55 / 58
Episode 3 失われし霊樹を求めて
Chapter 5 奇襲
しおりを挟む
ヴァレディ王国の遥東に位置するトバイアム。その近郊にある小さな森林地帯に、その近辺では普通は見られない、赤い髪をした赤の民の集団がいた。
無論、彼らはその赤い髪を表に晒してはいない。頭まですっぽりと覆うフード付きのクロークを身に着けているが、その特徴的な赤髪を完全に隠すことは出来ず――、そもそも彼らは隠してはいなかった。
彼らは便器上は隠密部隊という事になってはいるが、実際のところ変装などによって隠密行動をすることはあまりない。闇に紛れての奇襲――、敵の領域深くへの強硬偵察や侵攻作戦――、直接戦闘こそ彼らの領分であり、正体を見破られることは特に重要視してはいなかった。それは、まさしく自分たちこそ最強の戦士団であるという自負の証であり――、逆に彼らの傲慢の証でもあった。
彼らこそ、赤の民――、聖バリス教会圏諸国最強と謳われる特殊部隊『特殊戦術技能兵』であり、その一部隊である『金鱗の大蛇』は、現在、他に遠征している友軍の集合を待っている状態であった。
その隊長であるノイマンは、その傍で聖バリス神への祈りを奉げている司祭に向かって言った。
「四星どの……、確保した霊樹をこれから国へと送るわけですが……、緑の民の巫女の歌がないと、霊種を得ることはできないのではないですか?」
「ヴァルドールでいい……」
「ふむ……失礼。それでヴァルドールどの……」
「お前たちは知る必要のないことだ……」
その司祭――ヴァルドールのモノ言いに、ノイマン以外の隊員の目が細められる。
ヴァルドールはフンと鼻を鳴らして言う。
「……お前たち兵隊は、我らの命に従っておればよい……。余計な口を利くな」
「申し訳ありません」
ノイマンはヴァルドールに頭を下げる。その姿を見て、他の隊員の中にはあからさまに舌打ちする者もいて、その目にはヴァルドールへの敵意すら見て取れた。
ヴァルドールはそれに気づきながらも、平然とした様子で一心に祈りを奉げる。
隊員の一人がノイマンに近づいて小さな声で囁いた。
「このまま、奴の言いなりに動いていて良いのですか隊長……」
「仕方があるまい。かのヴァレディ王国での戦いでは、彼がいたからこそ霊樹を確保できたと言っても過言ではないのだ」
「……緑の民など、我らだけでも……」
「彼らをあまり侮るな……。こちらの有利な戦場に誘い込んだからこそ、かの数百余りの軍勢を相手に勝利で来たのだからな」
隊長であるノイマンは極めて冷静な人物であった。
かのヴァレディ王国での戦いも、彼の冷静な判断力と戦略があったからこその勝利であった。無論、その作戦はかの『四星のヴァルドール』を戦力として組み込むことを前提としたものであったが――。
ノイマンは、彼がいなければこちらも相当の被害があったと冷静かつ冷徹に読んでもいた。だからこそ、目の前の傲慢極まりない男に、礼を尽くしているのである。
(四星のヴァルドール……、その対軍集団殲滅魔法はあまりに強力過ぎる……。これほどの魔法使いはそうそうはいない)
ノイマンの考え通り、目の前のヴァルドールは、戦略級の戦術魔法師として聖バリス教会でも名の知れた人物であった。
その扱う魔法は――、地精元霊を除いた他四属性を網羅しており、その最高位の大魔法をも行使できる力量を持っていた。もっとも、個人の精神力容量の問題で、大魔法を扱えるのは一日に一つのみであったが――。
(こちらとて……、魔法使い相手に後れを取るつもりはないが……。それでもこの男とやり合うようなことがあれば、こちらもただで済むことはない……)
ノイマンのその予想はまさしく正確であり、だからこそノイマンは彼の気分を損ねないように、常に心掛けているのであった。
「……」
――不意にヴァルドールが祈りを中断する。何事かと思うノイマンを見つめて言った。
「情報魔法が使われた形跡がある……」
「なんですと? それは……」
「痕跡が僅かゆえに、今まで気づかなかったが……。これは……、樹精元霊か……」
「まさか……緑の民の追手か?!」
「いや……、ここまで痕跡を感じられなかったのは、自然現象を利用した間接的な形式の情報魔法だからだ……。そして、この痕跡は『風』……、すなわち風を司る古代神のものだな……」
「魔女?!」
ノイマンはヴァルドールのその言葉を受けて周囲に警戒の目を向ける。そして――、
「皆!! 伏せろ!!」
いきなり隊員全体に向かって叫んだのである。
隊員がその場に伏せると、その頭上を数本の矢が飛翔して傍の樹木に突き刺さった。
「奇襲?!」
それは明らかに敵意のある攻撃である。
そして、彼らを襲ったのはそれらの矢だけではなかった。
ザザザザ!!
