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二章 魔女の巣くう塔
Ⅱ 国境の港町
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国境となる砂漠地帯へ辿り着いたジェイク達は、砂地に踏み込まず砂漠沿いに大湖へ向かって延々と歩き続けていた。
「暑ぃな畜生。なんで砂漠付近がこんなに暑いんだ? 砂漠に入ってねぇのに」
暑さのあまり汗が止まらず、衣服は汗で湿っている。
「情報からだと、この砂漠地帯の地下に熱源となる何かがいるそうです」
「何かってなんだ? 魔獣とか溶岩とかか?」
「それか、熱を発する物質かも。火の点いた石炭のようなものがその辺にあるんだったら、線状に砂漠地帯が出来る理由になりますから。魔獣って線は弱いかもしれません。もしそうならちょっとぐらい情報があるか、侵入禁止の柵か看板かありそうですし。自然現象だと思いますよ」
「だったら安価な国境だな。自然の砂漠地帯なら砦や壁を築く必要はねぇし、これを渡ろうって奴はそうそういないだろうからな」
ビィトラが二人の間に入った。
「けど油断禁物だよ。凶暴な魔獣が突然出てくるかもしれないし。暑さで体力失って死ぬとか、情けないからやめてよ」
早く町へ着きたい気持ちが先行しているジェイクは、ビィトラの忠告への返事が適当になる。
少し進むと、暑さで苛立つジェイクはトウマの様子が気になった。
「お前、なんでそんな涼しそうなんだ?」
「え? だって暑いから服の中に冷風を。微弱だけど」
「はぁ!? 俺にもやってくれよ! 仲間じゃねぇのかよ!」
「いや、それは、そのぉ……」
返答し辛そうなトウマに変わり、ビィトラが説明した。
「魔力を纏わせる応用技だから。他人へ使用するのは加減が難しいし、下手すると町へ着く頃にはジェイクが血塗れか裸だよ」
さすがに諦めるしかなかった。羨ましい想いを胸に押し込んで前方の小高い丘を進む。
登った先、視界に広がる風景に気が緩み、押し込んだ思いは見事に消し飛んだ。
眼前に広がったのは、まるで海のように巨大な湖とすぐ近くに町がある光景であった。
「よし、あと少し!」
暑さから解放されたい気持ちが、下り坂を足早に進める。
二人は砂漠と大湖の間(大湖寄り)に位置する町・ケインゼに到着した。
「こういう所も港町っつーんだよな」
町から湖の船着き場へ通路が通っており、それなりに距離がある。ケインゼの案内看板には、町も船着き場も一括りで”町”扱いとの情報が記されていた。
「ですね。”港”は海限定っぽく聞こえますけど」
ニュアンスと言いたいところだが、日本で使われていた横文字の殆どがジェイクに通用しないと、これまでの道中で知ったトウマは言葉に気を使う。
「船の航行が可能で荷運び出来るような所なんでしょうけど。……なんか、人通り少ない。ってか、無人?」
「そういう町なんだろ」
端的に答えるジェイクの頭には空腹を満たす事しかなかった。
町の様子などまるで気にせず飯屋へ向かう。
場所は町の入り口広場付近にあり、二人は店へ入った。店内の様子が視界に入った途端、二人は警戒して店内を見た。
「……これ……神隠し?」
料理が運ばれた席や食べかけの席、荷物が雑然と置かれた席がある。床には水や料理が落ちている所もある。
二柱の神は浮遊して料理を眺めた。
「確かに神隠しかも……こっちの料理、まだ湯気出てるし……間違いないわね」
ベルメアはビィトラを見た。
「転生者の力っていうより、この世界特有の術か力……だね。魔力の残留が物語ってるよ。それに魂の余韻も無いから死んだというより、トウマの言う神隠しが濃厚かも。神が言うのも変な話しだけど」
ジェイクとトウマは手分けして手がかりとなるモノを探しまわった。途中、トウマがちらりとジェイクに目を向けると、つまみ食い現場を目撃した。
「ジェイクさん、それ犯罪ですよ」
「バカ野郎なに言ってやがる。こんなことする奴と遭遇でもしてみろ、確実に戦う羽目になるぞ。何でもいい、お前も食っとかねぇと殺されるぞ」
二柱の神がジェイクの意見を肯定するので、トウマは後ろめたい気持ちを抱きつつ料理をつまみ食いした。
およそ五分後。
突然、空気が張り詰め、ジェイクとトウマは若干の耳鳴りが生じた。
「なんだ?!」
「ジェイク外よ!」
ベルメアの指示に従い急いで店を出ると、来た時には無かった白い小石が店先に散らばっていた。
二人が小石に気を取られている最中、左からの視線に反応した。
「不思議な力を感じる」
