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第1章 落葉襲来 編
第3話「きみの心」
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結局あの後風呂の入り方を教え、色々なトラブルもあったが、なんとか二人とも風呂に入り終えて寝るだけになる。
服はしょうがないので俺のを今晩は着てもらう。当然デカいが、しょうがない。
先ほど決意も新たにしたことで気が引き締まったが、もう寝るような時間だ。
だが、布団を敷いて気付いたことがある。
「1枚しかない……」
まずい……宮瀬さんもだいたい感付いたようでオロオロとしている。
「も、もしかして西条さん昨日は床で……」
「あ、うん」
「すみません!」
深々と頭を下げる宮瀬さん。いや、別にいいって、と頭を上げるよう促す。
とはいえ、さすがに2日連続で床は勘弁だ。
かといって二人で寝るのも俺には無理だ。そんな勇気があればもう少し女性と関係がある人生を送っている。
「どうしよう……」
「どうしましょう……」
二人で敷かれた布団をただ眺めるだけの時間が過ぎていく。時計の針の音だけが部屋に響き、時間が流れていく。
いや、やっぱ無理だ。布団が一つしかない事実は変わらないし、二人いるという事実も変わらない。床で寝るか……
「じゃあ、俺は床で寝るから……」
「いえ!私が!」
「女の子を床で寝かせられん!」
「家の主を床で寝かせられません!なら一緒に寝ます!」
このままでは埒が明かないと判断したのか宮瀬さんはトンデモ提案をしてきた。
「自分が何言ってるか分かる!?俺も男だからね!」
「西条さんはそんなことしません!」
つまりそんなことも出来ないチキン野郎だと?骨無しチキンだと?そう言いたいのか?勝手な解釈であるが、男のプライドというものを傷付けられたような気がして、こっちもムキになってきた。
「よし、じゃあ一緒に寝よう!何かされても文句言うなよ!」
「ええ!西条さんはそんなことしませんから大丈夫ですとも!」
どうやらお互い相当強情らしく、結局一歩も引かずに布団の中に入る。お互いはじっこだけど…。
4/21(日)
「ん~~」
目覚ましの音で起きた俺と宮瀬さん。
今日も綺麗に晴れており、清々しい朝を迎えた。普通なら……。
布団の上で伸びをする宮瀬さん。一方の俺はというと結局一睡も出来ず目をこすっていた。
「ほら、西条さんはやはりいい人でした!」
完全に骨無しチキンです。
美味しく食べられる側でした……。
なんとなく悔しいが当然何もできるはずがない。とにかく朝から眠すぎる。
瞼が重く、油断をすればすぐに船を漕いでしまう。完全に寝不足だ。
「ごめん。二度寝する…。」
そのまま布団に倒れこむとすぐに睡魔が襲ってきて夢の中へ意識が溶けていく。引きずり込まれるような強烈な睡魔に抗うこともせず、惰眠を貪ることにした。
夢の中にいる。そんな感覚だ。
でもこれは夢じゃない。同時にそんな感覚もする。明らかに自分の意識で体を動かせるものではないし、縛り付けられてゴーグルで映像を観ているような感覚だ。
そして視界に拡がるのは畳の和室だ。
掛け軸や狸の置物、座布団、ちゃぶ台には急須があり、立派なものだ。外の庭園からは鹿威しの音が聞こえる。
しかし、鮮明に見えるわけではない。
所々ぼかしが入っていたり、欠けているような感覚がある。見たこともない景色のはずなのに不思議と欠けていると感じるのだ。しかし、自分の意思で首を動かしてあたりを観察することすら出来ない。
しばらく固定された視点で部屋を眺めていると襖が空いて、180cmくらいの黒い和装を身に付けた男が入ってきた。
視線は自動的にそちらに移動する。
歳は20前半くらいだろうか。黒い短髪で目付きは随分と悪いが、整った顔立ちであることには間違いなかった。
景色は霞んでいるのにこの男だけは鮮明に、いや、鮮明すぎるほどにはっきりと見える。
「紅葉……ここにいたか」
「兄さん…」
その目付きはより一層厳しいものになる。そして、紅葉。確かに宮瀬さんのお兄さんは俺に向けてそう言った。
視点が変えられないことも考えると俺は宮瀬さんと視界を共有しているのか?。じゃあ、この景色は……何なんだ。宮瀬さんの何なんだ…。
「今日の鍛練はもう終わったのか?」
「はい。今日も神殿でやってきました」
