「無」の魔王

第２章「統治」

第六話-⑤「宴とある真実」

　そんなことがあってから数週間後、宴が行われた。

　宴といっても魔王様とボクたち魔物と経理や事業などに関わる代表者だけのただの飲み会だ。

　けどボクはお酒に関しては魔物基準でも弱い方なのだ。

　飲み仲間になっている人間のベルジハルにも弱すぎると言われるほどだった。

　しかしそれより驚くことはあの状況だった。

「うっぷ……もう限界」

　今根を上げたのは前に共にアクセスの奪還を共にしていたフィーネスという魔物だった。

　そんな彼女のそんな姿を見た野次馬たちは驚きの言葉上げた。

「まさかあの守護の領で大暴れした姐さんが飲み勝負に負けちまうなんて！」

「もしや大魔王さまはこの力を見越して魔王にしたんじゃあ？」

　なんて囁く言葉が聞こえる。

（いやそんな能力があっても仕事に使えなきゃ意味ねぇだろうが）

　ボクは少しお酒が入りながらも怒りが外に漏らさないように我慢した。

　そんなボクの心情を余所にバラミットが魔王様にこんなことを話していた。

「そういえば最初にアクセスを襲いに来たあの魔法使いの魔物は本当に勇者に倒されたのでしょうか？」

　ボクはその話にこっそり聞き耳を立ててみた。

　その話はアクセスを訪れてからずっと気になってきたことだからだ。

　なにより話に出て来た魔法使いの魔物に興味があった。

　しかしボクの望んだ願いとは裏腹の言葉を魔王様が口にした。

「ああその方なら私が倒しました」

「……！」

　ボクはその言葉を聞いた瞬間さっきまでの酔いが一気に醒めた。

　その後も魔王様はバラミットと話を続けていたがボクは全く聞き取れなかった。

　いや聞くことを拒否していたのだと思う。

　ボクはある決心をする。

「決行は今しかない」

　ボクが殺ることしか頭になかった。

　だって彼女は……