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1章
23夜 限りなく善意に近い、黒
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夜八時過ぎ。
タンザナイトはドスドスと聞かせるように、足音を立てながら爽乃に近寄った。
掃除屋達が、リバース フォートレス エックレーシアのブロック調の壁を張り替えている。
血痕はどんなに拭いても、季節が一巡りするくらいの間は取れないものだ。
「爽乃さん。どういうことですか?」
「腹が立ったからに、決まってるじゃないですか」
爽乃の顔色が、さっと青色に変化した。怒りで赤くなるタイプより、青くなるタイプの方が厄介だ。
上着に忍ばせてある銃の撃鉄を、そっと起こすタンザナイト。
「私情など、仕事に一番不要です。あの人が小児性愛者なのは、今に始まったことではないでしょう。捨てられた恨みか、知りませんけどね」
爽乃はタンザナイトの言葉を待たずに、吠える。
「うっせぇんだよ! なんであの娘が、あんな目に遭わないといけないの!?」
「ちょっと待って下さい。あの娘って、まさか」
爽乃が言う「あの娘」がタンザナイトの思い浮かべる人間ならば、自分達の嘘が上にお見通しと言うことになる。
爽乃は視線を逸らしたまま、口を開かない。
この沈黙は、タンザナイトの予想の肯定だろう。
「……何故、相談してくれなかったんですか」
タンザナイトは、穏やかに流れる水流のような怒りを覚えた。
こんな大事を、相談をしない爽乃。それ以上に、部下の信頼を得られていない自分自身に。
今すぐにでも、自身の首を捥ぎ取りたい気持ちだ。
「私の復讐ですから。貴方には、関係ない」
「無関係な訳ないでしょう。私達は、特務の仲間じゃないですか」
「他人ですよ」
爽乃は、抗言する。
人懐っこい割に、爽乃は他人と一線を引いている。彼女が引いた「ここからは、入って来ないで」って言う、領域がある。
人間誰しも「踏み込まれたくない領域」はあるが、彼女の場合は面積が広いように思う。
その癖聞いてもないのに、自分の身の上話など一方的にベラベラ話すのだ。
タンザナイトは、虚無の言葉を脳内で反芻した。
『爽乃の機嫌を、とった方がいい』
そうだ。不法入国の大和皇国人に、通り魔事件だってある。
彼女の精神を安定させることは無理でも、平坦に戻さなければ。
「あー。爽乃さんが飲んでいるお水、飲んでみたいですねぇ」
我ながら、酷い猿芝居だと思う。演技は上手い方なのに、プライベートな話となると演技力をドブに捨ててしまうようだ。
これでは、爽乃に警戒されてしまう。
「えっ!? 神力水の魅力に、気付いたんですか!? 励まされます」
と言うこともなく、初孫を喜ぶ婆のような笑顔を爽乃は浮かべた。
この嬉しそうな笑顔は、少し良心が痛む。
「え、は、はい。美味しそうなので……」
タンザナイトは歯切れ悪く返事して、珍しく曖昧な笑顔を浮かべた。
「そうでしょう! そうでしょう! 美味しいだけではなくて、脳細胞まで栄養が行き渡りますからね。美容にも、良いんですよ。私の肌がプルプルなのは、神力水のおかげです」
「踵の裏、結構乾燥してますけどね」
「喧しいわ」
笑顔のまま、爽乃はタンザナイトの首を絞めた。
「フィデーリスさん、なんで重箱の隅をつつくをような発言ばかりするんですか? とても悪魔的ですよ。実際悪魔みたいな人ですけど……」
「ごぼっげべうべべべ」
「すみません。悪魔の言葉は、わからないんです……」
あ。締め殺す気だ、これ。
「何やっているんですか……爽乃さん。タンザナイトさんも、女の人を恨みを買うような真似をしては駄目ですよ」
ムニメィがランタンで夜道を照らしながら、二人に駆け寄って来た。
「伝言です。タンザナイトさんは緊急の会議だそうです。爽乃さんは、自室待機だそうです」
タンザナイトは短く頷き、爽乃はムニメィにがっちりと腕を組まれて連行されていく。
(おかしい。全部隊統括者の暗殺をしておいて、上がすぐに折檻を始めないなんて……何かある)
*
