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黒豚令息と訳あり令嬢の学園生活〜怒涛の進学編〜
シャーリーン妃
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ジャファルはドアから首を出し、待ち切れないといった様子でデイビッドに指示を出している。
「オムレツ!おっきなオムレツ!ソーセージと、ジャガイモのポタージュにカリカリのベーコンも添えて!」
「注文が多い!!使えるコンロが3つしかねぇんだからちょっと待ってろ!!」
先に取り出した白パンを冷まし、次にソーセージをグリルしながら、裏漉ししたジャガイモにクリームを加え味を整えていく。
卵を5つも使って大きなオムレツを作ると、半熟の内に皿によそい、パセリとチャイブを振って焼けたソーセージも盛り付ける。
ベーコンを焼く間にハーブティーをポットに淹れてワゴンに乗せ、他の皿も並べていくと、心得たメイド達がスッと運び出し、ついでにジャファルも連れて行ってくれた。
「フフフ…ジャファル様すっかり卵料理に病みつきですね。」
「カミールはリゾット、アーネストはガレット、シャーリーンはスモモ入りのクリームパイだと…朝からずっと作りっ放しだ。」
デイビッドは厨房の1番手前のオーブンを任され、そこでゲスト達の要望を特別に聞く専用の料理人という事で厨房に置いて貰っている。
噂を流す間の滞在場所をどうするか相談した結果、王族全員の希望が一致してこの様な措置がとられたそうだ。
デイビッドは厚手の生地に何かを包んでいたが、手を止めてヴィオラの側へ寄って行った。
「デイビッド様、おはようございます。」
「ん…おはようヴィオラ。17歳、おめでとう…ずっと言えなくてゴメンな。」
「ありがとうございますデイビッド様!ラベンダー色のドレス見ました!すごく嬉しかった!」
「喜んでもらえて良かった。気に入らなかったらどうしようかと思ってたよ。」
「デイビッド様が私の好みを外すなんて考えられません!今まで貰ったプレゼントは全部お気に入りなんですよ!?」
「それでも、誕生日なら色々こだわりたかったな…って考えると申し訳無くなる…」
「私は…デイビッド様が元気になってくれただけで充分です。」
ヴィオラにはリコッタチーズをたっぷり使ったふわふわのパンケーキに、肉団子入りのスープと果物が用意され、ワゴンを運ぶメイドに促されて少し寂しそうに戻って行った。
女性用の広い部屋では、紅茶を楽しむシャーリーンとディアナがお喋りをしていて、ヴィオラが来ると嬉しそうに手招きした。
部屋にはソファが無く、代わりに滑らかな木の皮を編んだ高さのある広いラグが敷かれて、その上に大きなクッションや脚の無い背もたれのついた椅子が置かれ、2人共ゆったりくつろいでいる。
「えっと…靴も靴下も脱ぐんですよね?」
「良くご存知ですね。そう、アデラではあまり背の高い家具に座ることはないんです。」
「ラムダやキリフでは女性が足を見せるのははしたないと言うけれど、アデラでは素足が基本ですの。始めの頃は慣れなくて恥ずかしく思っていたけれど、今はもうこれでないとくつろげませんわ!」
キリフのドレスは首までかっちりとして足元まで長く、重い布を重ねた膨らみの少ないものが主流と言われているが、シャーリーンは腕も肩も出し、柔らかい光沢のある布を重ねた百合の蕾の様なドレスを着ている。
裸足になり、ラグの上に座るヴィオラの手元に少し高めの台が置かれ、飲み物が運ばれてヴィオラの席が出来上がる。
「なんだか王様になった気分です…」
「そうね、王様もこうしてくつろぐのよ。アデラの女性にこのスタイルは受け入れられ難かったけれど、ヴィオラ様は柔軟でいらっしゃるのね。」
「デイビッド様に教わった事がありましたので、アデラはとても開放的で民と貴族の壁が低く、皆が顔と言葉を交わせる高さで食事をするのだと。」