周囲の茂みが大きく動いて何かが走り抜けていく。
「何かいるぞ?!」
隊員の一人がそう叫ぶが――、今一歩遅かった。
がああああああああ!!
突如、茂みから飛び出してきた馬ほどもある巨大銀狼が、近くの隊員の首に食いつき――食いちぎって、そのまま再び傍の茂みへと消えたのである。
「くそ!! 大銀狼だと?!」
それは、彼らの天敵とも呼べる『騎狼猟兵』が駆る騎乗獣の名である。
――隊員たちは、伏せから起き上がってその猛獣への警戒態勢に入る。しかし――、
「いかん!! 散開して密集するな!! 頭を下げろ!! 狙い撃ちされるぞ!!」
その言葉に答えるように、立ち上がった隊員たちへ向かって無数の矢が飛来する。慌てて隊員たちは姿勢を低く保ちつつ散開した。
――それでも、数人がその矢の命中弾を喰らって絶命する。ノイマンは心の中で悪態をついた。
(……やってくれる。 近接の大銀狼を警戒すれば矢を受ける……、矢を警戒して姿勢を低くすれば、動きが制限されて大銀狼の強襲に対応しきれない……。明確にこちらの手の内を読んだ奇襲……、敵に我らとやり合ったことのある猛者がいる……)
それこそおそらくは大銀狼の主だろうことは明白だった。
「フン……、やってくれたな」
そんな中にあって、ヴァルドールだけは何事もないかのように直立不動で笑っている。
「おい……ノイマン。このままやられっぱなしでいいのか? 貴様らには誇りはないのか?」
「……わかっている。そこで見ていろ……」
ノイマンはヴァルドールを睨みつつそう答えた。
彼らの反撃が始まろうとしていた――。
◆◇◆
「よし!!」
アスト達は手ごたえを感じていた。
リディアの魔法で霊樹の場所を探索した彼らは、敵の集団を発見ののちソレに対し奇襲攻撃を加えていた。いくら敵が優秀な戦士団とは言え、このままいけば戦力を半減させることも可能であろう。
「このまま畳みかける……」
マーマデュークが次の矢をつがえつつそう答える。アストもまた弓を構えつつ頷いた。
戦況はアスト達に有利に続いている。でもアスト達は彼らがこのまま全滅するような存在ではないことを十分理解している。
――アスト達と『特殊戦術技能兵』の、初めての遭遇戦が始まろうとしていた。
無論、彼らはその赤い髪を表に晒してはいない。頭まですっぽりと覆うフード付きのクロークを身に着けているが、その特徴的な赤髪を完全に隠すことは出来ず――、そもそも彼らは隠してはいなかった。
彼らは便器上は隠密部隊という事になってはいるが、実際のところ変装などによって隠密行動をすることはあまりない。闇に紛れての奇襲――、敵の領域深くへの強硬偵察や侵攻作戦――、直接戦闘こそ彼らの領分であり、正体を見破られることは特に重要視してはいなかった。それは、まさしく自分たちこそ最強の戦士団であるという自負の証であり――、逆に彼らの傲慢の証でもあった。
彼らこそ、赤の民――、聖バリス教会圏諸国最強と謳われる特殊部隊『特殊戦術技能兵』であり、その一部隊である『金鱗の大蛇』は、現在、他に遠征している友軍の集合を待っている状態であった。
その隊長であるノイマンは、その傍で聖バリス神への祈りを奉げている司祭に向かって言った。
「四星どの……、確保した霊樹をこれから国へと送るわけですが……、緑の民の巫女の歌がないと、霊種を得ることはできないのではないですか?」