「そうか。ならいい。お前は一族の役割を果たすんだ。もし投げ出したら…」
「はい、分かっています」
お兄さんの剣幕が鋭くなりこちらを射抜く。その言葉を遮る宮瀬さんの言葉も凍りついたようなものだった。
実際は傍観者であるはずなのに、背筋が凍るその剣幕を宮瀬さんは普段から浴びているのだろうか。
宮瀬さんは普段から冷静で物静かだ。
しかし、すぐに表情を変えるところもある。それがここでは終始冷たい空気……悲しい、窮屈だといった感情が伝わってくる。お兄さんが続けて何か話しているが何も聞こえない。いや、周囲の物音、鹿威しの音すら聞こえない。
視界もぼやけてきて、次第に景色とともにお兄さんもぼやけ、崩れていく。視界の全てが崩れていく。世界の崩壊という訳ではないが、まさに俺の視界という世界が崩れていく。意識は再び闇の中に溶けていく。そして視界が闇に包まれるとともに意識を手放した。
危ないところでした。寝不足なのがバレたら意地を張って一緒に寝たのがバレるところでした。咄嗟に眠気を取る魔法をかけて正解ですね。一睡も出来ませんでしたし、しょうがないですね…。
体調を管理してしっかりと魔力の回復に努めることにします。
しかし、魔法を使ったというのに随分と魔力が回復しているようです。
一緒に寝るだけでも違うのでしょうか。そうしたら毎日………いえ無理です。眠気はどうにかなっても連日連夜緊張していては身が持ちません。
何より恥ずかしいです。
そんなことを考えながらパスタを茹でていたわけですが、だいぶよい頃合いみたいです。皿によそい、後はたらこを混ぜて………なんでしょうか瓶に入ったこの赤い液体は。瓶を傾けてみて中で揺れる液体を観察する。どうやら調味料というものみたいですね。
昨日西条さんに教えてもらいました。
おや、こちらにある黒い粉は……色々ありすぎてよく分かりませんね…。
しかし、やってみなければ分かりません!全部かけてみましょう!この赤いのと黒いのと………こちらの黄色いのもかけてしまいましょう。
あれやこれやとかけてみて気付きましたが、私が見たパスタではない何かが出来上がってしまいました……。
ですが西条さんは調味料なるものは料理を美味しくするためのものと言っていました。さあ、西条さんに私の料理を振る舞うときです!
暗闇から解き放たれたと思ったら鼻腔になにやら強烈なにおいが…。
なんだろうか……タバスコ?
いや、それにしては甘い………
しょうゆ……いや、それにしては薄い。
謎のにおいを推理しつつ目を開けると、宮瀬さんが皿をテーブルに持ってきていた。
何やらご機嫌で足取りが軽い。
どうやら料理を作ったらしく、テーブルに並べられる皿、コップ、フォーク……もしやあのにおいはあの皿の料理からなのか……。どんなことをしたかは大体察しはつくが、作ってもらった以上は食べる。
まだ少し怠い体を起こしてテーブルに向かう。宮瀬さんもキッチンから飲み物を取ってきたようでちょうどテーブルで鉢合わせる。
「おはようございます西条さん」
「……おはよう」
寝起きで美少女の笑顔を見れたのはなんとも得をした気分であるが並んでいたパスタはどうも素直に喜べるものではなかった。
パスタには所々にブラックペッパーのようなものが振りかけられていてタバスコのような赤みもあり、醤油のような色も見え、加えてマヨネーズが皿の端に綺麗にとぐろを巻いていた。
想像通り、いやそれ以上の酷さかもしれない。気を抜いたらこのパスタ?にやられるかもしれない。
「早速パスタを作ってみたんです。よろしければどうぞ。」
「ああ、ありがとう」
宮瀬さんは座らずにこちらが座り、食すのを待っている。あの顔は自信あるんです。さあさあ!と言った顔だ。
海外の文化に触れたことは少しはあるが、異次元の文化に触れたことは全くない。これも経験だと割り切り席につき、手を合わせる。合掌………
「いただきます…」
パスタは予想通りべちゃついていて巻いた瞬間にその感触が伝わってきた。タバスコのにおいが強烈でありながらこの感触…。
いや、まだ分からない。よく分からないにおいによく分からない感触だがまだうまい可能性はたぶん!たぶん!残されている。
そう思わねばやってられないので自分にそう言い聞かせて口の中に運ぶ。
宮瀬さんは途端に不安げな顔になる。やはりどういう感想が出るのが怖いのか。それなら尚更ここは漢を見せるところだ。いざ異次元交流!
