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終章
おまけ
しおりを挟む目的の駅から一つ前の駅を汽車が発車した時、デビッドが訊いてきた。
「ところで、ダイクはシャイナの事が好きなんだろ?」
まさか、父親がシレっと言うものなのかとモルドは一瞬戸惑った。
「何ですか、藪から棒に」
「いやいや、放浪癖の親父がとやかく言うものでもないが、この旅が終わって帰ったら”お爺ちゃん”とかになってるかもなぁって、思ってな」
「ダイクさん、そんなすぐ女性に手を出す人には見えませんよ」
「何を言ってんだい? モルド君。見た目じゃないんだよ男と女は。まあ、あの二人はほっといて大丈夫だろ。しっかり者としっかり者。ほったらかしても問題ないが、一番問題なのはこっちだよ」
なぜ自分と目を合わせるのか、モルドは嫌な気がした。
「お前、ハーネックと約束して妻子持たねばならんのだろ?」眼つきが怪しい。
「あ、あいつは関係ないでしょ」何故か恥ずかしくなった。
「おいおい、そいつは酷い話だ。お前が子供持たねば俺は奴の手にかかって滅茶苦茶になってしまうのだよ? 師匠想いは二つ前の駅にでも置いてきてしまったのかな?」
出まかせに適当な事を言っている。
「それと僕の恋人探しは――」
「いや、ある!」
なぜか真剣な表情を向けられ力強く断言された。
「大事な弟子の嫁を見つけれずして何が師匠と言えようか。この旅は、”無様で怨霊さながらな愚か者共”を相手取る術を探す旅であると同時に、可愛い弟子の嫁を探す旅でもあるのだよ。お爺ちゃんに孫を見せる気は無いのか? 薄情者」
なぜ最後に罵られるのか分からない。
「孫ならシャ――」
「よし決定。長い旅になるだろうが、頑張ろうではないかモルド君」
そんなこんなで、旅の目的が唐突に増えた。
気苦労の多い旅だが、不思議とモルドは嫌ではなかった。
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