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黒豚令息の領地開拓編
月夜のお祭り
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「何が起きてんだ?!」
「このもりの せいれいさまが くるんだよ!」
「精霊様ぁ?!人間の俺がここに居て大丈夫なのか?!」
「だいじょうぶ おっきいのに あいにきたんだよ」
「嫌な予感しかしない!!」
光の道がサッと開くと、そこには真っ白な光る鹿に乗った角の生えた髪の長い人の姿をした何かがこちらへゆっくり近づいて来ていた。
(手足が同じだからと人間じゃないってのは昔から変わらねぇんだな…)
人の世の隣りにあるからと言って、彼等が人と同じモノではない事は、いつの世にも語り継がれてきている。
じっと息を殺していれば岩と同じ扱いをしてもらえないかというデイビッドの愚かな目論見は見事に外れ、光る鹿はデイビッドの目の前に来て脚を低くした。
滑るようにその背から降りたコレまた光る存在に、ルーチェが先に進み出て挨拶をする。
「こんばんは せいれいさま ようこそ おいでくださいました きのタネを ここまではこんできたのは このヒトです」
(余計な紹介すな!!)
「我らが宿り樹の種を人の手に託し幾星霜 ついにこの時を迎えた 人の子よ礼を言う」
目にしただけで異界の、それもかなりの地位と力の持ち主と分かる厳かな雰囲気に、デイビッドは人の王など紙くず同然の脅威を感じ、精一杯の敬意を払った。
「その様なお言葉を頂けるような事はしておりません。ここは来たのも成り行きと偶然でした。そもそも種をこの地に埋めたのは人ではありません。」
「あの妖樹に宿り樹の種を与えたのはそなたであろ?我等が眷族の体内で育まれあの種はこの世の理に芽吹く事が叶った そしてここへ導かれ大樹と相成った その手が全てを繋げたのだ 謙遜するな」
(眷族…アルラウネは精霊の眷族なのか…)
「そなたはこの地の主であるのだな ならばあの樹はそなたの物だ そこに宿る我等もそなたに従わねばなるまい それが人の世の掟なのであろ?」
「いいえ、どこのがめつい人間に吹き込まれたかは存じませんが、そのような事実は一切ありません。土地を分けるのはその地に住まう人間の勝手。大地に宿る精と魂にまで及ぶ決め事などではございません。」
「だがそなたはそなたの治める地にあの妖樹を放ったのであろ ならばあの樹の生える土地はそなたの物だ 違うか?」
「人間の決め事など人間同士の間にのみ通じるもの。森羅万象にまで縛るものではございません。宜しければあの樹は精霊様の世界へお返し致します。」
「それは真か ひと昔前の人間はあの樹を精霊に乞うて手に入れておったがな」
「その末に人の世は幾度も滅び、数多の罪無き命が奪われ、大地が荒れました。あの樹が再び現世に現れたとなれば、いずれここにも諍いと争いがもたらされ、多くの血が流れ森が穢されることでしょう。人とは時にとても醜い生き物です。ここもいつ外の者に嗅ぎつけられるとも限りません。そうなる前に、尊き御身にこの森を捧げます。どうかお受け取り下さい。」
周りからキンキンと耳に物凄い数のざわめきが聞こえる。
デイビッドはもう恐ろしくて顔を上げることが出来なかった。
かしずくデイビッドの肩に、温もりの無いナニかが触れ、それが精霊の手だと分かると更に恐怖が募る。
「よくぞ申した人の子よ 同胞達よ聞いたか 今再び道は開かれた 皆を呼べ彼の地を繋げよ 今宵は宴じゃ」
その一声で足元の光が一斉に広がり、まるで光の絨毯の上に立っているような光景にデイビッドは思わず頭を上げてしまった。
その瞬間、バチリと音が聞こえそうな程大きく開かれた水底のような眼が合ってしまう。
鹿角の精霊は正面からデイビッドの顔を覗き込むと、真っ赤な口をカパッと開いて笑った。
「あの樹は我等の住まう彼の地へ続く道のようなもの こちら側の樹が絶えて久しく行き場を失した者達もこれで彼の地へ渡ることが出来よう 何か礼がしたい そなたは何を望む?」
「何も…望みなら、あの森を引き受けて下さるだけで、もう充分でございます…あれは人の手には余るモノなので…」
「無欲なものよ しかし随分と稀有なものよな 人の世にその身はちと生き難かろ」
「生まれてよりこの身故、生きるに不自由は致しません…」
「だが命を無駄に縮める事も無い 私が少し助けてやろう」
そう言うと、精霊の手がデイビッドの頬に触れた。
身体の中を涼やかな風が駆け抜けて行くような不思議な感覚と、無機質に近い手の感触に、今この瞬間自分が人の世から切り離されていることを実感する。
デイビッドは、ぐっと腹の底に力を入れ続けていないと、ふとした拍子に流されて、あちらへ連れて行かれてしまいそうな気さえしていた。
「おっきいのはね とってもやさしいの ボクとおはなししてくれるの おうたもうたってくれるんだよ」
「そうか 月光精がこれ程人に懐くのも珍しい 風の精が人の子に宿り樹の種を託したと聞いた時はどうなるかと案じていたが なるほどな 奇特な人間も居たものだ 気に入った これより我等精霊は何時でもそなたの力になろう」
精霊がそう言うと足元の光の輪が徐々に閉じ、後にはデイビッドとルーチェだけが残された。
光の道が閉じた瞬間、デイビッドは身体の力が抜け、汗だくになり、呼吸も荒く草むらにへたり込んでしまった。
「ところで おっきいの ボクにおはなし なんだったの?」
「あー…あの樹で貰った果物、食って大丈夫か聞きたかったんだよ…」
「あれは もりのあるじさまに ごあいさつ だから おっきいのが ぜんぶたべて」
「主じゃ…ねぇんだけどよ…そうか…じゃ遠慮なく頂くよ…」
「それじゃ ボクも みんなと あそんでくるね」
「あー…気を付けろよ…」
煌々と一層明るく輝く世界樹の樹に向かってルーチェが行ってしまうと、再び辺りに静寂が戻り、デイビッドはその場に倒れたまましばらく動けなかった。
(疲れた…久々真剣に肝が冷えた…言葉の通じる物わかりの良い奴で助かった…)
精霊を相手に交渉などしようものなら、下手をすればそのまま無理やり連れて行かれるか、その場で殺されていてもおかしくない。
ただただ幸運に感謝し、極度の緊張から解放され力の入らない身体を無理やり起こして馬車まで戻ると、デイビッドはそのままチェアに倒れ込み眠ってしまった。
「何してたんでしょうね…?」
「さぁ、でもずいぶん疲れて見えるわね。」
「仕方ないですよ。デイビッド様は放っといて、こっちはこっちで楽しみましょうか!?」
「それもそうね。」
「ウフフ!キャンプにお泊りなんて子供の頃以来です!」
「今夜はいい月ですね、ランプもいらないくらい明るくて、空が澄んでいて…」
「風も気持ちいいわぁ…」
「そう言えば、ベルダ先生は?」
「大切な用があるからって一度帰ったわ。アリーも森へ遊びに行っちゃったから静かね。」
ヴィオラはデイビッドに内緒で寮に外泊届を出し、ここに泊まるつもりで用意を進めていた。
「こんなに素敵なベッド付きの家馬車があるんですから、使わなきゃ勿体ないですよ!せっかくのバケーションなんだから楽しみましょう?」
「なんだかワクワクします!」
「キャンプなんて不便で不自由だとばっかり思ってたのに、こんなに楽しいとは思わなかったわ。」
「ミントキャンディ食べる人!」
「はーい!」
さらさらと気持ちの良い風を受けながら、ヴィオラはこの夜最高に幸せな夢を見た。
「すっごく楽しかったんです!幸せで、夢なら覚めないでほしいって思って…そしたらやっぱり夢でした!しかも起きたらなんにも覚えてなくて!」
「そうか…所でなんでヴィオラまで馬車で寝てたんだ?!」
「お泊りしたくて!この馬車はお泊りするためのアイテムなので!お泊りしました!」
「次から持ち主の許可取ってからにしてくれよ!?」
今朝は、昨日精霊達にもらった梨とリンゴをコンポートにしてタルトを作り、桃とオレンジはそのままゼリーの中に閉じ込めて、残った分は冷やしてそのまま器に盛った。
もちもちのベーグルがこんがり焼き上がると、生ハムとレタスにチーズを挟み、ミネストローネを添えて今朝の食事の完成だ。
「あ!デイビッド様だけ違うもの食べてる!」
「こっちは残りもんだよ。ちゃんとしたの用意したろ?そっち食べなさい。」
「美味しい!今度私もこれ食べたいです!」
「人の皿から取るんじゃない!」
昨夜のスープに炊いた米をぶち込み、卵を落としてひと煮立ちさせた適当雑炊をデイビッドがすすっていると、ヴィオラがその器にスプーンを突っ込みどんどん食べようとするので反対側に逃げて行く。
ベンチに座り、ヤカンを下げようとした時、ふと森の方を見ると空がぽっかりと開き、向こうの山まで見渡せるようになっていた。
あれだけ存在感のあった巨木は、一夜にして綺麗さっぱり消えている。
(持ってってくれたのか…はぁ…助かった…)
さて森の中はどうなったか、この後見に行ってみようと思うデイビッドだった。
「このもりの せいれいさまが くるんだよ!」
「精霊様ぁ?!人間の俺がここに居て大丈夫なのか?!」
「だいじょうぶ おっきいのに あいにきたんだよ」
「嫌な予感しかしない!!」
光の道がサッと開くと、そこには真っ白な光る鹿に乗った角の生えた髪の長い人の姿をした何かがこちらへゆっくり近づいて来ていた。
(手足が同じだからと人間じゃないってのは昔から変わらねぇんだな…)
人の世の隣りにあるからと言って、彼等が人と同じモノではない事は、いつの世にも語り継がれてきている。
じっと息を殺していれば岩と同じ扱いをしてもらえないかというデイビッドの愚かな目論見は見事に外れ、光る鹿はデイビッドの目の前に来て脚を低くした。
滑るようにその背から降りたコレまた光る存在に、ルーチェが先に進み出て挨拶をする。
「こんばんは せいれいさま ようこそ おいでくださいました きのタネを ここまではこんできたのは このヒトです」
(余計な紹介すな!!)
