262 / 411
黒豚令息と訳あり令嬢の学園生活〜怒涛の進学編〜
サラムの依頼
しおりを挟む
「落ち着けよ、俺が一人でなんかした事なんか一度もねぇよ。それに大義名分だった結界も崩れた。でもよ、あれはあれで必要な気もするぞ?実際地方の領地でも結界を張ってる所は珍しくない。ましてや数百年単位で王都の防壁だったせいで、今や戦えない貴族と民衆の集まりになっちまってんだ。安心材料としてもあった方が何かと便利なんじゃねぇのか?」
「それは…」
王家としても、国の守りは堅く多い方が確かに好ましい。
それが国の中心なら尚更だ。
王都はそこの部分を今までは教会に任せてきてしまったせいで、軍備も兵も削られ、災害などにもとことん弱くなってしまっている。
やはり結界は、いきなりなくなってしまうとそれはそれで困った事になる。
「動かせねぇのか?…“アレ”」
「ああ、“アレ”な…試しに魔力を注いでみたが一向に元に戻らないんだ…」
天井に空いた大穴は少しずつ広がり、このままでは本当に全ての結界消滅してしまいそうだ。
しかし、例の魔道具にはいくら魔力を注いでも穴は埋まらず、その理由を調べるために専門家達が日夜解析に勤しんでいる。
壊れているわけではないが、正常に作動せず、しかし淀み無く泊まる気配はない。
カチカチと音を立て続ける装置は、まるで来たるべき者を呼び続けているようだ。
「せめてあの文の意味がわかればなぁ…」
「あー…汝、安寧を望む者…ってヤツか。選ばれし魂ってのは何のことなんだろうな?なんか残ってねぇのか王家の言い伝えとか秘伝書とかそういうの。」
「残ってたら苦労しないよ…なんせ200年以上も前の話だぞ?その頃のラムダは黒の森の崩壊で魔物が蔓延り、国全体が日夜戦い続けていたそうだからな…資料らしい物はほとんど残って無いんだ…」
「…そうか…」
あまり長話は出来ないため、デイビッドは直ぐに充てがわれた自室へ戻ると、何やら考え事をしていた。
デイビッドの軟禁生活4日目。
アザーレアが大使館から戻り、城は更に賑やかになった。
和平同盟を結んだ四国の王族が、こんなに長く一堂に集まる機会も珍しいので、各々情報交換や国を背負う者としての話し合いにも熱が入っている。
その中でも好きな事ばかりしている王族には、皆が手を焼いていた。
「サラム殿、言われた通り魔道具の技師と魔術式の専門家を連れて来た…」
「おう、入れ入れ!」
「フザケた真似はするなよ!?」
「信用が無いな!シャーリーンを悲しませる様な事はしないさ!」
「怒らせる様な事は、だろ?無茶振りはするなよ?!」
そう言ってアーネストは部屋の戸を閉めた。
サラムが、クロードの愚行を目の当たりにし、口止めに要求してきたのは魔道具の専門家。
しかし、王家の専属技師には他国には渡せない技術や誓約もあり、そう簡単に呼べるわけもなく、かと言って市井の職人を連れて来る事もできず、この度白羽の矢が立ったのがこの2人…
「魔術師の、ロシェ家長女、シェルリアーナと申します…こちらは専門の技師、エリザベスでございます。本日は私共がご相談をお受けいたします。」
「女性の技師に魔術師か!しかもこんな美人が来てくれるとは嬉しいねぇ!」
頭を下げる2人に、サラムは早速話を始めた。
「楽にしてくれ、と言ってもこっちじゃ背の高い椅子に座るのが普通なのか。よしよし、俺がそっちに行こう!」
ラグの上でくつろいでいたサラムは、立ち上がり椅子とソファのある方へ2人を促した。
テーブルを挟んで異国の王太子の嬉しそうな顔が2人を交互に見る。
「そう緊張するな!茶でも用意させようか?」
「い、いえ、お気遣いありがとうございます…」
「硬いなぁ、やはり肩書という物はつまらん。」