「ヴァルドールでいい……」
「ふむ……失礼。それでヴァルドールどの……」
「お前たちは知る必要のないことだ……」
その司祭――ヴァルドールのモノ言いに、ノイマン以外の隊員の目が細められる。
ヴァルドールはフンと鼻を鳴らして言う。
「……お前たち兵隊は、我らの命に従っておればよい……。余計な口を利くな」
「申し訳ありません」
ノイマンはヴァルドールに頭を下げる。その姿を見て、他の隊員の中にはあからさまに舌打ちする者もいて、その目にはヴァルドールへの敵意すら見て取れた。
ヴァルドールはそれに気づきながらも、平然とした様子で一心に祈りを奉げる。
隊員の一人がノイマンに近づいて小さな声で囁いた。
「このまま、奴の言いなりに動いていて良いのですか隊長……」
「仕方があるまい。かのヴァレディ王国での戦いでは、彼がいたからこそ霊樹を確保できたと言っても過言ではないのだ」
「……緑の民など、我らだけでも……」
「彼らをあまり侮るな……。こちらの有利な戦場に誘い込んだからこそ、かの数百余りの軍勢を相手に勝利で来たのだからな」
隊長であるノイマンは極めて冷静な人物であった。
かのヴァレディ王国での戦いも、彼の冷静な判断力と戦略があったからこその勝利であった。無論、その作戦はかの『四星のヴァルドール』を戦力として組み込むことを前提としたものであったが――。
ノイマンは、彼がいなければこちらも相当の被害があったと冷静かつ冷徹に読んでもいた。だからこそ、目の前の傲慢極まりない男に、礼を尽くしているのである。
(四星のヴァルドール……、その対軍集団殲滅魔法はあまりに強力過ぎる……。これほどの魔法使いはそうそうはいない)
ノイマンの考え通り、目の前のヴァルドールは、戦略級の戦術魔法師として聖バリス教会でも名の知れた人物であった。
その扱う魔法は――、地精元霊を除いた他四属性を網羅しており、その最高位の大魔法をも行使できる力量を持っていた。もっとも、個人の精神力容量の問題で、大魔法を扱えるのは一日に一つのみであったが――。
(こちらとて……、魔法使い相手に後れを取るつもりはないが……。それでもこの男とやり合うようなことがあれば、こちらもただで済むことはない……)
ノイマンのその予想はまさしく正確であり、だからこそノイマンは彼の気分を損ねないように、常に心掛けているのであった。
「……」
――不意にヴァルドールが祈りを中断する。何事かと思うノイマンを見つめて言った。
「情報魔法が使われた形跡がある……」
「なんですと? それは……」
「痕跡が僅かゆえに、今まで気づかなかったが……。これは……、樹精元霊か……」
「まさか……緑の民の追手か?!」
「いや……、ここまで痕跡を感じられなかったのは、自然現象を利用した間接的な形式の情報魔法だからだ……。そして、この痕跡は『風』……、すなわち風を司る古代神のものだな……」
「魔女?!」
ノイマンはヴァルドールのその言葉を受けて周囲に警戒の目を向ける。そして――、
「皆!! 伏せろ!!」
いきなり隊員全体に向かって叫んだのである。
隊員がその場に伏せると、その頭上を数本の矢が飛翔して傍の樹木に突き刺さった。
「奇襲?!」
それは明らかに敵意のある攻撃である。
そして、彼らを襲ったのはそれらの矢だけではなかった。
ザザザザ!!