ふむふむ、食感はやはりべちゃついていて、最初の内は案外辛さはなくマヨネーズのマイルドさとべちゃつきが気持ち悪い程度だ。どうやらパルメザンチーズも入れたようでマヨネーズと絡まっていて最悪の食感を生み出していた。咀嚼していくうちにタバスコの辛さが出て来て唇がヒリヒリしてきた……っ!。
顔を歪めてはダメだ。耐えろ……耐えるんだ…。しかし、無情にもブラックペッパーが追い討ちをかけてきてタバスコとコラボし始めた。余計に唇がヒリヒリしてきたし、マイルドだか辛いんだかなんだか分からない味を生み出していた。ようやく一口分を飲み込んだときにはお腹が少々痛かった。
「ど、どうでしょうか…」
「ああ、いけるよ。うまい」
はい。嘘です。食えないほどではないがとても好んで食べるものではないというのが事実だ。しかし、美少女の手料理という調味料のお陰か食べられる。というか食べる。黙々と食べる俺を見つめる宮瀬さん。
「宮瀬さんも食べなよ」
席に着くよう促す。当人がこのパスタにどのような評価を下すかは分からないが、そこばかりはどうにもならない。エデンの人間の口に合うことを祈るだけだ。
「では私もいただきます……」
よく混ぜてからパスタをくるめていく宮瀬さん。においに怪訝な顔をしながらも口に運んでいく。咀嚼する度に顔がどんどん歪んでいく。顔も青ざめていき
「すみません!」
咀嚼し終えるとテーブルに頭を打ち付けて謝罪をする。
「あ、いや。地球人には食べられるもんだよ、うん。」
「いえ、パスタの美味しさを共有できたので味覚に大して違いはないはずです!即刻捨ててください!」
「いや、もったいないから!見てろよ!食えるから!」
宮瀬さんのよく分からない極端な理論を振り切り、勢いよくパスタを巻き口に放り込む。宮瀬さんが止めようか止めまいかとオロオロしているうちに食べきってしまう。後になって謎の食感が口に残り、不思議な感覚だ。味覚は狂ってきたのか差ほど酷くは感じないのが幸いだ。
「ごちそうさまでした!」
「あ、はい……お粗末様でした。本当に……」
若干引き気味な宮瀬さんを余所に勢いに任せて声を出した。水を飲んで口直しをしたいがそんなことをすれば不味いと言うようなものだ。耐えに耐えて皿を片付け始める。
その後宮瀬さんもなんの意地か泣きながら食べ続けて完食した。顔を歪ませながら食べる宮瀬さんは何とも言えない悲壮感が漂っており、なぜか申し訳なくなった。
食べきると水を一気に飲み干し無言で皿を片付け始め皿を洗う。終始無言を貫き通し、皿を洗い終えてリビングに戻ってきてようやく口を開いた。
「さて、午後はどうしましょうか」
なるほど完全に無かったことにするつもりらしい。
「んー、布団でも買いに行こうか。」
「本当に何から何まですみません……」
「いや、契約通りだよ。家事の変わりに衣食住は保証する約束なんだから」
「その家事すら……」
「今は研修期間だからいいの!」
「では……行きましょう」
宮瀬さんはどうも基本的に他人のことになると遠慮がちだ。
勿論、悪いことではないが、もう少し頼ってほしいとは思う。
「あら~航ちゃんじゃない~」
ホームセンターに着くなり会いたくない人に会ってしまった。
というか宮瀬さんのことを誤魔化すのが面倒なので学校のやつに会いたくない。今回は三木田ではないが…。
黒髪ショートの長身爽やかイケメンの尾鎌荘介。成績優秀、運動神経抜群、さらに優しく面倒見がいいおネエさんだ。
「尾鎌さん、こんにちは」
「もう航ちゃんたら相変わらず固いんだから~。」
一年の頃から俺も三木田も尾鎌さんと同じクラスでお世話になってきた。勉強にしろ行事にしろだ。彼に恐らく弱点などない。
そう感じさせるには十分な実績と実力がある。それを尊敬して同学年でも俺や三木田を含め尾鎌さんと呼ぶやつが多い。他人行儀だとは思うが…。
「まあ、いいわ。可愛い娘を連れて何しにきたのかしら♪。まさか航ちゃん……」
デート?。耳に近づいてきてそっと耳打ちする。三木田と違いデリカシーがあるので好感が持てる。
「違いますよ。えーと、まあ突っ込まないでください」
「あら、そうなの?それなら突っ込まないでおくわ」
笑って誤魔化すが、尾鎌さんは嫌な顔一つもしないし、追及もしない。
「おほほ、それじゃ明日朝遅刻しちゃだめよ~。失礼するわね~」
足取り軽やかに手ぶらで去っていく尾鎌さん。あれ?尾鎌さんは何をしに来ていたんだろうか?