そう言いながらサラムは1枚の紙を2人の前に広げて見せた。
「これは…海図、ですか?」
「そう、我がアデラが誇る広大な海洋と港の地図だ。この…赤い点が何を表しているか分かるか?」
地図上にいくつも書き込まれた赤いインクの点。
数え切れない赤い点が海上のどこにでも付けられている。
特に潮の流れが激しい箇所や、岩礁域には集中しているようだ。
「これは…もしや海難事故の…?!」
「その通り!沈没、遭難、嵐に高波、船の故障に、魔物との遭遇…海洋業ではどうしても海の事故は避けて通れない。そこでだ!」
サラムは2人にズイッと顔を近づけ、真面目な顔で話を続ける。
「君達に、船の通信具を作って貰いたい。」
「通信具…ですか…?」
「そうだ!我が婚約者がキリフ出身なのは知っているな?シャーリーンは今、雪中で連絡が取り合うための手段に頭を悩ませているんだ。雪山の遭難は船と同じく、救難の連絡が外部と取れずに起こることがほとんどだ。そこで、軽くて安全で持ち運びが容易な誰でも使える通信具の開発を頼みたい。」
アデラではまだ魔術は国独自のものが主流で、専門家の知識もラムダ、エルムには敵わない。
キリフも仕事や生活を支えるための魔道具が中心になるため、新しい術式の開発は難しいらしい。
「光や音を使った信号は魔道具で無くてもあるんだが、人が近くにいなければ意味が無いし、距離も灯台の明かりが届く範囲がせいぜいだ。従来で一番効率が良いのは魔術師による使い魔の通信だが、人材が貴重で一般の船には乗せられない。」
危険信号を花火や狼煙で上げる方法も、吹雪や嵐の中では何の意味もない。
「この問題をなんとか解決したい!成功した暁には相応の報酬を約束しよう。」
「そのようなお話ならば、是非ともやらせて頂きます!」
シェルリアーナはこの依頼に食いついた。
他国の王太子の頼みが叶えられれば、魔女の血に頼らない大きな実績になる。
「では早速、どの様な物をご想定か、お話を伺ってもよろしいですか?」
「おう!何でも聞いてくれ!」
「それでは私から…」
エリザベスは、形状、設置場所、大きさなど、開発者として必要な情報を聞き出していく。
シェルリアーナは想定できるあらゆる状況や環境での使用が可能になるよう、魔術式の組み合わせをあれこれ考え出した。
サラムが色々注文をつけていると、エリザベスが手を挙げ、待ったをかけた。
「時に、殿下は…これを軍事利用なさるおつもりではありませんか?」
「軍事…?確かに使えそうだな。だが、目下の目標は海洋事業の安全確保とキリフの山岳事業への普及だ。いきなり軍に渡すつもりは無い。」
「それを聞いて安心致しました。開発に掛けられる時間はどれ程頂けますか?」
「急かそうとは思わん。そうだな、まずはひと月でどの程度形になるか試してみてくれ。」
「ありがとうございます!精一杯努めさせて頂きます!!」
「よろしく頼む!ラムダは優秀な人材が多くて羨ましい!シャーリーンが褒めていたぞ?結界を多重に展開し、その上で身を挺して姫を守り抜いた若き護衛がいたと。傷の具合いはどうだ?」
「勿体無いお言葉ありがとうございます。傷は既に完治致しました。」
「余程良い薬があるのだな!?そう言えば、ここへ来た時、万が一の際に使えと薬を貰ったが…同じ物だろうか?」
「それは…作った者にしかわからないかと…」
「そうか、ならしかたない。」
サラムは立ち上がり、2人の前にやってくると手を差し出した。
「今後ともよろしく頼む!期待しているぞ?」
慌てて立ち上がり、おそるおそる手を重ねようとすると、強く握られぶんぶん振られて2人共驚いてしまう。
「やはりラムダの令嬢は握手は苦手か。」
