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デート2
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「ねぇクロノちゃん。あのお店に入らない?」
フィリアが次に興味を持ったのは武器屋であった。
中に入るとすぐに並べられている武器を手に取って眺めるフィリア。
僕も店内を見渡してみると店の奥に飾られている一本の短剣に気づきました。
「あれってもしかして、コクウですか?」
「そうとも、兄ちゃんの言う通りあれはコクウだよ。値はもちろん張るが、金を持っていたら買って間違いのない短剣だな」
「コクウかぁ。いいなぁ。いつか買いたいなぁ」
憧れの武器であるコクウを眺めていると、 ひょこっと、フィリアが隣にやってくる。
「なに?クロノちゃんあれが欲しいの?」
どうやら武器を見るのに飽きたのでこちらにやって来たようだ。
「そうだ。折角だから兄ちゃん持ってみるか」
「いいんですか!」
店主からコクウを受け取り軽く振ってみると、ちょうどいい重みとすでに馴染むような感覚が手に伝わることによって、どんどん感情が高ぶっていく。
「でも、やっぱり値段が高いですね」
掲示されている値段は現在のクロノの所持金では到底買えない金額であった為、それを見た瞬間に、高まった気持ちはすぐに収まった。
価値に見合った値段なので仕方のない事だが、しばらくの間は買うことは出来ないだろう。
残念だが、仕方がないと割り切り剣を返した。
「また、金が溜まったら検討してくれ」
「はい。そうします。」
現在クロノには村から出る時にもらった短剣があるので、戦うことには問題はない。
でも、憧れの武器であるコクウは正直言って欲しかった。
「お金がないのは仕方ないけど溜まったら買えばいいじゃないの。それにあの短剣はクロノちゃんに似合っていたから目標って事でいいんじゃないの?」
「目標か。そうだね。いつかお金が溜まったら買うことにするよ!」
早くその日がくればいいなと思いながら武器屋を出て、ぼんやりと周り眺めながら歩いていると、ぐんとフィリアに手を引かれる。
今度は一体何に興味を持ったのかとフィリアの方を見る。
「いらっしゃい。お嬢ちゃん。魔石に興味があるのかい?」
「うーん。あんまり興味はないけど、綺麗だから見に来たわ」
どうやら、今度は魔石に興味を持ったようだ。
「そうかい。それならそれでいいからよかったらついでにどれか買って行くかい?」
「いいのがあれば買うけど、魔石って結構高いわねー」
魔石ってこんなに高い物だったんだ…………。
「そうだ! クロノちゃん、私に一つ買ってよ」
「おっ、ぼうず。買ってやればこの子の評価が上がるぞ」
フィリアはいじわるな笑みで僕を見る。
あいにくだけど、僕にはここでの魔石を買えるほどのお金は無い。
クロノは店主の何かを期待するような視線を気にすることなく、並べられた魔石を眺め、触っていいかを店主に確認してからいくつかの魔石を見てみた。
「いや、いらないです。行くよ、フィリア」
フィリアの手を引っ張って店から離れる。
「何? どうしたの? あんなの冗談だから気にしなくていいわよ」
からかわれたことで怒ったと思われているのかな。だったら違うよ。
「そうじゃなくて、単純にあそこのお店にある魔石はいいものがないから、やめておいたほうがいいと思ったから」
「そうなの? でも、大きいのもあったし、輝いていて綺麗だったわよ」
「あれじゃダメ。もっといい魔石はもっといいんですから!」
クロノは通路の端に寄って。周囲を気にしながら、自分の持ち物袋からケースを取り出すと、そこに詰まっていた魔石は、先ほど見た魔石よりも輝いていた。
「何これすごい!」
「手に持っていろんな角度で見ると面白いですよ」
フィリアは言われた通り、魔石をいろんな角度で眺めてみるとその魅惑の輝きに惹かれ始め、更に眺めていると特に気になったのは中央の部分である。
中央の黒さは、単純な黒ではなく底が見えそうで見えない闇のようであった。
その魅惑の黒さに、フィリアは完全に見入ってしまっていると、遠くの方か自分を呼んでいるような声がする。
ぼんやりとしながら、その声の方へ顔を向けると、思っていた以上に近くでクロノが呼んでいたことに驚いてしまった。
「フィリア、フィリアってば!」
「えっ⁉ ああ、ごめんなさい。ちょっと集中しすぎたわ」
フィリアから魔石を返してもらうと、再度ケースの中に戻して大事にしまった。
「でも、クロノちゃん。こんなにすごい魔石どこで手にいれたの?」
「村の近くにある秘密の場所でだけど、ここまでいいのは簡単に採れないものなんだ」
魔石について語るクロノの目はいつも以上に輝いており、話し声もいつもより明るく楽しそうである。
そんなクロノの姿を見てフィリアはポツリと呟く。
「クロノちゃんってやっぱり面白いわね」
その言葉に、さっと身構えるクロノ。
「また、いじってきますか?」
「ううん。今回は真面目に言っているわよ。それにまだ時間もあるし、次行きましょうか」