「我らが宿り樹の種を人の手に託し幾星霜 ついにこの時を迎えた 人の子よ礼を言う」
目にしただけで異界の、それもかなりの地位と力の持ち主と分かる厳かな雰囲気に、デイビッドは人の王など紙くず同然の脅威を感じ、精一杯の敬意を払った。
「その様なお言葉を頂けるような事はしておりません。ここは来たのも成り行きと偶然でした。そもそも種をこの地に埋めたのは人ではありません。」
「あの妖樹に宿り樹の種を与えたのはそなたであろ?我等が眷族の体内で育まれあの種はこの世の理に芽吹く事が叶った そしてここへ導かれ大樹と相成った その手が全てを繋げたのだ 謙遜するな」
(眷族…アルラウネは精霊の眷族なのか…)
「そなたはこの地の主であるのだな ならばあの樹はそなたの物だ そこに宿る我等もそなたに従わねばなるまい それが人の世の掟なのであろ?」
「いいえ、どこのがめつい人間に吹き込まれたかは存じませんが、そのような事実は一切ありません。土地を分けるのはその地に住まう人間の勝手。大地に宿る精と魂にまで及ぶ決め事などではございません。」
「だがそなたはそなたの治める地にあの妖樹を放ったのであろ ならばあの樹の生える土地はそなたの物だ 違うか?」
「人間の決め事など人間同士の間にのみ通じるもの。森羅万象にまで縛るものではございません。宜しければあの樹は精霊様の世界へお返し致します。」
「それは真か ひと昔前の人間はあの樹を精霊に乞うて手に入れておったがな」
「その末に人の世は幾度も滅び、数多の罪無き命が奪われ、大地が荒れました。あの樹が再び現世に現れたとなれば、いずれここにも諍いと争いがもたらされ、多くの血が流れ森が穢されることでしょう。人とは時にとても醜い生き物です。ここもいつ外の者に嗅ぎつけられるとも限りません。そうなる前に、尊き御身にこの森を捧げます。どうかお受け取り下さい。」
周りからキンキンと耳に物凄い数のざわめきが聞こえる。
デイビッドはもう恐ろしくて顔を上げることが出来なかった。
かしずくデイビッドの肩に、温もりの無いナニかが触れ、それが精霊の手だと分かると更に恐怖が募る。
「よくぞ申した人の子よ 同胞達よ聞いたか 今再び道は開かれた 皆を呼べ彼の地を繋げよ 今宵は宴じゃ」
その一声で足元の光が一斉に広がり、まるで光の絨毯の上に立っているような光景にデイビッドは思わず頭を上げてしまった。
その瞬間、バチリと音が聞こえそうな程大きく開かれた水底のような眼が合ってしまう。
鹿角の精霊は正面からデイビッドの顔を覗き込むと、真っ赤な口をカパッと開いて笑った。
「あの樹は我等の住まう彼の地へ続く道のようなもの こちら側の樹が絶えて久しく行き場を失した者達もこれで彼の地へ渡ることが出来よう 何か礼がしたい そなたは何を望む?」
「何も…望みなら、あの森を引き受けて下さるだけで、もう充分でございます…あれは人の手には余るモノなので…」
「無欲なものよ しかし随分と稀有なものよな 人の世にその身はちと生き難かろ」
「生まれてよりこの身故、生きるに不自由は致しません…」
「だが命を無駄に縮める事も無い 私が少し助けてやろう」
そう言うと、精霊の手がデイビッドの頬に触れた。
身体の中を涼やかな風が駆け抜けて行くような不思議な感覚と、無機質に近い手の感触に、今この瞬間自分が人の世から切り離されていることを実感する。
デイビッドは、ぐっと腹の底に力を入れ続けていないと、ふとした拍子に流されて、あちらへ連れて行かれてしまいそうな気さえしていた。
「おっきいのはね とってもやさしいの ボクとおはなししてくれるの おうたもうたってくれるんだよ」
「そうか 月光精がこれ程人に懐くのも珍しい 風の精が人の子に宿り樹の種を託したと聞いた時はどうなるかと案じていたが なるほどな 奇特な人間も居たものだ 気に入った これより我等精霊は何時でもそなたの力になろう」
