2 / 2
戦争
しおりを挟む
戦争。いったい何が目的でこんな戦争が起こったのだろう。この「長く暑い夏」と呼ばれた戦争が・・・全ては例の赤い石をめぐってのことだった。
力の石、赤く輝きを放つ魔法の石、一般には賢者の石とも言われている。この世界では十九世紀から、この石を巡って様々な争いが起きてきた。
最初、その石のことに気付いたのは、イタリアに住むある魔術師だった。名をヨアネスと言う・・・・彼がこの石を見つけたのは本当に偶然だった。ある日たまたま、彼はこの石を見つけた。黒光りする赤い石。それを彼は湖で見つけた。そうして彼の一族がこの石を隠してきた。しかし十九世紀に入り、彼の一族に反逆者が現れた。
「この石をもっと世の中の為に使おう」
そう彼は言ったのだが、それを知った人間達はその石の力を知るとその石を巡って争うようになっていった。
力の石には様々な効果がある。不死の効力、死者蘇生の効力、さらに攻撃の魔術にも応用が効き、他人に命令することもできる。そうして十九世紀を境にして人類は石を巡って表でも裏でも争ってきた。表で戦争がある時は、石を巡る戦争でも理由は民衆に隠されてきた。力の石のことは秘密にされてきた。そうして各国はその賢者の石の開発に心血を注いできた。しかしその研究は2000年代に入った今も実を結んでいない。
「しかし、またしても力の石か」
そう女は口にする。
「しかし、人類ってやつはどうしてこうも愚かなのだろうな。ランドロック、今まで力の石を巡って何度、争いが起きたと思う?それから戦争も」
「ああ、そうだな、千波」と言い彼は吸っていた煙草を地面に投げ捨てた。
「お前でもあの石を欲しいと思うか?」
「よせよ。どうせ俺のような雇われ魔術師には手に入らないものだ。考えたって仕方がない」
「そうか。しかし、お前ならいずれ最高位の魔術師にもなれるだろう。その時、お前は何を望む?」
「さあな、なんだろうな、言うつもりはないぜ。ところでお前はどうするんだ?」
「国に帰るさ、祖国に。そうして魔術の研究に没頭するさ」
「しかしお前はもう最高位の魔術師、Sランク級魔術師だろう?」
「いや、まだまだ私はグランドマスターには及ばないからな。戦いでも魔術の習得でも」
「そうか。ならしばらくお別れだ。次の戦いまで。お前とは敵にならないことを願うよ。お前の攻撃魔術には歯がたたないだろうからな」
「ああ、そうだな、戦友(とも)よ」
そうして平原に一陣の風が吹いた。すると二人の姿は消えてしまい、どこにもいなくなってしまった。そうして・・・血だらけの戦場に一陣の風が吹いた。辺りは死体で一杯だった。それは地獄だった。そこに生きている一人の少年が居た・・・・彼は赤髪の魔術師を恨んでいた・・・・
一 現在 十二年後・・・
「魔術とは体系的に申しますと・・・魔法と魔術に分かれます。魔術の基本的な定義は魔力を使役し行う行為です。魔法の定義は・・・・魔術にできないことを魔法使いが行う行為です。そうして皆さんは、この桐ケ谷高校で魔術を習い、世の為、人の為、働かなければなりません。
「ご存じのように、魔法にはピンからキリまで色々あります。火をつけるような魔法はあなた達の誰もが、簡単に習得できるでしょう。しかし肉体の強化や魔弾などの攻撃魔法は習得に特性があります。例えば火の魔法の得意な人は水の魔法が苦手です。そうして雷の魔法が得意な人は、土の魔法が苦手です。そうして皆、それぞれに適性持ち、自分の個性を伸ばすことが大事です。究極の魔法はグランドマスターやその下の最高位の魔術師が使えます。誰もが習得できるというわけではありません」
学校でのいつものそんな授業を夏木明人は退屈そうに聞いていた。
夏木明人は、桐ケ谷高校、魔術科に通う、男子生徒である。そうして彼には、ある秘密があった。それは千波やランドロックや、多くの魔術師が知りたがる例の赤い石を巡っての秘密である。
彼、夏木明人は桐ケ谷高校に通う、普通の高校一年生である。彼はこの日も退屈そうに授業を聞いていた。外では下級生が魔術の練習をしている。そうして外からの陽は明人の教室に光を射していた。
魔術。その言葉には確かに魅力がある。明人も祖父の持っている蔵書からいくつかの魔術を勉強し習得した。火、土、水、氷、雷、それらの元素はみな、学校で習った。
明人の祖父は魔術師だった。父も、そうして二人とも前の世界大戦で戦った。明人には父の記憶が無い。なぜなら父はその戦いで戦死したからだ。しかし祖父は違った。祖父は生き延び、明人を育てた。魔術を習ったのも祖父の影響だ。祖父は偉大な魔術師だった。明人は祖父や亡き父に憧れて魔術師になった。明人は父の記憶が無い。父の顔さえ彼には分からない。
力の石、赤く輝きを放つ魔法の石、一般には賢者の石とも言われている。この世界では十九世紀から、この石を巡って様々な争いが起きてきた。
最初、その石のことに気付いたのは、イタリアに住むある魔術師だった。名をヨアネスと言う・・・・彼がこの石を見つけたのは本当に偶然だった。ある日たまたま、彼はこの石を見つけた。黒光りする赤い石。それを彼は湖で見つけた。そうして彼の一族がこの石を隠してきた。しかし十九世紀に入り、彼の一族に反逆者が現れた。
「この石をもっと世の中の為に使おう」
そう彼は言ったのだが、それを知った人間達はその石の力を知るとその石を巡って争うようになっていった。
力の石には様々な効果がある。不死の効力、死者蘇生の効力、さらに攻撃の魔術にも応用が効き、他人に命令することもできる。そうして十九世紀を境にして人類は石を巡って表でも裏でも争ってきた。表で戦争がある時は、石を巡る戦争でも理由は民衆に隠されてきた。力の石のことは秘密にされてきた。そうして各国はその賢者の石の開発に心血を注いできた。しかしその研究は2000年代に入った今も実を結んでいない。
「しかし、またしても力の石か」
そう女は口にする。
「しかし、人類ってやつはどうしてこうも愚かなのだろうな。ランドロック、今まで力の石を巡って何度、争いが起きたと思う?それから戦争も」
「ああ、そうだな、千波」と言い彼は吸っていた煙草を地面に投げ捨てた。
「お前でもあの石を欲しいと思うか?」
「よせよ。どうせ俺のような雇われ魔術師には手に入らないものだ。考えたって仕方がない」
「そうか。しかし、お前ならいずれ最高位の魔術師にもなれるだろう。その時、お前は何を望む?」
「さあな、なんだろうな、言うつもりはないぜ。ところでお前はどうするんだ?」
「国に帰るさ、祖国に。そうして魔術の研究に没頭するさ」
「しかしお前はもう最高位の魔術師、Sランク級魔術師だろう?」
「いや、まだまだ私はグランドマスターには及ばないからな。戦いでも魔術の習得でも」
「そうか。ならしばらくお別れだ。次の戦いまで。お前とは敵にならないことを願うよ。お前の攻撃魔術には歯がたたないだろうからな」
「ああ、そうだな、戦友(とも)よ」
そうして平原に一陣の風が吹いた。すると二人の姿は消えてしまい、どこにもいなくなってしまった。そうして・・・血だらけの戦場に一陣の風が吹いた。辺りは死体で一杯だった。それは地獄だった。そこに生きている一人の少年が居た・・・・彼は赤髪の魔術師を恨んでいた・・・・
一 現在 十二年後・・・
「魔術とは体系的に申しますと・・・魔法と魔術に分かれます。魔術の基本的な定義は魔力を使役し行う行為です。魔法の定義は・・・・魔術にできないことを魔法使いが行う行為です。そうして皆さんは、この桐ケ谷高校で魔術を習い、世の為、人の為、働かなければなりません。
「ご存じのように、魔法にはピンからキリまで色々あります。火をつけるような魔法はあなた達の誰もが、簡単に習得できるでしょう。しかし肉体の強化や魔弾などの攻撃魔法は習得に特性があります。例えば火の魔法の得意な人は水の魔法が苦手です。そうして雷の魔法が得意な人は、土の魔法が苦手です。そうして皆、それぞれに適性持ち、自分の個性を伸ばすことが大事です。究極の魔法はグランドマスターやその下の最高位の魔術師が使えます。誰もが習得できるというわけではありません」
学校でのいつものそんな授業を夏木明人は退屈そうに聞いていた。
夏木明人は、桐ケ谷高校、魔術科に通う、男子生徒である。そうして彼には、ある秘密があった。それは千波やランドロックや、多くの魔術師が知りたがる例の赤い石を巡っての秘密である。
彼、夏木明人は桐ケ谷高校に通う、普通の高校一年生である。彼はこの日も退屈そうに授業を聞いていた。外では下級生が魔術の練習をしている。そうして外からの陽は明人の教室に光を射していた。
魔術。その言葉には確かに魅力がある。明人も祖父の持っている蔵書からいくつかの魔術を勉強し習得した。火、土、水、氷、雷、それらの元素はみな、学校で習った。
明人の祖父は魔術師だった。父も、そうして二人とも前の世界大戦で戦った。明人には父の記憶が無い。なぜなら父はその戦いで戦死したからだ。しかし祖父は違った。祖父は生き延び、明人を育てた。魔術を習ったのも祖父の影響だ。祖父は偉大な魔術師だった。明人は祖父や亡き父に憧れて魔術師になった。明人は父の記憶が無い。父の顔さえ彼には分からない。
0
この作品の感想を投稿する
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
三十年後に届いた白い手紙
RyuChoukan
ファンタジー
三十年前、帝国は一人の少年を裏切り者として処刑した。
彼は最後まで、何も語らなかった。
その罪の真相を知る者は、ただ一人の女性だけだった。
戴冠舞踏会の夜。
公爵令嬢は、一通の白い手紙を手に、皇帝の前に立つ。
それは復讐でも、告発でもない。
三十年間、辺境の郵便局で待ち続けられていた、
「渡されなかった約束」のための手紙だった。
沈黙のまま命を捨てた男と、
三十年、ただ待ち続けた女。
そして、すべてを知った上で扉を開く、次の世代。
これは、
遅れて届いた手紙が、
人生と運命を静かに書き換えていく物語。
ワシの子を産んでくれんか
KOU/Vami
ライト文芸
妻に先立たれ、息子まで亡くした老人は、息子の妻である若い未亡人と二人きりで古い家に残された。
「まだ若い、アンタは出て行って生き直せ」――そう言い続けるのは、彼女の未来を守りたい善意であり、同時に、自分の寂しさが露見するのを恐れる防波堤でもあった。
しかし彼女は去らない。義父を一人にできないという情と、家に残る最後の温もりを手放せない心が、彼女の足を止めていた。
昼はいつも通り、義父と嫁として食卓を囲む。けれど夜になると、喪失の闇と孤独が、二人の境界を静かに溶かしていく。
ある夜を境に、彼女は“何事もない”顔で日々を回し始め、老人だけが遺影を直視できなくなる。
救いのような笑顔と、罪のような温もり。
二人はやがて、外の世界から少しずつ音を失い、互いだけを必要とする狭い家の中へ沈んでいく――。
JKメイドはご主人様のオモチャ 命令ひとつで脱がされて、触られて、好きにされて――
のぞみ
恋愛
「今日から、お前は俺のメイドだ。ベッドの上でもな」
高校二年生の蒼井ひなたは、借金に追われた家族の代わりに、ある大富豪の家で住み込みメイドとして働くことに。
そこは、まるでおとぎ話に出てきそうな大きな洋館。
でも、そこで待っていたのは、同じ高校に通うちょっと有名な男の子――完璧だけど性格が超ドSな御曹司、天城 蓮だった。
昼間は生徒会長、夜は…ご主人様?
しかも、彼の命令はちょっと普通じゃない。
「掃除だけじゃダメだろ? ご主人様の癒しも、メイドの大事な仕事だろ?」
手を握られるたび、耳元で囁かれるたび、心臓がバクバクする。
なのに、ひなたの体はどんどん反応してしまって…。
怒ったり照れたりしながらも、次第に蓮に惹かれていくひなた。
だけど、彼にはまだ知られていない秘密があって――
「…ほんとは、ずっと前から、私…」
ただのメイドなんかじゃ終わりたくない。
恋と欲望が交差する、ちょっぴり危険な主従ラブストーリー。
上司、快楽に沈むまで
赤林檎
BL
完璧な男――それが、営業部課長・**榊(さかき)**の社内での評判だった。
冷静沈着、部下にも厳しい。私生活の噂すら立たないほどの隙のなさ。
だが、その“完璧”が崩れる日がくるとは、誰も想像していなかった。
入社三年目の篠原は、榊の直属の部下。
真面目だが強気で、どこか挑発的な笑みを浮かべる青年。
ある夜、取引先とのトラブル対応で二人だけが残ったオフィスで、
篠原は上司に向かって、いつもの穏やかな口調を崩した。「……そんな顔、部下には見せないんですね」
疲労で僅かに緩んだ榊の表情。
その弱さを見逃さず、篠原はデスク越しに距離を詰める。
「強がらなくていいですよ。俺の前では、もう」
指先が榊のネクタイを掴む。
引き寄せられた瞬間、榊の理性は音を立てて崩れた。
拒むことも、許すこともできないまま、
彼は“部下”の手によって、ひとつずつ乱されていく。
言葉で支配され、触れられるたびに、自分の知らなかった感情と快楽を知る。それは、上司としての誇りを壊すほどに甘く、逃れられないほどに深い。
だが、篠原の視線の奥に宿るのは、ただの欲望ではなかった。
そこには、ずっと榊だけを見つめ続けてきた、静かな執着がある。
「俺、前から思ってたんです。
あなたが誰かに“支配される”ところ、きっと綺麗だろうなって」
支配する側だったはずの男が、
支配されることで初めて“生きている”と感じてしまう――。
上司と部下、立場も理性も、すべてが絡み合うオフィスの夜。
秘密の扉を開けた榊は、もう戻れない。
快楽に溺れるその瞬間まで、彼を待つのは破滅か、それとも救いか。
――これは、ひとりの上司が“愛”という名の支配に沈んでいく物語。
百合ランジェリーカフェにようこそ!
楠富 つかさ
青春
主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?
ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!!
※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。
表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。
妻からの手紙~18年の後悔を添えて~
Mio
ファンタジー
妻から手紙が来た。
妻が死んで18年目の今日。
息子の誕生日。
「お誕生日おめでとう、ルカ!愛してるわ。エミリア・シェラード」
息子は…17年前に死んだ。
手紙はもう一通あった。
俺はその手紙を読んで、一生分の後悔をした。
------------------------------
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる