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黒豚令息と訳あり令嬢の学園生活〜怒涛の進学編〜
真逆の留学生
商業科も2年になり、一見落ち着きが出てきたように見えるが、単にそう見せる術を学んだが故に、仮面を被れるようになっただけで中身はあまり変わらない。
しかし、熱意だけは高いので、暴走さえしなければ教え甲斐のある生徒が多い。
「それじゃ、今日からしばらくはキリフ方面からの陸路経由の貿易品と、コストに関するとこをやっていこうと思ってんだが…手が上がったな、えーと…初顔か、名前は?」
「シュトラールです。アデラから来ました、短期留学生です!」
すると教室内がざわめいた。
「アデラですって!?」
「え?じゃぁ彼が?」
「うそ!わからなかったわ!」
それもそのはず、シュトラールと名乗った青年は、色白で金色の巻き髪に水色の瞳という、まるでラムダ人の様な姿をしていた。
「父がラムダの貴族でして、アデラでは珍しい色なのですが、こちらでは目立ちませんね。先生とは逆のようです。」
「ああ、フルーツカンパニーのチョコレート産業で有名なパレット社の跡取りか。あっちじゃ相当話題になってたな。で?質問は?」
「キリフへ支社を置きたいと思っているのですが、なかなか上手くいかなくて。チョコレート自体は売れるんですが、北の国でチョコレートを作るのは難しいですか?」
「チョコか…向こうで作るとなるとコスト面でつまづくんだろうな。カカオ豆自体熱い国で採れる作物だから、発酵から焙煎、撹拌までかなり熱量がいるし、加工して持ってくだけならあっちは寒いから溶ける心配はないしな。その方が楽っちゃ楽だ。」
「父と同じ事を仰るのですね。僕はチョコレートを通して人々に幸せになってもらいたくて、生産過程までをその国に根付かせるのが夢なんです!」
「その場合、品物自体の値段が変動して他の同商品と差が付かねぇか?」
「付きませんよ!僕の所で作るチョコレートは特別ですから!先生もご存知でしょう?」
「まぁな。」
するとまた他で手が上がる。
「はい質問!その、パレット社で扱う特別なチョコレートって、どんなチョコなんですか?」
「確かに、気になる!」
「教えてシュトラール君!」
シュトラールはニコッと笑って生徒の方を向くと、ポケットから取り出した銀紙の包みを破いて、真っ白な塊を皆に見せた。
「これが僕の扱う世界初、白いチョコレートです!」
「「「えええええ??」」」
皆の興味が一気に白いチョコに集まり、もうデイビッドの授業どころではなくなった。
「本当に白い!」
「雪みたい。味は?チョコレートのままなの?」
「甘くてとても美味しいですよ?これはどんな味にも変えられて、好きな色に染めることができる魔法のチョコレートなんです!」
「ステキー!!私食べてみたい!」
「もちろん!是非この国の方々にも知って頂きたいので、カフェで試食会などもさせて頂く予定です。」
シュトラールが微笑むと黄色い歓声が上がり、話の方向が全部チョコに持って行かれた。
「ま、いいんだけどよ。じゃぁ今日はキリフは止めてそっちの話でも聞くか?」
「聴きたーい!!」
「賛成!白いチョコレートなんて初めて見る!」
「どうやって作ってるの?」
「フフフ、それは秘密なんですよ。先生も、もしご存知なら、バラさないで下さいね?」
「そうなのか?交易の説明で親父さんはどんどん話してたけどな。」
「消費者にはミステリアスな方が魅力的なんですよ。暴かない秘密もあっていいじゃないですか?」
結局この日の授業は、ほとんどシュトラールへの質疑応答で終了し、珍しくデイビッドはあまり話すことなく講堂を後にした。
既に放課後の廊下は生徒で賑わい、課外活動に勤しむ者達の声があちこちから聞こえて来る。
相変わらず人気のない緑色の廊下に差し掛かると、後ろから声を掛けられた。
