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Episode 1 始まりの冒険
Chapter 5 他大陸の地図
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かのルソンでの死闘から三日が経った。
一度オルドカシュガンへと戻ったアスト達は進むべき次の町を、ルソンの隣のフレンバーに定め旅を始めた。その道は、妖魔などの襲撃が少しあっただけできわめて順調であり、フレンバーで夜を過ごした後ガイン大橋を目指して街道を進んでいった。
そして、フレンバーを立ったその日の夕方、アスト達はガイン大橋の砦の周囲にある下町へと到着していた。
「?」
リックルが何やら首をかしげて町の各所を見渡している。
「どうした? リックル何かおかしなことでもあるのか?」
アストがリックルに尋ねる。それに答えを返すリックル。
「いや……何か妙に旅人が多いなって思って……」
「え?」
リディアは周りを見渡す。確かに馬車などを連れた商隊らしき一団や、大荷物を背負った旅人をかなりたくさん見ることが出来る。
「ここっていつもこんな風じゃないの? 旅の重要拠点なんだし……」
リディアのその言葉に、リックルは言葉を返す。
「もちろんこのぐらい多いときは確かにあるけど……。これ全部ガイン大橋の向こうから……フォーレーンから出てくる旅人みたいだよ?」
「あ!」
アストは気が付いた。確かにリックルの言う通り、これら沢山の旅人はガイン大橋の方角からやってくる者ばかりだ。
何か嫌な予感を感じたアストは旅人の一人に話しかけてみる。
「あの……すみません」
「なんだ?」
不機嫌そうに旅人の男は返す。
「これって、みんなフォーレーンから来た旅人なんですか?」
「何言いてんだ……。俺は北東の町からフォーレーンを目指して今日来たんだ……。それ以外の連中も大体事情は同じだよ……」
「え? それってどういうことですか?」
「詳しくはガイン大橋の兵士に聞いてくれ……」
その旅人はぶつくさと文句を言いながら去って行ってしまう。
「? なんだ?」
旅人の機嫌が悪そうなのがなんとも気になる。
よく見ると、多くの人々が、さっきの男と同じように、眉間に皺を寄せて周りに文句を言っているように見える。
「むう……」
アストは一瞬考えた後、リディアたちの方を見て言った。
「とりあえず……ガイン大橋に行ってみよう」
その提案にリディアたちも頷いた。
◆◇◆
町を西へと進んでいくと、目前に巨大な塔が見えてくる。リックルが指さして言う。
「あれがガイン大橋の東砦だよ」
「へえ……」
それは、この世界の技術レベルではありえないような巨大建築であった。
その塔は高さが200m近くあるだろうか。現代のビルにすら匹敵する四角柱型の塔であった。
「あの塔の天辺から、グロリアの大河の向こうにあるフォーレーンを見守ることが出来るのさ」
「これはすごい……」
アストとリディアは純粋に驚く。ボーファスの大地には、これほどの建築物は見られなかったからである。
アスト達はさっそく塔の根元にある、ガイン大橋へ入るための関所へ向かう。しかし、
「?! 扉が……」
ガイン大橋へと入るための入り口を、木製の巨大な扉が完全にふさいでいる。その周囲には旅人が沢山ごった返しており、砦の兵士たちがそれらの対応を行っているようであった。
「ガイン大橋に入れない……のか?」
「みたいだね……何かあったのかな?
ちょっと待ってて……」
アストのその言葉にリックルが答える。
リックルはその小柄な体を利用して、旅人たちの脚元をくぐって、一人で前へ前へと進んでいく。そして、砦の兵士のところにたどり着いた彼女は、兵士としばらく話をしてからこちらへと帰ってきた。
「ダメだ……ガイン大橋が通れなくなってる……」
「え? それってどういうことだ?」
「それが……、数日前にガルチャー海の海賊艦隊がフォーレーンを襲ったらしくて、その時に周囲の橋をあらかた落とされちまったらしいんだ」
「海賊?!」
リックルの言葉にリディアが驚く。
「海賊って……、あの海の盗賊団?」
「その通りさ……。ここいらの海賊は、よく海の近くの町や村を襲って略奪していくんだ」
「それは……フォーレーンは大丈夫なのか?」
そうアストが聞く。その言葉にリックルは答える。
「詳しくは聞かなかったけど。ギルドの仲間が何とか海賊どもを追っ払ったって聞いた。
……で」
そう言って一呼吸置くと、リックルは少し嬉しそうに次の言葉を放った。
「それを撃退した英雄ていうのが……あのエルギアスとアリアだったっていう話だよ!!」
「え?!!」
それは驚きの事実であった。
エルギアスたちは、ルソンに立ち寄る前にフォーレーンに居て、そこで海賊襲撃にあったということか。
「あの二人……ほとんどの海賊を叩き潰して、海賊艦隊の船を数隻撃沈したらしい!!
