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第四話 メイドさんと死者の魔窟
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勇者「――ん、やはりアンタ、俺の命を狙って近づいてきたのか」
エリシス「?!」
ナイフを手首に隠し、勇者の背後に近づいていたエリシスは、顔を強張らせて立ち止まった。
二人のやり取りを見つめるアンネミリアとクーネリアは、困惑の表情を隠さずにいる。
それに対し、エリシスは心のなかで驚愕しながら、なんとかその場を取り作ろうとする。
エリシス「……何を仰っているのですか? 私は何も……」
自分はあくまでも、自分の村に近づく魔族の集団を退けるために、勇者に協力を求めた村娘――、最後までそれを演じようとするが。
勇者「ごめん……、動きが素人じゃないから、初めから普通に気付いてたよ。君は多分魔王軍側の人間だよね?」
エリシス「!! ――なぜ、それじゃあ……」
勇者「……人間が、あえて魔族側についているって事だし、なにか理由があるんだろうって思ってね」
エリシス「……」
勇者「そもそも――、君には……、殺意は感じても、悪意が感じられないんだ。だから、もう少し君のことが知りたかった」
その勇者の言葉に苦渋に満ちた顔をして、手首に隠したナイフを引き出す。
エリシス「……何をバカな! 死ね勇者!!」
勇者「――」
キン!
エリシスが後方へと身を躍らせつつナイフを投擲する。勇者は手にした長剣でそれを払い除けた。
クーネリアが慌てて勇者に近づこうとするが……。
勇者「クーネ……、アンネを守って。君ではあの娘の動きにはおつけない」
クーネ「く……!」
その間に地面に着地したエリシスは、まるで初めからそこにいなかったかのように掻き消える。
クーネ「!! あれは――影歩?!」
次の瞬間には、勇者の背後にエリシスが現れ、その手のナイフを勇者の首へと一閃した。
勇者の身体がストンと地面に向かって落ちて――、そのまま下段から長剣を上方に向けて振り抜く。
エリシスは手首をナイフごと飛ばされる予測をして、あえてその手にしたナイフを放棄して後方へと後退した。
キン!
空中へとナイフが飛んでゆく。エリシスは、とりあえず他にナイフを持っていないように見えた。
だからクーネリアが彼女を抑えるべく動くが……。
勇者「クーネ!! 動くな!!」
クーネ「え?!」
エリシス「――リターン」
勇者が不意に叫ぶ。――その時、空中に飛んでいったはずのナイフが、空を切ってエリシスの手に戻った。
それを見てクーネリアが顔を歪めながら叫んだ。
クーネ「リターンナイフ!!」
【リターンナイフ】
安価で量産されている魔術具の代表格。
主に投擲目的の短剣に、投擲後、命令文で使用者の手に戻る機能を付与したものである。大抵は簡単に回収が可能な投擲武器として扱われるが、この短剣を最大限に利用した対軍短剣術と言う戦闘法も考案されている。ただ、この戦闘法はかなりの熟練が必要な上に、一対多数という普通ならそうなる前になんとかすべき状況での対処法である為、広く名が知られている割に習得者は少ない。
いつの間にかエリシスは両手にナイフを握っていた。瞬間に姿が掻き消え――、霧のような影だけが勇者の脇をすり抜けた。
ザク!