晴れやかに笑うと、サラムはまた床敷のラグに戻り、大きなクッションに座り込んだ。
「いつかこちらの席でも話ができたら嬉しいな。では成果を期待しているぞ?!忙しいところすまなかった!」
その言葉を聞いて、シェルリアーナとエリザベスは左胸に手を当て片膝を曲げるアデラ式の礼を取り部屋を下がった。
「はぁーー!ちょっと緊張したね!」
「アデラの王太子殿下…初めてお会いしたわ…」
「でもなんか初めてって気がしなかったよね。びっくりした…」
「私もよ…いくら血筋って言ったって、あんなに似るものかしら?」
カミールの時ですら驚いたのに、口角が上がった瞬間など本当に瓜二つだとシェルリアーナは思った。
(痩せたらああなるのねきっと…なんかイヤだわ…)
(デビィは…デビィのままがいいなぁ…)
見慣れた丸顔を思い出し、なんとなくモヤモヤする2人だった。
「それは…」
王家としても、国の守りは堅く多い方が確かに好ましい。
それが国の中心なら尚更だ。
王都はそこの部分を今までは教会に任せてきてしまったせいで、軍備も兵も削られ、災害などにもとことん弱くなってしまっている。
やはり結界は、いきなりなくなってしまうとそれはそれで困った事になる。
「動かせねぇのか?…“アレ”」
「ああ、“アレ”な…試しに魔力を注いでみたが一向に元に戻らないんだ…」
天井に空いた大穴は少しずつ広がり、このままでは本当に全ての結界消滅してしまいそうだ。
しかし、例の魔道具にはいくら魔力を注いでも穴は埋まらず、その理由を調べるために専門家達が日夜解析に勤しんでいる。
壊れているわけではないが、正常に作動せず、しかし淀み無く泊まる気配はない。
カチカチと音を立て続ける装置は、まるで来たるべき者を呼び続けているようだ。
「せめてあの文の意味がわかればなぁ…」
「あー…汝、安寧を望む者…ってヤツか。選ばれし魂ってのは何のことなんだろうな?なんか残ってねぇのか王家の言い伝えとか秘伝書とかそういうの。」
「残ってたら苦労しないよ…なんせ200年以上も前の話だぞ?その頃のラムダは黒の森の崩壊で魔物が蔓延り、国全体が日夜戦い続けていたそうだからな…資料らしい物はほとんど残って無いんだ…」
「…そうか…」
あまり長話は出来ないため、デイビッドは直ぐに充てがわれた自室へ戻ると、何やら考え事をしていた。
デイビッドの軟禁生活4日目。
アザーレアが大使館から戻り、城は更に賑やかになった。
和平同盟を結んだ四国の王族が、こんなに長く一堂に集まる機会も珍しいので、各々情報交換や国を背負う者としての話し合いにも熱が入っている。
その中でも好きな事ばかりしている王族には、皆が手を焼いていた。
「サラム殿、言われた通り魔道具の技師と魔術式の専門家を連れて来た…」
「おう、入れ入れ!」
「フザケた真似はするなよ!?」
「信用が無いな!シャーリーンを悲しませる様な事はしないさ!」
「怒らせる様な事は、だろ?無茶振りはするなよ?!」
そう言ってアーネストは部屋の戸を閉めた。
サラムが、クロードの愚行を目の当たりにし、口止めに要求してきたのは魔道具の専門家。
しかし、王家の専属技師には他国には渡せない技術や誓約もあり、そう簡単に呼べるわけもなく、かと言って市井の職人を連れて来る事もできず、この度白羽の矢が立ったのがこの2人…
「魔術師の、ロシェ家長女、シェルリアーナと申します…こちらは専門の技師、エリザベスでございます。本日は私共がご相談をお受けいたします。」
「女性の技師に魔術師か!しかもこんな美人が来てくれるとは嬉しいねぇ!」
頭を下げる2人に、サラムは早速話を始めた。
「楽にしてくれ、と言ってもこっちじゃ背の高い椅子に座るのが普通なのか。よしよし、俺がそっちに行こう!」