さすが大陸でも最強の呼び声高い夫婦だ……」
「そうか……さすがというか……何というか……」
アストはさすがに呆れてしまった。そこまで強い人間というのもこの世界にはいるらしい。
「しかし……」
アストは頭をかきながら考える。
「そうすると……ガイン大橋は復旧しないと入れないってことか?」
「そう……まだ復旧のめどが立ってないって」
「むう……できたら今日中にフォーレーンへ入りたかったが……」
「それは無理だね……。他の旅人も諦めて、北へ向かうまわり道に切り替えてるらしいし」
「北か……。確か鉱山都市があったな」
「そう。そっちへ回り道すれば三日後ぐらいにはフォーレーンへ着けるよ」
アストは少し考えてから決めた。
「リディア……リックル……。今日はここで一晩宿をとる……。そして北の鉱山都市を通って、フォーレーンへ向かおう」
「お兄ちゃんがそう言うならいいよ」
リディアはそう答える。リックルは――、
「まあ仕方がないね……、旅っていうものはそうそう予定通りにはいかないもんさ」
そう言って笑った。
(まあ……これ以上異常なことが起こらない方が助かるんだけどね……)
アストは一人心の中でそう呟いた。
◆◇◆
翌朝、アスト達は北の鉱山都市へと進路を取った。
グロリアの大河の横を通る街道をアスト達はさかのぼっていく。そうしてしばらく行くと半日ほどで深い森林地帯へと足を踏み入れていた。
「鉱山都市へはあとどれくらいだろうな?」
そのアストの問いにリックルが答える。
「まあ、まだまだではあるけど。少なくとも日が落ちる前には着けるよ」
「そうか……、ならそこでまた宿を取らないといけないな」
アストは自分が持っている貨幣を確認する。
オルドカシュガンにある両替商で、宝石を貨幣に替えてきていたのである。
ボーファスの大地以外では貨幣がないと何もできない。それは知っていたが――。
(予定が狂って、結構出費してるな……。気をつけないと……)
そう心の中でつぶやきつつため息を付く。
さすがに今の武器防具を売らねばならないようなことにはなりたくない。何か貨幣を手に入れる方法を考えないと――とアストは一人考えていた。
それからどれだけ森の中を進んだのか――。前方に山脈群が見えだしたときにその事件は起こった。
「きゃあ!!」
まるで定番であるかのように女性の悲鳴が響く。
「おい! まさか?!」
いやな予感を感じながら、アスト達は乗騎を走らせる。
前方に複数の人影が見えてきた。
「あなたたち!! 約束が違います!! こっちは方向が違う!!」
「ははは!! そんなの当たり前だろうが!! わざとこっちへ来たんだよ!! バカ女が!!」
女性一人を、馬に乗った男数人が囲んでいる。
男たちは下卑た笑いをして女性の全身を舐めるような目で見ている。
「アレは?!」
アストはその女性を見て驚く。
それは黄の民では見られない、美しい金髪の女性だったからである。
「青の民?」
リックルが叫ぶ。アストはゲイルを走らせながら狼上弓を構えた。
びゅん!!
風切り音とともに矢が飛翔する。
どすん!!
その矢は男たちの馬の足元へと突き刺さった。
「な? なんだ?」
いきなりのことに驚きを隠せない男達。
「そこまでだ!!」
アストがそう叫ぶと男たちは苦い顔をした。
「クソ! こんなときに旅人だと?! 正義の味方のつもりかよ?!! やっちまえ!!」
そう言って男たちは腰の長剣を抜き放つ。それを見て、アストは男達への容赦を捨てた。
びゅん!!
