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第一話「揺篭」
「揺篭」(5)
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市街地の歩道は、多種多様な人々の往来であふれ返っていた。
「痛た!」
きゅうに立ち止まるなり、片目をおさえて身を折ったのはシヅルだ。異変に気づいたジョージも、心配そうにシヅルの背をさすっている。
「どうしたの、シヅル?」
「い、痛たたた……」
「コンタクトがずれた?」
「ちゃう。うちは裸眼や。これは、この感じは……」
うつむいたシヅルの顔を覗き込み、ジョージは目撃した。
激痛をともなって自動的にシヅルの片目に刻まれた〝呪力の五芒星〟を。どこか近くで生じた強い呪力の反応を、魔法少女のセンサーが敏感に捕捉したものらしい。そんなこともつゆ知らず、あたりの市民は停滞するふたりをよけて流れ続ける。
「危ない!」
叫んだシヅルは、抱きつくように自分ごとジョージと横に身を投げた。
間一髪、ふたりのいた道路から噴き上がったのは鋭い輝きだ。とっさに回避していなければ、シヅルたちはその交通事故のような衝撃で重傷を負っていたに違いない。
はるか空のかなたまで上昇したそれは、じきに細かな飛沫と化して歩行者たちに降り注いだ。そう、弾丸のような噴出物の正体は〝ただの水〟にしかすぎない。
だがそれの穿った大穴から、いっしょに飛び出したものはなんだろう。
なんと、人間ではないか。制服を着た女子高生の姿にも見える。非常識な水圧に吹き飛ばされてきた彼女は、反動で高々と宙を舞った。すぐに砂袋のように石畳へ叩きつけられる。
いっぺんに色々なことが起き、あたりの人間も思わず足を止めた。にわかに浴びせかかった雨滴から頭を守りつつ、口々に疑問符をこぼす。
「なんだ?」
「破裂した? 水道管が?」
「市はなにやってるんだ!」
いきなりできた噴水を中心に、人だかりは遠巻きに円陣を組んだ。
混乱の中で唯一、まともな行動にでた者がいる。シヅルだ。手を貸して起き上がらせたジョージを、シヅルは安全な大衆のほうへ退去させた。
「これはただ事やない。はなれて見とき」
「わ、わかった。気をつけてね、シヅル」
この怪奇現象が呪力によって引き起こされたものだと、シヅルだけは冷静に判別していた。地底を掘って現れた少女は、倒れて気絶していると思われる。しゃがみ込んだ先の彼女の背中を、軽く叩いてシヅルは大声をかけた。
「なあ、あんた! 大丈夫け!?」
「…………」
あおむけに寝返った彼女を見て、シヅルはいくつかの事実を知った。
まず彼女の制服は、シヅルと同じ美須賀大付属のものだ。そして濡れ鼠とはいえ、その美麗で有名な顔立ちは……
シヅルは相手の名を呼んだ。
「久灯瑠璃絵やんか!」
「……!」
じぶんの本名を聞くことが、意識を取り戻すきっかけになったらしい。かっと目を見開くや、ルリエはバネ仕掛けの機敏さで上半身を起こした。
あたりを確認すればそこは、もう無人の地下ではない。多くの一般人が物見の山をつくる地上だ。ということは……
開口一番、ルリエは周囲に手を振って叫んだ。
「逃げて!」
「!?」
つかのま首をかしげた人々は、直後に危険を認識することになった。
地鳴りとともに、足もとを襲ったのは大きな震動だ。シヅルとルリエの立つそばの道路が、大型の掘削機に殴られでもしたように隆起したではないか。それも下から上へ、何度も何度も。頑丈なコンクリートはしだいに砕け、裂け目からはふたたび激しい水柱が立ち昇る。