周囲の茂みが大きく動いて何かが走り抜けていく。
「何かいるぞ?!」
隊員の一人がそう叫ぶが――、今一歩遅かった。
がああああああああ!!
突如、茂みから飛び出してきた馬ほどもある巨大銀狼が、近くの隊員の首に食いつき――食いちぎって、そのまま再び傍の茂みへと消えたのである。
「くそ!! 大銀狼だと?!」
それは、彼らの天敵とも呼べる『騎狼猟兵』が駆る騎乗獣の名である。
――隊員たちは、伏せから起き上がってその猛獣への警戒態勢に入る。しかし――、
「いかん!! 散開して密集するな!! 頭を下げろ!! 狙い撃ちされるぞ!!」
その言葉に答えるように、立ち上がった隊員たちへ向かって無数の矢が飛来する。慌てて隊員たちは姿勢を低く保ちつつ散開した。
――それでも、数人がその矢の命中弾を喰らって絶命する。ノイマンは心の中で悪態をついた。
(……やってくれる。 近接の大銀狼を警戒すれば矢を受ける……、矢を警戒して姿勢を低くすれば、動きが制限されて大銀狼の強襲に対応しきれない……。明確にこちらの手の内を読んだ奇襲……、敵に我らとやり合ったことのある猛者がいる……)
それこそおそらくは大銀狼の主だろうことは明白だった。
「フン……、やってくれたな」
そんな中にあって、ヴァルドールだけは何事もないかのように直立不動で笑っている。
「おい……ノイマン。このままやられっぱなしでいいのか? 貴様らには誇りはないのか?」
「……わかっている。そこで見ていろ……」
ノイマンはヴァルドールを睨みつつそう答えた。
彼らの反撃が始まろうとしていた――。
◆◇◆
「よし!!」
アスト達は手ごたえを感じていた。
リディアの魔法で霊樹の場所を探索した彼らは、敵の集団を発見ののちソレに対し奇襲攻撃を加えていた。いくら敵が優秀な戦士団とは言え、このままいけば戦力を半減させることも可能であろう。
「このまま畳みかける……」
マーマデュークが次の矢をつがえつつそう答える。アストもまた弓を構えつつ頷いた。
戦況はアスト達に有利に続いている。でもアスト達は彼らがこのまま全滅するような存在ではないことを十分理解している。
――アスト達と『特殊戦術技能兵』の、初めての遭遇戦が始まろうとしていた。
0
あなたにおすすめの小説
クラス転移したけど、皆さん勘違いしてません?
青いウーパーと山椒魚
ファンタジー
加藤あいは高校2年生。
最近ネット小説にハマりまくっているごく普通の高校生である。
普通に過ごしていたら異世界転移に巻き込まれた?
しかも弱いからと森に捨てられた。
いやちょっとまてよ?
皆さん勘違いしてません?
これはあいの不思議な日常を書いた物語である。
本編完結しました!
相変わらず話ごちゃごちゃしていると思いますが、楽しんでいただけると嬉しいです!