アストの矢が一本飛翔する。
その矢を受けて男の一人の首が吹き飛んだ。
「げ!! まじかよ!!」
「やるなら容赦はしない!!」
アストがそう叫ぶと、男たちは剣を捨てて、街道を鉱山都市へと向かって逃げ去っていく。
そこには女性と死んだ男とその馬だけが残った。
「大丈夫?」
女性にリディアが話しかける。
「は……はい。ありがとうございます」
そう言って言葉を返した女性は、きれいな金髪碧眼の青の民であった。
「何があったんですか?」
アストがそう聞くと女性はおずおずと話し始める。
「実は……私には歴史学者をしている父がいるのですが……」
「歴史学者?」
「そうです……その学者の父が、帰る予定の日になってもカシムの塔から帰ってこなくて……」
「カシムの塔って……」
リックルがそう呟く。アストはリックルに尋ねる。
「知ってるのか?」
「うん。それってこれから向かう鉱山都市のちょうど西にある遺跡の事だよね?」
そのリックルの言葉に女性は頷く。
「そうです……。その塔に父を迎えに行こうと思って……。それでお金を払って傭兵を雇ったのですが……」
「その傭兵っていうのがアレか?」
アストはそう言って死体となって倒れている男を示す。
女性は涙を流して泣き始める。
「まさか……騙されて攫われかけるなんて思ってもみなくて……」
「それは……、あまりに軽率な判断だね」
リックルが真面目な顔をして言う。
「通りすがりのあたしが言うことじゃないかもだけど……。今の世の中あんたみたいな弱者を騙そうとする連中は多い。気をつけないと……あたしらが居なかったらあんた……連中のおもちゃにされてたよ?」
「はい……すみません」
女性は泣きながら頭を下げた。
――と、不意にリディアが話に割り込んでくる。
「まあまあ……リックルそれぐらいにしようよ。ねえ? あなた今鉱山都市に住んでるの?」
「え? はいそうです」
「なら……案内してくれるかな?」
「あ……はいわかりました」
女性は涙を拭いて頷いた。
その女性を見ながらアストは考える。
(カシムの塔……か)
アストはその時心の中で一つの決断を下していた。
◆◇◆
その日の夕方ごろ、助けた青の民の娘の案内で、アスト達は鉱山都市ロイドへと足を踏み入れた。
『鉱山都市ロイド』
それはカディルナの地において数か所しかない、ミスリル鉱石の取れる黄の民の重要拠点の一つである。
ここは特に、かつての統一文明時代の遺跡であるカシムの塔を西に望み、過去の遺物がよく発掘されることでも有名であり、そう言ったモノを目的とした採掘者なども住む、黄の民有数の山岳都市のひとつであった。
「そうか……それじゃあ、リンのお父さんは古代統一文明時代の歴史学者さんなんだね?」
そうリディアが助けた娘・リンに聞く。リンは頷いて答える。
「そうです……。もともと私と父は、北西のゲイランディア諸島に住んでいたんですが、カシムの塔の話を聞いて去年移住してきたんですよ」
「カシムの塔ってそんな有名なのか?」
アストがリンに訊ねる。リンは苦笑いして答える。
「いいえ……。あくまでも学者の間で有名ってだけです。私もまさか、カシムの塔の調査のためだけに、移住する羽目になるとは思ってもみなくて……」
「ははは……そりゃあいろいろ豪快なお父さんだね? そのお父さんってなんていう名前?」
そうリックルが訊ねる。リンは答える。
「アークって言います。そんなに有名でもないんで知らないでしょう?」
「うん知らない……」
リックルははっきりと言い切った。それを聞いてアストとリディアは苦笑いした。
「……さて、お兄ちゃん? 今日の宿だけど……」
不意にリディアがそう言う。アストは少し考えてから答える。
「その事は少し待ってくれ」
「え? どういうこと、お兄ちゃん?」
「ふむ……」
アストはリディアに頷いてから、リンの方に向き直る。
「リンさん……。貴方カシムの塔から帰ってこないお父さんを探しに行きたいって言っていたね?」
「え? はい……そうですが?」
「それを俺たちが代わりに引き受けようと思うんだが……」
それはいきなりの提案であった。リンは驚いた顔でアストを見る。
「本当ですか? 引き受けていただけるなら、それほどありがたい事はありませんが……」
リンのその言葉に、アストは真面目な顔で答える。
「その……。その代わりと言っては何ですが……。このロイドに滞在している間の宿を貸していただくのと、数日分の食料をいただけませんか?」
そのアストの言葉にリディアが呆然とする。
「ちょっとお兄ちゃん……。モノを取るの? そんな事、普通にタダで引き受けてもいいじゃない?」
そのリディアに向かってアストは答える。
「リディア……。旅をするのにはいろいろ必要になってくるんだ……。でもお金は無限に沸いてくるわけじゃない。これはボーファスの大地の物々交換と同じだよ」
「う……。それは……」
リディアはアストの言葉に口ごもる。その姿を見てリンは笑って言った。
「そんな事ならお安い御用ですよ。どうぞうちに泊まっていってください。旅に必要な食料も用意させていただきますわ」
その答えにアストはホッと胸をなでおろした。これで何とかお金の節約になる。
「では……さっそく私の家に行きましょうか?」
そう言ってリンはアスト達を促した。
こうしてアスト達は今夜の宿を確保することに成功した。
◆◇◆
その晩、リンとその父の家――
「これが私の父の顔です」
リンは一枚の肖像画をアスト達に見せる。
「ほう……これが……」
それは、いかにも好奇心旺盛そうな、子供のような瞳をした金髪碧眼の男であった。
「この人を探すんだね?」
リディアはリンに訊ねる。
「はい……でも特に異常がなければ、探すまでもなく、普通にカシムの塔で会えると思いますが……」
リンのその言葉にアストが返す。
「でも何か嫌な予感を感じたんだろ? だからこそ傭兵を雇った……」
「はい……そうです。嫌な噂を聞いたので……」
「嫌な噂?」
リンは少し考えて答える。
「その……カシムの塔の方で、鎧を着た騎士を見たと言う人がいて……。その騎士というのは、聖バリス教会の騎士なんじゃないか? ……っていう」
そのリンの言葉にアストは驚く。
「聖バリス教会?!!」
アストは決して忘れることが出来ない過去を思い出す。
突如襲ってきた騎士――、姉を攫ったかもしれない連中――、
それこそ聖バリス教会の統一使徒軍――。
アストはいつの間にか今にも泣きだしそうな苦しげな顔になっていた。
その表情を見て、察したリディアが話題を変える。
「ねえ!! リンこの地図どこの地図なの?」
努めて明るくリディアは言う。リンはリディアの方を振り返っていう。
「地図?」
「うん! この地図! 私たちが持っているソーディアン大陸地図にはない地形に見えるんだけど?」
リディアは壁にかけられている大きな地図を指さす。リンはその地図を見て言った。
「その地図は……、父の故郷の地図……だそうです」
「お父さんの故郷? それってゲイランディア諸島? でもこんな地形の島ってあったっけ?」
リディアはそう言って首をひねる。
確かにアスト達の地図には、ない地形がこの地図には描かれていた。それだけではなく……。
「これって、結構巨大な島? ……いや大陸の地図じゃない? なんか至る所に町のマークとか、城のマークとか書かれてるし。もしかして……これ他大陸の地図?」
リックルがそう口を挟む。リディアは苦笑いしつつ答える。
「ま……まさか……。青の民は昔他大陸から渡って来た人だって聞いたことはあるけど……。最近、移住してきたって噂は聞かないよ?」
リディアとリックルは不審げな表情で顔を見合わせる。
アストはその事についてリンに訊ねた。
「まさか……貴方のお父さんは……他大陸人なのか?」
「う~ん? それはわかりません。私はれっきとしたゲイランディア諸島生まれですし……。でも……確かにちょっとお父さん、他の人とは違う訛りがあって……」
「それは……」
アストは考え込む。
自分は異世界からやってきたのだ――、他大陸からやってきた人がいてもおかしい話ではない。
「それで……この地図に書かれているのは、なんていう所なんだい?」
そうアストが聞くと、リンは少し考えてから答えた。
「父さんに昔聞いた時は……こう言っていました……」
その後の言葉を聞いて、アスト達は全員息をのんだのである。
「第一のセイアーレス……と」
◆◇◆
翌朝、アスト達は装備を整えてから、カシムの塔へと向かった。
その時、リンも同行しようとしたが。それはアストが丁寧に断った。もし、カシムの塔に何か良からぬものが居たら、リンを守って戦わなければならなくなる。
どうも、アストは昨日の話が、心にひっかかっていたのである。
「聖バリス教会……か」
「何? お兄ちゃん?」
「いや、なんでもない……」
アストは小さくつぶやく。
因縁の相手とこれから対決せねばならないかもしれない。
◆◇◆
ちょうどそのころ、カシムの塔の近くの森の中。
「ふん……結構いるじゃないか。聖バリス教会の騎士どもが」
草の影から一人の男が、塔の入り口を覗いている。
「あそこにいる見張りは、鎧を身に着けていないが……。カモフラージュのつもりなんだろうな……。動きでバレバレなんだが」
そう言って男は笑う。
「さて……どうやって、塔に忍び込むかな?」
塔の根元からてっぺんまで見てそう呟く。
「ふう……アークの奴……こんな面倒ごとに巻きこまれやがって。いきなり呼びつけても、こっちにはこっちの仕事があるっていうのに」
