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Ⅷ 月下美人と悪魔な賢者
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エーヴァが空中都市の尼僧院ヴァルラに連れ去られて三日が経過した。
ダヴィデはダフィーという名前ですっかり尼僧院に溶け込んでいる。
今日も彼は頭に黒い頭巾を被って金の短髪を隠し、尼僧服を着こなして、慎ましい生活を送る傍ら、情報収集に励んでいる。
「……ダヴィデ、いつになったらここから出してくれるのですか?」
「焦る気持ちもわかるけど、いまはこの部屋でじっとしていておくれ。あと、ここではダフィーって呼んで。大事な客人である君をつきっきりで看病するありがたい役目をいただいたんだ。イデアも言っていただろう? 連れ去られたショックで体調を崩して療養中ってことになっている。その間に俺とグーリーでマイヤやザイードの周辺に探りを入れるから……いいね」
「でも……」
喋り方も女性だらけの周りを意識しているからか、すこしだけ柔らかくなっている気がする。ダフィーという尼僧となったダヴィデは、ふだんよりも丁重にエーヴァの身体を抱き上げ、木桶に入れた水で湿らせた布で壊れ物に触れるかのようにそうっと拭き、清めていく。
はちみつのような甘い香りが漂うが、これは尼僧院の外にある薬草園に生えているイモーテルの精油だという。癒しの効果と抗菌作用があるため、体調を崩したことになっているエーヴァのためにと用意してくれたらしい。
寝台の上に横にされたエーヴァは彼に尼僧服をはだけさせられ、わきの下から胸元、おへそにかけて素肌を晒した状態だ。冷たい水で身体を拭かれた際に、胸元の突起を指先で撫でられ、思わず甘い声をあげてしまう。
「……んっ」
「身体を拭いてあげているだけなのに、そんな声を出すなんて、はしたないね」
「だって……ダフィーがへんなところ触るから……」
「へんなところ?」
意地悪そうに笑いながら、ダヴィデは湿った布で勃ちあがったふたつの頂きを包みこむ。軽く触れられ、さらに膨らんだそれは、まるで熟れた木苺の実のようだ。
顔を赤らめるエーヴァを見て、満足そうにダヴィデは告げる。
「そんなもの欲しそうな顔、しないで」
「もの欲しそう、だなんて……」
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