1話は1000字くらいなのでササッと読めるはず…
おっさん武闘家、幼女の教え子達と十年後に再会、実はそれぞれ炎・氷・雷の精霊の王女だった彼女達に言い寄られつつ世界を救い英雄になってしまう
お餅ミトコンドリア
ファンタジー
パーチ、三十五歳。五歳の時から三十年間修行してきた武闘家。
だが、全くの無名。
彼は、とある村で武闘家の道場を経営しており、〝拳を使った戦い方〟を弟子たちに教えている。
若い時には「冒険者になって、有名になるんだ!」などと大きな夢を持っていたものだが、自分の道場に来る若者たちが全員〝天才〟で、自分との才能の差を感じて、もう諦めてしまった。
弟子たちとの、のんびりとした穏やかな日々。
独身の彼は、そんな彼ら彼女らのことを〝家族〟のように感じており、「こんな毎日も悪くない」と思っていた。
が、ある日。
「お久しぶりです、師匠!」
絶世の美少女が家を訪れた。
彼女は、十年前に、他の二人の幼い少女と一緒に山の中で獣(とパーチは思い込んでいるが、実はモンスター)に襲われていたところをパーチが助けて、その場で数時間ほど稽古をつけて、自分たちだけで戦える力をつけさせた、という女の子だった。
「私は今、アイスブラット王国の〝守護精霊〟をやっていまして」
精霊を自称する彼女は、「ちょ、ちょっと待ってくれ」と混乱するパーチに構わず、ニッコリ笑いながら畳み掛ける。
「そこで師匠には、私たちと一緒に〝魔王〟を倒して欲しいんです!」
これは、〝弟子たちがあっと言う間に強くなるのは、師匠である自分の特殊な力ゆえ〟であることに気付かず、〝実は最強の実力を持っている〟ことにも全く気付いていない男が、〝実は精霊だった美少女たち〟と再会し、言い寄られ、弟子たちに愛され、弟子以外の者たちからも尊敬され、世界を救って英雄になってしまう物語。
(※第18回ファンタジー小説大賞に参加しています。
もし宜しければ【お気に入り登録】で応援して頂けましたら嬉しいです!
何卒宜しくお願いいたします!)
断罪まであと10分、私は処刑台の上で「ライブ配信」を開始した〜前世インフルエンサーの悪役令嬢、支持率100%でクズ王子を逆処刑する〜
深渡 ケイ
ファンタジー
断罪まで、あと10分。
処刑台の上で跪く悪役令嬢スカーレットは、笑っていた。
なぜなら彼女は――
前世で“トップインフルエンサー”だったから。
処刑の瞬間、彼女が起動したのは禁忌の精霊石。
空に展開された巨大モニターが、全世界同時ライブ配信を開始する。
タイトルは――
『断罪なう』。
王子の不貞、聖女の偽善、王家の腐敗。
すべてを“証拠付き・リアルタイム”で暴露する配信に、
国民の「いいね(=精霊力)」が集まり始める。
そして宣言される、前代未聞のルール。
支持率が上がるほど、処刑は不可能になる。
処刑台は舞台へ。
断罪はエンタメへ。
悪役令嬢は、世界をひっくり返す配信者となった。
これは、
処刑されるはずだった悪役令嬢が、
“ライブ配信”で王子と王国を公開処刑する物語。
支持率100%の先に待つのは、復讐か、革命か、
それとも――自由か。
ナイナイづくしで始まった、傷物令嬢の異世界生活
天三津空らげ
ファンタジー
日本の田舎で平凡な会社員だった松田理奈は、不慮の事故で亡くなり10歳のマグダリーナに異世界転生した。転生先の子爵家は、どん底の貧乏。父は転生前の自分と同じ歳なのに仕事しない。二十五歳の青年におまるのお世話をされる最悪の日々。転生チートもないマグダリーナが、美しい魔法使いの少女に出会った時、失われた女神と幻の種族にふりまわされつつQOLが爆上がりすることになる――
やさしい異世界転移
みなと
ファンタジー
妹の誕生日ケーキを買いに行く最中 謎の声に導かれて異世界へと転移してしまった主人公
神洞 優斗。
彼が転移した世界は魔法が発達しているファンタジーの世界だった!
元の世界に帰るまでの間優斗は学園に通い平穏に過ごす事にしたのだが……?