こんどは水だけではない。
馬鹿力でえぐった瓦礫を押しのけたのは、人ならざる獰猛な水かきの手だ。異常に発達した流線形の頭部が、うつろな魚眼とともににゅっと顔をのぞかせる。
怪物……
粘着質の唾液をたらすムキムキの半魚人……
あっという間に、市民はパニックを起こして逃げ惑った。
入り乱れる人流にもかまわず、シヅルだけはひとり棒立ちになっている。いまや全身を地上へ引き抜いて石片をこぼす死魚鬼を前に、シヅルは呆然とつぶやいた。
「な、なんやこいつ……」
そんなシヅルの腕を、強く引っ張ったのはジョージだった。
「は、はやく逃げようよ!」
「いや、この呪力……」
だれにともなくシヅルは問うた。
「魔法少女?」
「の、なり損ないよ」
シヅルを後方へ押しのけ、ルリエはきっぱり告げた。
「これからあいつを始末する。下がってなさい!」
異次元の戦闘は再開した。
死魚鬼めがけて、一直線に駆け出したのはルリエだ。制服のすそ、そで、スカートの下からいっせいに尖った影が飛び出す。複数本の緑色の触手だった。電光石火でほとばしったその速度は、常人の動体視力ではとても捉えきれない。限界まで研ぎ澄まされた触手の切っ先は、あらゆる時間差をもって四方八方から死魚鬼を襲う。
「ぎょぎょ!」
死魚鬼のこれは笑いか。
とたんに、ルリエの触手はことごとく打ち払われている。あちこちで躍る噴水が生物のように蠢いたかと思いきや、一斉射撃された弓矢さながらに固まって触手の群れを迎撃したのだ。死魚鬼の手招きに従い、水溜まりは続々と硬化して透明の槍に変じた。
とめどなく飛来する呪力の水弾には、ルリエも触手を盾にして身を守るしかない。触手の防御をすり抜けた水の刃は、ルリエの脚を、横腹を、頬をかすめて血をしぶかせる。すこしずつだが、水の爪牙はその精度と強度を増していた。
「!」
かすれた悲鳴を漏らして、ルリエは道路に吹き飛んだ。木枝のひん曲がるような骨折音が連続する。ガードごと触手を貫いてルリエの胸を強打したのは、ひときわ大砲じみた液体の一閃だ。
「ぎょ!」
産まれたての死魚鬼は、野生の本能で着実に呪力の奏法を学んでいるらしい。ここまで強烈な攻撃に対しては、受ける肉体のすべてが急所と化す。ずっと放置すれば、こいつが際限なく成長していくのは明らかだ。
地面を転がったルリエに、死魚鬼は蛙のように踊って歩み寄った。彼女の繊細な喉笛を醜い水かきの手で掴み、たやすく宙へ引きずり上げる。悪臭のする粘液をひいて剥かれたのは、ピラニアのごとき鋭いあぎとだ。失神して瞑目するルリエに、そのまま頭から噛じりつき……
いきおいよくルリエが開眼したのは、次の瞬間だった。
「かかったわね!」
このゼロ距離を待っていた。素早く走ったルリエの繊手もまた、死魚鬼の首筋を鷲掴みにしている。同時に発動したのは、クトゥルフの呪力だ。
「〝石の都〟!」
背景ごと空間を歪めて、超重力は死魚鬼の頭部を集中的に圧迫した。狙うはその小さな脳の破壊だ。
しかし相手も黙ってはいない。重圧の鉄鎚に負けじと、死魚鬼は渾身の握力でルリエの首をしめた。身震いしつつ、ルリエの唇から鮮血が伝う。常人ならとっくに頭と体が千切れていたはずだ。
お互い怒号して、ふたりは力と力を全開にした。
「おおおおおおおおおッッ!!」
「ぎょぎょぎょぎょ~~ッ!!」
ふいに、時間は止まった。
