悪丸

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裏山とその学校について

人間?

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|新手| 峰

 暗い暗いとても静かな森。獣が活動する時間帯。月の光で木々たちは輝いていた。いつもひっそりと、そして堂々と立っている。
 しかし、そんな森は今日はない。獣たちは怯え、自分のすみかでブルブルと震えている。鳥も緊張の声を出す。木々はザワザワと騒ぎ、僕らを見ていた。
「………ハァ………ハァ………傀儡さん、ちょっと止まって」
 僕はいきなりの全力疾走でばてていた。
 ………自分体力なさすぎだろ。
 一旦、傀儡さんに休憩をもらい、僕は息を整える。
「大丈夫?急に走らせてごめんね」
「い、いや、大丈夫だよ」
 とっさに作った笑顔はぎこちなかった。
 何やってんだ僕は。早く逃げないと………でも……先輩が………。
 もうすでに遠くなって見えなくなった先輩を想った。夜の夏は妙に暑い。
「まだ走れる?裏山さえ抜ければ、後は先輩がどうにかしてくれるから。もう少し頑張ろ?」
「………うん」
 汗ばんだ顔を腕で拭う。刀が重い。
「傀儡さんって体力あるんだ。ちょっと意外だったよ」
 汗一つもかいてない表情で、傀儡さんはにっこりと笑った。
「………う、うん。そうでしょ、すごいでしょ」
 ………ん?
 僕はこのとき、なぜか違和感を覚えた。何かが僕の中で引っかかった。それは何なのかはわからないが、疑問に思った。
 傀儡さんがそわそわし始める。僕はじっと見る。
 それに耐えきれなくなったのか、傀儡さんが突然こう言い出す。
「峰君早く行こうっ!」
「おわっ!」
 またもや傀儡さんに手を勢いよく引っ張られ転びそうになる。
「ちょ、ちょっと、傀儡さん!さ、坂ですよっ!そ、そんなに引っ張られたら転びますってっ!!」
 僕は一人勝手にメチャクチャになっていた。
「そんなこと言ってられないの峰君!もしかしたら敵が来るかもしれないから!」
「て、敵って、いま先輩が止めてくれてるじゃないですか!?」
「違うの。私が言いたいのは、他の敵がいるかもしれないってこと!!」
「ええっ!!」
「仮にあの化け物が仲間と一緒に来てるのなら、必ず私たちを追う敵が出てくる。そのためにも、早く逃げないといけないのっ!」
 傀儡さんがそう言い放った途端、案の定僕はコケた。
 ガッ
 坂を下りる不安定なスピード。
 ………あっ、やべっ。
「………えっ?峰く………………」
 僕の視界が急転直下。傀儡さんもろとも僕は坂を転がり続けることとなった。草木に体が激しくぶつかりながら下に落ちる。
「………うっ………ぐ………っ!!」
 うめきながらも転がりは次第に弱まっていく。
「………い、痛えぇ」
 坂を勢いよく転がった体はとても痛かった。背中がジンジンとする。
「………だ、大丈夫?傀儡さん?」
「………ははっ、大丈夫だよ。峰君は大丈夫?」
「全然平気だよ」
 僕はしょうもない見栄を張る。
「あれ?ほっぺたから血が出てるよ?」
「え?」
 僕は自分の頬に触れた。じんわりと痛みが襲い、指先が湿った。
「いやいや、こんなの擦り傷だよ」
「………そう?ならいいんだけど………ごめんね」
 傀儡さんは元気のない声を出す。
 ………変わってないんだな。傀儡さんはいつもこうだ。すぐに謝ってしまう。勝手に思い詰めてしまう。僕はそんなに気にしてないのに。でも、それは優しさなんだろう。たまにこの優しさに気が付かない人がいる。気が付かない人は想われていることに気付いてないから、相手を傷つける。
 土埃が少し舞う。僕は服の汚れを手で振り払った。
「………………峰君」
「………ん?」
 振り払っていた手を止め、傀儡さんのほうに向き直る。
「どうしたの?」
 傀儡さんはどこか怯えた様子だった。
「………峰君………よく聞いて………」
 先ほどとは打って変わって雰囲気が違う。傀儡さんは突然に辺りを見渡した。
「………えっ………ど、どうしたの本当に?」
 傀儡さんはキョロキョロと辺りを見て、何かを確認すると、僕に険しい表情を向けてきた。
「………大変だよ。今、ここの近くに誰かいる………」
「………っ!?」
 僕の心臓がドクンと鳴った。
「う、嘘でしょ。そんな………っ!」
「先輩でもあの化け物でもない何かが私たちの側にいる。それもかなり近い」
 傀儡さんの言葉が僕の気持ちを重くする。
 ガサガサッ
 次の瞬間、僕らの周りの草木が一瞬揺らいだ。
 僕と傀儡さんは同時に振り向いた。このときの僕は神経がすり減りそうな気持ちだった。
「………く、傀儡さん。い、今………っ!」
「静かにしてくださいっ!」
 傀儡さんにも焦りがみえていた。僕と傀儡さんは音をしたほうをじっと見つめる。
 ゴクリッ
 しばらくの間見ていると、傀儡さんが無言で手を少し引っ張ってきた。僕の目をまっすぐに見つめ、移動するよ、という合図を静かに送ってきていた。僕はうんとうなずき、傀儡さんに手を引かれる。
「………………」
 静かな緊張が辺りに漂う。傀儡さんの手は冷たく、そして湿っていた。
 すると、突然何かの奇声が聴こえてくる。
「キギギヤャーーーッ!!」
 体が一瞬止まる。心臓の鼓動が鳴り響く。
 ドクッドクッドクッ
 僕はとっさに傀儡さんのほうを見た。傀儡さんは空間をじっと見つめ、僕に聞こえるか聞こえないかぐらいの小さなささやきを一瞬放った。
「私の背中に隠れて」
 傀儡さんがそう言ったかと思うと、前方の空間が波打った。そこだけ異質な場所だとすぐに悟った。
 ドスッドスッ
 木々の間から、足音とともに奴は現れた。
「キギャ」
 ………………っ!?
 僕は相手の異様な姿に言葉を失った。眼の前にいる生物への情報の処理が追いつかない。
 ………何だよ……これ………。
 眼前に化け物がいた。さっきの羊の化け物とはまた違う別の生き物がそこにはいた。全身が緑である。
「これは………蟷螂?」
「えっ!?カマキリっ!?」
 僕は思わず声が出た。
 いやいやいやっ!こいつがカマキリっ!?カマキリっていうより化け物でしょっ!?ってかなんでここにいんだよっ!?
 化け物は人のようにスッとそこに立っていた。見た目はカマキリといえばカマキリに見えなくもなかった。
 ………でかい。
 サイズは僕の身長とあまり変わりはない。一瞬、昆虫に仮装した人かと思ったが、すぐに違うとわかった。なぜなら、何もかもがリアルだったからだ。目、腕、胴、脚、すべてが虫のような質感をしている。第一、こんな真夜中の森に昆虫に仮装している人がいたら、それは変質者だ。
 黄緑の光沢に覆われ、丸い目を爛々と光らせている。
「………峰君、見て、あの腕」
 傀儡さんは何かに気付いてるようだった。僕はもう一度カマキリの化け物の腕を見る。
「………………ん?」
 おかしい部分があった。カマだ。普通のカマキリはカマがついているが、この人間サイズの化け物のカマは本物の、鎌、がついている。
「………………え?」
 月の光に反射し、キラリと刃が光る。
「いろいろとなんか変ですね」
 僕は化け物に目が離せない状況になりながらも、思わず苦笑いをする。化け物は触角らしきものをわさわさと動かす。そして、ゆっくりと首を傾げた。
 こりゃ、虫嫌いな人が見たら絶叫確定だな。もしくは失神。というかしゃべれるのかこいつ?いや、虫だからしゃべれないか。当たり前だよな。大きくなったからってしゃべれるわけがない。
 そんなことを思っていると、どこからともなく声が聞こえてきた。それは男の声だった。
「………傀儡さん。誰かの声が………」
 すぐさま辺りを見渡した。だが、誰もいない。
 ………鎌首、奴らが目的の人間だ。殺れ。
 瞬間、僕の耳にその言葉が届いた。少し理解に遅れたが、僕はとてもやばい状況に置かれていることをとっさに察知した。声の主は誰かわからないが、そいつは多分、目の前にいるカマキリの化け物にこう命令した。
 僕らを殺せ、と。
 そして、それを誰よりもすばやく察知したのが、傀儡さんだった。
「峰君ッ!!」
 傀儡さんに勢いよく腕を引かれる。
「逃げるよッ!!」
「あ、う、うん」
 誰かの声がまた聞こえ、こう言う。
 ………追え。
 すると、目の前の化け物が奇声を上げた。
「キギギヤャーーーッ!!」
 両腕の鎌を上げ、威嚇のポーズ。複眼で僕らを睨みつけていた。僕たちは感じた。襲われると。
「峰君ッ!!しゃがんでっ!!」
 次の瞬間、化け物がものすごい速さで動き出した。僕たちは先に走っているのにもかかわらず、気づけば化け物の鎌の刃先が僕の目の前にすでにあった。
「………えっ」
 僕の視界が刃先に吸い込まれる。
「しっかりしてっ!!」
 僕の視界がぐわんと回り、夜空が見えた。薄い雲にかかった星が無数に散らばっていた。
 ………あれ、僕、今転んでる?
 気づけば足に何かが引っかかり、僕は背中から倒れる。
 ドンッ!
 地面に勢いよく尻もちをついた。
 イッテェ~~。
 そう思ったときだった。僕の頭上である音がした。
 ブォンッ!!
 その音は空を掠めた音だった。紛れもなく化け物が攻撃を外した音だった。今、転んでいなかったら、あの鎌には血がついていただろう。胴と首が切り離された僕の姿とともに。
 僕はゾッとする。
 だが、恐怖はまだ終わっていなかった。上を見上げれば、刃先がこちらに向いた鎌が見える。これが一直線に落ちれば、今度は縦に真っ二つだ。
 化け物は勝利の鳴き声を上げる。
「キギャア」
 その腕が、僕に振り落とされる。
 ビュッ
「………これは使いたくはありませんでしたが、致し方ありませんね………吹っ飛んでください」
 この間、傀儡さんはひとりでに行動していた。
 ドンッ!!
 次の瞬間、目の前の化け物が吹っ飛んだ。鈍い音を鳴らしながら一直線上に飛ぶ。そして完全に殺されたと思っていた僕は、ただ唖然としていた。
「………………え?」
 化け物は数メートル吹っ飛び、近くの木に衝突していた。
「………はぁ………はぁ………やはり効きましたか」
 僕は傀儡さんのほうを見、どういう状況だコレ?という顔をした。
「………?………あっ………これはね峰君………っ!」
 傀儡さんは我に返ったかのようにあたふたする。
「………どういうこと?」
 僕の頭の中はそれでいっぱいだった。傀儡さんは苦笑いをする。僕は目をぱちくりさせる。
「………えっと………説明すると長くなるんだけど、それでもいい?」
 僕はニ回うなずく。 
「それじゃ、一回立とうか?」
 傀儡さんは僕に手を差し伸べてきてくれた。けれども、僕は一瞬その手を拒んだ。 
 ………えっ?
 気づかなかった。長袖を着ていたかもしれないが、傀儡さんの手には包帯のようなものがぐるぐるとたくさん巻かれている。その包帯のようなものには、墨で文字がずらずらと書かれていた。それは御札のようだった。
「………傀儡さん……この手は……」
「ん?………あっ………」
 傀儡さんはそのことに気がつくと、即座に自分の背中の後ろに左手を隠した。そして、僕から目を逸らした。
 嫌な空気が辺りに漂う。
「いててっ、思いっきりぶつけちゃったよ」
 僕は尻をさすりながら立ち上がった。傀儡さんは下をうつ向いている。
「………気持ち悪いなって思った?」
 突然のその言葉に、僕はドキッとした。
「………えっ………いや………」
 言葉が詰まる。
「………だよね。そうだよね。気持ち悪いよね………峰君にはあまり見られたくなかったなぁ………」
 ポツリとつぶやいたその小さな言葉も、僕にははっきりと聞こえていた。
「………そんなことないよ。ただ、少しびっくりしただけで………」
 弁明しようと思った。だけど、だんだんと自分の声は小さくなっていく一方だった。
 しかし、そんな時間はなく、僕らの耳にまたあの鳴き声が届いていた。
「ギギギギ………………ギギギギヤャアァーーーッ!!」
 ………っ!?
 瞬時に空気が張り詰める。僕と傀儡さんは顔を見合わせた。
「まだ生きていましたか。峰君は今のうちに逃げてください」
「………えっ………でも」
「ここは任せて、大丈夫だから」
 傀儡さんはそう言って、化け物のもとへと一人向かった。
「ギギギギヤャーーーッ!!」
 化け物はフラフラになりながらも立ち上がる。どこか怒っている様子だ。鎌はブンブンと振り回し、荒ぶっている。
「………待てよ………あの化け物………っ!?」
 スパンッ!!スパッ!!スパッ!!
 金切り声のような音を出しながら、化け物は周りをめちゃくちゃに切り刻む。
 おいおいおいおい………嘘だろ………。
「なんて切れ味だよっ!?」
 化け物の周辺の木々はなくなっていた。きれいさっぱり奴に切り取られていた。切られた木がゆっくりと倒れていく。
 バキバキバキ………ドシーーンッ!!
 土埃が舞う。
「キギャッキギャッ………ギギヤャアァーーーッ!!」
「傀儡さんっ!危険だっ!!」
 僕は叫んだ。だが、傀儡さんは止まらず突っ込んだ。土埃の中へと消える。
 ダメだっダメだっ、傀儡さんを助けないと。でも、怖くて動けない!まただ、こんなに死を感じたのは。震えてる。手も、足も、呼吸も全部!マジ、ちびりそう。なんで、なんで傀儡さんは動けるんだよ!怖くないの!?傀儡さんっ!!
 歯を食い縛る。目をつぶる。
 勇気出せっ!足を動かせっ!僕は男だっ!!
 足を一歩踏み出す。
「………怖くないって」
 僕は駆け出した。
 この恐怖を抜け出せたらどんなに楽だろう。だけど、理想と現実は違う。頭の中でどれだけシュミレーションしようが、怖いものはやっぱり怖い。でも、でもなんとかしなきゃいけない。そう思うたびに、人間は面倒くさい生き物だなとつくづく僕は思う。バカだったら、死ぬことなんて怖くないのに。
 ………止まれ。
 突然、背後に悪寒が走った。僕は足を止めた。
 この声は………。
 死にたくないなら止まれ。これは命令だ。
 僕は振り返った。
「お前が………謎の声の正体か………」
 眼の前には一人の青年がいた。
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