「えと……あのお方は…」
「俺や昨日会った三木田と同じクラスの尾鎌さんだ。」
「あの方は女性なんですか?男性なんですか?」
宮瀬さんはよく分からないといった感じで困惑していた。確かに顔は爽やかイケメンだが中性的なところもある。初見で戸惑うのは無理はない。
「男だよ。喋り方は女性みたいだけどね。一家揃ってあんな感じなんだ。」
「それは珍しいですね……」
布団を買いにきただけなのに宮瀬さんにとっては随分と濃いめのショッピングの開始になったようで、早々に驚きといった表情を見せていた。
さて、布団を買いにいくか。このホームセンターは一階に木材、工具、食器等を取り扱っており、2階に寝具、ソファー、テーブルなどの家具を取り扱っている。外には多様な植物が家庭菜園用に売っており、この街の人間に必要不可欠な場所となっている。
2階に行き適当な布団と枕を見繕うが、ここからが大変だ。車もないので手で持って帰らなければならない。枕は宮瀬さんに持ってもらうにしても布団が大変だ。
「あら航ちゃん~。お布団を買いに来ていたのね~」
「尾鎌さん」
「尾鎌さん、先程は挨拶出来ずにすみません。宮瀬紅葉といいます。」
「あら~紅葉ちゃんね~。可愛い~。私は尾鎌荘介よ、よろしくね」
手を握り和気あいあいと宮瀬さんに絡む。宮瀬さんは一瞬驚いたような顔をするがすぐに苦笑いで返す。
「あら、話が逸れちゃうとこだったわ。お布団、中々重そうじゃない?もし良ければ手伝うわよ?自転車で来てるし、後に乗せていけるわよ?」
「いや、そんな……」
「もう航ちゃんたら~。こんなでも私、力持ちなのよ?」
袖を捲り力こぶを作って見せる尾鎌さを。そこには立派な力こぶが出来ていた。細マッチョってやつか。
「なら頼もうかな」
「よろしくお願いいたしますね」
とりあえず会計を済ませて丸めた布団は俺が、枕は宮瀬さんが駐輪場まで持っていき、荷台に乗せる。枕は俺が持ち、宮瀬さんは周囲の安全確認を頼む。万が一追っ手が来たら宮瀬さんが逃げられるようにだ。
いざ出発と思ったら尾鎌さんが手を扇いで暑そうにしていた。
「喉が渇いちゃったわね。少しお二人で何でもいいからジュースでも買ってきてくれるかしら。お金は渡すから♪」
尾鎌さんが人にものを頼むなんて珍しい。だけど初めて頼られたような気がして嬉しい。友人として対等な感じがする。
「じゃ、行こっか宮瀬さん。」
「あ、はい」
俺の後にとことこと着いてくる宮瀬さん。
「西条さん、何だか嬉しそうですね」
「ああ、尾鎌さんは人に頼らないんだ。いや、頼る必要がないんだ。何でも素早く正確にこなしてしまうから……。」
「尾鎌さん凄い方なんですね…」
「ああ、だからこそ俺は少し寂しかった」
「寂しかった……ですか?」
なぜ、と宮瀬さんは言うが、そう、完璧すぎたんだ。
「頼ってばかりで頼られることがない。距離を感じてしまうんだ。だからこんな小さなことでも頼ってもらえて嬉しいんだ。」
「お二人とも仲がよろしいのに複雑ですね……」
自販機で飲み物を買って戻る間も宮瀬さんは複雑そうだった。
確かに中々見ない人間関係かもしれない。第一、尾鎌さんのような完璧人間がまずいないのだが。
「尾鎌さん。買ってきたよ」
「あら~ありがとう~航ちゃんに紅葉ちゃん~。こ、これは!」
一瞬野太い声が出て俺も宮瀬さんも面をくらうが、口に手を当ててあら失礼、とすぐにいつもの尾鎌さんに戻る。
「私の大好きなハバリースりんご味じゃない~」
「尾鎌さん、いつも飲んでるでしょ?」
「もう、航ちゃんたら~。細かい気遣いができる男子はモテるわよ~」
尾鎌さんに茶化され、俺も宮瀬さんもつい笑ってしまう。人を笑顔にできる才能がある。本当に不思議な人だ。
「あれ、尾鎌さんその紐は……」
宮瀬さんが指を指した先は尾鎌さんの背中。よく見ると黒く細い紐で布団を背中に背負って籠の中に入れていた。
「あら、よく気づいたわね~。二人がハバリース買ってくる間に便利なものを持ってたのを思い出したのよ~。」
尾鎌さん、どこまでも完璧な人間である。ハバリースを一口飲んだ尾鎌さんのさあ出発よ~の掛け声と共に自宅のマンションに向かうのだった。
月明かりに照らされた和風庭園で空を切る鋭い音が響く。音が遅れてくるほどの日本刀の斬撃がその正体だ。
いかなるものでも確実に捉え、その生命を断つであろう斬撃。
相手はおらず素振りであるが、いたら間違いなくその命を断っていたであろう。その斬撃を目で捉えることなく命を落とした者は数えきれない。そして本人も数えようとはしてこなかった。