ラグの上でくつろいでいたサラムは、立ち上がり椅子とソファのある方へ2人を促した。
テーブルを挟んで異国の王太子の嬉しそうな顔が2人を交互に見る。
「そう緊張するな!茶でも用意させようか?」
「い、いえ、お気遣いありがとうございます…」
「硬いなぁ、やはり肩書という物はつまらん。」
そう言いながらサラムは1枚の紙を2人の前に広げて見せた。
「これは…海図、ですか?」
「そう、我がアデラが誇る広大な海洋と港の地図だ。この…赤い点が何を表しているか分かるか?」
地図上にいくつも書き込まれた赤いインクの点。
数え切れない赤い点が海上のどこにでも付けられている。
特に潮の流れが激しい箇所や、岩礁域には集中しているようだ。
「これは…もしや海難事故の…?!」
「その通り!沈没、遭難、嵐に高波、船の故障に、魔物との遭遇…海洋業ではどうしても海の事故は避けて通れない。そこでだ!」
サラムは2人にズイッと顔を近づけ、真面目な顔で話を続ける。
「君達に、船の通信具を作って貰いたい。」
「通信具…ですか…?」
「そうだ!我が婚約者がキリフ出身なのは知っているな?シャーリーンは今、雪中で連絡が取り合うための手段に頭を悩ませているんだ。雪山の遭難は船と同じく、救難の連絡が外部と取れずに起こることがほとんどだ。そこで、軽くて安全で持ち運びが容易な誰でも使える通信具の開発を頼みたい。」
アデラではまだ魔術は国独自のものが主流で、専門家の知識もラムダ、エルムには敵わない。
キリフも仕事や生活を支えるための魔道具が中心になるため、新しい術式の開発は難しいらしい。
「光や音を使った信号は魔道具で無くてもあるんだが、人が近くにいなければ意味が無いし、距離も灯台の明かりが届く範囲がせいぜいだ。従来で一番効率が良いのは魔術師による使い魔の通信だが、人材が貴重で一般の船には乗せられない。」
危険信号を花火や狼煙で上げる方法も、吹雪や嵐の中では何の意味もない。
「この問題をなんとか解決したい!成功した暁には相応の報酬を約束しよう。」
「そのようなお話ならば、是非ともやらせて頂きます!」
シェルリアーナはこの依頼に食いついた。
他国の王太子の頼みが叶えられれば、魔女の血に頼らない大きな実績になる。
「では早速、どの様な物をご想定か、お話を伺ってもよろしいですか?」
「おう!何でも聞いてくれ!」
「それでは私から…」
エリザベスは、形状、設置場所、大きさなど、開発者として必要な情報を聞き出していく。
シェルリアーナは想定できるあらゆる状況や環境での使用が可能になるよう、魔術式の組み合わせをあれこれ考え出した。
サラムが色々注文をつけていると、エリザベスが手を挙げ、待ったをかけた。
「時に、殿下は…これを軍事利用なさるおつもりではありませんか?」
「軍事…?確かに使えそうだな。だが、目下の目標は海洋事業の安全確保とキリフの山岳事業への普及だ。いきなり軍に渡すつもりは無い。」
「それを聞いて安心致しました。開発に掛けられる時間はどれ程頂けますか?」
「急かそうとは思わん。そうだな、まずはひと月でどの程度形になるか試してみてくれ。」
「ありがとうございます!精一杯努めさせて頂きます!!」
「よろしく頼む!ラムダは優秀な人材が多くて羨ましい!シャーリーンが褒めていたぞ?結界を多重に展開し、その上で身を挺して姫を守り抜いた若き護衛がいたと。傷の具合いはどうだ?」
「勿体無いお言葉ありがとうございます。傷は既に完治致しました。」
「余程良い薬があるのだな!?そう言えば、ここへ来た時、万が一の際に使えと薬を貰ったが…同じ物だろうか?」
「それは…作った者にしかわからないかと…」
「そうか、ならしかたない。」