会議は約一時間と半刻で、終了した。
参加者は各班の班長と、要塞協会の特務部隊室長。人数にして、十名にも満たない。
緊急会議の内容は「全部隊統括者の死」を、どう情報操作するかと言う内容であった。
あくまで案として委員会に提出するのに、みんなで整合性がとれるように話し合ったのだ。
嘘の死因を話し合うなんて、神様が居たらなんて言うのだろうか。
つくづく底のない、光が届かない泥沼のような場所だと思う。
不気味なほどに、爽乃の話題は出なかった。
会議に参加した誰も、我関せずを貫き通していたのだ。
タンザナイトは、室長のインカローズ リベラにそれとなく質問してみることにした。
彼は目を閉じながら、ルービックキューブの面を合わせている。
肩にかかるくらいの、サーモンの切り身のような髪。物語に出てくる怪盗のような、片眼鏡。薄い唇。目は糸を引いたように細く、寝ているのか起きているのか分からない。
年齢はタンザナイトより、数個上だろう。
「次は、裏面の赤を動かして」
「リベラさん」
最初は、普通に話しかけるタンザナイト。
「これで赤が、揃ったから……」
「リベラさん!」
「先に、青を揃えておくべきだったか……」
一回り大きな声で、話しかけても聞こえていないらしい。
完全に自分の世界に、入り浸っている。
「リベラさん!!」
タンザナイトはインカローズから、ルービックキューブを取り上げた。
「な、何をするんだね!? 酷いじゃないか!! 僕が遊んでるのに」
粘りと甘みがある、演歌歌手のような声。
タンザナイトは、苛立ちを覚えた。
「何回話しかけても、返事すらしてくれないからですよ」
「それは、ごめん。僕のルービックキューブをする時間を奪ってまで、聞きたいことって何だい?」
しかも、めちゃくちゃ根に持っていると来た。子供みたいな反抗の仕方に、タンザナイトは呆れて物が言えなかった。
「神音さん、どうなるんですかね」
「え? どうもならないよ?」
何を当たり前のことを、聞いてるの? そう言いたげに、インカローズは気怠げに返事した。
「……はい?」
「え。知らないの? オルドさんって小児性愛者で、四十人くらいの子供に手を出していたんだよ。特殊警察部隊時代に知り合った子供や、特務の子や、施設暮らしの子供とか。昔は、それでも良かったんだよ。そうやって、得たお金で食べている子供も居たからさ。だけど今はそれが、許されない時代になって来た。人間に子供の人権を守るって言う倫理観が、備わって来たんだね。どこで聞きつけたのか、オルドさんのことを聞いた記者が居てね。写真を、撮られてしまったんだよね」
インカローズは短く息を吐いてから、言葉を続ける。
「安心して。記者には事故に遭って貰って、該当雑誌は発禁処分に追い込んだから。以前より裏付けが取れてない噂程度を、さも真実かのように書く三流情報誌だったから潰すくらい訳はないさ。問題はそんな三流情報誌の記者に、情報すっぱ抜かれる脇の甘さだよ。そりゃあ、そんなことしない方が一番良い。大きな出版社に、暴かれる前に死んでくれて良かった。それが、皆の総意じゃないかな」
「なるほど。ならば何故オルドさんを、全部隊統括者の立場から下さなかったのですか?」
「仕事は、出来るからさ。プライベートの性欲のことなんて、当事者でもないのに口を出したくないんでしょう」
「……神音さんは、本当にどうにもならないんですよね」
「大丈夫でしょう。だって、彼女は上のお気に入りだからさ」
「…………ハ?」
その言葉が、何を意味するのかくらい分かる。
インカローズは、意外そうに目を見開いた。
「え……。知らなかったの?」
「待って下さい。彼女ほど、魔術師を殺した人間は居ません。その実力が評価されて……」
「タンザナイト君。君はね、潔癖過ぎるんだよ。表の世界も裏の世界も、男を動かすのは性欲。女の人を動かすのは、色恋なのさ。君がいくら彼女に道を示してあげても、彼女は『女として必要とされること』に、喜びを感じてるから今は無駄だよ。彼女がもう少し大人になれば、君の高潔さに気付くさ」
インカローズは、ゆったりと微笑んだ。
「そうかそうか。君も可愛いところが、あったんだねー。愛だねえ」