勇者の身体から血しぶきが飛ぶ。その身にいつの間にか切り傷が数本走っていた。
クーネ「ちょ――」
それはあまりに早すぎる高速連斬――、クーネリアは全くそれに目が追いついていない。
クーネ(く……、リターンナイフは回収機能があるだけの普通のナイフ――、私なら、数撃受けただけでは特に致命傷は受けない。でも――)
眼の前のエリシスという娘は、リターンナイフを自由自在に使いこなし、投擲による牽制――、からの回収しての斬撃、さらに目にも止まらぬ連斬などを織り交ぜつつ、勇者を追い詰めている。あの動きが相手では、勇者ならまだしも自分であれば、おそらく致命傷に至るまで、一方的に刻まれることになるだろうと予想できた。
勇者「――君は!」
エリシス「死ね勇者!!」
エリシスは内心焦っていた。本命である暗殺をダメにした以上、こういった行為は悪足掻きでしかなかったからだ。
でも――、とエリシスは思う。
エリシス(私が勇者を殺さないと――、故郷の家族が……)
エリシスは人間ではあるが、魔界で魔族たちに育てられていた。その大切な家族が、魔王が望むとある【魔術具】の作成を拒否したために、魔王軍に連行されていたのである。
魔王は魔族に育てられた人間であるエリシスに言った。家族を救いたければ勇者を殺せ――、人間であるお前が【人間の希望】を摘み取るのだ――、と。
エリシス「く――、お願い!」
勇者「……」
勇者は黙ってナイフの連撃を捌いてゆく。その動きを見てエリシスの顔が苦渋にゆがむ。
エリシス(く……、なんて奴だ――。ここまで捌かれるなんて――)
――でも。
エリシス(……勇者は、私の動きに完全には追いつけていない。リターンナイフを直接破壊して、私の攻撃手段を消せばいいのに、それが出来ていない――)
――ならば勝機はある。
二人はお互いに視線を交わしながら命のやり取りを行う。そして――、このほんのしばらく後に、戦いの決着はつくのである。
◆◇◆
魔王城より数キロ離れた森の奥にある洞窟。
魔王城のメイドであるエリシスは、現在その洞窟の中をただ一人歩いていた。
エリシス「ふむ……、確かに、ここから瘴気が流れ出ているようですね」
瘴気は命を蝕む魔の霧。長時間それに身をさらすだけで命を削られてゆく。
エリシス「とりあえず――、急いで状況を改善する必要がありますね」
エリシスがこの場に一人でいるのには理由があった。
勇者とアンネミリア、そしてクーネリアが、数日魔王城を開けている時に、今回の件が舞い込んできたのである。
エリシス「話にあったように――、これは明らかに土地から溢れてきた瘴気ではあませんね。なにかを中心にして周辺に吹き出す感じで広がっていますから」
自分の予想が正しければ――、現在進んでいる洞窟の最奥に、その原因が眠っているはずだ。
エリシス「まあ、この程度の仕事はレイでも出来たでしょうが」
レイならば多分、周辺を巻き込んで焼け野原にする程度の事はするだろう――、それが予想出来るからこそ自分が出向いたのである。
エリシス「……?」
洞窟を進んでゆくと、どうやらかなり広い空洞に出たらしく――、ごうごうと風の音が響くのが聞こえた。
真っ暗で先の見ない状況にため息を付いたエリシスは、懐から【魔法保存の巻物】を取り出してそれを使用した。
すぐに空洞全体が照らされて――、その内状が目に入ってきた。
エリシス「……」
エリシスは少し顔を歪めて周囲を見た。そこには――、数百体にも見える魔族の遺骸が転がっていたのである。
エリシス「……白骨化していますね。――これは、おそらく魔王の処刑場でしょうね」
沈んだ表情でそう呟くエリシス。しばらく黙っていると、どこからかカタカタと硬いものが動く音が響き始めた。
エリシス「……よほど苦しんだのでしょうか。死後も迷って――、動き始めました、か」
そのエリシスの言葉通り、目前の数百にも及ぶ魔族の白骨遺骸が、硬い音を響かせながら立ち上がってゆく。
それを見て――、一瞬だが、エリシスの脳裏に失った家族の姿がよぎった。
エリシス「苦しみ、眠れずに迷うお客様を、正しく眠れるように導くのも――、メイドの務めですね?」
エリシスは、メイド服の腰の後ろに八本装備された【リターンナイフ】の一組を両手に握る。
エリシス「彼らには――、リターンナイフで十分ですか」
そう呟いて、そのまま大空洞を奥へと歩み始めた。
そんなエリシスに無数の骸骨が襲いかかってくる。でも両手のナイフを一閃して――、骸骨は軽い破砕音を響かせて、砕けて塵になった。
数撃ナイフをふるったエリシスは、更に集まりつつある骸骨の遠くの一つに向けてナイフを投擲する。的確に命中して塵へと変わる。
更にナイフを投擲し、腰に装備されたナイフの次の一組を両手で握った。
――ザン、グジャ、キン、ゴズ、ガ――。
ザク……、ドン、グシャ、カン――。
エリシスがナイフを振るい、そして投擲するたびに骸骨は消滅してゆく。そのうちに腰に用意された全てのナイフが失われた。
ここぞとばかりに骸骨たちがエリシスへと襲いかかる。しかし――、
エリシス「――リターン」
空を切ってナイフがエリシスのもとへと奔った。
エリシス「――一本目」
ドン!