サラムは立ち上がり、2人の前にやってくると手を差し出した。
「今後ともよろしく頼む!期待しているぞ?」
慌てて立ち上がり、おそるおそる手を重ねようとすると、強く握られぶんぶん振られて2人共驚いてしまう。
「やはりラムダの令嬢は握手は苦手か。」
晴れやかに笑うと、サラムはまた床敷のラグに戻り、大きなクッションに座り込んだ。
「いつかこちらの席でも話ができたら嬉しいな。では成果を期待しているぞ?!忙しいところすまなかった!」
その言葉を聞いて、シェルリアーナとエリザベスは左胸に手を当て片膝を曲げるアデラ式の礼を取り部屋を下がった。
「はぁーー!ちょっと緊張したね!」
「アデラの王太子殿下…初めてお会いしたわ…」
「でもなんか初めてって気がしなかったよね。びっくりした…」
「私もよ…いくら血筋って言ったって、あんなに似るものかしら?」
カミールの時ですら驚いたのに、口角が上がった瞬間など本当に瓜二つだとシェルリアーナは思った。
(痩せたらああなるのねきっと…なんかイヤだわ…)
(デビィは…デビィのままがいいなぁ…)
見慣れた丸顔を思い出し、なんとなくモヤモヤする2人だった。
55
あなたにおすすめの小説
国王一家は堅実です
satomi
恋愛
オスメーモ王国…そこは国王一家は麗しくいつも輝かんばかりのドレスなどを身につけている。
その実態は、国王一家は国民と共に畑を耕したり、国民(子供)に読み書きを教えたり庶民的な生活をしている。
国王には現在愛する妻と双子の男女の子に恵まれ、幸せに生活している。
外部に行くときは着飾るが、領地に戻れば庶民的で非常に無駄遣いをしない王族である。
国庫は大事に。何故か、厨房担当のワーグが王家の子どもたちからの支持を得ている。
『伯爵令嬢 爆死する』
三木谷夜宵
ファンタジー
王立学園の中庭で、ひとりの伯爵令嬢が死んだ。彼女は婚約者である侯爵令息から婚約解消を求められた。しかし、令嬢はそれに反発した。そんな彼女を、令息は魔術で爆死させてしまったのである。
その後、大陸一のゴシップ誌が伯爵令嬢が日頃から受けていた仕打ちを暴露するのであった。
カクヨムでも公開しています。
結婚30年、契約満了したので離婚しませんか?
おもちのかたまり
恋愛
恋愛・小説 11位になりました!
皆様ありがとうございます。
「私、旦那様とお付き合いも甘いやり取りもしたことが無いから…ごめんなさい、ちょっと他人事なのかも。もちろん、貴方達の事は心から愛しているし、命より大事よ。」
眉根を下げて笑う母様に、一発じゃあ足りないなこれは。と確信した。幸い僕も姉さん達も祝福持ちだ。父様のような力極振りではないけれど、三対一なら勝ち目はある。
「じゃあ母様は、父様が嫌で離婚するわけではないんですか?」
ケーキを幸せそうに頬張っている母様は、僕の言葉にきょとん。と目を見開いて。…もしかすると、母様にとって父様は、関心を向ける程の相手ではないのかもしれない。嫌な予感に、今日一番の寒気がする。
◇◇◇◇◇◇◇◇◇
20年前に攻略対象だった父親と、悪役令嬢の取り巻きだった母親の現在のお話。
ハッピーエンド・バットエンド・メリーバットエンド・女性軽視・女性蔑視
上記に当てはまりますので、苦手な方、ご不快に感じる方はお気を付けください。
傍観している方が面白いのになぁ。
志位斗 茂家波
ファンタジー
「エデワール・ミッシャ令嬢!貴方にはさまざな罪があり、この場での婚約破棄と国外追放を言い渡す!」
とある夜会の中で引き起こされた婚約破棄。
その彼らの様子はまるで……
「茶番というか、喜劇ですね兄さま」
「うん、周囲が皆呆れたような目で見ているからな」
思わず漏らしたその感想は、周囲も一致しているようであった。
これは、そんな馬鹿馬鹿しい婚約破棄現場での、傍観者的な立場で見ていた者たちの語りである。
「帰らずの森のある騒動記」という連載作品に乗っている兄妹でもあります。
力は弱くて魔法も使えないけど強化なら出来る。~俺を散々こき使ってきたパーティの人間に復讐しながら美少女ハーレムを作って魔王をぶっ倒します
枯井戸
ファンタジー
──大勇者時代。
誰も彼もが勇者になり、打倒魔王を掲げ、一攫千金を夢見る時代。
そんな時代に、〝真の勇者の息子〟として生を授かった男がいた。
名はユウト。
人々は勇者の血筋に生まれたユウトに、類稀な魔力の才をもって生まれたユウトに、救世を誓願した。ユウトもまた、これを果たさんと、自身も勇者になる事を信じてやまなかった。
そんなある日、ユウトの元へ、ひとりの中性的な顔立ちで、笑顔が爽やかな好青年が訪ねてきた。
「俺のパーティに入って、世界を救う勇者になってくれないか?」
そう言った男の名は〝ユウキ〟
この大勇者時代にすい星のごとく現れた、〝その剣技に比肩する者なし〟と称されるほどの凄腕の冒険者である。
「そんな男を味方につけられるなんて、なんて心強いんだ」と、ユウトはこれを快諾。
しかし、いままで大した戦闘経験を積んでこなかったユウトはどう戦ってよいかわからず、ユウキに助言を求めた。
「戦い方? ……そうだな。なら、エンチャンターになってくれ。よし、それがいい。ユウトおまえはエンチャンターになるべきだ」
ユウトは、多少はその意見に疑問を抱きつつも、ユウキに勧められるがまま、ただひたすらに付与魔法(エンチャント)を勉強し、やがて勇者の血筋だという事も幸いして、史上最強のエンチャンターと呼ばれるまでに成長した。
ところが、そればかりに注力した結果、他がおろそかになってしまい、ユウトは『剣もダメ』『付与魔法以外の魔法もダメ』『体力もない』という三重苦を背負ってしまった。それでもエンチャンターを続けたのは、ユウキの「勇者になってくれ」という言葉が心の奥底にあったから。
──だが、これこそがユウキの〝真の〟狙いだったのだ。
この物語は主人公であるユウトが、持ち前の要領の良さと、唯一の武器である付与魔法を駆使して、愉快な仲間たちを強化しながら成り上がる、サクセスストーリーである。
帰国した王子の受難
ユウキ
恋愛
庶子である第二王子は、立場や情勢やら諸々を鑑みて早々に隣国へと無期限遊学に出た。そうして年月が経ち、そろそろ兄(第一王子)が立太子する頃かと、感慨深く想っていた頃に突然届いた帰還命令。
取り急ぎ舞い戻った祖国で見たのは、修羅場であった。
【完結】婚約破棄される未来見えてるので最初から婚約しないルートを選びます
22時完結
恋愛
レイリーナ・フォン・アーデルバルトは、美しく品格高い公爵令嬢。しかし、彼女はこの世界が乙女ゲームの世界であり、自分がその悪役令嬢であることを知っている。ある日、夢で見た記憶が現実となり、レイリーナとしての人生が始まる。彼女の使命は、悲惨な結末を避けて幸せを掴むこと。
エドウィン王子との婚約を避けるため、レイリーナは彼との接触を避けようとするが、彼の深い愛情に次第に心を開いていく。エドウィン王子から婚約を申し込まれるも、レイリーナは即答を避け、未来を築くために時間を求める。
悪役令嬢としての運命を変えるため、レイリーナはエドウィンとの関係を慎重に築きながら、新しい道を模索する。運命を超えて真実の愛を掴むため、彼女は一人の女性として成長し、幸せな未来を目指して歩み続ける。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる