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黒豚令息と訳あり令嬢の学園生活〜怒涛の進学編〜
王族続々
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「アデラ国のサラムだ。デイビッドに婚約者が出来たと聞いて一度会ってみたかった。なるほど、幻や人形ではない事は確かなようだが、脅されて仕方なく言いなりになっている訳では無いのだな?!」
「いきなり失礼な事を言うものではありませんわ!」
「だって気になるだろう?!金目当てか、からかわれるくらいでしか女に声かけられた事のないモテ無い豚野郎に婚約者だぞ!?」
「それこそ失礼ですわ!それに…私の前でその話をなさいますの…?」
「う…すまない…わかった。デイビッド、改めて婚約おめでとう。これの祝いはまた次の機会にでもさせてくれ!」
口を挟む隙の無い2人を前にヴィオラがあわあわしていると、サラムがヴィオラに手を差し出した。
「あ、この国では、女性は握手はしないのだったか?」
「そうですね、あまり肌に触れる挨拶は致しません。」
「あ!あの!大丈夫です!!ヴィオラ・ローベルと申します!デイビッド様のこ…婚約者として、よろしくお願いします!!」
ヴィオラは緊張仕切った手でサラムの右手をつかんだ。
サラムは嬉しそうにその手をしっかり握り返し、ブンブン振って笑った。
「かわいいな!初々しくてまだ蕾のようだ!どれ程愛でられているのか一目でわかる。」
「え?あの!は、はい!ありがとうございます…?」
その様子をデイビッドは面白くないと言った顔で眺めていた。
「それではデイビッド様、ヴィオラ様は私共の方へお借りいたしますね!?」
「連れてくのはいいけどよ、あんま余計な事吹き込むなよ?!頼むから!」
「余計な事だなんて…夫婦円満の秘策とかお話できたらなぁと思っただけですわ。」
「それが余計だっつってんだよ!!」
王女達に囲まれて、ヴィオラはまたデイビッドから引き離されて行ってしまった。
「よし!こっちはこっちで男同士語ろうじゃないか!」
「昼から飲む気ですか兄上。」
しかしデイビッドは早くも王太子相手に背中を向けてしまう。
「ジャファル、セルジオ、温室に新しい生き物が入ったらしいから見に行かねぇか?」
「行く!」
「僕も…お酒の席はちょっと、未成年ですし…」
「真面目ちゃんか!!虫やらトカゲやら見ても面白くねぇだろ!!」
「え?面白いですよ…?」
「アデラにはいない生き物ばっかりだしな!逆に兄上は酒飲む以外に楽しみがないのは寂しいぞ!?」
「じゃ、そういう事だ。」
酒好きのアデラ王族2人を置いて、デイビッドはジャファルとセルジオを連れ、医療棟の先にある温室を目指した。
その頃、別の馬車で城まで来ていたエリックは、シェルリアーナに連れられて、王族の集まる貴賓館の中の護衛の控え室に招かれていた。
「なるほど。今回僕はこっち側になるんですね?!」
「当たり前でしょう?!貴方、曲がりなりにも護衛なのよ?!」
「わぁ、エリック先生と一緒なんて初めて!あ、ここじゃ先生じゃないんだね、エリック…様でいいのかな?」
「呼び捨てでいいわよ別に!」
「それを君が決めるのか…?」
「アナは普段から先生なんて呼ばないもんね。」
先に部屋に居たのは、エドワードにエリザベスにイヴェット、特殊血統に属する王宮仕えの一族の血筋の3人だ。
そこへ魔女と精霊の血を受け継ぐ2人が加わったのを見て、エリザベスがワクワクしながら脇から小箱を取り出した。
中からは丸い透明な石がいくつも転がり出て来る。
「じゃぁ早速コレ作っていこ!」
「なんですか、コレ?」
「簡易の魔力共鳴石。互いの魔力を注いで持っておくと、有事の際に道標になってお互い居場所が分かるようになってる。」
「誰が何処で助けを求めているのか分かって色々便利なんです。」
専用の魔法陣に手を置いて、それぞれが均等に魔力を注ぐと、中央に置かれた石が魔力で満たされていく。
「これを持って王族の護衛に当たれと…?」
「王族護衛はアリスティア様付きの私だけ。イヴェットは護衛と言うより医療班の補佐、エドワードは顔がいいからって聖女の近くに立たされる事になってるわ。」
「今からもう心が死んでるよ…」
ちなみにエリザベスはと言うと…
「アタシ家出されちゃったから今回はシェリーの補佐として特別に入れてもらったの!」
「大丈夫なんですかそれ…?」
「アリス様が笑って承諾なさって下さったわ。元々出入りもあったし、身元もしっかりしてるからって。」
「保護責任者…今はデイビッド様になってるんですよね?」
「そー!なんかあったらデビィに迷惑かかっちゃうから、ちゃんと大人しくしてるよ?!」
今日は侍女らしい服装に髪型も変え、眼鏡を掛けて多少の変装もしている。
「ここはヴィオラにとってもアイツにとっても敵だらけよ?有事には私達は他の貴族や王族が最優先になるから、貴方が頼りなのよ?!しっかりしてよね!!」
「わかりました。では、僕も少し気合を入れて行かないとですね!それぞれの護衛対象をしっかり護れるよう尽力しましょう。」
エリックは共鳴石を胸ポケットにしまうと、控えの部屋を後にした。
「見ろ!デイビッド、真っ赤な目のトカゲがいるぞ!?」
「アカメイモリだ。腹部の毒腺からは解毒剤の効かない強力な毒が取れるぞ。」
「こっちにはキャンディみたいな模様のカエルがいますよ?」
「ハナミドクガエルの背中からも、一匹で数十人分の致死毒が抽出できる。しかも遅効性だから3日は苦しむぞ?」
「こわっ!!なんでそんな生き物を飼う必要があるんだ!?」
「王族と毒物ってのはいつの時代も切り離せねぇもんなんだよ。」
「あ、あの真っ赤な草、学園の温室でも育ててましたよね?」
「あ!これ知ってる、新種の薬草ルポナス!元はアデラに自生してた珍しい薬草で、ラムダ国の植物学者が栽培方法を確立したんでこっちにも献上されて来たんだ!」
「へぇ~薬草なんですか!」
「解毒や回復薬の原材料として凄い効果があるらしい!知ってたかデイビッド!」
「あぁ、もう嫌って程毎日見てるよ…」
温室でのんびりやっていると、ジャファルがいきなり飛びついてきた。
「デイビッド!そろそろおやつの時間だ!」
「そういや昼なんも食ってねぇな。」
「こちらの王城は昼食がないんですね。」
代わりに、小腹が空く度に軽食が出され、常にお茶の支度がされる様になっている。
「何か作れデイビッド!」
「勝手に厨房使っていいのか?」
「メイドの給湯室は?狭いけど流しもオーブンもあったぞ!」
「頼めば貸してもらえますかね…?」
「卵!卵がいい!オムレツが食べたい!!」
「確かに…美味しいよね、デュロック先生の卵料理…」
「できる範囲だぞ?」
相変わらず城の中ではデイビッドの舌は鈍ったまま。
しかし、以前の塩も砂糖も砂のようにしか感じられなかった頃と比べると、だいぶマシにはなって来ているようだ。
メイドに声を掛け、一カ所お茶の支度をするオーブンを借りると、簡単なアップサイドダウンのケーキとクリーム入りのベニエ、プレーンのオムレツにハムを添えて紅茶と一緒に部屋へ運んで行った。
「そこのワゴン止まりなさい!!」
途中で声を掛けられて振り向くと、女性部屋からアリスティアとヴィオラとシェルリアーナが顔を出していた。
「いい匂いがすると思ったら、また美味しい物作って食べているのですか?!」
「ケーキも良いけど、お腹空いてきたの。しょっぱいもん作んなさいよ!」
「デイビッド様!私、シュニッツェルのサンドイッチが食べたいです!」
「そこまで行くと給湯室で作れるもんじゃねぇなぁ…」
結局、厨房へ連れて行かれ、今度は女性部屋用の軽食を作ることに。
それを聞きつけて男性部屋からも酒の摘みを頼まれてしまう。
「デイビッド、明日の朝も作れ!オムレツに今度はチーズ入れてくれ!」
「ズルいぞジャファル!そこは年長者を優先すべきだろう!僕はチョコレートワッフルとフルーツジュースがいい!」
「なら私はポーチドエッグのチーズがけだな!ふわふわのスフレも食べたい所だ!」
「私はジャム入りのシナモンロールがいいです!」
「デイビッド様、夜にプリン作って冷やしておきませんか?」
「「「天才か!!!」」」
(何しに来たんだ俺…まぁ、下らねぇ式典に出るよか100倍良いか…)
大勢のコック達が忙しなく働く厨房の片隅で、この日は遅くまでオーブンを見て過ごしたデイビッドだった。
「いきなり失礼な事を言うものではありませんわ!」
「だって気になるだろう?!金目当てか、からかわれるくらいでしか女に声かけられた事のないモテ無い豚野郎に婚約者だぞ!?」
「それこそ失礼ですわ!それに…私の前でその話をなさいますの…?」
「う…すまない…わかった。デイビッド、改めて婚約おめでとう。これの祝いはまた次の機会にでもさせてくれ!」
口を挟む隙の無い2人を前にヴィオラがあわあわしていると、サラムがヴィオラに手を差し出した。
「あ、この国では、女性は握手はしないのだったか?」
「そうですね、あまり肌に触れる挨拶は致しません。」
「あ!あの!大丈夫です!!ヴィオラ・ローベルと申します!デイビッド様のこ…婚約者として、よろしくお願いします!!」
ヴィオラは緊張仕切った手でサラムの右手をつかんだ。
サラムは嬉しそうにその手をしっかり握り返し、ブンブン振って笑った。
「かわいいな!初々しくてまだ蕾のようだ!どれ程愛でられているのか一目でわかる。」
「え?あの!は、はい!ありがとうございます…?」
その様子をデイビッドは面白くないと言った顔で眺めていた。
「それではデイビッド様、ヴィオラ様は私共の方へお借りいたしますね!?」
「連れてくのはいいけどよ、あんま余計な事吹き込むなよ?!頼むから!」
「余計な事だなんて…夫婦円満の秘策とかお話できたらなぁと思っただけですわ。」
「それが余計だっつってんだよ!!」
王女達に囲まれて、ヴィオラはまたデイビッドから引き離されて行ってしまった。
「よし!こっちはこっちで男同士語ろうじゃないか!」
「昼から飲む気ですか兄上。」
しかしデイビッドは早くも王太子相手に背中を向けてしまう。
「ジャファル、セルジオ、温室に新しい生き物が入ったらしいから見に行かねぇか?」
「行く!」
「僕も…お酒の席はちょっと、未成年ですし…」
「真面目ちゃんか!!虫やらトカゲやら見ても面白くねぇだろ!!」
「え?面白いですよ…?」
「アデラにはいない生き物ばっかりだしな!逆に兄上は酒飲む以外に楽しみがないのは寂しいぞ!?」
「じゃ、そういう事だ。」
酒好きのアデラ王族2人を置いて、デイビッドはジャファルとセルジオを連れ、医療棟の先にある温室を目指した。
その頃、別の馬車で城まで来ていたエリックは、シェルリアーナに連れられて、王族の集まる貴賓館の中の護衛の控え室に招かれていた。
「なるほど。今回僕はこっち側になるんですね?!」
「当たり前でしょう?!貴方、曲がりなりにも護衛なのよ?!」
「わぁ、エリック先生と一緒なんて初めて!あ、ここじゃ先生じゃないんだね、エリック…様でいいのかな?」
「呼び捨てでいいわよ別に!」
「それを君が決めるのか…?」
「アナは普段から先生なんて呼ばないもんね。」
先に部屋に居たのは、エドワードにエリザベスにイヴェット、特殊血統に属する王宮仕えの一族の血筋の3人だ。
そこへ魔女と精霊の血を受け継ぐ2人が加わったのを見て、エリザベスがワクワクしながら脇から小箱を取り出した。
中からは丸い透明な石がいくつも転がり出て来る。
「じゃぁ早速コレ作っていこ!」
「なんですか、コレ?」
「簡易の魔力共鳴石。互いの魔力を注いで持っておくと、有事の際に道標になってお互い居場所が分かるようになってる。」
「誰が何処で助けを求めているのか分かって色々便利なんです。」
専用の魔法陣に手を置いて、それぞれが均等に魔力を注ぐと、中央に置かれた石が魔力で満たされていく。
「これを持って王族の護衛に当たれと…?」
「王族護衛はアリスティア様付きの私だけ。イヴェットは護衛と言うより医療班の補佐、エドワードは顔がいいからって聖女の近くに立たされる事になってるわ。」
「今からもう心が死んでるよ…」
ちなみにエリザベスはと言うと…
「アタシ家出されちゃったから今回はシェリーの補佐として特別に入れてもらったの!」
「大丈夫なんですかそれ…?」
「アリス様が笑って承諾なさって下さったわ。元々出入りもあったし、身元もしっかりしてるからって。」
「保護責任者…今はデイビッド様になってるんですよね?」
「そー!なんかあったらデビィに迷惑かかっちゃうから、ちゃんと大人しくしてるよ?!」
今日は侍女らしい服装に髪型も変え、眼鏡を掛けて多少の変装もしている。
「ここはヴィオラにとってもアイツにとっても敵だらけよ?有事には私達は他の貴族や王族が最優先になるから、貴方が頼りなのよ?!しっかりしてよね!!」
「わかりました。では、僕も少し気合を入れて行かないとですね!それぞれの護衛対象をしっかり護れるよう尽力しましょう。」
エリックは共鳴石を胸ポケットにしまうと、控えの部屋を後にした。
「見ろ!デイビッド、真っ赤な目のトカゲがいるぞ!?」
「アカメイモリだ。腹部の毒腺からは解毒剤の効かない強力な毒が取れるぞ。」
「こっちにはキャンディみたいな模様のカエルがいますよ?」
「ハナミドクガエルの背中からも、一匹で数十人分の致死毒が抽出できる。しかも遅効性だから3日は苦しむぞ?」
「こわっ!!なんでそんな生き物を飼う必要があるんだ!?」
「王族と毒物ってのはいつの時代も切り離せねぇもんなんだよ。」
「あ、あの真っ赤な草、学園の温室でも育ててましたよね?」
「あ!これ知ってる、新種の薬草ルポナス!元はアデラに自生してた珍しい薬草で、ラムダ国の植物学者が栽培方法を確立したんでこっちにも献上されて来たんだ!」
「へぇ~薬草なんですか!」
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「確かに…美味しいよね、デュロック先生の卵料理…」
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「デイビッド様!私、シュニッツェルのサンドイッチが食べたいです!」
「そこまで行くと給湯室で作れるもんじゃねぇなぁ…」
結局、厨房へ連れて行かれ、今度は女性部屋用の軽食を作ることに。
それを聞きつけて男性部屋からも酒の摘みを頼まれてしまう。
「デイビッド、明日の朝も作れ!オムレツに今度はチーズ入れてくれ!」
「ズルいぞジャファル!そこは年長者を優先すべきだろう!僕はチョコレートワッフルとフルーツジュースがいい!」
「なら私はポーチドエッグのチーズがけだな!ふわふわのスフレも食べたい所だ!」
「私はジャム入りのシナモンロールがいいです!」
「デイビッド様、夜にプリン作って冷やしておきませんか?」
「「「天才か!!!」」」
(何しに来たんだ俺…まぁ、下らねぇ式典に出るよか100倍良いか…)
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