」
「今更気づいたのか君達…」
呑気な事を言う生徒達を、コールマンが少し遠い目で見ていた。
途中加わった生徒達も、差し出された器からゆっくり食事を口に運んでいる。
「どうだ?俺達の飯は?」
「貴族組の方で何食ってたか知らねぇけどさ、こっちのも悪くないだろ?」
「肉食えよ!肉!!」
4人は顔を見合わせながら驚きと戸惑いの表情をしている。
「お前等、ずっとこんな食事を摂ってたのか?訓練中なのに…?」
「保存食…なのか?!これが?」
「美味しい…すごく美味しいです!」
「どうせ碌なもん食ってなかったんだろ?いきなり腹に詰め込むなよ?歩けなくなるぞ?!」
4人の内、空腹と低血糖による症状が出ていた2人は、食べてすぐ顔色が戻り、手足の震えが止まって動けるようになっていた。
「俺達、騎士団で使われてるビスケットと干し肉とピクルスと、後は豆とオートミールくらいしか食べてなくてさ…」
「それも高位貴族からの差し入れだから、下っ端はほとんど食べる権利無くて…」
「自分の手持ちも、良いものは上に差し出さないと睨まれるんです。」
「とにかく上を気遣わなくちゃいけないから、精神的にも辛いし、怪我しても自分で何とかしなきゃなのにその時間も無くて…」
「保存食の料理もドロドロで食べる頃には冷めてて最悪だったな。」
「ところでこの料理は一体なんなんだ!?料理人でも連れてるのか?!部外者の参加は禁止じゃ…」
そこで改めて後続隊の8人はデイビッドの方を見た。
「どうだ?衛生兵の実力次第で隊の質はここまで変わる。実感したか?」
「すっげぇぇ!めっちゃ実感した!!」
「俺達、全員超元気だもんな!?」
「後はトップの質の問題だな。ありゃダメだ。どっか入って下積みになった途端使いもんにならねぇで泣き見るな。」
「新入生からもっと貴族的な身分意識を捨てさせて訓練させるべきですかね?!」
「上が実践しなきゃ無理だろうよ。講師があの調子じゃ、どんなに教えても無駄無駄。」
怪我した2人は治療してムスタに乗せる事になり、足の様子を見る。
「遠征に新品の靴履いてくるバカがいるか!!」
「うぅ…せっかく買ったのに…」
「こっちは捻挫か…このまま歩いたのか、だいぶ酷いな?湿布薬と添え木しといてやるから、帰ったら即シモンズ先生のとこ行って説教食らってこい。」
「は…はぁい…」
靴擦れの酷い生徒の足には包帯を巻き、表面に石鹸を擦り付けて摩擦を軽減する。
捻挫には膏薬を貼り、添え木と板で関節が動かないようキツめに固定しておく。
「そういやデイビッドはいつも飯の時お茶淹れるよな。なんかこだわってんの?」
「隊の状態で効能別に淹れてんだよ。疲労回復、栄養補給、発汗、解毒、精神安定…火を通せば水に当たることも無くなるし、気候から来る病気の予防にもなる。体に入れるもんなら、ただの水分補給で終わらせちゃもったいねぇだろ?」
「……その知識はどこで?」
「んー?クロノスでも教わったし、旅の途中の経験もあるし…後は軍人だった爺さんの受け売りかな。つってもガキの頃に亡くなってるから、残ってた手記とか読んでああそうかって思っただけだけどよ。」
「なる…ほど…?」
それを聞いたコールマンは納得のいかない顔をしていた。
食べ終わり、片付けを済ませてもまだまだ時間が余る。
先行隊と中隊から来た4人は疲れた様子で、陽だまりでうつらうつらしていた。
余程疲労が溜まっていたようだ。
午後になり、ようやく出発する頃には体力がだいぶ回復した2人が自隊に戻るかこのまま歩くか選ばされていた。
「良かったら…このまま一緒に戻ってもいいですか…?」
「僕も…向こうに行っても臭くて気持ち悪くなるだけだし…」
こうして後続隊は計12名とコールマンとデイビッドで進むことになった。
浅層は歩きやすく、魔物などの脅威もほとんどない。
和気あいあいと話をしながら元気に歩く後続隊に、後から入った4名は少し困惑していた。
その内に、一行は遂に森を抜け、元の入り口まで戻って来た。
「やったぁ!森から出られた!」
「でも、なんだかんだ楽しかったよな?!」
「飯がうまかった!飯が!!」
はしゃぐ後続隊と比べ、他隊の生徒達は地べたにへたり込み、動けない様子だった。
元気なのは馬に乗っていた貴族子息達くらいだ。
「全隊集合!ここで討伐の成果と記録を取る!近隣のギルドマスターが各隊を回るため、良く話を聞く様に!」
「「「はいっ!!」」」
近くの領から駆り出されたギルドマスターが、先行隊から順に回り、回収した大岩トカゲの討伐記録証明を出し、獲物を回収をするそうだ。
何かが入った大きな樽を荷台に乗せた従業員を引き連れ、ギルドマスターが書類に記録を残す間、今回の遠征隊の隊長役の生徒が口を出した。
「これは小隊ごとの成果にはなりませんか?一個隊としてはかなりその…実力に差がありまして、我々の努力が何の役にも立っていない連中にまで分配されるのは心外なのですが…」
ギルドマスターとしてはどうでもいいのだろうが、引率の教員陣の方を見ると大きく頷いているので、改めて成果は小隊ごとに精算されることになった。
「一番隊は6匹。5匹は頭部のみ。一体分確認。合格!」
「はいよ成果ロックリザード6匹と…」
教員が課題の合否を確認し、ギルドマスターが書類に要項を書き殴り、隊長役に無言で渡すと、従業員達が肉を樽に放り込んでいく。
「アレ…なんだ?」
「中に溶解処理用の人工のブロブか強酸性の粘性生物が入ってんだよ。肉でも骨でも何でも溶かして食ってくれるから、解体現場じゃ重宝するんだ。」
「スライムかぁ!じゃ、あのトカゲいらねぇんだ!?」
「腐った素材なんかいらねぇよ。証明が終わったらゴミだ!」
しかし、ギルドマスターの話はまだ続いていた。
「それから大角鹿一頭。これは大きいな、いい角だ。」
「お褒め頂きありがとうございます。」
先行隊の生徒がニヤニヤしながら頭を下げている。
(なんだよ…あれ仕留めたのデイビッドだろ?!)
(俺は構わねぇけどよ、討伐の虚偽申告は騎士でも冒険者でもご法度だ…バレたらただじゃ済まないから、お前等は真似すんなよ。)
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