世界は荒野でできている

立夏 よう

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美冬 6

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7限終わって部室に向かう。気が重い。
雪彦はもう来てて記事のスクラップをしてた。

「ちょっといい?」

屋上への階段の踊り場で、話すことにする。

「こんな資料が手に入ったの、何か知ってる?」

封筒を渡すと雪彦は黙ってそれを開け、中身を確認する。

「ああ、この件ですか」
そう言ったまましばらく黙り込むので、雪彦が話し始めるまで待つ。

「お互いのためにあまり気持ちいい話じゃないので言いたくなかったんです。隠してたつもりはなくて、でもすみませんでした、前回お話できなくて。僕はこの件について実は詳しくは聞いてなくて、でも伊東先生がうちの会社の悪い情報で父とコンタクトをとりたがってるってことで、頼まれて、先生が父と顔を合わせる機会を作ったのは僕です」

「え、伊東先生はお父様と会ったの?この中身の件で?」

「要件まではわかりませんけど多分その話なんじゃないかな。僕はその場に同席してなくて、ただ時間と場所を伝えただけなんで。後で、伊東先生はあの時は無理いってごめんなさいと謝ってきましたし、父は父で、伊東先生と会った後に、拍子抜けするくらいたいしたことじゃなかったと言ってましたし実際、工場も何も困ったことにもなってなかったしどこかにこの件が漏れたとかもない様子です。この件は先生の死と関係あるとは思えませんけど」

「そうだよね、もちろんそうだと思う。伊東先生がこの内容で万が一でも脅すとかにしてはあまりにネタが小さすぎて、事件と結びつくような厄介そうな話にはみえないし、操業停止とかになってるとか行政指導みたいな話も出てなかったし見てないから。でも一応、何があったのかは知っておきたくて」

雪彦はなんだか不穏な言い方をした。
「好奇心は猫をも殺す。美冬先輩もなんだかんだ知りすぎていってませんか?」

なんだか背筋がゾクッとした。

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