「紅葉待ってろよ……。今兄さんが行くからな…。ククク……」
男は不気味に笑い、ひたすらに斬撃を繰り返していた。一振り毎に威力を増し、研ぎ澄まされていく。まさに必殺の剣技。その刀が睨むものは一体……。
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~登場人物~
尾鎌 荘介 181cm 72kg
航と同学年の成績良好、爽やかイケメン、運動神経抜群、面倒見がいいおネエさん。
航や巧とよくつるんでいるが、いまいち掴めないところがある。
服はしょうがないので俺のを今晩は着てもらう。当然デカいが、しょうがない。
先ほど決意も新たにしたことで気が引き締まったが、もう寝るような時間だ。
だが、布団を敷いて気付いたことがある。
「1枚しかない……」
まずい……宮瀬さんもだいたい感付いたようでオロオロとしている。
「も、もしかして西条さん昨日は床で……」
「あ、うん」
「すみません!」
深々と頭を下げる宮瀬さん。いや、別にいいって、と頭を上げるよう促す。
とはいえ、さすがに2日連続で床は勘弁だ。
かといって二人で寝るのも俺には無理だ。そんな勇気があればもう少し女性と関係がある人生を送っている。
「どうしよう……」
「どうしましょう……」
二人で敷かれた布団をただ眺めるだけの時間が過ぎていく。時計の針の音だけが部屋に響き、時間が流れていく。
いや、やっぱ無理だ。布団が一つしかない事実は変わらないし、二人いるという事実も変わらない。床で寝るか……
「じゃあ、俺は床で寝るから……」
「いえ!私が!」
「女の子を床で寝かせられん!」
「家の主を床で寝かせられません!なら一緒に寝ます!」
このままでは埒が明かないと判断したのか宮瀬さんはトンデモ提案をしてきた。
「自分が何言ってるか分かる!?俺も男だからね!」
「西条さんはそんなことしません!」
つまりそんなことも出来ないチキン野郎だと?骨無しチキンだと?そう言いたいのか?勝手な解釈であるが、男のプライドというものを傷付けられたような気がして、こっちもムキになってきた。
「よし、じゃあ一緒に寝よう!何かされても文句言うなよ!」
「ええ!西条さんはそんなことしませんから大丈夫ですとも!」
どうやらお互い相当強情らしく、結局一歩も引かずに布団の中に入る。お互いはじっこだけど…。
4/21(日)
「ん~~」
目覚ましの音で起きた俺と宮瀬さん。
今日も綺麗に晴れており、清々しい朝を迎えた。普通なら……。
布団の上で伸びをする宮瀬さん。一方の俺はというと結局一睡も出来ず目をこすっていた。
「ほら、西条さんはやはりいい人でした!」
完全に骨無しチキンです。
美味しく食べられる側でした……。
なんとなく悔しいが当然何もできるはずがない。とにかく朝から眠すぎる。
瞼が重く、油断をすればすぐに船を漕いでしまう。完全に寝不足だ。
「ごめん。二度寝する…。」
そのまま布団に倒れこむとすぐに睡魔が襲ってきて夢の中へ意識が溶けていく。引きずり込まれるような強烈な睡魔に抗うこともせず、惰眠を貪ることにした。
夢の中にいる。そんな感覚だ。
でもこれは夢じゃない。同時にそんな感覚もする。明らかに自分の意識で体を動かせるものではないし、縛り付けられてゴーグルで映像を観ているような感覚だ。
そして視界に拡がるのは畳の和室だ。
掛け軸や狸の置物、座布団、ちゃぶ台には急須があり、立派なものだ。外の庭園からは鹿威しの音が聞こえる。
しかし、鮮明に見えるわけではない。
所々ぼかしが入っていたり、欠けているような感覚がある。見たこともない景色のはずなのに不思議と欠けていると感じるのだ。しかし、自分の意思で首を動かしてあたりを観察することすら出来ない。
しばらく固定された視点で部屋を眺めていると襖が空いて、180cmくらいの黒い和装を身に付けた男が入ってきた。
視線は自動的にそちらに移動する。
歳は20前半くらいだろうか。黒い短髪で目付きは随分と悪いが、整った顔立ちであることには間違いなかった。
景色は霞んでいるのにこの男だけは鮮明に、いや、鮮明すぎるほどにはっきりと見える。
「紅葉……ここにいたか」
「兄さん…」
その目付きはより一層厳しいものになる。そして、紅葉。確かに宮瀬さんのお兄さんは俺に向けてそう言った。
視点が変えられないことも考えると俺は宮瀬さんと視界を共有しているのか?。じゃあ、この景色は……何なんだ。宮瀬さんの何なんだ…。