「あの方らしい言い回しですね。まだ地べたに這いつくばる蛮族扱いされる所もあるんですよ。」
「嬉しいわヴィオラ様!私、ずっと貴女とお友達なりたかったの!こうしてお話できて本当に幸せよ!?」
シャーリーンの細く滑らかな指に手を握られて、ヴィオラは雪の妖精を相手にしている様な気分になりドキドキした。
「シャ…シャーリーン様は、デイビッド様のご友人なのですよね…?デイビッド様はキリフで何をなさっていたのですか?」
「そうですわね…あの方は、キリフを救いにやって来られたのですわ…」
そう言うと、少し遠い目をしたシャーリーンは、静かに語り出した。
「あの方がキリフにいらしたのはほんの好奇心だったとお聞きしています。雪国には行った事が無いからとそんな理由でしたわ。でも、あの方は古い山道で見つけてしまわれたのです。古代ドワーフが残した鉱山路の痕跡を…」
雪と氷の山道を専門家を雇い探索中、休憩拠点の岩壁に掘られた古代語に気が付き、解読を試みて遺跡の入口を見つけてしまったのが1つ目の功績。
地元では山中でたまに見られる先人の遺した目印位にしか思われていなかったらしい。
更に調査したいと思い立ち、地元であぶれていた鉱夫を雇い、崩れていた道を広げながら進んでいくと、なんと広大な山脈内にアリの巣のように張り巡らされた巨大遺跡であると判明し、これなら山を越えずに誰もが安全な道を辿って物資のやり取りが可能になるのではと、本格的なトンネル工事に乗り出したのが2つ目の功績。
もはや道楽で片付けられる話では無い。
一番大きな坑道はラムダ側に続いていたので、そこから道を広げ、四方の集落や山間の村々に道を通し、危険な側道を埋め立てたり、削れやすい場所を補強したりと安全で確実な道のみを残し、交易路として活用しだすと、早くも地元の注目を浴びて人の手はどんどん増えた。
トンネル工事は地元民に任せ、デイビッドは坑道内の地図の製作に集中し、遺跡としても残せるよう、利用する場所と立ち入り禁止にする場所を分けられる様に細かな記録を取っていた。
その中で、道のひとつが地下の鍾乳洞に続き、その奥に青く輝く美しい地底湖がある事を発見し、いよいよ調査の結果が領主から国へ出される事になった。
それが良くなかった…とシャーリーンは表情を暗くした。
「ヴィオラ様、いずれ何方かの口からお耳にされるより、これは私から直接貴女様にお伝えしたいお話なのです。どうかお聞き頂けるでしょうか?」
「は…はい!」
何やら重い話になってしまい、緊張するヴィオラに、シャーリーンは申し訳なさそうな顔で話を続けた。
「どこまでも有用性が高く、価値も実りもある発見に我が王家は喜びましたが、その先導をしているのが他国の人間である事に、私の兄は納得していなかったのです…」
キリフの現王太子、当時の第一王子は、毛色の違う異国の人間が国の重要な交易路の開拓に携わる事に異を唱えた。
国中を行き来できる複雑な坑路の詳細など、本来ならば国家機密。
それを他国の人間に知られるなど、心臓を差し出しているのと同じだと議会で国王に進言し、権利を取り上げ今後の指揮は自分が取るからと説得し、デイビッドの排除に身を乗り出した。
デイビッドの事だ、始めからそう相談されれば、快く何もかも明け渡しただろう。
それを他国の諜報か工作員と決めつけた王子は、デイビッドに坑道内を視察したいと申し出ると、まだ未開の洞窟道まで案内させ、崖際まで来た所でいきなり剣を突き付けた。
デイビッドは命乞いの代わりに、冷静に坑路の危険性とドワーフ語の理解が無いと開拓が難しい事を説明したが、頭に血が昇った王子の興奮は収まらず、剣を恐れず近付いて来たデイビッドを蹴り飛ばし、綱を斬って深い洞窟の底へ突き落としてしまった。
高揚した王子が剣を収めると、それを見ていた周りの鉱夫達は自分達の救世主を返せと大騒ぎし、詰め寄られた王子は逃げる様に帰った。