死魚鬼の肩に、何者かが手を置いたのだ。
瞳に呪力の五芒星を燃やしたまま、シヅルはささやいた。
「やりすぎやで、このマッチョ魚?」
高速で振り払われた水かきの裏拳を、シヅルは身を低めてかわした。断たれて宙に舞う数本の毛髪。死魚鬼の懐に飛び込むや、シヅルの指先に光ったのは呪力でできた長針だ。
シヅルの瞳孔は、いっきに広がって輝いた。
「〝蜘蛛の騎士〟第一関門……〝死点〟」
湿った音が響いた。
死魚鬼が気づいたときには、シヅルは後方で倒れかかるルリエを支えている。無防備なその背中へ、猛牛のごとく死魚鬼は襲いかかり……
ぱちん、とシヅルは指を鳴らしただけだった。
「ぎょッ!?」
糸の切れた人形のように、死魚鬼はその場に崩れ落ちた。道路で地響きをたてて静かになったその背中では、胸から入って抜けたシヅルの魔針が光の粒になって散りかけている。
倒れて痙攣する死魚鬼へ、シヅルは静かに言い残した。
「あんたの命の線は斬った。ここが終点や」
「……なに、いまのは?」
潰れた声でうめいたのは、シヅルに肩を貸されたルリエだった。
「あの死魚鬼の鉄壁の外皮をいとも簡単に……防御力無視なの?」
「ごっつい破壊の力はあらへんけど、単純な一点突破なら得意や」
「あ、あなたは……」
破壊された声帯の修復も間に合わず、ルリエは血の混じった咳を吐いた。ほぼ無人と化した街を二人三脚で歩きながら、気遣ったのはシヅルだ。
「あんまし無理して喋らへんほうがええんで、久灯はん。どんだけ体が丈夫っちゅうてもケガに障る」
「あ、あなたはたしか、魔法少女の伊捨星歌の……」
「そ、友達の江藤詩鶴や。久灯はんと会うんは、いつぞやにUFOキャッチャーで遊んで以来やね」
シヅルの片目の五芒星は一角、その頂点を消していた。呪力を消耗した証である。
「うちも一応、魔法少女みたいでな」
まわりの建物という建物に、緊急車両のサイレンは反響し始めていた。
「痛た!」
きゅうに立ち止まるなり、片目をおさえて身を折ったのはシヅルだ。異変に気づいたジョージも、心配そうにシヅルの背をさすっている。
「どうしたの、シヅル?」
「い、痛たたた……」
「コンタクトがずれた?」
「ちゃう。うちは裸眼や。これは、この感じは……」
うつむいたシヅルの顔を覗き込み、ジョージは目撃した。
激痛をともなって自動的にシヅルの片目に刻まれた〝呪力の五芒星〟を。どこか近くで生じた強い呪力の反応を、魔法少女のセンサーが敏感に捕捉したものらしい。そんなこともつゆ知らず、あたりの市民は停滞するふたりをよけて流れ続ける。
「危ない!」
叫んだシヅルは、抱きつくように自分ごとジョージと横に身を投げた。
間一髪、ふたりのいた道路から噴き上がったのは鋭い輝きだ。とっさに回避していなければ、シヅルたちはその交通事故のような衝撃で重傷を負っていたに違いない。
はるか空のかなたまで上昇したそれは、じきに細かな飛沫と化して歩行者たちに降り注いだ。そう、弾丸のような噴出物の正体は〝ただの水〟にしかすぎない。
だがそれの穿った大穴から、いっしょに飛び出したものはなんだろう。
なんと、人間ではないか。制服を着た女子高生の姿にも見える。非常識な水圧に吹き飛ばされてきた彼女は、反動で高々と宙を舞った。すぐに砂袋のように石畳へ叩きつけられる。
いっぺんに色々なことが起き、あたりの人間も思わず足を止めた。にわかに浴びせかかった雨滴から頭を守りつつ、口々に疑問符をこぼす。
「なんだ?」
「破裂した? 水道管が?」