男は背中に背負った、装飾の入った杖を手に持ち替える。その杖には5つもの精霊固定具が見て取れる。
「まあ……やることやって、さっさと帰るかね」
男は――バルディ・ムーアは――、
そう言ってため息を付くと、音もなく森の中に消えて行った。
一度オルドカシュガンへと戻ったアスト達は進むべき次の町を、ルソンの隣のフレンバーに定め旅を始めた。その道は、妖魔などの襲撃が少しあっただけできわめて順調であり、フレンバーで夜を過ごした後ガイン大橋を目指して街道を進んでいった。
そして、フレンバーを立ったその日の夕方、アスト達はガイン大橋の砦の周囲にある下町へと到着していた。
「?」
リックルが何やら首をかしげて町の各所を見渡している。
「どうした? リックル何かおかしなことでもあるのか?」
アストがリックルに尋ねる。それに答えを返すリックル。
「いや……何か妙に旅人が多いなって思って……」
「え?」
リディアは周りを見渡す。確かに馬車などを連れた商隊らしき一団や、大荷物を背負った旅人をかなりたくさん見ることが出来る。
「ここっていつもこんな風じゃないの? 旅の重要拠点なんだし……」
リディアのその言葉に、リックルは言葉を返す。
「もちろんこのぐらい多いときは確かにあるけど……。これ全部ガイン大橋の向こうから……フォーレーンから出てくる旅人みたいだよ?」
「あ!」
アストは気が付いた。確かにリックルの言う通り、これら沢山の旅人はガイン大橋の方角からやってくる者ばかりだ。
何か嫌な予感を感じたアストは旅人の一人に話しかけてみる。
「あの……すみません」
「なんだ?」
不機嫌そうに旅人の男は返す。
「これって、みんなフォーレーンから来た旅人なんですか?」
「何言いてんだ……。俺は北東の町からフォーレーンを目指して今日来たんだ……。それ以外の連中も大体事情は同じだよ……」
「え? それってどういうことですか?」
「詳しくはガイン大橋の兵士に聞いてくれ……」
その旅人はぶつくさと文句を言いながら去って行ってしまう。
「? なんだ?」
旅人の機嫌が悪そうなのがなんとも気になる。
よく見ると、多くの人々が、さっきの男と同じように、眉間に皺を寄せて周りに文句を言っているように見える。
「むう……」
アストは一瞬考えた後、リディアたちの方を見て言った。
「とりあえず……ガイン大橋に行ってみよう」
その提案にリディアたちも頷いた。
◆◇◆
町を西へと進んでいくと、目前に巨大な塔が見えてくる。リックルが指さして言う。
「あれがガイン大橋の東砦だよ」
「へえ……」
それは、この世界の技術レベルではありえないような巨大建築であった。
その塔は高さが200m近くあるだろうか。現代のビルにすら匹敵する四角柱型の塔であった。
「あの塔の天辺から、グロリアの大河の向こうにあるフォーレーンを見守ることが出来るのさ」
「これはすごい……」
アストとリディアは純粋に驚く。ボーファスの大地には、これほどの建築物は見られなかったからである。
アスト達はさっそく塔の根元にある、ガイン大橋へ入るための関所へ向かう。しかし、
「?! 扉が……」
ガイン大橋へと入るための入り口を、木製の巨大な扉が完全にふさいでいる。その周囲には旅人が沢山ごった返しており、砦の兵士たちがそれらの対応を行っているようであった。
「ガイン大橋に入れない……のか?」
「みたいだね……何かあったのかな?
ちょっと待ってて……」
アストのその言葉にリックルが答える。
リックルはその小柄な体を利用して、旅人たちの脚元をくぐって、一人で前へ前へと進んでいく。そして、砦の兵士のところにたどり着いた彼女は、兵士としばらく話をしてからこちらへと帰ってきた。
「ダメだ……ガイン大橋が通れなくなってる……」
「え? それってどういうことだ?」
「それが……、数日前にガルチャー海の海賊艦隊がフォーレーンを襲ったらしくて、その時に周囲の橋をあらかた落とされちまったらしいんだ」
「海賊?!」
リックルの言葉にリディアが驚く。
「海賊って……、あの海の盗賊団?」
「その通りさ……。ここいらの海賊は、よく海の近くの町や村を襲って略奪していくんだ」
「それは……フォーレーンは大丈夫なのか?」
そうアストが聞く。その言葉にリックルは答える。
「詳しくは聞かなかったけど。ギルドの仲間が何とか海賊どもを追っ払ったって聞いた。
……で」
そう言って一呼吸置くと、リックルは少し嬉しそうに次の言葉を放った。
「それを撃退した英雄ていうのが……あのエルギアスとアリアだったっていう話だよ!!」
「え?!!」
それは驚きの事実であった。
エルギアスたちは、ルソンに立ち寄る前にフォーレーンに居て、そこで海賊襲撃にあったということか。
「あの二人……ほとんどの海賊を叩き潰して、海賊艦隊の船を数隻撃沈したらしい!!
さすが大陸でも最強の呼び声高い夫婦だ……」
「そうか……さすがというか……何というか……」
アストはさすがに呆れてしまった。そこまで強い人間というのもこの世界にはいるらしい。
「しかし……」
アストは頭をかきながら考える。
「そうすると……ガイン大橋は復旧しないと入れないってことか?」
「そう……まだ復旧のめどが立ってないって」
「むう……できたら今日中にフォーレーンへ入りたかったが……」
「それは無理だね……。他の旅人も諦めて、北へ向かうまわり道に切り替えてるらしいし」
「北か……。確か鉱山都市があったな」
「そう。そっちへ回り道すれば三日後ぐらいにはフォーレーンへ着けるよ」
アストは少し考えてから決めた。
「リディア……リックル……。今日はここで一晩宿をとる……。そして北の鉱山都市を通って、フォーレーンへ向かおう」
「お兄ちゃんがそう言うならいいよ」
リディアはそう答える。リックルは――、
「まあ仕方がないね……、旅っていうものはそうそう予定通りにはいかないもんさ」
そう言って笑った。
(まあ……これ以上異常なことが起こらない方が助かるんだけどね……)
アストは一人心の中でそう呟いた。
◆◇◆
翌朝、アスト達は北の鉱山都市へと進路を取った。
グロリアの大河の横を通る街道をアスト達はさかのぼっていく。そうしてしばらく行くと半日ほどで深い森林地帯へと足を踏み入れていた。
「鉱山都市へはあとどれくらいだろうな?」
そのアストの問いにリックルが答える。
「まあ、まだまだではあるけど。少なくとも日が落ちる前には着けるよ」
「そうか……、ならそこでまた宿を取らないといけないな」
アストは自分が持っている貨幣を確認する。
オルドカシュガンにある両替商で、宝石を貨幣に替えてきていたのである。
ボーファスの大地以外では貨幣がないと何もできない。それは知っていたが――。
(予定が狂って、結構出費してるな……。気をつけないと……)
そう心の中でつぶやきつつため息を付く。
さすがに今の武器防具を売らねばならないようなことにはなりたくない。何か貨幣を手に入れる方法を考えないと――とアストは一人考えていた。
それからどれだけ森の中を進んだのか――。前方に山脈群が見えだしたときにその事件は起こった。
「きゃあ!!」
まるで定番であるかのように女性の悲鳴が響く。
「おい! まさか?!」
いやな予感を感じながら、アスト達は乗騎を走らせる。
前方に複数の人影が見えてきた。
「あなたたち!! 約束が違います!! こっちは方向が違う!!」
「ははは!! そんなの当たり前だろうが!! わざとこっちへ来たんだよ!! バカ女が!!」
女性一人を、馬に乗った男数人が囲んでいる。
男たちは下卑た笑いをして女性の全身を舐めるような目で見ている。
「アレは?!」
アストはその女性を見て驚く。
それは黄の民では見られない、美しい金髪の女性だったからである。
「青の民?」
リックルが叫ぶ。アストはゲイルを走らせながら狼上弓を構えた。
びゅん!!
風切り音とともに矢が飛翔する。
どすん!!
その矢は男たちの馬の足元へと突き刺さった。
「な? なんだ?」
いきなりのことに驚きを隠せない男達。
「そこまでだ!!」
アストがそう叫ぶと男たちは苦い顔をした。
「クソ! こんなときに旅人だと?! 正義の味方のつもりかよ?!! やっちまえ!!」
そう言って男たちは腰の長剣を抜き放つ。それを見て、アストは男達への容赦を捨てた。
びゅん!!
