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第二部 初恋輪舞 大正十二年文月~長月《夏》
睦みあい、明かし、愛、誓う。 04
しおりを挟むそこで資の考え事は、抱きしめていた彼女が動き出したことで中断する。
ちいさな寝椅子でふたりが横になっているのだ。狭いから、彼女が寝返りをするだけで床に落ちてしまいそうだ。
慌てて資が立ち上がるが、すでに音寧の意識は眠りの世界から戻ってきていた。
「あ……」
「すまない。目が覚めてしまったか?」
「……わたし」
ぱちりと瞳を見開いて、音寧が資の容貌を見据える。
眼帯を外したことで、しっかりと彼女を感じられるようになった資同様に、音寧もまた、彼が運命だと気づけた。
名前を明かしてはいけないと、綾音は口を酸っぱくして言っていたけれど。
想いをぶつけながら愛し合ったふたりの間に、隠し事はもはや存在できまい。
「ずっと、隠していてごめんなさい」
気怠い身体をゆっくりと起き上がらせて、音寧は資に向き直る。
真っ白な肌は彼に新たな証を刻まれ、赤い花を咲かせている。
そして下腿から、とろり、彼によって注がれた白濁が肌を伝う。
「わたし」
「――お伽噺じゃ、なかったんだな」
「え」
「時宮の、双子令嬢」
「……!」
驚く音寧を見て、資がやっぱりそうか、と嬉しそうに笑う。
どこか晴れやかな彼の笑みを前に、音寧は口をぱくぱくさせる。
「そんな、金魚みたいな顔をしても無駄だ」
「んっ」
ぽっかりと開いた彼女の口に食らいついて、資は舌を差し込み口腔奥深くを撫でていく。
媚薬の効果はすでに切れているはずなのに、彼に口づけられるだけで、音寧の身体は淫らに反応する。
言葉なんか必要ないと、資にふたたび押し倒されて、乾ききっていない蜜口に指を差し込まれ、かき混ぜたかと思えば、溢れ出てきた白濁に蓋をするかのように、彼の一物が挿入される。快楽を伴う圧迫感に、音寧の疼く身体が反応し、寝椅子がギシっと音を立てる。
「あぁん……ま、まだ話……が……っ!」
「いくらでも聞いてやるさ。あとで、な」
今度は資の方が「足りない」と訴えて、彼女の身体を堪能しはじめる。
音寧は彼の肩をぎゅっと抱きしめて、与えられる楔を最奥で感じ取る。
「いまはこの身体で愛を誓わせて。音寧が、俺の大切な宝物であることを」
「あっ、あんっ、ああんっ……! ――そんな、激しいと……っ」
「滅茶苦茶にされても構わないって、啼きながら貴女が求めたんだ……俺はそれに、応えるだけ――……」
資の力強い突き上げに、音寧の身体が跳ね上がる。弾む彼女を追い詰めようと、楔を動かしながら彼の手はぷくりと膨らんだ秘芽を刺激し、唇を彼女の耳にふれさせる。囁かれる甘い言葉と与えられる悦楽に溺れて、いつしか音寧も腰を振るようになる。
そして音寧は蕩けるような表情になって、資とともに、絶頂を迎えるのであった。
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