「市はなにやってるんだ!」
いきなりできた噴水を中心に、人だかりは遠巻きに円陣を組んだ。
混乱の中で唯一、まともな行動にでた者がいる。シヅルだ。手を貸して起き上がらせたジョージを、シヅルは安全な大衆のほうへ退去させた。
「これはただ事やない。はなれて見とき」
「わ、わかった。気をつけてね、シヅル」
この怪奇現象が呪力によって引き起こされたものだと、シヅルだけは冷静に判別していた。地底を掘って現れた少女は、倒れて気絶していると思われる。しゃがみ込んだ先の彼女の背中を、軽く叩いてシヅルは大声をかけた。
「なあ、あんた! 大丈夫け!?」
「…………」
あおむけに寝返った彼女を見て、シヅルはいくつかの事実を知った。
まず彼女の制服は、シヅルと同じ美須賀大付属のものだ。そして濡れ鼠とはいえ、その美麗で有名な顔立ちは……
シヅルは相手の名を呼んだ。
「久灯瑠璃絵やんか!」
「……!」
じぶんの本名を聞くことが、意識を取り戻すきっかけになったらしい。かっと目を見開くや、ルリエはバネ仕掛けの機敏さで上半身を起こした。
あたりを確認すればそこは、もう無人の地下ではない。多くの一般人が物見の山をつくる地上だ。ということは……
開口一番、ルリエは周囲に手を振って叫んだ。
「逃げて!」
「!?」
つかのま首をかしげた人々は、直後に危険を認識することになった。
地鳴りとともに、足もとを襲ったのは大きな震動だ。シヅルとルリエの立つそばの道路が、大型の掘削機に殴られでもしたように隆起したではないか。それも下から上へ、何度も何度も。頑丈なコンクリートはしだいに砕け、裂け目からはふたたび激しい水柱が立ち昇る。
こんどは水だけではない。
馬鹿力でえぐった瓦礫を押しのけたのは、人ならざる獰猛な水かきの手だ。異常に発達した流線形の頭部が、うつろな魚眼とともににゅっと顔をのぞかせる。
怪物……
粘着質の唾液をたらすムキムキの半魚人……
あっという間に、市民はパニックを起こして逃げ惑った。
入り乱れる人流にもかまわず、シヅルだけはひとり棒立ちになっている。いまや全身を地上へ引き抜いて石片をこぼす死魚鬼を前に、シヅルは呆然とつぶやいた。
「な、なんやこいつ……」
そんなシヅルの腕を、強く引っ張ったのはジョージだった。
「は、はやく逃げようよ!」
「いや、この呪力……」
だれにともなくシヅルは問うた。
「魔法少女?」
「の、なり損ないよ」
シヅルを後方へ押しのけ、ルリエはきっぱり告げた。
「これからあいつを始末する。下がってなさい!」
異次元の戦闘は再開した。
死魚鬼めがけて、一直線に駆け出したのはルリエだ。制服のすそ、そで、スカートの下からいっせいに尖った影が飛び出す。複数本の緑色の触手だった。電光石火でほとばしったその速度は、常人の動体視力ではとても捉えきれない。限界まで研ぎ澄まされた触手の切っ先は、あらゆる時間差をもって四方八方から死魚鬼を襲う。
「ぎょぎょ!」
死魚鬼のこれは笑いか。
とたんに、ルリエの触手はことごとく打ち払われている。あちこちで躍る噴水が生物のように蠢いたかと思いきや、一斉射撃された弓矢さながらに固まって触手の群れを迎撃したのだ。死魚鬼の手招きに従い、水溜まりは続々と硬化して透明の槍に変じた。
とめどなく飛来する呪力の水弾には、ルリエも触手を盾にして身を守るしかない。触手の防御をすり抜けた水の刃は、ルリエの脚を、横腹を、頬をかすめて血をしぶかせる。すこしずつだが、水の爪牙はその精度と強度を増していた。
「!」
かすれた悲鳴を漏らして、ルリエは道路に吹き飛んだ。木枝のひん曲がるような骨折音が連続する。ガードごと触手を貫いてルリエの胸を強打したのは、ひときわ大砲じみた液体の一閃だ。
「ぎょ!」
産まれたての死魚鬼は、野生の本能で着実に呪力の奏法を学んでいるらしい。ここまで強烈な攻撃に対しては、受ける肉体のすべてが急所と化す。ずっと放置すれば、こいつが際限なく成長していくのは明らかだ。
地面を転がったルリエに、死魚鬼は蛙のように踊って歩み寄った。彼女の繊細な喉笛を醜い水かきの手で掴み、たやすく宙へ引きずり上げる。悪臭のする粘液をひいて剥かれたのは、ピラニアのごとき鋭いあぎとだ。失神して瞑目するルリエに、そのまま頭から噛じりつき……
いきおいよくルリエが開眼したのは、次の瞬間だった。
「かかったわね!」
このゼロ距離を待っていた。素早く走ったルリエの繊手もまた、死魚鬼の首筋を鷲掴みにしている。同時に発動したのは、クトゥルフの呪力だ。
「〝石の都〟!」
背景ごと空間を歪めて、超重力は死魚鬼の頭部を集中的に圧迫した。狙うはその小さな脳の破壊だ。
しかし相手も黙ってはいない。重圧の鉄鎚に負けじと、死魚鬼は渾身の握力でルリエの首をしめた。身震いしつつ、ルリエの唇から鮮血が伝う。常人ならとっくに頭と体が千切れていたはずだ。
お互い怒号して、ふたりは力と力を全開にした。
「おおおおおおおおおッッ!!」
「ぎょぎょぎょぎょ~~ッ!!」
ふいに、時間は止まった。
死魚鬼の肩に、何者かが手を置いたのだ。
瞳に呪力の五芒星を燃やしたまま、シヅルはささやいた。
「やりすぎやで、このマッチョ魚?」
高速で振り払われた水かきの裏拳を、シヅルは身を低めてかわした。断たれて宙に舞う数本の毛髪。死魚鬼の懐に飛び込むや、シヅルの指先に光ったのは呪力でできた長針だ。
シヅルの瞳孔は、いっきに広がって輝いた。
「〝蜘蛛の騎士〟第一関門……〝死点〟」
湿った音が響いた。
死魚鬼が気づいたときには、シヅルは後方で倒れかかるルリエを支えている。無防備なその背中へ、猛牛のごとく死魚鬼は襲いかかり……
ぱちん、とシヅルは指を鳴らしただけだった。
「ぎょッ!?」
糸の切れた人形のように、死魚鬼はその場に崩れ落ちた。道路で地響きをたてて静かになったその背中では、胸から入って抜けたシヅルの魔針が光の粒になって散りかけている。
倒れて痙攣する死魚鬼へ、シヅルは静かに言い残した。
「あんたの命の線は斬った。ここが終点や」
「……なに、いまのは?」
潰れた声でうめいたのは、シヅルに肩を貸されたルリエだった。
「あの死魚鬼の鉄壁の外皮をいとも簡単に……防御力無視なの?」
「ごっつい破壊の力はあらへんけど、単純な一点突破なら得意や」
「あ、あなたは……」
破壊された声帯の修復も間に合わず、ルリエは血の混じった咳を吐いた。ほぼ無人と化した街を二人三脚で歩きながら、気遣ったのはシヅルだ。
「あんまし無理して喋らへんほうがええんで、久灯はん。どんだけ体が丈夫っちゅうてもケガに障る」
「あ、あなたはたしか、魔法少女の伊捨星歌の……」
「そ、友達の江藤詩鶴や。久灯はんと会うんは、いつぞやにUFOキャッチャーで遊んで以来やね」
シヅルの片目の五芒星は一角、その頂点を消していた。呪力を消耗した証である。
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