天外の魔術

小池竜太

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戦争

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戦争。いったい何が目的でこんな戦争が起こったのだろう。この「長く暑い夏」と呼ばれた戦争が・・・全ては例の赤い石をめぐってのことだった。
 力の石、赤く輝きを放つ魔法の石、一般には賢者の石とも言われている。この世界では十九世紀から、この石を巡って様々な争いが起きてきた。
最初、その石のことに気付いたのは、イタリアに住むある魔術師だった。名をヨアネスと言う・・・・彼がこの石を見つけたのは本当に偶然だった。ある日たまたま、彼はこの石を見つけた。黒光りする赤い石。それを彼は湖で見つけた。そうして彼の一族がこの石を隠してきた。しかし十九世紀に入り、彼の一族に反逆者が現れた。
「この石をもっと世の中の為に使おう」
 そう彼は言ったのだが、それを知った人間達はその石の力を知るとその石を巡って争うようになっていった。
 力の石には様々な効果がある。不死の効力、死者蘇生の効力、さらに攻撃の魔術にも応用が効き、他人に命令することもできる。そうして十九世紀を境にして人類は石を巡って表でも裏でも争ってきた。表で戦争がある時は、石を巡る戦争でも理由は民衆に隠されてきた。力の石のことは秘密にされてきた。そうして各国はその賢者の石の開発に心血を注いできた。しかしその研究は2000年代に入った今も実を結んでいない。




 「しかし、またしても力の石か」
 そう女は口にする。
「しかし、人類ってやつはどうしてこうも愚かなのだろうな。ランドロック、今まで力の石を巡って何度、争いが起きたと思う?それから戦争も」
「ああ、そうだな、千波」と言い彼は吸っていた煙草を地面に投げ捨てた。
「お前でもあの石を欲しいと思うか?」
「よせよ。どうせ俺のような雇われ魔術師には手に入らないものだ。考えたって仕方がない」
「そうか。しかし、お前ならいずれ最高位の魔術師にもなれるだろう。その時、お前は何を望む?」
「さあな、なんだろうな、言うつもりはないぜ。ところでお前はどうするんだ?」
「国に帰るさ、祖国に。そうして魔術の研究に没頭するさ」
「しかしお前はもう最高位の魔術師、Sランク級魔術師だろう?」
「いや、まだまだ私はグランドマスターには及ばないからな。戦いでも魔術の習得でも」
「そうか。ならしばらくお別れだ。次の戦いまで。お前とは敵にならないことを願うよ。お前の攻撃魔術には歯がたたないだろうからな」
「ああ、そうだな、戦友(とも)よ」
 そうして平原に一陣の風が吹いた。すると二人の姿は消えてしまい、どこにもいなくなってしまった。そうして・・・血だらけの戦場に一陣の風が吹いた。辺りは死体で一杯だった。それは地獄だった。そこに生きている一人の少年が居た・・・・彼は赤髪の魔術師を恨んでいた・・・・






 一 現在 十二年後・・・
「魔術とは体系的に申しますと・・・魔法と魔術に分かれます。魔術の基本的な定義は魔力を使役し行う行為です。魔法の定義は・・・・魔術にできないことを魔法使いが行う行為です。そうして皆さんは、この桐ケ谷高校で魔術を習い、世の為、人の為、働かなければなりません。

 「ご存じのように、魔法にはピンからキリまで色々あります。火をつけるような魔法はあなた達の誰もが、簡単に習得できるでしょう。しかし肉体の強化や魔弾などの攻撃魔法は習得に特性があります。例えば火の魔法の得意な人は水の魔法が苦手です。そうして雷の魔法が得意な人は、土の魔法が苦手です。そうして皆、それぞれに適性持ち、自分の個性を伸ばすことが大事です。究極の魔法はグランドマスターやその下の最高位の魔術師が使えます。誰もが習得できるというわけではありません」
 学校でのいつものそんな授業を夏木明人は退屈そうに聞いていた。

 夏木明人は、桐ケ谷高校、魔術科に通う、男子生徒である。そうして彼には、ある秘密があった。それは千波やランドロックや、多くの魔術師が知りたがる例の赤い石を巡っての秘密である。
 彼、夏木明人は桐ケ谷高校に通う、普通の高校一年生である。彼はこの日も退屈そうに授業を聞いていた。外では下級生が魔術の練習をしている。そうして外からの陽は明人の教室に光を射していた。
 魔術。その言葉には確かに魅力がある。明人も祖父の持っている蔵書からいくつかの魔術を勉強し習得した。火、土、水、氷、雷、それらの元素はみな、学校で習った。
明人の祖父は魔術師だった。父も、そうして二人とも前の世界大戦で戦った。明人には父の記憶が無い。なぜなら父はその戦いで戦死したからだ。しかし祖父は違った。祖父は生き延び、明人を育てた。魔術を習ったのも祖父の影響だ。祖父は偉大な魔術師だった。明人は祖父や亡き父に憧れて魔術師になった。明人は父の記憶が無い。父の顔さえ彼には分からない。





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