エリシス「二本目……」
グシャ!
エリシス「三本目!」
ガス!
エリシスが空を一閃し、光を走らせるたびに、加速度的に骸骨の軍勢が消滅してゆく。
その速度は更に早くなってゆき――。
エリシス「四本目」
ドン!
エリシス「五本目」
キン!
エリシス「六本目」
グシャ!
エリシス「七本目……」
ドン!!
そして、無限とも呼べる剣舞にも終りが見えてきた。最後の一体がエリシスの背後に向かって走ってきたのである。
エリシスは振り返らずに、後方に向かってナイフを飛ばす。
エリシス「これで八本目――」
ドン!
その一撃で最後の骸骨は塵となって消えた。
即座にエリシスはリターンナイフに命令を下して、一本一本腰の鞘へと収めてゆく。そして――、
エリシス「――では、どうか皆様――、これで、安らかにお眠りくださいますよう――」
一回振り返って頭を下げたエリシスは、大空洞の奥に向かって歩いてゆく。多分――、その先に目的のものは在るだろう。
◆◇◆
大空洞の奥に恐ろしいまでの瘴気を放つ物体が存在していた。それは――、微妙にカタカタと動いている。
ソレを見たエリシスは少し顔を歪めて言った。
エリシス「ボーンドラゴン……ですか」
それはアンデッド系モンスターの中でも上位にある存在。それは全身に呪文らしき文字を刻まれて、呼吸のような規則的な動きを見せながら、その場にうずくまっていた。
エリシス「……【魔王の本体】が、魔王の所業をあれほど嘆くのも頷けますね。処刑場で殺される魔族たちの魂を、そのままこの対軍兵器の強化に利用していたのですか」
そして、これはおそらく魔界の至る所で同じことが行われ――、自分の家族であった魔族たちも……。
エリシスは静かにため息を付いて、目前の化け物を見つめる。それはエリシスに気付いて首をもたげて、そして咆哮を放った。
エリシス「……ボーンドラゴン。物理攻撃がほぼ効かず、体躯が破壊されても再生されてしまう。これは――、リターンナイフでの対処は無理ですね」
静かに呟くエリシスの前で、ボーンドラゴンが身体を起こして、そして突撃姿勢をとる。
エリシス「……ならば、仕方が有りません」
そう言ってエリシスは、腰の後ろにリターンナイフと共に装備された、軽い装飾の入った短剣に手を触れた。
◆◇◆
勇者「エリシス……、ここが君の家族がいた村、か」
エリシス「……そう、もう誰もいないけど」
勇者「……」
エリシスは黙ってその場にうずくまる。――ただただ涙がこぼれ落ちた。
――と、そこにアンネミリアとクーネリア、そしてレイが慌てた様子で現れた。
レイ「おい! エリシス!! そこの噴水の、中央の像の中にこんなモノがあったぞ!」
エリシス「?」
アンネミリア「――厳重に結界が張ってあったようですが――、どうも貴方が村に帰ってきたら、解ける仕組みだったようですね」
エリシス「……」
そのレイが手にするものをエリシスは受け取る。子供の頃使っていた懐かしい布にくるまれたソレは――、一振りの短剣。
そこには手紙も添えてあった。
【エリシス……、星神転生のための魔源玉作成を断った私達は――、間違いなくすぐに連行されて粛清されるだろう。だから、そんな我々の最後の抵抗として、この魔術具をお前に残す。エリシスすまない。我々は弱く抵抗すら出来ずに――、お前に我々の自分勝手な望みだけを残すことしか出来なかった。でも――、魔王がおかしくなって、戦争が始まってしばらく後、魔界にいるはずのない人間の赤子であるお前を森で見つけて、我々はなにか希望を見た気がしたのだ。きっとお前なら――、そう、お前なら、魔界の、魔族の、そしてお前と同じ人間の希望の一つになってくれると――、私達は信じている。――愛しているよ、私達の娘――、エリシス】
エリシス「……う、ううう」
勇者「……」
アンネ「エリシス」
クーネ「く……」
レイ「……」
エリシスはその短剣を胸にただ泣き崩れる。勇者も仲間たちも、ただそれを見守り続ける。
その軽い装飾の入った短剣は――、後に、魔王軍に彼らが立ち向かうための、一つの【切り札】となる。
◆◇◆
エリシス「契約者――、エリシス・バーネットの名において、その権能を世に示す――。【白獣の牙】よ――、我が両手に【在れ】」
その瞬間、腰に差した短剣が小さく輝き――、エリシスの両手に、それに形の似た光のナイフが現れたのである。
ボーンドラゴンは咆哮を上げて、エリシスへと向かい突進してくる。それを一瞬影に身を変じて避けると、エリシスは壁へと激突するボーンドラゴンを睨んだ。
ゴオオオオオオオ!!
