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高校生編
第23話 思春期
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朋花が佐藤と食事をする約束の日まで残り1週間となった時、瞳の元気が無いことに朋花は気付いた。
いつも夕飯の後はリビングでテレビを見ていることが多いのに、最近の瞳は夕飯を食べ終わるとすぐに自分の部屋に行くわね。
もしかして佐藤くんと出掛ける約束をしたのがまずかったかな。
自分のせいで瞳が不快感を感じているのではないかと心配になった朋花は、とある日の夕飯の後に瞳に声を掛けた。
「ねえ、瞳。私が友達とご飯を食べる約束をした後から元気が無いよね?瞳のことを蔑ろにしている訳じゃないのよ。でも、嫌な思いをさせたならごめんね」
朋花は瞳を大事に思う気持ちに変わりはないことを伝えるが、瞳の返答は違っていた。
「ううん、お母さんがお友達とご飯に行くのは何とも思ってないよ。だから、気にしないで」
そう言われても朋花は瞳が気遣ってそう言っているのではないかと心配になる。
「本当に無理してない?だって、瞳が元気が無いのは本当でしょう?それなら何か嫌なことがあった?」
心配の余り、つい朋花は質問責めになってしまう。
それに対して親に干渉されるのが嫌で自室に籠ることが増えていた瞳は、自分の気持ちを伝えようとしてつい声を荒らげてしまった。
「だから、違うって言ったでしょ!疲れているだけだから放っておいて。それじゃあ、宿題をするから部屋に戻るね。ごちそうさま」
そう言うと瞳は立ち上がり、食べ終わった食器を片付けてから自室に向かった。
朋花はそんな瞳にどう接したらいいか分からず、1人戸惑う。
私の行動が原因じゃなかったみたいだけど、瞳のストレスが溜まってそうなことが心配だわ。
でも、瞳は落ち込んでいる理由を言いたくなさそうだし、私に出来ることは何だろう……。
こんな時に行う朋花の行動は決まっていた。
洗い物など全ての家事を終えた朋花は自室に入ると、姉の遺影を手に取って話し掛ける。
「反抗期が終わったと思って安心していたけど、今度は思春期になったみたい。人の気持ちって難しいね。こんな時、お姉ちゃんなら何て声を掛けていたのかな?」
姉の顔を見つめながら朋花は1人考える。
しばらくそのままの状態でいると、扉を叩く音が聞こえた。
「お母さん。入ってもいい?」
扉の外から瞳の声が聞こえたため、1度姉の遺影を棚の上に戻すと朋花は部屋の扉を開けた。
扉を開けると瞳が立っていたため、朋花は声を掛ける。
「お待たせ。どうしたの?」
そう朋花に話し掛けられた瞳は少し俯きがちになってプリントを差し出す。
「これ、今月の行事予定のプリント……。それじゃあ、おやすみ」
「うん、分かったわ。持ってきてくれてありがとう。おやすみ」
瞳の用件は学校からのお知らせを渡すことであった。
用事が終わると瞳はすぐに立ち去ったため、朋花は最低限の会話を交わすことしか出来ない。
瞳が1人で過ごしたい気分ならそれを尊重するしかないわね。
ただいつか気持ちの整理がついて、自分の気持ちを口に出せるようになったらどうして落ち込んでいるのか教えて欲しいなあ。
力になりたいけど、今は見守るしか出来ないのがもどかしいわ。
自室に戻り、再び1人になった朋花はもやもやとした気持ちを抱えたままであった。
いつも夕飯の後はリビングでテレビを見ていることが多いのに、最近の瞳は夕飯を食べ終わるとすぐに自分の部屋に行くわね。
もしかして佐藤くんと出掛ける約束をしたのがまずかったかな。
自分のせいで瞳が不快感を感じているのではないかと心配になった朋花は、とある日の夕飯の後に瞳に声を掛けた。
「ねえ、瞳。私が友達とご飯を食べる約束をした後から元気が無いよね?瞳のことを蔑ろにしている訳じゃないのよ。でも、嫌な思いをさせたならごめんね」
朋花は瞳を大事に思う気持ちに変わりはないことを伝えるが、瞳の返答は違っていた。
「ううん、お母さんがお友達とご飯に行くのは何とも思ってないよ。だから、気にしないで」
そう言われても朋花は瞳が気遣ってそう言っているのではないかと心配になる。
「本当に無理してない?だって、瞳が元気が無いのは本当でしょう?それなら何か嫌なことがあった?」
心配の余り、つい朋花は質問責めになってしまう。
それに対して親に干渉されるのが嫌で自室に籠ることが増えていた瞳は、自分の気持ちを伝えようとしてつい声を荒らげてしまった。
「だから、違うって言ったでしょ!疲れているだけだから放っておいて。それじゃあ、宿題をするから部屋に戻るね。ごちそうさま」
そう言うと瞳は立ち上がり、食べ終わった食器を片付けてから自室に向かった。
朋花はそんな瞳にどう接したらいいか分からず、1人戸惑う。
私の行動が原因じゃなかったみたいだけど、瞳のストレスが溜まってそうなことが心配だわ。
でも、瞳は落ち込んでいる理由を言いたくなさそうだし、私に出来ることは何だろう……。
こんな時に行う朋花の行動は決まっていた。
洗い物など全ての家事を終えた朋花は自室に入ると、姉の遺影を手に取って話し掛ける。
「反抗期が終わったと思って安心していたけど、今度は思春期になったみたい。人の気持ちって難しいね。こんな時、お姉ちゃんなら何て声を掛けていたのかな?」
姉の顔を見つめながら朋花は1人考える。
しばらくそのままの状態でいると、扉を叩く音が聞こえた。
「お母さん。入ってもいい?」
扉の外から瞳の声が聞こえたため、1度姉の遺影を棚の上に戻すと朋花は部屋の扉を開けた。
扉を開けると瞳が立っていたため、朋花は声を掛ける。
「お待たせ。どうしたの?」
そう朋花に話し掛けられた瞳は少し俯きがちになってプリントを差し出す。
「これ、今月の行事予定のプリント……。それじゃあ、おやすみ」
「うん、分かったわ。持ってきてくれてありがとう。おやすみ」
瞳の用件は学校からのお知らせを渡すことであった。
用事が終わると瞳はすぐに立ち去ったため、朋花は最低限の会話を交わすことしか出来ない。
瞳が1人で過ごしたい気分ならそれを尊重するしかないわね。
ただいつか気持ちの整理がついて、自分の気持ちを口に出せるようになったらどうして落ち込んでいるのか教えて欲しいなあ。
力になりたいけど、今は見守るしか出来ないのがもどかしいわ。
自室に戻り、再び1人になった朋花はもやもやとした気持ちを抱えたままであった。
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