この時の優斗は気付いていなかったのだ。
己の……いや"ユウト"としての逃れられない定めがすぐ近くまで来ている事に。
この物語は 優斗がこの世界で仲間と出会い、共に様々な困難に立ち向かい希望 絶望 別れ 後悔しながらも進み続けて、英雄になって誰かに希望を託すストーリーである。
ラストアタック!〜御者のオッサン、棚ぼたで最強になる〜
KeyBow
ファンタジー
第18回ファンタジー小説大賞奨励賞受賞
ディノッゾ、36歳。職業、馬車の御者。
諸国を旅するのを生き甲斐としながらも、その実態は、酒と女が好きで、いつかは楽して暮らしたいと願う、どこにでもいる平凡なオッサンだ。
そんな男が、ある日、傲慢なSランクパーティーが挑むドラゴンの討伐に、くじ引きによって理不尽な捨て駒として巻き込まれる。
捨て駒として先行させられたディノッゾの馬車。竜との遭遇地点として聞かされていた場所より、遥か手前でそれは起こった。天を覆う巨大な影―――ドラゴンの襲撃。馬車は木っ端微塵に砕け散り、ディノッゾは、同乗していたメイドの少女リリアと共に、死の淵へと叩き落された―――はずだった。
腕には、守るべきメイドの少女。
眼下には、Sランクパーティーさえも圧倒する、伝説のドラゴン。
―――それは、ただの不運な落下のはずだった。
崩れ落ちる崖から転落する際、杖代わりにしていただけの槍が、本当に、ただ偶然にも、ドラゴンのたった一つの弱点である『逆鱗』を貫いた。
その、あまりにも幸運な事故こそが、竜の命を絶つ『最後の一撃(ラストアタック)』となったことを、彼はまだ知らない。
死の淵から生還した彼が手に入れたのは、神の如き規格外の力と、彼を「師」と慕う、新たな仲間たちだった。
だが、その力の代償は、あまりにも大きい。
彼が何よりも愛していた“酒と女と気楽な旅”――
つまり平和で自堕落な生活そのものだった。
これは、英雄になるつもりのなかった「ただのオッサン」が、
守るべき者たちのため、そして亡き友との誓いのために、
いつしか、世界を救う伝説へと祭り上げられていく物語。
―――その勘違いと優しさが、やがて世界を揺るがす。
エリクサーは不老不死の薬ではありません。~完成したエリクサーのせいで追放されましたが、隣国で色々助けてたら聖人に……ただの草使いですよ~
シロ鼬
ファンタジー
エリクサー……それは生命あるものすべてを癒し、治す薬――そう、それだけだ。
主人公、リッツはスキル『草』と持ち前の知識でついにエリクサーを完成させるが、なぜか王様に偽物と判断されてしまう。
追放され行く当てもなくなったリッツは、とりあえず大好きな草を集めていると怪我をした神獣の子に出会う。
さらには倒れた少女と出会い、疫病が発生したという隣国へ向かった。
疫病? これ飲めば治りますよ?
これは自前の薬とエリクサーを使い、聖人と呼ばれてしまった男の物語。
企業再生のプロ、倒産寸前の貧乏伯爵に転生する
namisan
ファンタジー
数々の倒産寸前の企業を立て直してきた敏腕コンサルタントの男は、過労の末に命を落とし、異世界で目を覚ます。
転生先は、帝国北部の辺境にあるアインハルト伯爵家の若き当主、アレク。
しかし、そこは「帝国の重荷」と蔑まれる、借金まみれで領民が飢える極貧領地だった。
凍える屋敷、迫りくる借金取り、絶望する家臣たち。
詰みかけた状況の中で、アレクは独自のユニーク魔法【構造解析(アナライズ)】に目覚める。
それは、物体の構造のみならず、組織の欠陥や魔法術式の不備さえも見抜き、再構築(クラフト)するチート能力だった。
「問題ない。この程度の赤字、前世の案件に比べれば可愛いものだ」
前世の経営知識と規格外の魔法で、アレクは領地の大改革に乗り出す。
痩せた土地を改良し、特産品を生み出し、隣国の経済さえも掌握していくアレク。
そんな彼の手腕に惹かれ、集まってくるのは一癖も二癖もある高貴な美女たち。
これは、底辺から這い上がった若き伯爵が、最強の布陣で自領を帝国一の都市へと発展させ、栄華を極める物語。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる