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chapter,6
02. 妖精王の娘と悪魔の妃《1》
しおりを挟む「……建国の母、ヒセラルフィア・ハーヴィックについて?」
「ああ」
ヒセラが“魔女の森”の世界樹から声を聴いていたその頃。
リシャルトは弟王子とともに王城内にある図書室の奥で建国にまつわる資料を調べていた。
ふだん図書室など利用しないシュールトは物珍しそうに薄暗い室内をきょろきょろと見回している。
「ですが兄上、ヒセラルフィアの伝承を調べ直すなど、どうしたのですか」
「ジゼが不思議なことを言っていたんだよ、シュールト」
「聖女さまが?」
首を傾げるシュールトに、リシャルトは説明する。
自分が“死に戻り”であることを受け入れてくれた弟なら、自分の妻の不可解な言動についても理解し、その意味を推測してくれるはずだ。
「兄上は買いかぶりすぎですよ。自分はホーグに騙されていただけです」
「だが、ホーグが持つ魔力は花鳥公国で”取引”したものだ。ハーヴィックの魔法とは異なるため傍に置きつづけることは難しい」
「それは俺が魔法酔いしない体質だからです。妖精王の血筋も関係しているのかもしれませんが」
「その妖精王にまつわる伝承を洗い直したいんだよ」
「なぜです」
――妖精王の娘、ヒセラルフィア。
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「花鳥公国がクーデターを起こしたときのことを覚えているか」
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「いまから五年前の話だ。このことがあって王家は次期聖女の選抜を早め、マヒの一族のなかで”魔女の森”を管理しているデ・フロート家の一人娘であるジゼルフィアに白羽の矢が立った」
「その際、兄上は”魔女の森”で聖女さまと顔合わせをなさったんですよね」
「霊獣リクノロスのせいで精霊たちには嫌われてしまったがな」
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