デイビッドの落ちた崖を数人が一縷の望みを掛けて降りて行ったが、途中に突き出た水晶に衣類の切れ端と鮮血が残されているのを見つけ、それを持って引き返して来たという。
その日から坑道では弔いの歌が歌われた。
鉱夫が亡くなると仕事の最中、皆で鎮魂の歌を歌う。
普通は1日程度だが、この時は3日もかけて歌い続けられ、路の通った村々でも山に祈る者が後を絶たなかったという。
「オムレツ!おっきなオムレツ!ソーセージと、ジャガイモのポタージュにカリカリのベーコンも添えて!」
「注文が多い!!使えるコンロが3つしかねぇんだからちょっと待ってろ!!」
先に取り出した白パンを冷まし、次にソーセージをグリルしながら、裏漉ししたジャガイモにクリームを加え味を整えていく。
卵を5つも使って大きなオムレツを作ると、半熟の内に皿によそい、パセリとチャイブを振って焼けたソーセージも盛り付ける。
ベーコンを焼く間にハーブティーをポットに淹れてワゴンに乗せ、他の皿も並べていくと、心得たメイド達がスッと運び出し、ついでにジャファルも連れて行ってくれた。
「フフフ…ジャファル様すっかり卵料理に病みつきですね。」
「カミールはリゾット、アーネストはガレット、シャーリーンはスモモ入りのクリームパイだと…朝からずっと作りっ放しだ。」
デイビッドは厨房の1番手前のオーブンを任され、そこでゲスト達の要望を特別に聞く専用の料理人という事で厨房に置いて貰っている。
噂を流す間の滞在場所をどうするか相談した結果、王族全員の希望が一致してこの様な措置がとられたそうだ。
デイビッドは厚手の生地に何かを包んでいたが、手を止めてヴィオラの側へ寄って行った。
「デイビッド様、おはようございます。」
「ん…おはようヴィオラ。17歳、おめでとう…ずっと言えなくてゴメンな。」
「ありがとうございますデイビッド様!ラベンダー色のドレス見ました!すごく嬉しかった!」
「喜んでもらえて良かった。気に入らなかったらどうしようかと思ってたよ。」
「デイビッド様が私の好みを外すなんて考えられません!今まで貰ったプレゼントは全部お気に入りなんですよ!?」
「それでも、誕生日なら色々こだわりたかったな…って考えると申し訳無くなる…」
「私は…デイビッド様が元気になってくれただけで充分です。」
ヴィオラにはリコッタチーズをたっぷり使ったふわふわのパンケーキに、肉団子入りのスープと果物が用意され、ワゴンを運ぶメイドに促されて少し寂しそうに戻って行った。
女性用の広い部屋では、紅茶を楽しむシャーリーンとディアナがお喋りをしていて、ヴィオラが来ると嬉しそうに手招きした。
部屋にはソファが無く、代わりに滑らかな木の皮を編んだ高さのある広いラグが敷かれて、その上に大きなクッションや脚の無い背もたれのついた椅子が置かれ、2人共ゆったりくつろいでいる。
「えっと…靴も靴下も脱ぐんですよね?」
「良くご存知ですね。そう、アデラではあまり背の高い家具に座ることはないんです。」
「ラムダやキリフでは女性が足を見せるのははしたないと言うけれど、アデラでは素足が基本ですの。始めの頃は慣れなくて恥ずかしく思っていたけれど、今はもうこれでないとくつろげませんわ!」
キリフのドレスは首までかっちりとして足元まで長く、重い布を重ねた膨らみの少ないものが主流と言われているが、シャーリーンは腕も肩も出し、柔らかい光沢のある布を重ねた百合の蕾の様なドレスを着ている。
裸足になり、ラグの上に座るヴィオラの手元に少し高めの台が置かれ、飲み物が運ばれてヴィオラの席が出来上がる。
「なんだか王様になった気分です…」
「そうね、王様もこうしてくつろぐのよ。アデラの女性にこのスタイルは受け入れられ難かったけれど、ヴィオラ様は柔軟でいらっしゃるのね。」
「デイビッド様に教わった事がありましたので、アデラはとても開放的で民と貴族の壁が低く、皆が顔と言葉を交わせる高さで食事をするのだと。」
「あの方らしい言い回しですね。まだ地べたに這いつくばる蛮族扱いされる所もあるんですよ。」
