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一章 フェンリル
Ⅰ ジェイクの唱術?
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大精霊を崇める国・ミルシェビス王国。
ゴロドアの町を出て陸路を丸一日歩いたジェイク達は、大湖沿いの町・ハバリに到着した。
町滞在二日目、近隣地域の魔獣について異変などがないか、一同は情報収集にとりかかっていた。
「確かに、女はくだらない事ですぐに怒りますよ」酒場の店主が語る。
ジェイクは情報収集を当然のように酒場で励んでいる。
「だろ? ありゃなんなんだぁ? こっちは言われた通りにちゃんとしてるっつーの!」
ジェイクは隣に座るほろ酔い男性の嘆きを真剣に聞いて頷いた。
「分かる、分かるぞその気持ち。大体よぉ、俺ら男連中は家族のために金稼いで頑張ってんのに、なんで『少しは子供達の相手をしてやって』とか言われる?」
前世での悩みが、まるで昨日の事のように思い出され、感情の籠もる訴えについつい手振りが加わった。
妻に対して悩み多い男性客二人に向かって、店主の男性は緩やかに両手を前に出して二人を制した。
「御二方の言い分は尤もです。私も妻あり子供ありの身の上だから重々承知しております。しかし、向こうは向こうで毎日家事育児で疲れている。それは御二方も承知しておりますでしょ?」
「分かってる。あいつに言われなくても分かってんだって!」
嘆く男性客の意見を、ジェイクは何度も強く頷いた。
「夫婦双方の意見が相手に通らんのは世の常。永久の課題でしかないでしょうよ。それに、向こうはよく怒鳴る拗ねるときた」
「店主も苦労してんだな。どうやってそっちは解決してるんだ?」ジェイクが訊いた。
「んなもん決まってますよ」
店主は腕を組み、右手で顎を摩った。
「向こうは気の立った野獣のようなもの、やり過ごすより此方から向かって鎮めるのが手っ取り早いでしょ」
「おいおい店主、暴力ってのはいただけねぇぜ」
「早まんないでくださいよお客様方。何も鎮める方法は暴力とは限りませんぜ」
「ほう。他に方法があんのかい? 肖りたいもんだ」
店主は右手親指を立て、下唇をそっと撫でた。
「怒った嫁を黙らすなんてのは、こいつで上等」
強引な口づけで黙らせると提示した。ジェイクと男性客は驚いて声が出ない。
「あとはそのままベッドへと……」
店主の対応手段に驚いたジェイクは「……勇ましいぃ」と呟く。
一方、男性客は頭を抱えだした。
「畜生! で、出来ねぇ」嘆きが漏れた。
「要するに、夫婦になる前の躾が大事なんですよ」
二人には、店主がまるで後光差す愛の神のように見えた。対して、本物の神であるベルメアは、ジェイクの斜め上後方から、腕を組み仁王立ち状態で浮遊し、鬼の形相で見下ろしていた。
「この大馬鹿野郎!」
酒場を出て、いの一番でベルメアに怒鳴られる。
「守護神の前でなんつぅ無礼な話してんのよ! 周囲の魔獣の状況を聞くだけでしょうが!」
「前にも言っただろ。あれがおっさん流の情報聞き出し術よ。酒場で効果的な唱術だったろ?」
何を言ってもジェイクに通用しないのは今に始まったことではない。とはいえ、ベルメアもこのまま引き下がらなかった。
「……なるほど。あなたも唱術を」
”グレミアへの報告”という名の告げ口。
静かに冷たい視線がジェイクに向けられた。
(おいベル、馬鹿野郎!)
苦笑いを浮かべ、念話で反論する。
「ちょ、ちょっと待てグレミア。これには深ぁぁい事情があるんだ」
「なんでしょう。事情というのは」
真顔から言い知れぬ威圧が籠る。
「あー、あれだ。物騒な情報ってのは物騒な連中が知ってるって相場は決まってんだろ?」
「初耳ですが、続けてください」
ジェイクの冷や汗が止まらない。
「だったら郷に入っては郷に従えってな。俺も仕方なく、仕方なぁぁく下品な話を嫌々しなくちゃならねぇ訳だ。冷静に考えてみろ。生前の俺は王を護る騎士だったんだぞ。そんな、下品な話を常日頃からすると思ってんのか?」
「あら、流暢すぎたからてっきり。……あたし、誤解してたのかしら」
ベルメアはグレミアの横を浮遊していた。既に守護神ではなく敵でしかない。
「あー、トウマ、お前は男だから俺の気持ち分かるだろ?」
トウマも隣に立つサラまでも、どこかもの悲しげな表情をジェイクに向けていた。助け船にすらならない。
「どんな感情だお前ら!」
グレミアはため息を吐き、手を叩いた。
「さて、理由はどうあれ情報が手に入ったのです。ガーディアンであり騎士であらせられますジェイク様の仕入れてくださいました情報です。有り難く活用させて頂きましょう」
丁寧な言葉がジェイクの心に突き刺さって痛い。
「グレミアすまん。それは止めてくれ。頼むから普通にしてくれ」
「ジェイクさん」
サラの方を向くと、何度も軽く頷かれ、そのままグレミアの後へ向かわれた。
「どういう意味だサラ」
続いてトウマが視界に入る。
トウマも何か言おうとした矢先、目を見開いたジェイクが迫った。
「お前はこっち側だからな」
「ちょ、どうしてですか!?」
「男だろうがよ。俺の気持ちをお前は分かるべきだ! そうだよなぁ!」
脅し。世界が変わればパワーハラスメントである。
色んな傷と負担を残した情報収集を終えた四人は宿へと向かう。
「……山越え……」
ジェイク、トウマ、サラの三名は口を揃えて苦しい声を漏らした。
ミルシェビス王国とレイデル王国の関門は五カ所ある。多い理由は大湖から海までの国境の壁が長いためであった。
一番安全に関門を通る場所は、大湖側と海側の二カ所。双方は平地に設けられている環境に加え、魔獣の出現率も低い。残りの三カ所はどれも山の頂上か山間にある。魔獣も出現しやすいため、厳重な警戒網の中で監視している。
ハバリから近い関門は二カ所あり、どちらもと山を越えなければならない。馬車を借りれば楽に向かえるが、一般人が借りれる金額ではない。
「十英雄の特権で馬車借りるとか出来ねぇのか?」
「肩書きはレイデル王国から与えられた称号です。私利私欲で使用するのは女王様からの信頼を損ねますし、品格も落ちます。なにより私の意に反します。それにミルシェビス王国ではどうあれ無理です。この国ではこの国の法律がございますので」
サラが手を上げた。
「ガーディアンだから協力してください。みたいな理由で馬車借りるとか」
「そういえば話していませんでしたね」
「え?」
「皆様はガーディアンという特別な存在であるとはいえ、公にすることは控えなければならない存在でもあります。何処の国の協力も得られない状態であれば尚更ですよ」
「どういうことですか?」トウマが訊く。
「あなた方は未熟ではありますが強大な力を備えた存在です。故に、何かがきっかけとなって強大な力を利用されるか分かりません」
「大げさすぎやしねぇか? 俺らが知るだけでも案外普通の戦士や術師みたいな人間だぞ。利用つっても、その辺の鍛錬に励んだ術師や戦士のほうが強かったりするだろ」
「ええ。ですがそれは、”ガーディアンがどういった方々かを知っている側”の意見です。知らない側は神話で固定観念が仕上がっております。だから一個師団に匹敵する存在か、神に等しい存在と思い込んでいる人が多い。それを畏怖の対象と捉えるならまだやり過ごせるでしょうが、術師や研究者相手だと話が変わります」
サラは直感で答えを導き出した。
「研究素材として扱われるって事ですか?」
「ええ。未知で希少な人間。なぶり殺しにも匹敵する研究を平気で行う輩に捕まりでもすれば地獄を見ます。それに、そういった者を使う組織や、小国もありますでしょうし」
聞いているだけで寒気が走る。
「……なんか、ジェイクさんがいるおかげで、僕達安全な旅が出来てるみたい」
「そ、そうね……」
トウマとサラが顔を見合うと、ベルメアが間に入った。
「あたしの加護のおかげよ」
二人は正座して頭を下げた。
「じゃあ、最優先の目的は、俺らがガーディアンって身元を隠してレイデル王国へ行き、国王の信頼を得られるようにするってことか? こういっちゃなんだが、その国の王は信用に値するのか?」
「信用出来ないと?」
「俺らはグレミアの事は知ってるが、その国王の人となりは知らん。お前が騙されてるって事も視野に入れなきゃならねぇだろ?」
「尤もな意見ですね。先ほどの話術云々から想像出来ないほど冷静で助かります」
ジェイクは視線を落として逸らした。
「確認程度の意見ですが、生前、国王に関して何かあったことによる警戒ですか?」
「俺は、そんなところだ。王というより側近だな」
グレミアは方法を考えた。
「……では、レイデル王国にいる十英雄に会ってからに致しましょう」
「それ、全員が騙されているって展開も考えられるだろ?」
「十英雄は少々変わってまして、出身がレイデル王国者は私を含めて五名のみ。他は他国の協力者です。レイデル出身者の中には王命に意見できる巫女もいますし、一人は誰も太刀打ちできない魔女と協力関係にあります。これだけでも味方につければ、如何に国王が暴君や暗君であっても皆様へ容易に手出しはできません」
トウマが手を上げた。
「さっきの研究者の話を持ち出しますが、その魔女だって僕達に危害を加えるんじゃないですか?」
「おそらくそれはありません。魔女が憑いてる英雄、ビンセントと申しますが、彼は正義感に溢れた御仁です。彼が黙っていないでしょうし……なによりあの魔女そのものがガーディアンに匹敵する特異な存在。強い協力者になる可能性のほうが高いです。あと、なにか害を成そうというなら、その時点で宣戦布告ととり、今度こそ私の手で滅します」
どこかグレミアに怒りがこみ上げるのを感じる。
魔女とグレミアを会わせる場合、気を遣わなければならないと三人は心に誓う。
「では、ここから関門までに遭遇するであろう魔獣対策の話を再開いたしましょう」
何事も無く話を進めるグレミアが、どこか恐ろしく感じた。
ゴロドアの町を出て陸路を丸一日歩いたジェイク達は、大湖沿いの町・ハバリに到着した。
町滞在二日目、近隣地域の魔獣について異変などがないか、一同は情報収集にとりかかっていた。
「確かに、女はくだらない事ですぐに怒りますよ」酒場の店主が語る。
ジェイクは情報収集を当然のように酒場で励んでいる。
「だろ? ありゃなんなんだぁ? こっちは言われた通りにちゃんとしてるっつーの!」
ジェイクは隣に座るほろ酔い男性の嘆きを真剣に聞いて頷いた。
「分かる、分かるぞその気持ち。大体よぉ、俺ら男連中は家族のために金稼いで頑張ってんのに、なんで『少しは子供達の相手をしてやって』とか言われる?」
前世での悩みが、まるで昨日の事のように思い出され、感情の籠もる訴えについつい手振りが加わった。
妻に対して悩み多い男性客二人に向かって、店主の男性は緩やかに両手を前に出して二人を制した。
「御二方の言い分は尤もです。私も妻あり子供ありの身の上だから重々承知しております。しかし、向こうは向こうで毎日家事育児で疲れている。それは御二方も承知しておりますでしょ?」
「分かってる。あいつに言われなくても分かってんだって!」
嘆く男性客の意見を、ジェイクは何度も強く頷いた。
「夫婦双方の意見が相手に通らんのは世の常。永久の課題でしかないでしょうよ。それに、向こうはよく怒鳴る拗ねるときた」
「店主も苦労してんだな。どうやってそっちは解決してるんだ?」ジェイクが訊いた。
「んなもん決まってますよ」
店主は腕を組み、右手で顎を摩った。
「向こうは気の立った野獣のようなもの、やり過ごすより此方から向かって鎮めるのが手っ取り早いでしょ」
「おいおい店主、暴力ってのはいただけねぇぜ」
「早まんないでくださいよお客様方。何も鎮める方法は暴力とは限りませんぜ」
「ほう。他に方法があんのかい? 肖りたいもんだ」
店主は右手親指を立て、下唇をそっと撫でた。
「怒った嫁を黙らすなんてのは、こいつで上等」
強引な口づけで黙らせると提示した。ジェイクと男性客は驚いて声が出ない。
「あとはそのままベッドへと……」
店主の対応手段に驚いたジェイクは「……勇ましいぃ」と呟く。
一方、男性客は頭を抱えだした。
「畜生! で、出来ねぇ」嘆きが漏れた。
「要するに、夫婦になる前の躾が大事なんですよ」
二人には、店主がまるで後光差す愛の神のように見えた。対して、本物の神であるベルメアは、ジェイクの斜め上後方から、腕を組み仁王立ち状態で浮遊し、鬼の形相で見下ろしていた。
「この大馬鹿野郎!」
酒場を出て、いの一番でベルメアに怒鳴られる。
「守護神の前でなんつぅ無礼な話してんのよ! 周囲の魔獣の状況を聞くだけでしょうが!」
「前にも言っただろ。あれがおっさん流の情報聞き出し術よ。酒場で効果的な唱術だったろ?」
何を言ってもジェイクに通用しないのは今に始まったことではない。とはいえ、ベルメアもこのまま引き下がらなかった。
「……なるほど。あなたも唱術を」
”グレミアへの報告”という名の告げ口。
静かに冷たい視線がジェイクに向けられた。
(おいベル、馬鹿野郎!)
苦笑いを浮かべ、念話で反論する。
「ちょ、ちょっと待てグレミア。これには深ぁぁい事情があるんだ」
「なんでしょう。事情というのは」
真顔から言い知れぬ威圧が籠る。
「あー、あれだ。物騒な情報ってのは物騒な連中が知ってるって相場は決まってんだろ?」
「初耳ですが、続けてください」
ジェイクの冷や汗が止まらない。
「だったら郷に入っては郷に従えってな。俺も仕方なく、仕方なぁぁく下品な話を嫌々しなくちゃならねぇ訳だ。冷静に考えてみろ。生前の俺は王を護る騎士だったんだぞ。そんな、下品な話を常日頃からすると思ってんのか?」
「あら、流暢すぎたからてっきり。……あたし、誤解してたのかしら」
ベルメアはグレミアの横を浮遊していた。既に守護神ではなく敵でしかない。
「あー、トウマ、お前は男だから俺の気持ち分かるだろ?」
トウマも隣に立つサラまでも、どこかもの悲しげな表情をジェイクに向けていた。助け船にすらならない。
「どんな感情だお前ら!」
グレミアはため息を吐き、手を叩いた。
「さて、理由はどうあれ情報が手に入ったのです。ガーディアンであり騎士であらせられますジェイク様の仕入れてくださいました情報です。有り難く活用させて頂きましょう」
丁寧な言葉がジェイクの心に突き刺さって痛い。
「グレミアすまん。それは止めてくれ。頼むから普通にしてくれ」
「ジェイクさん」
サラの方を向くと、何度も軽く頷かれ、そのままグレミアの後へ向かわれた。
「どういう意味だサラ」
続いてトウマが視界に入る。
トウマも何か言おうとした矢先、目を見開いたジェイクが迫った。
「お前はこっち側だからな」
「ちょ、どうしてですか!?」
「男だろうがよ。俺の気持ちをお前は分かるべきだ! そうだよなぁ!」
脅し。世界が変わればパワーハラスメントである。
色んな傷と負担を残した情報収集を終えた四人は宿へと向かう。
「……山越え……」
ジェイク、トウマ、サラの三名は口を揃えて苦しい声を漏らした。
ミルシェビス王国とレイデル王国の関門は五カ所ある。多い理由は大湖から海までの国境の壁が長いためであった。
一番安全に関門を通る場所は、大湖側と海側の二カ所。双方は平地に設けられている環境に加え、魔獣の出現率も低い。残りの三カ所はどれも山の頂上か山間にある。魔獣も出現しやすいため、厳重な警戒網の中で監視している。
ハバリから近い関門は二カ所あり、どちらもと山を越えなければならない。馬車を借りれば楽に向かえるが、一般人が借りれる金額ではない。
「十英雄の特権で馬車借りるとか出来ねぇのか?」
「肩書きはレイデル王国から与えられた称号です。私利私欲で使用するのは女王様からの信頼を損ねますし、品格も落ちます。なにより私の意に反します。それにミルシェビス王国ではどうあれ無理です。この国ではこの国の法律がございますので」
サラが手を上げた。
「ガーディアンだから協力してください。みたいな理由で馬車借りるとか」
「そういえば話していませんでしたね」
「え?」
「皆様はガーディアンという特別な存在であるとはいえ、公にすることは控えなければならない存在でもあります。何処の国の協力も得られない状態であれば尚更ですよ」
「どういうことですか?」トウマが訊く。
「あなた方は未熟ではありますが強大な力を備えた存在です。故に、何かがきっかけとなって強大な力を利用されるか分かりません」
「大げさすぎやしねぇか? 俺らが知るだけでも案外普通の戦士や術師みたいな人間だぞ。利用つっても、その辺の鍛錬に励んだ術師や戦士のほうが強かったりするだろ」
「ええ。ですがそれは、”ガーディアンがどういった方々かを知っている側”の意見です。知らない側は神話で固定観念が仕上がっております。だから一個師団に匹敵する存在か、神に等しい存在と思い込んでいる人が多い。それを畏怖の対象と捉えるならまだやり過ごせるでしょうが、術師や研究者相手だと話が変わります」
サラは直感で答えを導き出した。
「研究素材として扱われるって事ですか?」
「ええ。未知で希少な人間。なぶり殺しにも匹敵する研究を平気で行う輩に捕まりでもすれば地獄を見ます。それに、そういった者を使う組織や、小国もありますでしょうし」
聞いているだけで寒気が走る。
「……なんか、ジェイクさんがいるおかげで、僕達安全な旅が出来てるみたい」
「そ、そうね……」
トウマとサラが顔を見合うと、ベルメアが間に入った。
「あたしの加護のおかげよ」
二人は正座して頭を下げた。
「じゃあ、最優先の目的は、俺らがガーディアンって身元を隠してレイデル王国へ行き、国王の信頼を得られるようにするってことか? こういっちゃなんだが、その国の王は信用に値するのか?」
「信用出来ないと?」
「俺らはグレミアの事は知ってるが、その国王の人となりは知らん。お前が騙されてるって事も視野に入れなきゃならねぇだろ?」
「尤もな意見ですね。先ほどの話術云々から想像出来ないほど冷静で助かります」
ジェイクは視線を落として逸らした。
「確認程度の意見ですが、生前、国王に関して何かあったことによる警戒ですか?」
「俺は、そんなところだ。王というより側近だな」
グレミアは方法を考えた。
「……では、レイデル王国にいる十英雄に会ってからに致しましょう」
「それ、全員が騙されているって展開も考えられるだろ?」
「十英雄は少々変わってまして、出身がレイデル王国者は私を含めて五名のみ。他は他国の協力者です。レイデル出身者の中には王命に意見できる巫女もいますし、一人は誰も太刀打ちできない魔女と協力関係にあります。これだけでも味方につければ、如何に国王が暴君や暗君であっても皆様へ容易に手出しはできません」
トウマが手を上げた。
「さっきの研究者の話を持ち出しますが、その魔女だって僕達に危害を加えるんじゃないですか?」
「おそらくそれはありません。魔女が憑いてる英雄、ビンセントと申しますが、彼は正義感に溢れた御仁です。彼が黙っていないでしょうし……なによりあの魔女そのものがガーディアンに匹敵する特異な存在。強い協力者になる可能性のほうが高いです。あと、なにか害を成そうというなら、その時点で宣戦布告ととり、今度こそ私の手で滅します」
どこかグレミアに怒りがこみ上げるのを感じる。
魔女とグレミアを会わせる場合、気を遣わなければならないと三人は心に誓う。
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