やがて桜になる

harao

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第1章 落葉襲来 編

第6話「4つの謎」

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本編に入る前に先にお詫びをさせていただきます。前回のお話、第5話「あなたの心」ですが、変な風に投稿してしまったので、上げなおしました。ご迷惑をおかけしました。




5/4(土)
「はあっ!」
落葉襲来に備えて夜は学校の裏山で鍛練を積む日々を過ごしていた。
何もない殺風景な木々に囲まれただけの広場には俺と宮瀬さんがいるだけで風も吹きやしない。
ただ、虫の鳴き声が静かに聞こえてくるのみで、街から離れたここは人の気配などない。

先日魔力を留めることに成功した俺は放出の鍛練をここ数日積んでいた。
そして鍛練を積む毎に魔法を使えるようになる高揚感と共に例の恐怖も湧いてきていた。

「今日はなんだかうまくいきませんね……」
「ああ……集中し直さなきゃだな」

日毎に募る恐怖。この正体がなんなのかは感覚では理解できている。
俺にとって辛いことだったはずだ。
ただ、はっきりは思い出せない。
だけど今は宮瀬さんを守ると決めたんだ。

そのためには接続をうまく使いこなさきゃならない。一度した約束だ、そこはやり通す。深呼吸をし、再度集中し、俺は左手で右手首を抑えて体の熱を右手から放出するイメージをし、意識を手の平に集中して力を入れる。

「はあっ!!」

すると青々とした木々がざわざわと揺れ、この広場にも多少強い風が吹いた。風を遮るように宮瀬さんと俺は目に腕をあてて風を凌ぎ、数秒ほど吹いた風が止むと顔を合わせた。

「今のは……」

少し離れた位置にいた宮瀬さんが駆け寄ってくる。
今日は白いワンピースで月明かりで白髪とワンピースがよく映える。

「今のは初級の風属性の魔法ですね……」
「風属性?この間言ってたやつ?」
「はい。魔法には属性があって一般的なのが今、西条さんが使った風、そして炎、水、雷、土の5つです。例外はありますが一般的なのはその5つです。」

指を1本ずつ立てて説明する宮瀬さん。
なんだか可愛い。

「例外?」

「はい。例えば私の時空魔法ですね。これはこの5つのどの属性にも属しません。そして不思議なのは……西条さんの属性は風ではないはずなんです。」

「え?今出たのは風だよな……」

「勿論です。しかし、本来西条さんは水、炎、雷の3つの属性のはずなんです」

顎に手をあてて思案顔の宮瀬さん。
水、炎、雷なのに風……。
いや、待てよ

「そもそも何で宮瀬さんは俺の属性なんて分かるんだ?」

「あ、えと………私くらいの魔法師……魔法を使う者だとそれくらい見たらわかるものなんです!」

人差し指を立てて得意気に自慢する宮瀬さん。
なんというかその割には余裕がない気がするが…。

「と、とにかく!西条さんの属性をもう一度調べさせてください。」

「ま、まあいいけど…」

宮瀬さんは人差し指で俺を囲むように円を描き、円の中心をタッチする。見ただけで分かるのではなかったのか?

「出ました……水、炎、雷……風もありますね」

ぶつぶつとその後も呟く宮瀬さん。
何がなんだかさっぱりだがどうやら属性が4つあるのは間違いなさそうだ。

「しかし、珍しいですね……」

「何が?」

「通常多くても属性は2つなんです。3つとなると相当珍しくてエデンでは出世コースなんです。そして4つ以上はそうそういるものではないんです。」

「そ、そうなのか」

今さっき初めて………初めて魔法を使ったものだからいまいち実感がない。

「加えて西条さんは地球の方ですから魔力回路が無いはずなんです。ですから本来は無属性に限りなく近いはずなんです。しかし接続している方は最低でも4つも属性があるということになります。接続は属性が類似した方と行われるわけですから。西条さんあなたはいったい………」

またも宮瀬さんは考え込み静寂が広場に訪れる。
そよ風が木々を揺らす音だけがこの空間に響く。
しばらく沈黙は続いたが疑問に思うことがある。

「つまり俺はエデンの人間?」

宮瀬さんの難しい顔も崩れてくすくすと笑う。

「いや、それはありえませんよ。だって地球に来ているなら時空魔法を自力で使うか、写本を使うだけの技量と魔力量がなければなりませんから。西条さんはそのどちらにもあてはまりませんから」

二人でそりゃそうだと、笑いあう。
うん、やっぱ宮瀬さんは笑っていた方が可愛いな。

「ま、今は考えてもしょうがない。現状じゃ分からないことだらけなんだ。帰ろうか。」
「そうですね」

二人で並んで山を降りていくが 宮瀬さんが後ろを急に振り向く。

「!?」
「宮瀬さん?」
「いえ、今何かいたような…。気のせいだったみたいです。」

再び暗い山道を下っていく。
夜風が体を冷やし、手も冷たくなる。
二人の行く道は暗闇に包まれていた。

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