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エンシェントドラゴン

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俺達は窓から飛び降りた後、エンシェントドラゴンに向かって飛行魔法で空を飛びエンシェントドラゴンの前に来た。


さて、このエンシェントドラゴンの目的はなんだろうな?……ん?母さん?王妃さんとお茶してんのか?……相変わらずマイペースだな……


俺は王妃さんとお茶をしながらこっちを見ている母さんを横目にエンシェントドラゴンに話しかける。

「おい、エンシェントドラゴン。人間の国に何の用だ?」

『…我は強者の気配を感じて来た。お主の気配だ。』

エンシェントドラゴンは念話で答えた。


……俺の気配?……戦闘狂か?


「それで?俺の気配を感じて来た理由は?」

『この世界に害をなすなら排除しなければならない。』


なるほどな。


「それなら大丈夫よ。この人、こう見えて魔王を討伐したのよ。この世界の為に。」

ビアンカがエンシェントドラゴンに害はないと伝える。

『それは誠か?』

「ええ。」

エンシェントドラゴンからの威圧がなくなった。

『……うむ。確かに、嘘は言ってないようだ。なら、一つ教えてくれんか?』


なんだ?


「なんでしょうか?私達に分かることならお答えします。」

『うむ………お主達はさっき魔王を討伐したと言ったな?いつ魔王が現れたのだ?』


…………え?そこから?俺も何回かエンシェントドラゴンに会ったことあるけど……今まで魔王が現れたことを知らなかったやつなんて見たことないぞ?



 
『……ふむ。そうだったか。我は島に籠りきりだったからな。外でそんなことになってるとは知らんかった。感謝する。これは礼だ。』

そう言ってエンシェントドラゴンは鱗を出した。

「いいのか?俺達は最近の出来事を話しただけだぞ?」

『構わぬ。好きに使ってくれ。』

「じゃあ、ありがたく貰っておく。ありがとな。」

『礼を言うのは我だ。また我がいる島に来るといい。普通の人間が行けるような場所でないからか人間は今まで一歩も入ったことがない。故に人間にとって貴重な鉱石など色々あるだろう。』

「そうか。ならまた行かせて貰う。」

俺の言葉を聞き、エンシェントドラゴンはどこかに飛んでいったのだった。

「……久しぶりにエンシェントドラゴンと戦えると思ったんだけどな……」

「「「バッカス……」」」



王宮のテラスでは……

「凄いわ~ドラゴンと話してるわ~」

「エンシェントドラゴンは人間と念話で会話するのよ。」

「あら~私もドラゴンの声聞きたいわ~」

「あら、カナさんも?私も聞いてみたいのよ!けれど立場的にドラゴンと話すのは一生無理だと思うわ。」

「王妃の立場って窮屈なのね~」

「ええ、本当に窮屈だわ。」

……この短時間でずいぶんと距離が近くなったようだった…




「おお!帰って来たか!」

「ただいま戻りました。お父様。」

俺達は地上に戻って来た。……空からダイレクトに父さん達がいる部屋に窓から入ったから地面には足をつけてないな……

「陛下、どうもあのエンシェントドラゴンは俺の気配を感じて来たらしいっすよ。普段はここから反対にある島にいるそうなんすけどたまたまこっちの方まで散歩に来たら俺の魔力が桁違いなのを感じて世界に害になるなら排除しようとしてたみたいっす。なんであの威嚇は俺に対してっすね。」

「そうだったか…わざわざありがとう。」

「いや、いいっすよ。それと…あのエンシェントドラゴンがいる島にいつか行こうと思ってるでその時は素材の買い取りお願いしたいっす。」

「もちろんだ。いい値で買わせて貰う。」

よし!

「あら~勇輝~お帰りなさ~い。私もドラゴンさんと話してみたいわ~」

母さんと王妃さんがテラスから戻ってきた。

「母さん?……さっきのエンシェントドラゴンなら……いけないことはない…か…?遠い島に行かないといけないけどな。」

「あら、カナさんだけずるいわ。ユウキさん、私も一緒に行ってもいいかしら?」

「……陛下に聞いて欲しいっす。」

「んなぁ!」

陛下はギョッとしてるな。仕方ないだろ?一国の王妃を連れてドラゴンに会いに行くって本来ならありえない話なんだからよ。

「陛下、いいですか?」

「あ、あぁ……大丈夫だ……ユウキ、バッカス、ビアンカ…シエルとリリアをよろしく頼む。」

……陛下が王妃さんの圧に負けたな…

「ま、母さんがいる時点で変わりませんし全然いいっすよ。」

「「お任せ下さい、陛下。」」

「「やった!」」

母さんと王妃さんが嬉しそうでよかったな。



それから美空にも一緒に行くとねだられ結局、美空と父さんも一緒に行くことになったのだった。

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