インカローズは、わしゃわしゃとタンザナイトの頭を撫でた。
「断じて、違います。あんなカルト女、全く好きじゃありません」
タンザナイトはドスドスと聞かせるように、足音を立てながら爽乃に近寄った。
掃除屋達が、リバース フォートレス エックレーシアのブロック調の壁を張り替えている。
血痕はどんなに拭いても、季節が一巡りするくらいの間は取れないものだ。
「爽乃さん。どういうことですか?」
「腹が立ったからに、決まってるじゃないですか」
爽乃の顔色が、さっと青色に変化した。怒りで赤くなるタイプより、青くなるタイプの方が厄介だ。
上着に忍ばせてある銃の撃鉄を、そっと起こすタンザナイト。
「私情など、仕事に一番不要です。あの人が小児性愛者なのは、今に始まったことではないでしょう。捨てられた恨みか、知りませんけどね」
爽乃はタンザナイトの言葉を待たずに、吠える。
「うっせぇんだよ! なんであの娘が、あんな目に遭わないといけないの!?」
「ちょっと待って下さい。あの娘って、まさか」
爽乃が言う「あの娘」がタンザナイトの思い浮かべる人間ならば、自分達の嘘が上にお見通しと言うことになる。
爽乃は視線を逸らしたまま、口を開かない。
この沈黙は、タンザナイトの予想の肯定だろう。
「……何故、相談してくれなかったんですか」
タンザナイトは、穏やかに流れる水流のような怒りを覚えた。
こんな大事を、相談をしない爽乃。それ以上に、部下の信頼を得られていない自分自身に。
今すぐにでも、自身の首を捥ぎ取りたい気持ちだ。
「私の復讐ですから。貴方には、関係ない」
「無関係な訳ないでしょう。私達は、特務の仲間じゃないですか」
「他人ですよ」
爽乃は、抗言する。
人懐っこい割に、爽乃は他人と一線を引いている。彼女が引いた「ここからは、入って来ないで」って言う、領域がある。
人間誰しも「踏み込まれたくない領域」はあるが、彼女の場合は面積が広いように思う。
その癖聞いてもないのに、自分の身の上話など一方的にベラベラ話すのだ。
タンザナイトは、虚無の言葉を脳内で反芻した。
『爽乃の機嫌を、とった方がいい』
そうだ。不法入国の大和皇国人に、通り魔事件だってある。
彼女の精神を安定させることは無理でも、平坦に戻さなければ。
「あー。爽乃さんが飲んでいるお水、飲んでみたいですねぇ」
我ながら、酷い猿芝居だと思う。演技は上手い方なのに、プライベートな話となると演技力をドブに捨ててしまうようだ。
これでは、爽乃に警戒されてしまう。
「えっ!? 神力水の魅力に、気付いたんですか!? 励まされます」
と言うこともなく、初孫を喜ぶ婆のような笑顔を爽乃は浮かべた。
この嬉しそうな笑顔は、少し良心が痛む。
「え、は、はい。美味しそうなので……」
タンザナイトは歯切れ悪く返事して、珍しく曖昧な笑顔を浮かべた。
「そうでしょう! そうでしょう! 美味しいだけではなくて、脳細胞まで栄養が行き渡りますからね。美容にも、良いんですよ。私の肌がプルプルなのは、神力水のおかげです」
「踵の裏、結構乾燥してますけどね」
「喧しいわ」
笑顔のまま、爽乃はタンザナイトの首を絞めた。
「フィデーリスさん、なんで重箱の隅をつつくをような発言ばかりするんですか? とても悪魔的ですよ。実際悪魔みたいな人ですけど……」
「ごぼっげべうべべべ」
「すみません。悪魔の言葉は、わからないんです……」
あ。締め殺す気だ、これ。
「何やっているんですか……爽乃さん。タンザナイトさんも、女の人を恨みを買うような真似をしては駄目ですよ」
ムニメィがランタンで夜道を照らしながら、二人に駆け寄って来た。
「伝言です。タンザナイトさんは緊急の会議だそうです。爽乃さんは、自室待機だそうです」
タンザナイトは短く頷き、爽乃はムニメィにがっちりと腕を組まれて連行されていく。
(おかしい。全部隊統括者の暗殺をしておいて、上がすぐに折檻を始めないなんて……何かある)
*
会議は約一時間と半刻で、終了した。
参加者は各班の班長と、要塞協会の特務部隊室長。人数にして、十名にも満たない。
緊急会議の内容は「全部隊統括者の死」を、どう情報操作するかと言う内容であった。
あくまで案として委員会に提出するのに、みんなで整合性がとれるように話し合ったのだ。
嘘の死因を話し合うなんて、神様が居たらなんて言うのだろうか。
つくづく底のない、光が届かない泥沼のような場所だと思う。
不気味なほどに、爽乃の話題は出なかった。
会議に参加した誰も、我関せずを貫き通していたのだ。
タンザナイトは、室長のインカローズ リベラにそれとなく質問してみることにした。
彼は目を閉じながら、ルービックキューブの面を合わせている。
肩にかかるくらいの、サーモンの切り身のような髪。物語に出てくる怪盗のような、片眼鏡。薄い唇。目は糸を引いたように細く、寝ているのか起きているのか分からない。
年齢はタンザナイトより、数個上だろう。
「次は、裏面の赤を動かして」
「リベラさん」
最初は、普通に話しかけるタンザナイト。
「これで赤が、揃ったから……」
「リベラさん!」
「先に、青を揃えておくべきだったか……」
一回り大きな声で、話しかけても聞こえていないらしい。
完全に自分の世界に、入り浸っている。
「リベラさん!!」
タンザナイトはインカローズから、ルービックキューブを取り上げた。
「な、何をするんだね!? 酷いじゃないか!! 僕が遊んでるのに」
粘りと甘みがある、演歌歌手のような声。
タンザナイトは、苛立ちを覚えた。
「何回話しかけても、返事すらしてくれないからですよ」
「それは、ごめん。僕のルービックキューブをする時間を奪ってまで、聞きたいことって何だい?」
しかも、めちゃくちゃ根に持っていると来た。子供みたいな反抗の仕方に、タンザナイトは呆れて物が言えなかった。
「神音さん、どうなるんですかね」
「え? どうもならないよ?」
何を当たり前のことを、聞いてるの? そう言いたげに、インカローズは気怠げに返事した。
「……はい?」
「え。知らないの? オルドさんって小児性愛者で、四十人くらいの子供に手を出していたんだよ。特殊警察部隊時代に知り合った子供や、特務の子や、施設暮らしの子供とか。昔は、それでも良かったんだよ。そうやって、得たお金で食べている子供も居たからさ。だけど今はそれが、許されない時代になって来た。人間に子供の人権を守るって言う倫理観が、備わって来たんだね。どこで聞きつけたのか、オルドさんのことを聞いた記者が居てね。写真を、撮られてしまったんだよね」
インカローズは短く息を吐いてから、言葉を続ける。
「安心して。記者には事故に遭って貰って、該当雑誌は発禁処分に追い込んだから。以前より裏付けが取れてない噂程度を、さも真実かのように書く三流情報誌だったから潰すくらい訳はないさ。問題はそんな三流情報誌の記者に、情報すっぱ抜かれる脇の甘さだよ。そりゃあ、そんなことしない方が一番良い。大きな出版社に、暴かれる前に死んでくれて良かった。それが、皆の総意じゃないかな」
「なるほど。ならば何故オルドさんを、全部隊統括者の立場から下さなかったのですか?」
「仕事は、出来るからさ。プライベートの性欲のことなんて、当事者でもないのに口を出したくないんでしょう」
「……神音さんは、本当にどうにもならないんですよね」
「大丈夫でしょう。だって、彼女は上のお気に入りだからさ」
「…………ハ?」
その言葉が、何を意味するのかくらい分かる。
インカローズは、意外そうに目を見開いた。
「え……。知らなかったの?」
「待って下さい。彼女ほど、魔術師を殺した人間は居ません。その実力が評価されて……」
「タンザナイト君。君はね、潔癖過ぎるんだよ。表の世界も裏の世界も、男を動かすのは性欲。女の人を動かすのは、色恋なのさ。君がいくら彼女に道を示してあげても、彼女は『女として必要とされること』に、喜びを感じてるから今は無駄だよ。彼女がもう少し大人になれば、君の高潔さに気付くさ」
インカローズは、ゆったりと微笑んだ。
「そうかそうか。君も可愛いところが、あったんだねー。愛だねえ」
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