黒いローブを纏う長身の女性が、ジェイクと目が合った途端にフワリと飛び、突然姿を消すと、間もなくしてジェイクの肩に両腕を乗せるように現れた。
「――何!?」
「貴方はこちら」
ジェイクの足元が水面のように波打つと、一瞬にして女性と共に消えた。
「ジェイクさん!」
トウマがジェイクの消えた地面へ触れるも、手触りは普通の地面であった。
「今のあなたが行くのは無理」
声の主は赤銅色のローブを纏う、頭巾を目深に被った女性である。声を聴く限りでは先程の女性より若い印象を受ける。
「何者ですか!」
(ビィ、周囲を警戒してくれ)
トウマの指示に従い、ビィトラは上空へ飛翔して周囲の様子を伺った。
「私は北東の塔・ベルゲバの主たる魔女の使徒。貴方達転生者がどういった力を所持しているかを見定めに参りました」
トウマは両手に魔力を僅かに込め、いつでも戦える準備を整えた。
「町の人たちを攫ったのもあなた達が?」
「ええ。まだるっこしいのは嫌でして、住民全てを攫えば運良く転生者も紛れ込んでいるかもしれないではありませんか」
「じゃあ、ジェイクさんは……」
「あの方は転生者ではありますが、少し内蔵されている力の質が違いすぎます。まるで貴方とは別質」
トウマも転生者であることが気付かれている。
二柱の神が言うには、転生者同士は触れなければ確かめる事が出来ない。しかし眼前の女性はどういう訳か気付いている。
悩んでいると、ビィトラが急降下してきた。珍しく焦りの色が伺える。
「トウマ、かなりまずいよ」
(どうしたんだ?)
「念話で話す必要は無いよ。その人にはビィが見えてる。それに……」
ビィトラが言わんとする事は、女性の傍に現れた存在を見て判明した。
「ようやく見えましたね。これは私の守護神。名をカレリナと言います」
守護神がいる存在。一つの事実を証明した。
「君は、転生者!?」
女性はフードを外した。
「私は速水彩良。貴方と同じ日本人の転生者です。日比谷冬真君」
なぜこうも容易に情報が筒抜けなのか分からない。
「ビィ、相手の情報を知るのって」
方法は術以外考えられない。
「出来てもレベル40以降。見ただけで情報が分かる体質になるよ。けどこれは……」
しかしこの短期間でレベル40に上げるなど無理に等しい。ビィトラは一つの仮説が浮かんだ。
「もしかすると、特定加護」
サラは、微笑んで見せた。
「今はまだ……秘密とさせて頂きます」
どうあれ、窮地に立たされている状況は変わらず、トウマとビィトラの焦りと緊張は治まらない。
「暑ぃな畜生。なんで砂漠付近がこんなに暑いんだ? 砂漠に入ってねぇのに」
暑さのあまり汗が止まらず、衣服は汗で湿っている。
「情報からだと、この砂漠地帯の地下に熱源となる何かがいるそうです」
「何かってなんだ? 魔獣とか溶岩とかか?」
「それか、熱を発する物質かも。火の点いた石炭のようなものがその辺にあるんだったら、線状に砂漠地帯が出来る理由になりますから。魔獣って線は弱いかもしれません。もしそうならちょっとぐらい情報があるか、侵入禁止の柵か看板かありそうですし。自然現象だと思いますよ」
「だったら安価な国境だな。自然の砂漠地帯なら砦や壁を築く必要はねぇし、これを渡ろうって奴はそうそういないだろうからな」
ビィトラが二人の間に入った。
「けど油断禁物だよ。凶暴な魔獣が突然出てくるかもしれないし。暑さで体力失って死ぬとか、情けないからやめてよ」
早く町へ着きたい気持ちが先行しているジェイクは、ビィトラの忠告への返事が適当になる。
少し進むと、暑さで苛立つジェイクはトウマの様子が気になった。
「お前、なんでそんな涼しそうなんだ?」
「え? だって暑いから服の中に冷風を。微弱だけど」
「はぁ!? 俺にもやってくれよ! 仲間じゃねぇのかよ!」
「いや、それは、そのぉ……」
返答し辛そうなトウマに変わり、ビィトラが説明した。
「魔力を纏わせる応用技だから。他人へ使用するのは加減が難しいし、下手すると町へ着く頃にはジェイクが血塗れか裸だよ」
さすがに諦めるしかなかった。羨ましい想いを胸に押し込んで前方の小高い丘を進む。
登った先、視界に広がる風景に気が緩み、押し込んだ思いは見事に消し飛んだ。
眼前に広がったのは、まるで海のように巨大な湖とすぐ近くに町がある光景であった。
「よし、あと少し!」
暑さから解放されたい気持ちが、下り坂を足早に進める。
二人は砂漠と大湖の間(大湖寄り)に位置する町・ケインゼに到着した。
「こういう所も港町っつーんだよな」
町から湖の船着き場へ通路が通っており、それなりに距離がある。ケインゼの案内看板には、町も船着き場も一括りで”町”扱いとの情報が記されていた。
「ですね。”港”は海限定っぽく聞こえますけど」
ニュアンスと言いたいところだが、日本で使われていた横文字の殆どがジェイクに通用しないと、これまでの道中で知ったトウマは言葉に気を使う。
「船の航行が可能で荷運び出来るような所なんでしょうけど。……なんか、人通り少ない。ってか、無人?」
「そういう町なんだろ」
端的に答えるジェイクの頭には空腹を満たす事しかなかった。
町の様子などまるで気にせず飯屋へ向かう。
場所は町の入り口広場付近にあり、二人は店へ入った。店内の様子が視界に入った途端、二人は警戒して店内を見た。
「……これ……神隠し?」
料理が運ばれた席や食べかけの席、荷物が雑然と置かれた席がある。床には水や料理が落ちている所もある。
二柱の神は浮遊して料理を眺めた。
「確かに神隠しかも……こっちの料理、まだ湯気出てるし……間違いないわね」
ベルメアはビィトラを見た。
「転生者の力っていうより、この世界特有の術か力……だね。魔力の残留が物語ってるよ。それに魂の余韻も無いから死んだというより、トウマの言う神隠しが濃厚かも。神が言うのも変な話しだけど」
ジェイクとトウマは手分けして手がかりとなるモノを探しまわった。途中、トウマがちらりとジェイクに目を向けると、つまみ食い現場を目撃した。
「ジェイクさん、それ犯罪ですよ」
「バカ野郎なに言ってやがる。こんなことする奴と遭遇でもしてみろ、確実に戦う羽目になるぞ。何でもいい、お前も食っとかねぇと殺されるぞ」
二柱の神がジェイクの意見を肯定するので、トウマは後ろめたい気持ちを抱きつつ料理をつまみ食いした。
およそ五分後。
突然、空気が張り詰め、ジェイクとトウマは若干の耳鳴りが生じた。
「なんだ?!」
「ジェイク外よ!」
ベルメアの指示に従い急いで店を出ると、来た時には無かった白い小石が店先に散らばっていた。
二人が小石に気を取られている最中、左からの視線に反応した。
「不思議な力を感じる」
黒いローブを纏う長身の女性が、ジェイクと目が合った途端にフワリと飛び、突然姿を消すと、間もなくしてジェイクの肩に両腕を乗せるように現れた。
「――何!?」
「貴方はこちら」
ジェイクの足元が水面のように波打つと、一瞬にして女性と共に消えた。
「ジェイクさん!」
トウマがジェイクの消えた地面へ触れるも、手触りは普通の地面であった。
「今のあなたが行くのは無理」
声の主は赤銅色のローブを纏う、頭巾を目深に被った女性である。声を聴く限りでは先程の女性より若い印象を受ける。
「何者ですか!」
(ビィ、周囲を警戒してくれ)
トウマの指示に従い、ビィトラは上空へ飛翔して周囲の様子を伺った。
「私は北東の塔・ベルゲバの主たる魔女の使徒。貴方達転生者がどういった力を所持しているかを見定めに参りました」
トウマは両手に魔力を僅かに込め、いつでも戦える準備を整えた。
「町の人たちを攫ったのもあなた達が?」
「ええ。まだるっこしいのは嫌でして、住民全てを攫えば運良く転生者も紛れ込んでいるかもしれないではありませんか」
「じゃあ、ジェイクさんは……」
「あの方は転生者ではありますが、少し内蔵されている力の質が違いすぎます。まるで貴方とは別質」
トウマも転生者であることが気付かれている。
二柱の神が言うには、転生者同士は触れなければ確かめる事が出来ない。しかし眼前の女性はどういう訳か気付いている。
悩んでいると、ビィトラが急降下してきた。珍しく焦りの色が伺える。
「トウマ、かなりまずいよ」
(どうしたんだ?)
「念話で話す必要は無いよ。その人にはビィが見えてる。それに……」
ビィトラが言わんとする事は、女性の傍に現れた存在を見て判明した。
「ようやく見えましたね。これは私の守護神。名をカレリナと言います」
守護神がいる存在。一つの事実を証明した。
「君は、転生者!?」
女性はフードを外した。
「私は速水彩良。貴方と同じ日本人の転生者です。日比谷冬真君」
なぜこうも容易に情報が筒抜けなのか分からない。
「ビィ、相手の情報を知るのって」
方法は術以外考えられない。
「出来てもレベル40以降。見ただけで情報が分かる体質になるよ。けどこれは……」
しかしこの短期間でレベル40に上げるなど無理に等しい。ビィトラは一つの仮説が浮かんだ。
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