魔石を見た事によってテンションが上がっているフィリアだが、まさかこの後あのお店に行くとはこの時は想像すらしていなかった。
フィリアが次に興味を持ったのは武器屋であった。
中に入るとすぐに並べられている武器を手に取って眺めるフィリア。
僕も店内を見渡してみると店の奥に飾られている一本の短剣に気づきました。
「あれってもしかして、コクウですか?」
「そうとも、兄ちゃんの言う通りあれはコクウだよ。値はもちろん張るが、金を持っていたら買って間違いのない短剣だな」
「コクウかぁ。いいなぁ。いつか買いたいなぁ」
憧れの武器であるコクウを眺めていると、 ひょこっと、フィリアが隣にやってくる。
「なに?クロノちゃんあれが欲しいの?」
どうやら武器を見るのに飽きたのでこちらにやって来たようだ。
「そうだ。折角だから兄ちゃん持ってみるか」
「いいんですか!」
店主からコクウを受け取り軽く振ってみると、ちょうどいい重みとすでに馴染むような感覚が手に伝わることによって、どんどん感情が高ぶっていく。
「でも、やっぱり値段が高いですね」
掲示されている値段は現在のクロノの所持金では到底買えない金額であった為、それを見た瞬間に、高まった気持ちはすぐに収まった。
価値に見合った値段なので仕方のない事だが、しばらくの間は買うことは出来ないだろう。
残念だが、仕方がないと割り切り剣を返した。
「また、金が溜まったら検討してくれ」
「はい。そうします。」
現在クロノには村から出る時にもらった短剣があるので、戦うことには問題はない。
でも、憧れの武器であるコクウは正直言って欲しかった。
「お金がないのは仕方ないけど溜まったら買えばいいじゃないの。それにあの短剣はクロノちゃんに似合っていたから目標って事でいいんじゃないの?」
「目標か。そうだね。いつかお金が溜まったら買うことにするよ!」
早くその日がくればいいなと思いながら武器屋を出て、ぼんやりと周り眺めながら歩いていると、ぐんとフィリアに手を引かれる。
今度は一体何に興味を持ったのかとフィリアの方を見る。
「いらっしゃい。お嬢ちゃん。魔石に興味があるのかい?」
「うーん。あんまり興味はないけど、綺麗だから見に来たわ」
どうやら、今度は魔石に興味を持ったようだ。
「そうかい。それならそれでいいからよかったらついでにどれか買って行くかい?」
「いいのがあれば買うけど、魔石って結構高いわねー」
魔石ってこんなに高い物だったんだ…………。
「そうだ! クロノちゃん、私に一つ買ってよ」
「おっ、ぼうず。買ってやればこの子の評価が上がるぞ」
フィリアはいじわるな笑みで僕を見る。
あいにくだけど、僕にはここでの魔石を買えるほどのお金は無い。
クロノは店主の何かを期待するような視線を気にすることなく、並べられた魔石を眺め、触っていいかを店主に確認してからいくつかの魔石を見てみた。
「いや、いらないです。行くよ、フィリア」
フィリアの手を引っ張って店から離れる。
「何? どうしたの? あんなの冗談だから気にしなくていいわよ」
からかわれたことで怒ったと思われているのかな。だったら違うよ。
「そうじゃなくて、単純にあそこのお店にある魔石はいいものがないから、やめておいたほうがいいと思ったから」
「そうなの? でも、大きいのもあったし、輝いていて綺麗だったわよ」
「あれじゃダメ。もっといい魔石はもっといいんですから!」
クロノは通路の端に寄って。周囲を気にしながら、自分の持ち物袋からケースを取り出すと、そこに詰まっていた魔石は、先ほど見た魔石よりも輝いていた。
「何これすごい!」
「手に持っていろんな角度で見ると面白いですよ」
フィリアは言われた通り、魔石をいろんな角度で眺めてみるとその魅惑の輝きに惹かれ始め、更に眺めていると特に気になったのは中央の部分である。
中央の黒さは、単純な黒ではなく底が見えそうで見えない闇のようであった。
その魅惑の黒さに、フィリアは完全に見入ってしまっていると、遠くの方か自分を呼んでいるような声がする。
ぼんやりとしながら、その声の方へ顔を向けると、思っていた以上に近くでクロノが呼んでいたことに驚いてしまった。
「フィリア、フィリアってば!」
「えっ⁉ ああ、ごめんなさい。ちょっと集中しすぎたわ」
フィリアから魔石を返してもらうと、再度ケースの中に戻して大事にしまった。
「でも、クロノちゃん。こんなにすごい魔石どこで手にいれたの?」
「村の近くにある秘密の場所でだけど、ここまでいいのは簡単に採れないものなんだ」
魔石について語るクロノの目はいつも以上に輝いており、話し声もいつもより明るく楽しそうである。
そんなクロノの姿を見てフィリアはポツリと呟く。
「クロノちゃんってやっぱり面白いわね」
その言葉に、さっと身構えるクロノ。
「また、いじってきますか?」
「ううん。今回は真面目に言っているわよ。それにまだ時間もあるし、次行きましょうか」
魔石を見た事によってテンションが上がっているフィリアだが、まさかこの後あのお店に行くとはこの時は想像すらしていなかった。
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