「今日の鍛練はもう終わったのか?」
「はい。今日も神殿でやってきました」
「そうか。ならいい。お前は一族の役割を果たすんだ。もし投げ出したら…」
「はい、分かっています」
お兄さんの剣幕が鋭くなりこちらを射抜く。その言葉を遮る宮瀬さんの言葉も凍りついたようなものだった。
実際は傍観者であるはずなのに、背筋が凍るその剣幕を宮瀬さんは普段から浴びているのだろうか。
宮瀬さんは普段から冷静で物静かだ。
しかし、すぐに表情を変えるところもある。それがここでは終始冷たい空気……悲しい、窮屈だといった感情が伝わってくる。お兄さんが続けて何か話しているが何も聞こえない。いや、周囲の物音、鹿威しの音すら聞こえない。
視界もぼやけてきて、次第に景色とともにお兄さんもぼやけ、崩れていく。視界の全てが崩れていく。世界の崩壊という訳ではないが、まさに俺の視界という世界が崩れていく。意識は再び闇の中に溶けていく。そして視界が闇に包まれるとともに意識を手放した。
危ないところでした。寝不足なのがバレたら意地を張って一緒に寝たのがバレるところでした。咄嗟に眠気を取る魔法をかけて正解ですね。一睡も出来ませんでしたし、しょうがないですね…。
体調を管理してしっかりと魔力の回復に努めることにします。
しかし、魔法を使ったというのに随分と魔力が回復しているようです。
一緒に寝るだけでも違うのでしょうか。そうしたら毎日………いえ無理です。眠気はどうにかなっても連日連夜緊張していては身が持ちません。
何より恥ずかしいです。
そんなことを考えながらパスタを茹でていたわけですが、だいぶよい頃合いみたいです。皿によそい、後はたらこを混ぜて………なんでしょうか瓶に入ったこの赤い液体は。瓶を傾けてみて中で揺れる液体を観察する。どうやら調味料というものみたいですね。
昨日西条さんに教えてもらいました。
おや、こちらにある黒い粉は……色々ありすぎてよく分かりませんね…。
しかし、やってみなければ分かりません!全部かけてみましょう!この赤いのと黒いのと………こちらの黄色いのもかけてしまいましょう。
あれやこれやとかけてみて気付きましたが、私が見たパスタではない何かが出来上がってしまいました……。
ですが西条さんは調味料なるものは料理を美味しくするためのものと言っていました。さあ、西条さんに私の料理を振る舞うときです!
暗闇から解き放たれたと思ったら鼻腔になにやら強烈なにおいが…。
なんだろうか……タバスコ?
いや、それにしては甘い………
しょうゆ……いや、それにしては薄い。
謎のにおいを推理しつつ目を開けると、宮瀬さんが皿をテーブルに持ってきていた。
何やらご機嫌で足取りが軽い。
どうやら料理を作ったらしく、テーブルに並べられる皿、コップ、フォーク……もしやあのにおいはあの皿の料理からなのか……。どんなことをしたかは大体察しはつくが、作ってもらった以上は食べる。
まだ少し怠い体を起こしてテーブルに向かう。宮瀬さんもキッチンから飲み物を取ってきたようでちょうどテーブルで鉢合わせる。
「おはようございます西条さん」
「……おはよう」
寝起きで美少女の笑顔を見れたのはなんとも得をした気分であるが並んでいたパスタはどうも素直に喜べるものではなかった。
パスタには所々にブラックペッパーのようなものが振りかけられていてタバスコのような赤みもあり、醤油のような色も見え、加えてマヨネーズが皿の端に綺麗にとぐろを巻いていた。
想像通り、いやそれ以上の酷さかもしれない。気を抜いたらこのパスタ?にやられるかもしれない。
「早速パスタを作ってみたんです。よろしければどうぞ。」
「ああ、ありがとう」
宮瀬さんは座らずにこちらが座り、食すのを待っている。あの顔は自信あるんです。さあさあ!と言った顔だ。
海外の文化に触れたことは少しはあるが、異次元の文化に触れたことは全くない。これも経験だと割り切り席につき、手を合わせる。合掌………
「いただきます…」
パスタは予想通りべちゃついていて巻いた瞬間にその感触が伝わってきた。タバスコのにおいが強烈でありながらこの感触…。
いや、まだ分からない。よく分からないにおいによく分からない感触だがまだうまい可能性はたぶん!たぶん!残されている。
そう思わねばやってられないので自分にそう言い聞かせて口の中に運ぶ。
宮瀬さんは途端に不安げな顔になる。やはりどういう感想が出るのが怖いのか。それなら尚更ここは漢を見せるところだ。いざ異次元交流!
