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一章 東の山と憧れの女性と亡霊騎士

2年間の努力の成果

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「よぉ、アルビス! 稼いでるか?」

「ボチボチだねー」

「おーっすアルビス! 今夜飲もうぜ!」

「いやいや、俺まだ酒を飲んじゃダメな歳だって。でも飯なら付き合うよ!」

「アルビス、頼むっ! 緊急なんだ! 助っ人に入ってくれ!」

「はいよー引き受けた!」

 東の山の冒険者ギルドへ入れば、みんなが一斉に声を掛けてくる。
これも2年間、頑張って冒険者活動をしてきた成果だ。

 2年前、俺は仲間だと思っていたノワル達から酷い目に遭わされた。
あの時、メンバー達から掛けられた酷い言葉の数々は今でも忘れない。
だけど、あんな言葉だったけども、俺に大事なことを気づかせてくれた。

――俺の「物真似」の能力は考えなしに使っては嫌われるということだ。

そこから俺は、どうしたら嫌われずに能力を発揮できるのか考えた。
そして俺なりの答えを導き出していた。

例えば――

「ファイヤーボールっ!」

 仲間の魔法使いがゴーレムへ魔法を放った。
効果は抜群。しかしまだまだ相手の耐久力は残っているらしい。
 魔法は威力が高い分、再び魔力を高めなかればいけないので連射が難しい。
間髪入れずに、俺がファイヤーボールを「物真似」すれば、戦闘はここで終わるだろう。
しかし俺は、敢えて立ち止まった。

「このぉ! ウィンドナイフを喰らえぇー!」

 斥候の短剣技が炸裂し、ゴーレムは更に怯む。

「ちっ! まだ倒れないのかよ……!」

「ウィンドナイフっ!」

 俺はすかさず斥候の後に飛び出して、彼の技を真似た。
ゴーレムが膝を突いた。
うん、丁度いいバランス! 予想通り!

「今だよ、ジェシカ! とどめのファイヤーボールを!」

「わ、わかった! ファイヤーボールっ!」

 俺の声に従って、再度魔法使いが火球を放った。
ゴーレムはファイヤーボールで四散し、これにて戦闘終了。

「グッジョブ、アルビス! フォローサンキューな!」

「アルビス君のアシストがあったから私のファイヤーボールでも倒せたんだよ! ありがとね!」

「いやいや、ジェシカとブロンソンが優秀だから倒せたんだよ。俺のウィンドナイフしょぼくてごめんね」

 これが今の俺のやり方だ。
俺の能力は、どうしてもトドメになりやすい。
だったらそうならないように、削り役に徹する。そうした技を真似る。
そしてトドメなどの美味しいところをメンバーに持っていってもらう。
これが大当たりだった。

「にしてもアルビスって色々と技を使えるよな?」

「そうそう! さっき回復魔法を重ねがけしてくれてびっくりしちゃった!」

「あはは! 昔取った杵柄っていうか、色々と興味があって手を出しててね。まぁ、すぐに飽きちゃうから中途半端なんだよ。俺みたいな器用貧乏よりも、やっぱジェシカやブロンソンみたいな専門職って良いなぁって思うんだな、これが!」

 「物真似」の能力はこの2年、誰にも話していない。
レア能力だから、何を言われるか分かったもんじゃない。
だから、俺は色々できるけど、全部中途半端な冒険者と言うようにしている。
これもまた大当たりで、周りは俺のことを"助っ人"として頼りにしてくれている。

 だけど、これだけじゃ不安があった。

 だから――

「先陣は俺に任せろぉー!」

「ま、待て!」

「俺の防御力は結構高いから心配しないで! 代わりによぉーく観察しててよ!」

 俺はパーティーリーダーの静止を振り切って、ショートソードを片手にワームへ突っ込んでゆく。
するとワームは大技だろう砂吐きを繰り出してくる。

「ぐわっー!!」

「アルビスっ!」

「はは、だ、大丈夫大丈夫! 大技が砂吐きってことは、こいつはサンドワームだね? 作戦頼むよ、キース!」

 魔物の多くは初撃で大技を放ってくる傾向が強い。
冒険者はそれを見て、相手の属性を確認し、作戦を立てることが多い。
どうしても俺の能力は特性上"後追い行動"になってしまう。
それを悟られないため、そしてみんなに相手の属性を知らせるために、敢えて危険な役を買って出るようにしている。
例にも及んで、これも大当たりだ。

「アルビスさん! すぐに回復しますから!」

「ありがとうフランソワ……ふぅ……相変わらず、フランソワの癒しの力は暖かくて気持ちいいね」

「や、やだ! こんな時に……でも、アルビスさんにそう言ってもらえて嬉しいです」

 危険な役を買って出るので、みんな割と優しくしてくれる。
 これは副産物みたいなものだ。でも、優しくされるって精神衛生上とっても良いよね。

 と言うわけで、削り役に徹し、敢えて先んじて飛び出す。
この2点を注意しつつ、活動をしていたおかげで、俺は【アルビスはなんでもできる凄い奴】という評価を得ることができたというわけだ。

 でも正直、このやり方って、肉体的にはめっちゃきつい。
だって無用な怪我を負う可能性があるからだ。
下手したら死ぬ可能性だってある。

だからこそ、日々の鍛錬は怠っていない。
とはいえ、俺は「物真似」の能力以外の戦闘力は並以下だ。
俺程度の身体能力じゃ、ソロなんて危険すぎる。

だけど……俺は、普段は一人で行動するようにしている。
それでなんとかなっている。

何故ならば、ここ2年で、俺の「物真似」の能力に意外な側面があると気づいたからだ。
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