くじ引きで決められた転生者 ～スローライフを楽しんでって言ったのに邪神を討伐してほしいってどゆこと!?～

文化祭

翌日……

「おはよう！ルーク！」

「うん、おはよう、優依。カイン、ノインも。」　　
　
「うん、おはよう、ルーク。」

「おはよう、今日は何する？」

今日は特に予定もないし……どうしよう？

「う～ん……特に予定はないよね……」

優依が頭を抱え、口を開いた。

「……授業受ける？」

優依が自分から授業受けるなんて珍しいなぁ……

「僕はそれでもいいよ？」

「私もいいよ！」

「することもないしね。」

決定だね！



朝の支度をして、僕達は教室に向かった。

『皆さん、おはようございます！』

教室に入るといつもみたいにクラスメイトが挨拶してくれた。

「うん、おはよう！」

父様にシルファにも話しておいてって言われてるから、ちょうどいいね！

えっと……シルファは………あっ！いた！

「シルファ、おはよう！」

「ひゃい!?お、おはようございます！ルークさん！」

あ……いきなり話しかけちゃったから驚いちゃったかな？

「ごめんね、驚かしちゃったね……」

「い、いえ!!大丈夫でひゅ！ッ…!!」

ふふふ、噛んじゃって顔真っ赤だね。可愛いなぁ……

「ねぇ、シルファ。昨日、父様から手紙が届いたんだけど……シルファも伯爵様から手紙届いた？」

「お父様からですか？私には何もありませんが……」

あれ？まだ届いてないのかな？

「そうなの？えっとね……もう少しで夏休みでしょ？僕の父様と、伯爵様が友達だったみたいで、久しぶりに辺境で会うことになったからシルファと一緒に帰って来てっていう手紙だったんだよ。」

「そ、そうなんですか!?お父様からは何も……」

「そうなんだ？父様が伯爵様も手紙を出すと思うって言ってたからもう少しで届くんじゃないかな？」

「……どうでしょうか？お父様は少し…いえ…かなり抜けているので……」

「そっか……なら、今のうちに集合時間とか決めとく？」

そうしたら手紙が届かなくても大丈夫だよね！

「そうですね！」

「じゃあ……９時くらいに正門集合でいいかな？」

「はい、分かりました。」

「優依もそれでいい？」

優依にも聞かないとね！

「うん、大丈夫だよ。」

「じゃあ、決まりだね！」

こんなことを話していると、学長さんが教室に入って来たから慌てて席に着いた。

「おはよう！今日は特待生組もいるようだな！ちょうどいい！夏休み明けの文化祭についてだ！」

そっか！夏休みが終わったら文化祭があるんだった！

「何をしたい！飲食でも出し物でもいいぞ！」

いきなり何をしたい？って聞かれてもなぁ……何がいいんだろう？

「……文化祭って私のイメージだと唐揚げなんだよね……」

『…!?』

教室が静かだったから小さく呟いた優依の声もクラス全員にハッキリと聞こえた。

僕は唐揚げは屋台のイメージなんだけど……

「ユイ！その『カラアゲ』とは何だ!?」

学長さんがいつも通り大きな声で問いかけた。

「えっと……ヤマトの料理です。」

「具体的には！」

「鶏肉を醤油、酒、おろし生姜とおろしにんにくに浸けて片栗粉で衣をつけ、油で揚げたものです。」

「うむ！よく分からん！」

分かんないかぁ…………あ！見せればいいんだ！

「……学長、こういう料理なんですけど……」

僕はマジックバックから作り置きしていた唐揚げをいくつか取り出して唐揚げに爪楊枝を刺して学長さんに手渡した。

「貰っていいのか！」

「はい。」

「ではいただこう！」

学長さんが唐揚げを一つ食べると驚いたように目を見開いた。

「ウマイ！これは売り出せば売れるぞ！」

「皆さんもどうぞ！ぜひ味見してみてください！」

僕の言葉を聞いて、優依が唐揚げを追加してくれた。

「……!?おいしい！」

「食べたことがない味だけど美味しい！」

「これを文化祭で売ったら売れるよね！」

「これで決定でいいよな！」

うんうん！唐揚げは美味しいよね！僕は前世でよくおばあちゃんに作ってもらってたんだ！

「唐揚げと豚汁は悠真の大好物だよね。あと、白菜と大根とツナを一緒に煮たやつも。」

優依がコッソリと僕の耳元で言った。

「うん、おばあちゃんがよく作ってくれてたよ。」

「私も好きだからしょっちゅう悠真の家に転がりこんでたよね。」

「おばあちゃんも優依が一緒に食べること前提で作ってたからね。」

こんなことを話していると試食が終わったみたい。

「ルーク様！ユイ様！文化祭はこれでいきましょう！」

「きっと繁盛すると思います！」

「文化祭とか関係なしで個人的に作り方を教えてください！」

……と、そんな感じで夏休み明けの文化祭は皆で唐揚げ屋をすることになったよ！