身代わり聖女は「君を孕ますつもりはない」と言われたのに死に戻り王子に溺愛されています

ささゆき細雪

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chapter,1

02. 第二王子の興味関心《2》

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 自分にも王族が持つ特有の魔力があるのだが、残念ながら自分でどうこうできる類のものでない。ただ、女を抱くとどの女も一時的に身体のいずれかの感覚が不自由になる魔力酔いの症状を見せるため、自分の身体のなか、それも陰茎から魔力を放出させてしまうことは痛感している。
 シュールトに抱かれた女たちはその後、目隠しや両手両足束縛などで疑似的な魔力酔いの症状を再現することに熱中するため、いつしかシュールト自身が特殊性癖の持ち主だと誤解されるようになってしまった。もともとシュールトはノーマルな性癖だったはずなのだが、自分が放出した魔力に囚われる女性たちの姿を見たことで新たな扉を開いてしまったのは否めない。ちなみに娼館の娘たちはシュールトに抱かれて使い物にならないよう事前にさまざまな拘束具や避妊薬を与えられている。拘束具をつけると魔力酔いの症状を抑えることができるため、魔力を持つ人間と魔力を持たない人間が行為をする際は道具を使うのが一般的なのだ。これもアルヴスから精霊が消え、魔力を持たない人間が増えたことによる弊害かもしれない。
 そう考えると自分よりも膨大な魔力を持つ兄がただの女を抱いたら魔力で殺してしまいかねない。

「――そのための聖女選定だったんだよな」
「陛下が大魔女さまとともにマヒの一族のなかからお選びになられた花嫁です。これからリシャルトさまが自ら少しずつ自分の色に染めていくのでしょう」
「ご苦労なことだ」

 王位継承者のみに授けられる巨大な魔力を受け止めることが可能な女性――それが王家から選定される“聖女”である。
 現存するマヒの一族のなかでも国有地である“魔女の森”を管理しているデ・フロート公爵家の一人娘ジゼルフィアは生まれた頃から稀有な大精霊の加護を持っていた。並外れた加護のちからは“魔女の森”の統治者である大魔女タマーラによってハーヴィック全土へ送り届けられ、冥穴の結界封じに一役買っている。ほかのマヒの一族のなかにも結界の守護や騎士団とともに国境での魔物討伐など、国のために働いている聖女や魔女と呼べる女性も存在していたが、第一王子リシャルトの花嫁として各家が候補に推した女性たちは年上だったり魔力はあれど魔法が使えなかったりで“聖女”としての役割を果たせる者は誰一人としていなかった。ゆえに聖女選定などという大仰な儀式でありながら、リシャルトの婚約者はあっさりジゼルフィアに決まったのだ。

「結婚式を遠くから見たが、ヴェールをしていて顔がわからなかったぞ」
「さようですか」

 騎士団長として国の警備を担当していたシュールトは第一王子と聖女の結婚式には参列せず、聖堂の入り口からその様子を眺めるだけだった。もともと妾腹の息子として遠ざけられていたシュールトは特に何も感じなかったが、団員たちからは「こんなときまで仕事をなさらなくても」と呆れられてしまった。中途半端な王族である自分が正装で参列したところで気まずくなるだけだ。それに、第一王子が持つ魔力は魔法を持たない人間だけでなく魔力量が少ない人間にも魔法酔いの症状を与えるほどに強大なのだ。それゆえ結婚式も魔力をつかえる王族や聖女の関係者のごく一部だけが聖堂に集い、彼らの証人となったのである。
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