「やぁ、先生。さっきぶりですね。」
「シュトラールか、何の用だ?」
「僕、この国で成功したらそのまま商会の支部を任せもらえることになったんですよ。先生も、チョコレートを扱う加工場を持ってるんでしょ?って事はライバルですね。」
「まぁー…世間的にはそうなる?のか?そこは当事者の意識次第だろ。」
「少なくとも僕にとっては強力な競合相手です。ここは生徒も貴族が多くて、顧客を増やすには持って来いですね。僕は自分のやり方で集客しますので、邪魔だと思ったら貴方の事も容赦無く潰しにかかりますから、覚悟しておいて下さい。」
「ずいぶんと物騒な物言いだな…?」
「僕は欲しいと思った物は何が何でも手に入れないと気が済まない質なんですよ。例え人の物だとしても…それでは先生、またお会いしましょう。」
「あ…ああ…まぁ、好きにしろよ?!」
何かいきなり勝手にライバル視された挙句、喧嘩を売られたデイビッドは、この謎めいた留学生にこの後もしばらく絡まれることになる。
夕方近く、運搬用貯蔵庫の試験で届いた大きな魚をムニエルにしていると、シェルリアーナがやって来て何か難しい顔をしていた。
「ねぇ、アンタ白いチョコって食べた事ある?」
「あー、例の白チョコか。あるけど?」
「…あげる。さっき食堂で留学生が人集めて配ってて、是非って渡されたんだけど…正直、私あんまり好きじゃないわ…」
「確かに、甘さが際立ってるからお前の好みじゃねぇだろうな。コーヒーとか混ぜたら良いんじゃねぇか?」
「それでもクドいのよ…一口でもういいやってなっちゃう…」
そこへヴィオラもやって来た。
「デイビッド様!これ見て下さい!真っ白なチョコレートですって!」
「こっちもか…」
「甘くってまろやかで、ミルクの味がして、すごいですね、どうやって白くするんだろう?」
「チョコレートの油脂だけ抽出して練乳や粉乳を加えて固めて作ってんだよ。苦味や酸味がなくなるから、食べやすいだろ?」
「私これ大好き!今度このチョコでお菓子作って下さい!」
「そうか、ヴィオラは気に入ったか。わかった、なんか良いの考えとくよ。」
デイビッド自身、このチョコレートはなかなか面白い食材だと感じている。
加えるものの味をそのまま活かせて、見栄えもする。
使い方次第では、製菓の幅は更に開くと予想していた。
「ただいま~!あれ?皆して持ってるんですか、この白いチョコ!?」
「エリックも貰ったの?」
「教員室の差し入れでたくさん来てました。口溶けも良くて美味しいですよ。」
この日から、学園の中にはこの白いチョコレートがどこでも見られるようになった。
その内、シュトラールはデイビッドの周辺に手を出すようになって来た。
まず声を掛けられたのはシェルリアーナ。
「ミス・シェルリアーナ!少しお話させて頂いてもよろしいですか?」
「アラ、先日のチョコレートの留学生ですわね。何かご用かしら?」
「貴女に、是非とも我が社の宣伝モデルになって頂きたくて!どうかお願いできないでしょうか?!」
「私に?!」
「はい!貴女がモデルの都内のアイスショップの広告を拝見いたしまして、これ以上ないイメージが湧き上がり、どうしてもお誘いしたいと思いました!」
「そう。それは嬉しいのですけれど…私、この白いチョコレートあまり得意ではないの。残念だけれど他を当たって下さるかしら?」
「そんな…モデルが商品をみんな好きとは限らないでしょう?それに、雪の精霊の様な貴女なら、真っ白なこのチョコレートの素晴らしいイメージモデルになる事間違いない!報酬も弾みますよ!?」
「報酬…?貴方に、私が満足いく報酬が用意できるのかしら?」
シェルリアーナに凄まれて、シュトラールはたじろいだが、まだ諦めなかった。
「デュロックの跡取りは貴女をモデルに使ったのに?納得がいかない!僕が断られる理由は何ですか?!」
「さぁ、なんだと思う?」
「何か特別な報酬を用意すればいいですか…?」
「あら、だったらやはりお断りしますわ?!貴方に私の欲しい物なんてわからないでしょうから…失礼。」
踵を返して去って行くシェルリアーナの足取りは、優雅に見えてその実とても苛立っていた。
しかし、熱意だけは高いので、暴走さえしなければ教え甲斐のある生徒が多い。
「それじゃ、今日からしばらくはキリフ方面からの陸路経由の貿易品と、コストに関するとこをやっていこうと思ってんだが…手が上がったな、えーと…初顔か、名前は?」
「シュトラールです。アデラから来ました、短期留学生です!」
すると教室内がざわめいた。
「アデラですって!?」
「え?じゃぁ彼が?」
「うそ!わからなかったわ!」
それもそのはず、シュトラールと名乗った青年は、色白で金色の巻き髪に水色の瞳という、まるでラムダ人の様な姿をしていた。
「父がラムダの貴族でして、アデラでは珍しい色なのですが、こちらでは目立ちませんね。先生とは逆のようです。」
「ああ、フルーツカンパニーのチョコレート産業で有名なパレット社の跡取りか。あっちじゃ相当話題になってたな。で?質問は?」
「キリフへ支社を置きたいと思っているのですが、なかなか上手くいかなくて。チョコレート自体は売れるんですが、北の国でチョコレートを作るのは難しいですか?」
「チョコか…向こうで作るとなるとコスト面でつまづくんだろうな。カカオ豆自体熱い国で採れる作物だから、発酵から焙煎、撹拌までかなり熱量がいるし、加工して持ってくだけならあっちは寒いから溶ける心配はないしな。その方が楽っちゃ楽だ。」
「父と同じ事を仰るのですね。僕はチョコレートを通して人々に幸せになってもらいたくて、生産過程までをその国に根付かせるのが夢なんです!」
「その場合、品物自体の値段が変動して他の同商品と差が付かねぇか?」
「付きませんよ!僕の所で作るチョコレートは特別ですから!先生もご存知でしょう?」
「まぁな。」
するとまた他で手が上がる。
「はい質問!その、パレット社で扱う特別なチョコレートって、どんなチョコなんですか?」
「確かに、気になる!」
「教えてシュトラール君!」
シュトラールはニコッと笑って生徒の方を向くと、ポケットから取り出した銀紙の包みを破いて、真っ白な塊を皆に見せた。
「これが僕の扱う世界初、白いチョコレートです!」
「「「えええええ??」」」
皆の興味が一気に白いチョコに集まり、もうデイビッドの授業どころではなくなった。
「本当に白い!」
「雪みたい。味は?チョコレートのままなの?」
「甘くてとても美味しいですよ?これはどんな味にも変えられて、好きな色に染めることができる魔法のチョコレートなんです!」
「ステキー!!私食べてみたい!」
「もちろん!是非この国の方々にも知って頂きたいので、カフェで試食会などもさせて頂く予定です。」
シュトラールが微笑むと黄色い歓声が上がり、話の方向が全部チョコに持って行かれた。
「ま、いいんだけどよ。じゃぁ今日はキリフは止めてそっちの話でも聞くか?」
「聴きたーい!!」
「賛成!白いチョコレートなんて初めて見る!」
「どうやって作ってるの?」
「フフフ、それは秘密なんですよ。先生も、もしご存知なら、バラさないで下さいね?」
「そうなのか?交易の説明で親父さんはどんどん話してたけどな。」
「消費者にはミステリアスな方が魅力的なんですよ。暴かない秘密もあっていいじゃないですか?」
結局この日の授業は、ほとんどシュトラールへの質疑応答で終了し、珍しくデイビッドはあまり話すことなく講堂を後にした。
既に放課後の廊下は生徒で賑わい、課外活動に勤しむ者達の声があちこちから聞こえて来る。
相変わらず人気のない緑色の廊下に差し掛かると、後ろから声を掛けられた。
「やぁ、先生。さっきぶりですね。」
「シュトラールか、何の用だ?」
「僕、この国で成功したらそのまま商会の支部を任せもらえることになったんですよ。先生も、チョコレートを扱う加工場を持ってるんでしょ?って事はライバルですね。」
「まぁー…世間的にはそうなる?のか?そこは当事者の意識次第だろ。」
「少なくとも僕にとっては強力な競合相手です。ここは生徒も貴族が多くて、顧客を増やすには持って来いですね。僕は自分のやり方で集客しますので、邪魔だと思ったら貴方の事も容赦無く潰しにかかりますから、覚悟しておいて下さい。」
「ずいぶんと物騒な物言いだな…?」
「僕は欲しいと思った物は何が何でも手に入れないと気が済まない質なんですよ。例え人の物だとしても…それでは先生、またお会いしましょう。」
「あ…ああ…まぁ、好きにしろよ?!」
何かいきなり勝手にライバル視された挙句、喧嘩を売られたデイビッドは、この謎めいた留学生にこの後もしばらく絡まれることになる。
夕方近く、運搬用貯蔵庫の試験で届いた大きな魚をムニエルにしていると、シェルリアーナがやって来て何か難しい顔をしていた。
「ねぇ、アンタ白いチョコって食べた事ある?」
「あー、例の白チョコか。あるけど?」
「…あげる。さっき食堂で留学生が人集めて配ってて、是非って渡されたんだけど…正直、私あんまり好きじゃないわ…」
「確かに、甘さが際立ってるからお前の好みじゃねぇだろうな。コーヒーとか混ぜたら良いんじゃねぇか?」
「それでもクドいのよ…一口でもういいやってなっちゃう…」
そこへヴィオラもやって来た。
「デイビッド様!これ見て下さい!真っ白なチョコレートですって!」
「こっちもか…」
「甘くってまろやかで、ミルクの味がして、すごいですね、どうやって白くするんだろう?」
「チョコレートの油脂だけ抽出して練乳や粉乳を加えて固めて作ってんだよ。苦味や酸味がなくなるから、食べやすいだろ?」
「私これ大好き!今度このチョコでお菓子作って下さい!」
「そうか、ヴィオラは気に入ったか。わかった、なんか良いの考えとくよ。」
デイビッド自身、このチョコレートはなかなか面白い食材だと感じている。
加えるものの味をそのまま活かせて、見栄えもする。
使い方次第では、製菓の幅は更に開くと予想していた。
「ただいま~!あれ?皆して持ってるんですか、この白いチョコ!?」
「エリックも貰ったの?」
「教員室の差し入れでたくさん来てました。口溶けも良くて美味しいですよ。」
この日から、学園の中にはこの白いチョコレートがどこでも見られるようになった。
その内、シュトラールはデイビッドの周辺に手を出すようになって来た。
まず声を掛けられたのはシェルリアーナ。
「ミス・シェルリアーナ!少しお話させて頂いてもよろしいですか?」
「アラ、先日のチョコレートの留学生ですわね。何かご用かしら?」
「貴女に、是非とも我が社の宣伝モデルになって頂きたくて!どうかお願いできないでしょうか?!」
「私に?!」
「はい!貴女がモデルの都内のアイスショップの広告を拝見いたしまして、これ以上ないイメージが湧き上がり、どうしてもお誘いしたいと思いました!」
「そう。それは嬉しいのですけれど…私、この白いチョコレートあまり得意ではないの。残念だけれど他を当たって下さるかしら?」
「そんな…モデルが商品をみんな好きとは限らないでしょう?それに、雪の精霊の様な貴女なら、真っ白なこのチョコレートの素晴らしいイメージモデルになる事間違いない!報酬も弾みますよ!?」
「報酬…?貴方に、私が満足いく報酬が用意できるのかしら?」
シェルリアーナに凄まれて、シュトラールはたじろいだが、まだ諦めなかった。
「デュロックの跡取りは貴女をモデルに使ったのに?納得がいかない!僕が断られる理由は何ですか?!」
「さぁ、なんだと思う?」
「何か特別な報酬を用意すればいいですか…?」
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カクヨムで公開したものに手を入れたものです。