アストの矢が一本飛翔する。
その矢を受けて男の一人の首が吹き飛んだ。
「げ!! まじかよ!!」
「やるなら容赦はしない!!」
アストがそう叫ぶと、男たちは剣を捨てて、街道を鉱山都市へと向かって逃げ去っていく。
そこには女性と死んだ男とその馬だけが残った。
「大丈夫?」
女性にリディアが話しかける。
「は……はい。ありがとうございます」
そう言って言葉を返した女性は、きれいな金髪碧眼の青の民であった。
「何があったんですか?」
アストがそう聞くと女性はおずおずと話し始める。
「実は……私には歴史学者をしている父がいるのですが……」
「歴史学者?」
「そうです……その学者の父が、帰る予定の日になってもカシムの塔から帰ってこなくて……」
「カシムの塔って……」
リックルがそう呟く。アストはリックルに尋ねる。
「知ってるのか?」
「うん。それってこれから向かう鉱山都市のちょうど西にある遺跡の事だよね?」
そのリックルの言葉に女性は頷く。
「そうです……。その塔に父を迎えに行こうと思って……。それでお金を払って傭兵を雇ったのですが……」
「その傭兵っていうのがアレか?」
アストはそう言って死体となって倒れている男を示す。
女性は涙を流して泣き始める。
「まさか……騙されて攫われかけるなんて思ってもみなくて……」
「それは……、あまりに軽率な判断だね」
リックルが真面目な顔をして言う。
「通りすがりのあたしが言うことじゃないかもだけど……。今の世の中あんたみたいな弱者を騙そうとする連中は多い。気をつけないと……あたしらが居なかったらあんた……連中のおもちゃにされてたよ?」
「はい……すみません」
女性は泣きながら頭を下げた。
――と、不意にリディアが話に割り込んでくる。
「まあまあ……リックルそれぐらいにしようよ。ねえ? あなた今鉱山都市に住んでるの?」
「え? はいそうです」
「なら……案内してくれるかな?」
「あ……はいわかりました」
女性は涙を拭いて頷いた。
その女性を見ながらアストは考える。
(カシムの塔……か)
アストはその時心の中で一つの決断を下していた。
◆◇◆
その日の夕方ごろ、助けた青の民の娘の案内で、アスト達は鉱山都市ロイドへと足を踏み入れた。
『鉱山都市ロイド』
それはカディルナの地において数か所しかない、ミスリル鉱石の取れる黄の民の重要拠点の一つである。
ここは特に、かつての統一文明時代の遺跡であるカシムの塔を西に望み、過去の遺物がよく発掘されることでも有名であり、そう言ったモノを目的とした採掘者なども住む、黄の民有数の山岳都市のひとつであった。
「そうか……それじゃあ、リンのお父さんは古代統一文明時代の歴史学者さんなんだね?」
そうリディアが助けた娘・リンに聞く。リンは頷いて答える。
「そうです……。もともと私と父は、北西のゲイランディア諸島に住んでいたんですが、カシムの塔の話を聞いて去年移住してきたんですよ」
「カシムの塔ってそんな有名なのか?」
アストがリンに訊ねる。リンは苦笑いして答える。
「いいえ……。あくまでも学者の間で有名ってだけです。私もまさか、カシムの塔の調査のためだけに、移住する羽目になるとは思ってもみなくて……」
「ははは……そりゃあいろいろ豪快なお父さんだね? そのお父さんってなんていう名前?」
そうリックルが訊ねる。リンは答える。
「アークって言います。そんなに有名でもないんで知らないでしょう?」
「うん知らない……」
リックルははっきりと言い切った。それを聞いてアストとリディアは苦笑いした。
「……さて、お兄ちゃん? 今日の宿だけど……」
不意にリディアがそう言う。アストは少し考えてから答える。
「その事は少し待ってくれ」
「え? どういうこと、お兄ちゃん?」
「ふむ……」
アストはリディアに頷いてから、リンの方に向き直る。
「リンさん……。貴方カシムの塔から帰ってこないお父さんを探しに行きたいって言っていたね?」
「え? はい……そうですが?」
「それを俺たちが代わりに引き受けようと思うんだが……」
それはいきなりの提案であった。リンは驚いた顔でアストを見る。
「本当ですか? 引き受けていただけるなら、それほどありがたい事はありませんが……」
リンのその言葉に、アストは真面目な顔で答える。
「その……。その代わりと言っては何ですが……。このロイドに滞在している間の宿を貸していただくのと、数日分の食料をいただけませんか?」
そのアストの言葉にリディアが呆然とする。
「ちょっとお兄ちゃん……。モノを取るの? そんな事、普通にタダで引き受けてもいいじゃない?」
そのリディアに向かってアストは答える。
「リディア……。旅をするのにはいろいろ必要になってくるんだ……。でもお金は無限に沸いてくるわけじゃない。これはボーファスの大地の物々交換と同じだよ」
「う……。それは……」
リディアはアストの言葉に口ごもる。その姿を見てリンは笑って言った。
