クラスメイトのなかで僕だけ異世界転移に耐えられずアンデッドになってしまったようです。

大前野 誠也

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13:【状態保存】と【鍵開け】

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 拠点に戻ると死神が拠点の前で何やら作業をしている。
 動物を解体して肉を切り出している様だ。

 『何をしてるんですか?』

 僕が話しかけると、死神は目線をこちらに移さずにそのまま答える。

 『……小娘に狩った来た獲物を渡したら……解体など出来ないと喚かれてな……結局昨日は木の実だけ食って寝おったわ……我も解体なんぞ何百年ぶりか……以外に覚えておる物だが……勘を取り戻すまでに2匹ほど潰してしもうたぞ……』

 この死神なら無理矢理本人にやらせそうなものだが、案外面倒見が良いのかな?

 『本人にやらせないんですか?』
 『……小娘には明日から【ネクロマンス】のスキルレベルを上げて貰う……その間我は手が空くのでな……我がやった方が効率が良かろう……』

 面倒見が良いというよりは効率厨なだけかもしれない。
 死神が獲物を解体している横で、僕は先ほど疑問に思った事を聞いてみた。

 『あの、僕の2つのスキルについて教えて貰えませんか?』
 『……なんだ……貴様も小娘同様自身のスキルについて把握しておらんのか?……』
 『僕も灰田さんと同じで昨日此方の世界に来たばかりなので』
 『……まぁ良かろう……と、その前に……【鑑定】……』

 死神は解体している手を止めて、僕に向かって【鑑定】のスキルを使う。

 『……ふむ……今の貴様のスキルは……7つだな……』
 『え――?何で何もしてないのに増えてるんですか?それに、スキルの数は1~3つだって聞きましたけど』
 『……それは異世界人がこちらの世界に転移した際に……授かるスキルの数の話だ……魔物は進化する際にスキルを授かる事がある…1つか2つ…・・なにも授からない場合もあるがな……』
 
 灰田さんを見るに、人間はレベルが魔物より遥かに上がる代わりに進化できない様だ。だとすれば人間はこの世界ではかなり弱い生き物なんじゃないか?死神は人間の身を捨てたと言っていたけど、そういう理由なのだろうか?

 『……貴様が初めから持っていたスキルは……【状態保存】……それと……【鍵開け】だな……』

 鍵開け、なんとも地味そうな能力だ。スキルの能力は名前の通りだろう。
 となるなると、もう一つのスキル。【状態保存】が気になる。

 『それはどういった能力なんですか?』
 『……【状態保存】は冷たい物を冷たいまま…温かい物は温かいまま維持できる……また腐りやすい食材を腐りにくくすることも出来る……スキルレベル1だと大体1週間ぐらいもつだろう……【鍵開け】は宝箱や扉の鍵を開錠できるスキルだ……ダンジョンに潜るならかなり重宝するはずだ……』

 宝箱!なかなか胸躍る単語だ。それにダンジョンに宝箱なんて物がある世界なら【鍵開け】は死にスキルにはせずに済みそうだ。
 それに【状態保存】。冷蔵庫なんて無さそうなこの世界では必須といっても過言ではないのでは?あ、僕アンデッドだから飲食しないんだった。まぁ灰田さんと行動を共にするなら必要だし、まぁ良いか。

 『……というわけだ……貴様はそこに切り出した肉に【状態保存】のスキルを使いまくれ……スキルレベルを上げれば1年近く持つようになるはずだ……』
 『……はい』

 こうして僕は歩く冷蔵庫に任命された……ちくしょう。
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