「嬉しいわヴィオラ様!私、ずっと貴女とお友達なりたかったの!こうしてお話できて本当に幸せよ!?」
シャーリーンの細く滑らかな指に手を握られて、ヴィオラは雪の妖精を相手にしている様な気分になりドキドキした。
「シャ…シャーリーン様は、デイビッド様のご友人なのですよね…?デイビッド様はキリフで何をなさっていたのですか?」
「そうですわね…あの方は、キリフを救いにやって来られたのですわ…」
そう言うと、少し遠い目をしたシャーリーンは、静かに語り出した。
「あの方がキリフにいらしたのはほんの好奇心だったとお聞きしています。雪国には行った事が無いからとそんな理由でしたわ。でも、あの方は古い山道で見つけてしまわれたのです。古代ドワーフが残した鉱山路の痕跡を…」
雪と氷の山道を専門家を雇い探索中、休憩拠点の岩壁に掘られた古代語に気が付き、解読を試みて遺跡の入口を見つけてしまったのが1つ目の功績。
地元では山中でたまに見られる先人の遺した目印位にしか思われていなかったらしい。
更に調査したいと思い立ち、地元であぶれていた鉱夫を雇い、崩れていた道を広げながら進んでいくと、なんと広大な山脈内にアリの巣のように張り巡らされた巨大遺跡であると判明し、これなら山を越えずに誰もが安全な道を辿って物資のやり取りが可能になるのではと、本格的なトンネル工事に乗り出したのが2つ目の功績。
もはや道楽で片付けられる話では無い。
一番大きな坑道はラムダ側に続いていたので、そこから道を広げ、四方の集落や山間の村々に道を通し、危険な側道を埋め立てたり、削れやすい場所を補強したりと安全で確実な道のみを残し、交易路として活用しだすと、早くも地元の注目を浴びて人の手はどんどん増えた。
トンネル工事は地元民に任せ、デイビッドは坑道内の地図の製作に集中し、遺跡としても残せるよう、利用する場所と立ち入り禁止にする場所を分けられる様に細かな記録を取っていた。
その中で、道のひとつが地下の鍾乳洞に続き、その奥に青く輝く美しい地底湖がある事を発見し、いよいよ調査の結果が領主から国へ出される事になった。
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「どこまでも有用性が高く、価値も実りもある発見に我が王家は喜びましたが、その先導をしているのが他国の人間である事に、私の兄は納得していなかったのです…」
キリフの現王太子、当時の第一王子は、毛色の違う異国の人間が国の重要な交易路の開拓に携わる事に異を唱えた。
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それを他国の人間に知られるなど、心臓を差し出しているのと同じだと議会で国王に進言し、権利を取り上げ今後の指揮は自分が取るからと説得し、デイビッドの排除に身を乗り出した。
デイビッドの事だ、始めからそう相談されれば、快く何もかも明け渡しただろう。
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デイビッドは命乞いの代わりに、冷静に坑路の危険性とドワーフ語の理解が無いと開拓が難しい事を説明したが、頭に血が昇った王子の興奮は収まらず、剣を恐れず近付いて来たデイビッドを蹴り飛ばし、綱を斬って深い洞窟の底へ突き落としてしまった。
高揚した王子が剣を収めると、それを見ていた周りの鉱夫達は自分達の救世主を返せと大騒ぎし、詰め寄られた王子は逃げる様に帰った。
デイビッドの落ちた崖を数人が一縷の望みを掛けて降りて行ったが、途中に突き出た水晶に衣類の切れ端と鮮血が残されているのを見つけ、それを持って引き返して来たという。
その日から坑道では弔いの歌が歌われた。
鉱夫が亡くなると仕事の最中、皆で鎮魂の歌を歌う。
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