枢軸国

よもぎもちぱん

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独コ戦争

神よ 我らを救いたまえ

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「ハインツ!ハインツ!」

「大隊長…ごめんなさい…制空部隊へ通達、ハインツ率いる別働隊は敵の増援部隊と接敵しただいま戦闘中。敵方計4師団と推定、別働隊損耗現在4割」

「ハインツ!即時撤退せよ!繰り返す!別働隊は即時撤退せよ!」

「本隊との無線を切ります。オーバー」

「ハインツ!帰ってこい!」

ハインツとの無線が切れる。
ソフィアは操縦桿を握り締めてハインツの元へ向かおうとする……が、思いとどまる。

(私がこのまま進んで私の部隊が壊滅したら?それだと本末転倒だ…駄目だ…ハインツ…帰ってこい!)

「大隊長!正面より敵機来襲!」

名も無き兵士が叫ぶ。その声でデイビスやその配下の兵士達が覚悟を決める。中には家族の写真を強く握り締める者も居た。

「嘆いていられない…総員、最後の最期まで抵抗せよ!反撃開始!」

27:240の戦いが幕を開ける

接敵と同時に敵は時計回りに旋回を始める。ソフィア達は反時計回りに旋回し、旋回をしていた小隊を一瞬で消し炭にする。流石、撃墜王のみで構成されただけあり、実力は確かである。

あぁ…別働隊の火が見える。沢山堕ちてる。あれは…何番機だろうか…

「ハインツの仇!」

そして今に至る_________________

「空戦が始まりました。クニスペル曹長、決着をつけましょう。残りの3匹の化け物の討伐です」

通信兵がクニスペルに連絡する。無論、空中での圧倒的不利を知っているので額に汗が滴る。

「ったく!さながら龍退治だな!おい通信兵!全車両に伝えろ。「忠誠こそ我が名誉」と」

そんなものお構い無しにクニスペルは豪快に笑い飛ばす

「その明るい性格は見習いたいですね!」

ハインリヒがクニスペルに憎まれ口を叩く

「おいハインリヒ!雑談する暇があるなら砲塔旋回を手伝え!」

履帯が外れたので何とか砲塔で戦おうとカールは必死に砲塔を回す。

「「おう!」」

クニスペルやハインリヒ、無線士がハンドルを持ち、全力で回す。すると、かなり早く回り始め、T-62の砲塔旋回速度を上回る。

「カール!やれ!ぶち抜け!」

「任せろ!死に晒せコミュニズム!」

カールがトリガーを引き、見事敵戦車の側面砲弾庫に命中してT-62は爆発四散する。

「残り2両!お前ら!勝てるぞ!」

その一撃でドイッテスト側はおおきく沸き立ち、士気が一挙に上がる

T-62の側面や後ろにドイッテスト車両が回り込み、動きを封じてから10両を超える戦車で化け物の側面を射撃する。無論、この戦法では当然の様に大量の被害戦車が増える。しかし、鋼鉄の意志により臆することなくまた1両を撃破する

「クソ…何しろ数が減ってきやがった…」

T-34の群れも対応しなければならず、ドイッテストは徐々に押され始めた。その前にクニスペルはメルト マイヤーに指揮権を委託し戦車から脱出して、拠点まで走っていた。

「総員!退くな!ここで退けば末代までの恥だぞ!」

マイヤーが叱咤する。

(二重帝国…いや、頼りないか。ここまでそんなに早く来れるはずがない…終わりか?いや…死ぬなら最後まで…)

マイヤーは無線士から無線を奪い取り叫ぶ

「抗え勇士達よ!貴官らの勇姿 名誉は私が必ず貴官らが死ぬまで、いや死んだ後1000年は保障する!だから抗え!戦え!退くな!」

_________________

「大隊損耗7割!まずいです中隊長!」

「黙って戦え!」

背後を取り、一気に3機立て続けに主翼を、垂直尾翼を折って撃破する

「デイビス!状況は!?」

「刻一刻と悪くなるばかりだ!だけど…負ける訳にはいかんねぇんだクソボケ共が!」

デイビス機も獅子奮迅の戦いをしている

「中隊長!こr」

「3番機!」

名前も知らない3番機が落ちていく。ハインツが居なくなった一瞬だったが支えてくれた。ありがとうな…

「中隊長!第一小隊全滅!」

「第二小隊損耗8割!戦闘不能です!」

「戦え!戦い続けろ!」

「中隊長!もう駄目です!撤退しましょう…く、クソ!後ろに着かれた!お…お母さん!うわぁぁぁあ!」

「負けか…?負けなのか…」

2番機も落とされた。あぁ…

「クソ!ソフィ、ヘルプだ!助けてくれ!」

デイビスが助けを求める。ギリギリ後ろに着かれてはいないが首の皮一枚で繋がっている状況だ。

「待ってろ!耐えるんだ!」

「すまねぇ!感謝する」

ソフィアが急接近し、デイビスの後ろに着いていた2機を撃墜する。

「デイビス中隊長!我が中隊は壊滅しました!」

「デイビス…ここからの勝算は?」

「0だな」

「もし私達が今ここで退けば?」

「地上部隊は全滅だな。」

「やるしか選択肢は残ってないね。」


_______
彼女達はよく戦った。10倍を超える敵から何とか時間を稼いだのだから。しかし、盛者必衰。彼女達の運命にも刃が振り下ろされる。

「何だ!?」

「後ろだ!後ろに回り込まれてるぞ!」

ソフィアの機体から火が噴き出す。

「あーあ…中隊をデイビスの大隊の隷下にする!各員、死ぬまで戦え!」

ソフィア機は辛うじて空を飛んでいるが戦闘はもう不可能だ。これを好機と見たコミンテルンはソフィアの後ろに着こうとする








「あぁ…神よ、我らを救いたまえ。信心無き輩に鉄槌を…」
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