壁に激突して一旦動きを止めたボーンドラゴンだが、再び咆哮をあげてその巨体を動かし始める。そうして体勢を立て直したそれは再びエリシスへと突進する。
エリシス「ふむ……、命令設定が初期値故に、目標への突進しか行えないと?」
そう呟きながらその身を影へと変えたエリシスが、ボーンドラゴンを避けてそれから間合いをあけた。そして――、
エリシス「ならば……、突進するその線上に【弾幕】をはらせていただきます」
そういうが早いか、エリシスは手にした光のナイフをボーンドラゴンへと投擲する、そして、もう片手の光のナイフも――。
その瞬間、異界空間に準備状態であった、予備の光の短剣がエリシスの手に召喚されてくる。そして、それらもまたボーンドラゴンへと投擲していった。
ギイイイイイイ!!
ナイフが光線と化し――金切り音を立ててボーンドラゴンへと突き刺さってゆく。
その瞬間、光の粒子へと変換されたナイフは、エリシスのもとへと返って、異界空間に新たな光のナイフとして再装填された。
ドン、ドドドドドドドドドドドドドドドド!!
エリシスに向かって突進してくるボーンドラゴンへ向けて、光線がマシンガンのように飛翔する。
異界空間に準備されたナイフを取り出し投擲――、光の粒子に返して再装填――、そして、また投擲――、それを繰り返すことで、無限とも呼べる光線群をボーンドラゴンへと放ったのである。
ボーンドラゴンが目前に迫った時、三度自身を影に変じてその突進を回避する。そして、振り返ってから、かの巨体に向けて光線の群れを放ち続けた。
ガアアアアアアア!!
咆哮が放たれてさらなる突進を初めたボーンドラゴンへ、それまでとは違う強力な光線が向かってゆく。そのままその身を支える脚に命中して――、それを完全な塵へと変えた。
ガアアアアアア……!!
ドドドドドドドドドドドドドドドド!!
その場に突っ伏して動けないボーンドラゴンへ、無数の無限の光線が突き刺さってゆく。
それは次々にその巨体を構成する龍骨を塵へと変えていった。
――そして――。
ボーンドラゴンの体躯の中央に、闇色に輝く光球があるのをエリシスは見る。それに向かって光のナイフを放った。
ギイイイイイイ!! ――ドン!!
光線が刺さった瞬間、闇の光球は周囲に衝撃波を広げつつ大爆発をした。すると、空中に漂う瘴気は拡散されて――、そして次第に薄れていった。
エリシス「やはり――、これが瘴気の核でしたか」
そう呟いたエリシスは、その手に在る光のナイフを光の粒子へと変換した。
エリシス「瘴気の根源はこれでなくなりました。ここら一帯もしばらくすれば――」
エリシスは小さく笑うと、全てが塵となったそこに背を向けて、そして魔王城で待っているであろうレイを思った。
エリシス「リッカとフムに一応相手を頼んではいますが――。まあ、早く帰りましょうか。寂しがっているかも知れませんし――」
――お腹をすかせているかも知れませんし。
そう心のなかで思いながら――、エリシスは一人魔王城への帰路についた。
エリシス「?!」
ナイフを手首に隠し、勇者の背後に近づいていたエリシスは、顔を強張らせて立ち止まった。
二人のやり取りを見つめるアンネミリアとクーネリアは、困惑の表情を隠さずにいる。
それに対し、エリシスは心のなかで驚愕しながら、なんとかその場を取り作ろうとする。
エリシス「……何を仰っているのですか? 私は何も……」
自分はあくまでも、自分の村に近づく魔族の集団を退けるために、勇者に協力を求めた村娘――、最後までそれを演じようとするが。
勇者「ごめん……、動きが素人じゃないから、初めから普通に気付いてたよ。君は多分魔王軍側の人間だよね?」
エリシス「!! ――なぜ、それじゃあ……」
勇者「……人間が、あえて魔族側についているって事だし、なにか理由があるんだろうって思ってね」
エリシス「……」
勇者「そもそも――、君には……、殺意は感じても、悪意が感じられないんだ。だから、もう少し君のことが知りたかった」
その勇者の言葉に苦渋に満ちた顔をして、手首に隠したナイフを引き出す。
エリシス「……何をバカな! 死ね勇者!!」
勇者「――」
キン!
エリシスが後方へと身を躍らせつつナイフを投擲する。勇者は手にした長剣でそれを払い除けた。
クーネリアが慌てて勇者に近づこうとするが……。
勇者「クーネ……、アンネを守って。君ではあの娘の動きにはおつけない」
クーネ「く……!」
その間に地面に着地したエリシスは、まるで初めからそこにいなかったかのように掻き消える。
クーネ「!! あれは――影歩?!」
次の瞬間には、勇者の背後にエリシスが現れ、その手のナイフを勇者の首へと一閃した。
勇者の身体がストンと地面に向かって落ちて――、そのまま下段から長剣を上方に向けて振り抜く。
エリシスは手首をナイフごと飛ばされる予測をして、あえてその手にしたナイフを放棄して後方へと後退した。
キン!
空中へとナイフが飛んでゆく。エリシスは、とりあえず他にナイフを持っていないように見えた。
だからクーネリアが彼女を抑えるべく動くが……。
勇者「クーネ!! 動くな!!」
クーネ「え?!」
エリシス「――リターン」
勇者が不意に叫ぶ。――その時、空中に飛んでいったはずのナイフが、空を切ってエリシスの手に戻った。
それを見てクーネリアが顔を歪めながら叫んだ。
クーネ「リターンナイフ!!」
【リターンナイフ】
安価で量産されている魔術具の代表格。
主に投擲目的の短剣に、投擲後、命令文で使用者の手に戻る機能を付与したものである。大抵は簡単に回収が可能な投擲武器として扱われるが、この短剣を最大限に利用した対軍短剣術と言う戦闘法も考案されている。ただ、この戦闘法はかなりの熟練が必要な上に、一対多数という普通ならそうなる前になんとかすべき状況での対処法である為、広く名が知られている割に習得者は少ない。
いつの間にかエリシスは両手にナイフを握っていた。瞬間に姿が掻き消え――、霧のような影だけが勇者の脇をすり抜けた。
ザク!
勇者の身体から血しぶきが飛ぶ。その身にいつの間にか切り傷が数本走っていた。
クーネ「ちょ――」
それはあまりに早すぎる高速連斬――、クーネリアは全くそれに目が追いついていない。
クーネ(く……、リターンナイフは回収機能があるだけの普通のナイフ――、私なら、数撃受けただけでは特に致命傷は受けない。でも――)
眼の前のエリシスという娘は、リターンナイフを自由自在に使いこなし、投擲による牽制――、からの回収しての斬撃、さらに目にも止まらぬ連斬などを織り交ぜつつ、勇者を追い詰めている。あの動きが相手では、勇者ならまだしも自分であれば、おそらく致命傷に至るまで、一方的に刻まれることになるだろうと予想できた。
勇者「――君は!」
エリシス「死ね勇者!!」
エリシスは内心焦っていた。本命である暗殺をダメにした以上、こういった行為は悪足掻きでしかなかったからだ。
でも――、とエリシスは思う。
エリシス(私が勇者を殺さないと――、故郷の家族が……)
エリシスは人間ではあるが、魔界で魔族たちに育てられていた。その大切な家族が、魔王が望むとある【魔術具】の作成を拒否したために、魔王軍に連行されていたのである。
魔王は魔族に育てられた人間であるエリシスに言った。家族を救いたければ勇者を殺せ――、人間であるお前が【人間の希望】を摘み取るのだ――、と。
エリシス「く――、お願い!」
勇者「……」
勇者は黙ってナイフの連撃を捌いてゆく。その動きを見てエリシスの顔が苦渋にゆがむ。
エリシス(く……、なんて奴だ――。ここまで捌かれるなんて――)
――でも。
エリシス(……勇者は、私の動きに完全には追いつけていない。リターンナイフを直接破壊して、私の攻撃手段を消せばいいのに、それが出来ていない――)
――ならば勝機はある。
二人はお互いに視線を交わしながら命のやり取りを行う。そして――、このほんのしばらく後に、戦いの決着はつくのである。
◆◇◆
魔王城より数キロ離れた森の奥にある洞窟。
魔王城のメイドであるエリシスは、現在その洞窟の中をただ一人歩いていた。
エリシス「ふむ……、確かに、ここから瘴気が流れ出ているようですね」
瘴気は命を蝕む魔の霧。長時間それに身をさらすだけで命を削られてゆく。
エリシス「とりあえず――、急いで状況を改善する必要がありますね」
エリシスがこの場に一人でいるのには理由があった。
勇者とアンネミリア、そしてクーネリアが、数日魔王城を開けている時に、今回の件が舞い込んできたのである。
エリシス「話にあったように――、これは明らかに土地から溢れてきた瘴気ではあませんね。なにかを中心にして周辺に吹き出す感じで広がっていますから」
自分の予想が正しければ――、現在進んでいる洞窟の最奥に、その原因が眠っているはずだ。
エリシス「まあ、この程度の仕事はレイでも出来たでしょうが」
レイならば多分、周辺を巻き込んで焼け野原にする程度の事はするだろう――、それが予想出来るからこそ自分が出向いたのである。
エリシス「……?」
洞窟を進んでゆくと、どうやらかなり広い空洞に出たらしく――、ごうごうと風の音が響くのが聞こえた。
真っ暗で先の見ない状況にため息を付いたエリシスは、懐から【魔法保存の巻物】を取り出してそれを使用した。
すぐに空洞全体が照らされて――、その内状が目に入ってきた。
エリシス「……」
エリシスは少し顔を歪めて周囲を見た。そこには――、数百体にも見える魔族の遺骸が転がっていたのである。
エリシス「……白骨化していますね。――これは、おそらく魔王の処刑場でしょうね」
沈んだ表情でそう呟くエリシス。しばらく黙っていると、どこからかカタカタと硬いものが動く音が響き始めた。
エリシス「……よほど苦しんだのでしょうか。死後も迷って――、動き始めました、か」
そのエリシスの言葉通り、目前の数百にも及ぶ魔族の白骨遺骸が、硬い音を響かせながら立ち上がってゆく。
それを見て――、一瞬だが、エリシスの脳裏に失った家族の姿がよぎった。
エリシス「苦しみ、眠れずに迷うお客様を、正しく眠れるように導くのも――、メイドの務めですね?」
エリシスは、メイド服の腰の後ろに八本装備された【リターンナイフ】の一組を両手に握る。
エリシス「彼らには――、リターンナイフで十分ですか」
そう呟いて、そのまま大空洞を奥へと歩み始めた。
そんなエリシスに無数の骸骨が襲いかかってくる。でも両手のナイフを一閃して――、骸骨は軽い破砕音を響かせて、砕けて塵になった。
数撃ナイフをふるったエリシスは、更に集まりつつある骸骨の遠くの一つに向けてナイフを投擲する。的確に命中して塵へと変わる。
更にナイフを投擲し、腰に装備されたナイフの次の一組を両手で握った。
――ザン、グジャ、キン、ゴズ、ガ――。
ザク……、ドン、グシャ、カン――。
エリシスがナイフを振るい、そして投擲するたびに骸骨は消滅してゆく。そのうちに腰に用意された全てのナイフが失われた。
ここぞとばかりに骸骨たちがエリシスへと襲いかかる。しかし――、
エリシス「――リターン」
空を切ってナイフがエリシスのもとへと奔った。
エリシス「――一本目」
ドン!
エリシス「二本目……」
グシャ!
エリシス「三本目!」
ガス!
エリシスが空を一閃し、光を走らせるたびに、加速度的に骸骨の軍勢が消滅してゆく。
その速度は更に早くなってゆき――。
エリシス「四本目」
ドン!
エリシス「五本目」
キン!
エリシス「六本目」
グシャ!
エリシス「七本目……」
ドン!!
そして、無限とも呼べる剣舞にも終りが見えてきた。最後の一体がエリシスの背後に向かって走ってきたのである。
エリシスは振り返らずに、後方に向かってナイフを飛ばす。
エリシス「これで八本目――」
ドン!
その一撃で最後の骸骨は塵となって消えた。
即座にエリシスはリターンナイフに命令を下して、一本一本腰の鞘へと収めてゆく。そして――、
エリシス「――では、どうか皆様――、これで、安らかにお眠りくださいますよう――」
一回振り返って頭を下げたエリシスは、大空洞の奥に向かって歩いてゆく。多分――、その先に目的のものは在るだろう。
◆◇◆
大空洞の奥に恐ろしいまでの瘴気を放つ物体が存在していた。それは――、微妙にカタカタと動いている。
ソレを見たエリシスは少し顔を歪めて言った。
エリシス「ボーンドラゴン……ですか」
それはアンデッド系モンスターの中でも上位にある存在。それは全身に呪文らしき文字を刻まれて、呼吸のような規則的な動きを見せながら、その場にうずくまっていた。
エリシス「……【魔王の本体】が、魔王の所業をあれほど嘆くのも頷けますね。処刑場で殺される魔族たちの魂を、そのままこの対軍兵器の強化に利用していたのですか」
そして、これはおそらく魔界の至る所で同じことが行われ――、自分の家族であった魔族たちも……。
エリシスは静かにため息を付いて、目前の化け物を見つめる。それはエリシスに気付いて首をもたげて、そして咆哮を放った。
エリシス「……ボーンドラゴン。物理攻撃がほぼ効かず、体躯が破壊されても再生されてしまう。これは――、リターンナイフでの対処は無理ですね」
静かに呟くエリシスの前で、ボーンドラゴンが身体を起こして、そして突撃姿勢をとる。
エリシス「……ならば、仕方が有りません」
そう言ってエリシスは、腰の後ろにリターンナイフと共に装備された、軽い装飾の入った短剣に手を触れた。
◆◇◆
勇者「エリシス……、ここが君の家族がいた村、か」
エリシス「……そう、もう誰もいないけど」
勇者「……」
エリシスは黙ってその場にうずくまる。――ただただ涙がこぼれ落ちた。
――と、そこにアンネミリアとクーネリア、そしてレイが慌てた様子で現れた。
レイ「おい! エリシス!! そこの噴水の、中央の像の中にこんなモノがあったぞ!」
エリシス「?」
アンネミリア「――厳重に結界が張ってあったようですが――、どうも貴方が村に帰ってきたら、解ける仕組みだったようですね」
エリシス「……」
そのレイが手にするものをエリシスは受け取る。子供の頃使っていた懐かしい布にくるまれたソレは――、一振りの短剣。
そこには手紙も添えてあった。
【エリシス……、星神転生のための魔源玉作成を断った私達は――、間違いなくすぐに連行されて粛清されるだろう。だから、そんな我々の最後の抵抗として、この魔術具をお前に残す。エリシスすまない。我々は弱く抵抗すら出来ずに――、お前に我々の自分勝手な望みだけを残すことしか出来なかった。でも――、魔王がおかしくなって、戦争が始まってしばらく後、魔界にいるはずのない人間の赤子であるお前を森で見つけて、我々はなにか希望を見た気がしたのだ。きっとお前なら――、そう、お前なら、魔界の、魔族の、そしてお前と同じ人間の希望の一つになってくれると――、私達は信じている。――愛しているよ、私達の娘――、エリシス】
エリシス「……う、ううう」
勇者「……」
アンネ「エリシス」
クーネ「く……」
レイ「……」
エリシスはその短剣を胸にただ泣き崩れる。勇者も仲間たちも、ただそれを見守り続ける。
その軽い装飾の入った短剣は――、後に、魔王軍に彼らが立ち向かうための、一つの【切り札】となる。
◆◇◆
エリシス「契約者――、エリシス・バーネットの名において、その権能を世に示す――。【白獣の牙】よ――、我が両手に【在れ】」
その瞬間、腰に差した短剣が小さく輝き――、エリシスの両手に、それに形の似た光のナイフが現れたのである。
ボーンドラゴンは咆哮を上げて、エリシスへと向かい突進してくる。それを一瞬影に身を変じて避けると、エリシスは壁へと激突するボーンドラゴンを睨んだ。
ゴオオオオオオオ!!
壁に激突して一旦動きを止めたボーンドラゴンだが、再び咆哮をあげてその巨体を動かし始める。そうして体勢を立て直したそれは再びエリシスへと突進する。
エリシス「ふむ……、命令設定が初期値故に、目標への突進しか行えないと?」
そう呟きながらその身を影へと変えたエリシスが、ボーンドラゴンを避けてそれから間合いをあけた。そして――、
エリシス「ならば……、突進するその線上に【弾幕】をはらせていただきます」
そういうが早いか、エリシスは手にした光のナイフをボーンドラゴンへと投擲する、そして、もう片手の光のナイフも――。
その瞬間、異界空間に準備状態であった、予備の光の短剣がエリシスの手に召喚されてくる。そして、それらもまたボーンドラゴンへと投擲していった。
ギイイイイイイ!!
ナイフが光線と化し――金切り音を立ててボーンドラゴンへと突き刺さってゆく。
その瞬間、光の粒子へと変換されたナイフは、エリシスのもとへと返って、異界空間に新たな光のナイフとして再装填された。
ドン、ドドドドドドドドドドドドドドドド!!
エリシスに向かって突進してくるボーンドラゴンへ向けて、光線がマシンガンのように飛翔する。
異界空間に準備されたナイフを取り出し投擲――、光の粒子に返して再装填――、そして、また投擲――、それを繰り返すことで、無限とも呼べる光線群をボーンドラゴンへと放ったのである。
ボーンドラゴンが目前に迫った時、三度自身を影に変じてその突進を回避する。そして、振り返ってから、かの巨体に向けて光線の群れを放ち続けた。
ガアアアアアアア!!
咆哮が放たれてさらなる突進を初めたボーンドラゴンへ、それまでとは違う強力な光線が向かってゆく。そのままその身を支える脚に命中して――、それを完全な塵へと変えた。
ガアアアアアア……!!
ドドドドドドドドドドドドドドドド!!
その場に突っ伏して動けないボーンドラゴンへ、無数の無限の光線が突き刺さってゆく。
それは次々にその巨体を構成する龍骨を塵へと変えていった。
――そして――。
ボーンドラゴンの体躯の中央に、闇色に輝く光球があるのをエリシスは見る。それに向かって光のナイフを放った。
ギイイイイイイ!! ――ドン!!
光線が刺さった瞬間、闇の光球は周囲に衝撃波を広げつつ大爆発をした。すると、空中に漂う瘴気は拡散されて――、そして次第に薄れていった。
エリシス「やはり――、これが瘴気の核でしたか」
そう呟いたエリシスは、その手に在る光のナイフを光の粒子へと変換した。
エリシス「瘴気の根源はこれでなくなりました。ここら一帯もしばらくすれば――」
エリシスは小さく笑うと、全てが塵となったそこに背を向けて、そして魔王城で待っているであろうレイを思った。
エリシス「リッカとフムに一応相手を頼んではいますが――。まあ、早く帰りましょうか。寂しがっているかも知れませんし――」
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そう心のなかで思いながら――、エリシスは一人魔王城への帰路についた。
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