「そんな事ならお安い御用ですよ。どうぞうちに泊まっていってください。旅に必要な食料も用意させていただきますわ」
その答えにアストはホッと胸をなでおろした。これで何とかお金の節約になる。
「では……さっそく私の家に行きましょうか?」
そう言ってリンはアスト達を促した。
こうしてアスト達は今夜の宿を確保することに成功した。
◆◇◆
その晩、リンとその父の家――
「これが私の父の顔です」
リンは一枚の肖像画をアスト達に見せる。
「ほう……これが……」
それは、いかにも好奇心旺盛そうな、子供のような瞳をした金髪碧眼の男であった。
「この人を探すんだね?」
リディアはリンに訊ねる。
「はい……でも特に異常がなければ、探すまでもなく、普通にカシムの塔で会えると思いますが……」
リンのその言葉にアストが返す。
「でも何か嫌な予感を感じたんだろ? だからこそ傭兵を雇った……」
「はい……そうです。嫌な噂を聞いたので……」
「嫌な噂?」
リンは少し考えて答える。
「その……カシムの塔の方で、鎧を着た騎士を見たと言う人がいて……。その騎士というのは、聖バリス教会の騎士なんじゃないか? ……っていう」
そのリンの言葉にアストは驚く。
「聖バリス教会?!!」
アストは決して忘れることが出来ない過去を思い出す。
突如襲ってきた騎士――、姉を攫ったかもしれない連中――、
それこそ聖バリス教会の統一使徒軍――。
アストはいつの間にか今にも泣きだしそうな苦しげな顔になっていた。
その表情を見て、察したリディアが話題を変える。
「ねえ!! リンこの地図どこの地図なの?」
努めて明るくリディアは言う。リンはリディアの方を振り返っていう。
「地図?」
「うん! この地図! 私たちが持っているソーディアン大陸地図にはない地形に見えるんだけど?」
リディアは壁にかけられている大きな地図を指さす。リンはその地図を見て言った。
「その地図は……、父の故郷の地図……だそうです」
「お父さんの故郷? それってゲイランディア諸島? でもこんな地形の島ってあったっけ?」
リディアはそう言って首をひねる。
確かにアスト達の地図には、ない地形がこの地図には描かれていた。それだけではなく……。
「これって、結構巨大な島? ……いや大陸の地図じゃない? なんか至る所に町のマークとか、城のマークとか書かれてるし。もしかして……これ他大陸の地図?」
リックルがそう口を挟む。リディアは苦笑いしつつ答える。
「ま……まさか……。青の民は昔他大陸から渡って来た人だって聞いたことはあるけど……。最近、移住してきたって噂は聞かないよ?」
リディアとリックルは不審げな表情で顔を見合わせる。
アストはその事についてリンに訊ねた。
「まさか……貴方のお父さんは……他大陸人なのか?」
「う~ん? それはわかりません。私はれっきとしたゲイランディア諸島生まれですし……。でも……確かにちょっとお父さん、他の人とは違う訛りがあって……」
「それは……」
アストは考え込む。
自分は異世界からやってきたのだ――、他大陸からやってきた人がいてもおかしい話ではない。
「それで……この地図に書かれているのは、なんていう所なんだい?」
そうアストが聞くと、リンは少し考えてから答えた。
「父さんに昔聞いた時は……こう言っていました……」
その後の言葉を聞いて、アスト達は全員息をのんだのである。
「第一のセイアーレス……と」
◆◇◆
翌朝、アスト達は装備を整えてから、カシムの塔へと向かった。
その時、リンも同行しようとしたが。それはアストが丁寧に断った。もし、カシムの塔に何か良からぬものが居たら、リンを守って戦わなければならなくなる。
どうも、アストは昨日の話が、心にひっかかっていたのである。
「聖バリス教会……か」
「何? お兄ちゃん?」
「いや、なんでもない……」
アストは小さくつぶやく。
因縁の相手とこれから対決せねばならないかもしれない。
◆◇◆
ちょうどそのころ、カシムの塔の近くの森の中。
「ふん……結構いるじゃないか。聖バリス教会の騎士どもが」
草の影から一人の男が、塔の入り口を覗いている。
「あそこにいる見張りは、鎧を身に着けていないが……。カモフラージュのつもりなんだろうな……。動きでバレバレなんだが」
そう言って男は笑う。
「さて……どうやって、塔に忍び込むかな?」
塔の根元からてっぺんまで見てそう呟く。
「ふう……アークの奴……こんな面倒ごとに巻きこまれやがって。いきなり呼びつけても、こっちにはこっちの仕事があるっていうのに」
男は背中に背負った、装飾の入った杖を手に持ち替える。その杖には5つもの精霊固定具が見て取れる。
「まあ……やることやって、さっさと帰るかね」
男は――バルディ・ムーアは――、
そう言ってため息を付くと、音もなく森の中に消えて行った。
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