精霊がそう言うと足元の光の輪が徐々に閉じ、後にはデイビッドとルーチェだけが残された。
光の道が閉じた瞬間、デイビッドは身体の力が抜け、汗だくになり、呼吸も荒く草むらにへたり込んでしまった。
「ところで おっきいの ボクにおはなし なんだったの?」
「あー…あの樹で貰った果物、食って大丈夫か聞きたかったんだよ…」
「あれは もりのあるじさまに ごあいさつ だから おっきいのが ぜんぶたべて」
「主じゃ…ねぇんだけどよ…そうか…じゃ遠慮なく頂くよ…」
「それじゃ ボクも みんなと あそんでくるね」
「あー…気を付けろよ…」
煌々と一層明るく輝く世界樹の樹に向かってルーチェが行ってしまうと、再び辺りに静寂が戻り、デイビッドはその場に倒れたまましばらく動けなかった。
(疲れた…久々真剣に肝が冷えた…言葉の通じる物わかりの良い奴で助かった…)
精霊を相手に交渉などしようものなら、下手をすればそのまま無理やり連れて行かれるか、その場で殺されていてもおかしくない。
ただただ幸運に感謝し、極度の緊張から解放され力の入らない身体を無理やり起こして馬車まで戻ると、デイビッドはそのままチェアに倒れ込み眠ってしまった。
「何してたんでしょうね…?」
「さぁ、でもずいぶん疲れて見えるわね。」
「仕方ないですよ。デイビッド様は放っといて、こっちはこっちで楽しみましょうか!?」
「それもそうね。」
「ウフフ!キャンプにお泊りなんて子供の頃以来です!」
「今夜はいい月ですね、ランプもいらないくらい明るくて、空が澄んでいて…」
「風も気持ちいいわぁ…」
「そう言えば、ベルダ先生は?」
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ヴィオラはデイビッドに内緒で寮に外泊届を出し、ここに泊まるつもりで用意を進めていた。
「こんなに素敵なベッド付きの家馬車があるんですから、使わなきゃ勿体ないですよ!せっかくのバケーションなんだから楽しみましょう?」
「なんだかワクワクします!」
「キャンプなんて不便で不自由だとばっかり思ってたのに、こんなに楽しいとは思わなかったわ。」
「ミントキャンディ食べる人!」
「はーい!」
さらさらと気持ちの良い風を受けながら、ヴィオラはこの夜最高に幸せな夢を見た。
「すっごく楽しかったんです!幸せで、夢なら覚めないでほしいって思って…そしたらやっぱり夢でした!しかも起きたらなんにも覚えてなくて!」
「そうか…所でなんでヴィオラまで馬車で寝てたんだ?!」
「お泊りしたくて!この馬車はお泊りするためのアイテムなので!お泊りしました!」
「次から持ち主の許可取ってからにしてくれよ!?」
今朝は、昨日精霊達にもらった梨とリンゴをコンポートにしてタルトを作り、桃とオレンジはそのままゼリーの中に閉じ込めて、残った分は冷やしてそのまま器に盛った。
もちもちのベーグルがこんがり焼き上がると、生ハムとレタスにチーズを挟み、ミネストローネを添えて今朝の食事の完成だ。
「あ!デイビッド様だけ違うもの食べてる!」
「こっちは残りもんだよ。ちゃんとしたの用意したろ?そっち食べなさい。」
「美味しい!今度私もこれ食べたいです!」
「人の皿から取るんじゃない!」
昨夜のスープに炊いた米をぶち込み、卵を落としてひと煮立ちさせた適当雑炊をデイビッドがすすっていると、ヴィオラがその器にスプーンを突っ込みどんどん食べようとするので反対側に逃げて行く。
ベンチに座り、ヤカンを下げようとした時、ふと森の方を見ると空がぽっかりと開き、向こうの山まで見渡せるようになっていた。
あれだけ存在感のあった巨木は、一夜にして綺麗さっぱり消えている。
(持ってってくれたのか…はぁ…助かった…)
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