ふむふむ、食感はやはりべちゃついていて、最初の内は案外辛さはなくマヨネーズのマイルドさとべちゃつきが気持ち悪い程度だ。どうやらパルメザンチーズも入れたようでマヨネーズと絡まっていて最悪の食感を生み出していた。咀嚼していくうちにタバスコの辛さが出て来て唇がヒリヒリしてきた……っ!。
顔を歪めてはダメだ。耐えろ……耐えるんだ…。しかし、無情にもブラックペッパーが追い討ちをかけてきてタバスコとコラボし始めた。余計に唇がヒリヒリしてきたし、マイルドだか辛いんだかなんだか分からない味を生み出していた。ようやく一口分を飲み込んだときにはお腹が少々痛かった。
「ど、どうでしょうか…」
「ああ、いけるよ。うまい」
はい。嘘です。食えないほどではないがとても好んで食べるものではないというのが事実だ。しかし、美少女の手料理という調味料のお陰か食べられる。というか食べる。黙々と食べる俺を見つめる宮瀬さん。
「宮瀬さんも食べなよ」
席に着くよう促す。当人がこのパスタにどのような評価を下すかは分からないが、そこばかりはどうにもならない。エデンの人間の口に合うことを祈るだけだ。
「では私もいただきます……」
よく混ぜてからパスタをくるめていく宮瀬さん。においに怪訝な顔をしながらも口に運んでいく。咀嚼する度に顔がどんどん歪んでいく。顔も青ざめていき
「すみません!」
咀嚼し終えるとテーブルに頭を打ち付けて謝罪をする。
「あ、いや。地球人には食べられるもんだよ、うん。」
「いえ、パスタの美味しさを共有できたので味覚に大して違いはないはずです!即刻捨ててください!」
「いや、もったいないから!見てろよ!食えるから!」
宮瀬さんのよく分からない極端な理論を振り切り、勢いよくパスタを巻き口に放り込む。宮瀬さんが止めようか止めまいかとオロオロしているうちに食べきってしまう。後になって謎の食感が口に残り、不思議な感覚だ。味覚は狂ってきたのか差ほど酷くは感じないのが幸いだ。
「ごちそうさまでした!」
「あ、はい……お粗末様でした。本当に……」
若干引き気味な宮瀬さんを余所に勢いに任せて声を出した。水を飲んで口直しをしたいがそんなことをすれば不味いと言うようなものだ。耐えに耐えて皿を片付け始める。
その後宮瀬さんもなんの意地か泣きながら食べ続けて完食した。顔を歪ませながら食べる宮瀬さんは何とも言えない悲壮感が漂っており、なぜか申し訳なくなった。
食べきると水を一気に飲み干し無言で皿を片付け始め皿を洗う。終始無言を貫き通し、皿を洗い終えてリビングに戻ってきてようやく口を開いた。
「さて、午後はどうしましょうか」
なるほど完全に無かったことにするつもりらしい。
「んー、布団でも買いに行こうか。」
「本当に何から何まですみません……」
「いや、契約通りだよ。家事の変わりに衣食住は保証する約束なんだから」
「その家事すら……」
「今は研修期間だからいいの!」
「では……行きましょう」
宮瀬さんはどうも基本的に他人のことになると遠慮がちだ。
勿論、悪いことではないが、もう少し頼ってほしいとは思う。
「あら~航ちゃんじゃない~」
ホームセンターに着くなり会いたくない人に会ってしまった。
というか宮瀬さんのことを誤魔化すのが面倒なので学校のやつに会いたくない。今回は三木田ではないが…。
黒髪ショートの長身爽やかイケメンの尾鎌荘介。成績優秀、運動神経抜群、さらに優しく面倒見がいいおネエさんだ。
「尾鎌さん、こんにちは」
「もう航ちゃんたら相変わらず固いんだから~。」
一年の頃から俺も三木田も尾鎌さんと同じクラスでお世話になってきた。勉強にしろ行事にしろだ。彼に恐らく弱点などない。
そう感じさせるには十分な実績と実力がある。それを尊敬して同学年でも俺や三木田を含め尾鎌さんと呼ぶやつが多い。他人行儀だとは思うが…。
「まあ、いいわ。可愛い娘を連れて何しにきたのかしら♪。まさか航ちゃん……」
デート?。耳に近づいてきてそっと耳打ちする。三木田と違いデリカシーがあるので好感が持てる。
「違いますよ。えーと、まあ突っ込まないでください」
「あら、そうなの?それなら突っ込まないでおくわ」
笑って誤魔化すが、尾鎌さんは嫌な顔一つもしないし、追及もしない。
「おほほ、それじゃ明日朝遅刻しちゃだめよ~。失礼するわね~」
足取り軽やかに手ぶらで去っていく尾鎌さん。あれ?尾鎌さんは何をしに来ていたんだろうか?
「えと……あのお方は…」
「俺や昨日会った三木田と同じクラスの尾鎌さんだ。」
「あの方は女性なんですか?男性なんですか?」
宮瀬さんはよく分からないといった感じで困惑していた。確かに顔は爽やかイケメンだが中性的なところもある。初見で戸惑うのは無理はない。
「男だよ。喋り方は女性みたいだけどね。一家揃ってあんな感じなんだ。」
「それは珍しいですね……」
布団を買いにきただけなのに宮瀬さんにとっては随分と濃いめのショッピングの開始になったようで、早々に驚きといった表情を見せていた。
さて、布団を買いにいくか。このホームセンターは一階に木材、工具、食器等を取り扱っており、2階に寝具、ソファー、テーブルなどの家具を取り扱っている。外には多様な植物が家庭菜園用に売っており、この街の人間に必要不可欠な場所となっている。
2階に行き適当な布団と枕を見繕うが、ここからが大変だ。車もないので手で持って帰らなければならない。枕は宮瀬さんに持ってもらうにしても布団が大変だ。
「あら航ちゃん~。お布団を買いに来ていたのね~」
「尾鎌さん」
「尾鎌さん、先程は挨拶出来ずにすみません。宮瀬紅葉といいます。」
「あら~紅葉ちゃんね~。可愛い~。私は尾鎌荘介よ、よろしくね」
手を握り和気あいあいと宮瀬さんに絡む。宮瀬さんは一瞬驚いたような顔をするがすぐに苦笑いで返す。
「あら、話が逸れちゃうとこだったわ。お布団、中々重そうじゃない?もし良ければ手伝うわよ?自転車で来てるし、後に乗せていけるわよ?」
「いや、そんな……」
「もう航ちゃんたら~。こんなでも私、力持ちなのよ?」
袖を捲り力こぶを作って見せる尾鎌さを。そこには立派な力こぶが出来ていた。細マッチョってやつか。
「なら頼もうかな」
「よろしくお願いいたしますね」
とりあえず会計を済ませて丸めた布団は俺が、枕は宮瀬さんが駐輪場まで持っていき、荷台に乗せる。枕は俺が持ち、宮瀬さんは周囲の安全確認を頼む。万が一追っ手が来たら宮瀬さんが逃げられるようにだ。
いざ出発と思ったら尾鎌さんが手を扇いで暑そうにしていた。
「喉が渇いちゃったわね。少しお二人で何でもいいからジュースでも買ってきてくれるかしら。お金は渡すから♪」
尾鎌さんが人にものを頼むなんて珍しい。だけど初めて頼られたような気がして嬉しい。友人として対等な感じがする。
「じゃ、行こっか宮瀬さん。」
「あ、はい」
俺の後にとことこと着いてくる宮瀬さん。
「西条さん、何だか嬉しそうですね」
「ああ、尾鎌さんは人に頼らないんだ。いや、頼る必要がないんだ。何でも素早く正確にこなしてしまうから……。」
「尾鎌さん凄い方なんですね…」
「ああ、だからこそ俺は少し寂しかった」
「寂しかった……ですか?」
なぜ、と宮瀬さんは言うが、そう、完璧すぎたんだ。
「頼ってばかりで頼られることがない。距離を感じてしまうんだ。だからこんな小さなことでも頼ってもらえて嬉しいんだ。」
「お二人とも仲がよろしいのに複雑ですね……」
自販機で飲み物を買って戻る間も宮瀬さんは複雑そうだった。
確かに中々見ない人間関係かもしれない。第一、尾鎌さんのような完璧人間がまずいないのだが。
「尾鎌さん。買ってきたよ」
「あら~ありがとう~航ちゃんに紅葉ちゃん~。こ、これは!」
一瞬野太い声が出て俺も宮瀬さんも面をくらうが、口に手を当ててあら失礼、とすぐにいつもの尾鎌さんに戻る。
「私の大好きなハバリースりんご味じゃない~」
「尾鎌さん、いつも飲んでるでしょ?」
「もう、航ちゃんたら~。細かい気遣いができる男子はモテるわよ~」
尾鎌さんに茶化され、俺も宮瀬さんもつい笑ってしまう。人を笑顔にできる才能がある。本当に不思議な人だ。
「あれ、尾鎌さんその紐は……」
宮瀬さんが指を指した先は尾鎌さんの背中。よく見ると黒く細い紐で布団を背中に背負って籠の中に入れていた。
「あら、よく気づいたわね~。二人がハバリース買ってくる間に便利なものを持ってたのを思い出したのよ~。」
尾鎌さん、どこまでも完璧な人間である。ハバリースを一口飲んだ尾鎌さんのさあ出発よ~の掛け声と共に自宅のマンションに向かうのだった。
月明かりに照らされた和風庭園で空を切る鋭い音が響く。音が遅れてくるほどの日本刀の斬撃がその正体だ。
いかなるものでも確実に捉え、その生命を断つであろう斬撃。
相手はおらず素振りであるが、いたら間違いなくその命を断っていたであろう。その斬撃を目で捉えることなく命を落とした者は数えきれない。そして本人も数えようとはしてこなかった。
「紅葉待ってろよ……。今兄さんが行くからな…。ククク……」
男は不気味に笑い、ひたすらに斬撃を繰り返していた。一振り毎に威力を増し、研ぎ澄まされていく。まさに必殺の剣技。その刀が睨むものは一体……。
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~登場人物~
尾鎌 荘介 181cm 72kg
航と同学年の成績良好、爽やかイケメン、運動神経抜群、面倒見がいいおネエさん。
航や巧とよくつるんでいるが、いまいち掴めないところがある。
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