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第一部 新婚夜想 大正十三年神無月〜大正十四年如月《秋〜初春》
ほんとうの夫婦のはじまり 01
しおりを挟む有弦に束縛されながら、手と口による愛撫をこれでもかと与えられて絶頂を味わっていた音寧の身体は熱杭のような彼の一物に貫かれ、ぎゅっと収斂していた膣壁を擦りあげられてぶわりと鳥肌を立てた。
すこしだけ失神していた音寧はようやく彼の分身を膣内に受け入れることが叶って、安堵にも似た悩ましい吐息をこぼす。
「ふっ……ぁあ……っ」
「おとね、俺は貴女じゃないと岩波山の有弦ではいられないんだ……」
音寧の両手を自分の肩に回させた有弦は、その状態のまま彼女の両足首のリボンを器用にほどき、持ち上げて互いの和毛同士を密着させる。下肢が繋がった状態のまま、有弦は寝台から立ち上がり、華奢な妻の裸体を抱き上げた状態で、カーテンがかけられた窓まで歩いていく。
「な……なにを」
「今日、叔母上と庭のどこを散策したんだい?」
シャッ、という潔い音と同時に、カーテンが開かれ、視界が明らかになる。
夜だから大丈夫だと思っていたのに、寝室の明かりが反射しているからか、おおきな透明窓に、有弦に文字通り抱かれたままの淫らな姿が鏡のように映り、音寧はちいさな悲鳴をあげる。
彼女の反応を面白がるように有弦は腰を動かし、窓の向こうに浮かぶ庭先の光景を見せつけて、くすりと笑う。
「いい眺めだろう? 西洋風の四阿には行ったのかい?」
「……は、はいっ……っ!」
窓の向こうは真っ暗だが、白木の四阿は暗闇のなかでもぼんやり姿が確認できるし、庭園のシンボルとも呼べる湖のような観鏡池もキラキラとそれこそ合わせ鏡のように明かりを反射させて輝いている。
そういえば、綾音の形見の品である鏡が手元にない……庭園を散策していたときに落としたのかもしれないと今になって気づいた音寧は、有弦の腰の動きに反抗すべく、声をあげる。
「鏡!」
「……え?」
「落として……お庭に……きゃっ!」
「明日の朝、ふたりで拾いに行けばいいさ……こんな状態で真面目なこと言わないで、俺だけを感じておくれ」
「あぁあ、あんっ……ゆぅ、げん、さまぁああ!」
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