クラスメイトのなかで僕だけ異世界転移に耐えられずアンデッドになってしまったようです。

大前野 誠也

文字の大きさ
15 / 39

14:スキルレベルを上げるには

しおりを挟む
 『そう言えば、死神さんの腕輪ってどういう物なんですか?拠点用の魔道具を、それから取り出したように見えましたが』

 肉に【状態保存】のスキルを掛けながら、死神に訊ねると少しの間沈黙が流れた。

 『……死神さん……?……』
 『あ、すみません。お名前を聞いてなかったので』
 『……我に名前はない……好きに呼べば良い……腕輪の話であったな……これも魔道具だ……ダンジョンで稀にドロップする……物によって収納できる容量に違いはあるが……これは500kg程度の荷物を入れておける……』

 やっぱり、ファンタジー物の定番とも言える能力の魔道具の様だ。
 500kgか、かなり便利だな。いつかダンジョンに潜って狙ってみるのも良いかもしれないな。

 『……さて、そんなことより……残り5つのスキルの説明もしておこう……』

 死神が教えてくれた僕の残り5つのスキルは次の通り。

  ・【暗視】……暗闇でも目視が効く。
  ・【吸収】……対象に触れて使うと生命力を奪える。
  ・【不意打ち】……対象に気が付かれていない時に放った攻撃がクリティカルになりやすい。
  ・【ポイズン】……対象に毒を付与する。
  ・【シャドウエッジ】……自身の影を操作し武器に変える事が出来る。

 正直どれも微妙な気がする。出来れば【鑑定】が欲しかった。とは言え人間に比べると多いだけありがたい、ようは使いようだろう。スキルを使いこなせるように頑張ろう。
 そう意気込んで、最後の肉に【状態保存】のスキルを使った。

 「……おはよう」

 ちょうどその時、灰田さんが拠点から出て来た。
 髪には寝癖が付いており、手で目をこすっている。まだ大分眠そうだ。

 『おはよう、灰田さん』
 『……起きたか……では早速……【鑑定】……ふむ、レベル679か……悪くないペースだ……』

 僕の昨日の戦果に、死神も満足してくれたようだ。

 「え?!もしかして一晩中戦ってたの?!」

 灰田さんが驚いて声を上げる。
 確かに、ブラック企業もビックリの働きっぷりだろう。無給だし。

 『……アンデッドは疲れなど感じんし……睡眠も必要ない……問題は無かろう…』
 「それはそうかもだけど、なんか私だけ寝てるだけでレベルが上がるなんて、流石に申し訳ない様な」
 『……種族的に仕方なかろう……貴様は起きている間にスキルレベルを上げろ……』
 「わかったわ。それで?スキルのレベル上げってどうやるの?」

 それは僕も気になる。
 魔物を倒してレベルを上げてもスキルレベルが上がらないって事は、使用回数とか使用時間かな?

 『……スキルレベルを上げるには3つほど方法はある……まず使う事だ……スキルレベル1から2に上げるのに10日以上……2から3に上げるのに半年……3から4に上げるのに2年ほど掛かる……さらに言えばユニークスキルは通常スキルに比べて上がりにくいとされている…』

 流石にこんな森の中に2年以上閉じ込められるのは確かに勘弁して欲しい。

 「流石に時間が掛かり過ぎね、他にはどんな方法があるの?」
 『……魔道具だな……スキルレベルを上げられる魔道具が存在している……ダンジョンの宝箱から極稀にドロップする……使い捨てなうえ……上がるスキルがランダムだが……小娘はスキルが1つしかないからそれは問題ない……問題はドロップ率が異常に低い事だ……探して見つかる物でもない……仮に買おうと思えば1つで屋敷が建つ金額が必要だろう……まぁ、売っているとも思えんが……』
 「私が1つ目の方法でスキルレベルを上げている間に、貴方とアンディがダンジョンに潜って探すっていうのは?」

 ブラック企業もビックリな仕事がまた増えそうだ。

 『……それでも効率が悪すぎる……そこで3つ目の方法だ……小娘にはダンジョンコアを壊して貰う……』
 「ダンジョンコア?」
 『……その名の通りダンジョンの核だ……核を破壊すると自動的にダンジョンの外に排出され…核を失ったダンジョンは自壊する……人間どもの間ではこれを……踏破と呼ぶ……踏破には幾つかメリットがある……その内の一つがスキルレベルの上昇だ……』
 「ダンジョンの踏破。そういえば私たちを召喚した奴らが言ってたわね。ダンジョン攻略の為に私たちを召喚したとかなんとか……ふふ、面白いじゃない!奴らより先にダンジョン踏破して追放した事を後悔させてやるわ!!」

 そう言えばそんな事を灰田さんから聞いていたな。

 「それで、そのダンジョンってのは何処にあるの?」
 『……気合が入っている所悪いが……ダンジョンに挑むのは少し先だ……まずはここでレベルとスキルレベル上げだ……今のレベルでも問題は無いが……ダンジョンでは何があるか分からんからな……先に我に【ネクロマンス】が通じる程度のレベルになってもらう……当面の目標はスキルレベル2だな……』
 「そ、そうね。私も死にたく無いし、それで良いわ」
 『それじゃ、僕は暫くこの辺で魔物狩り?』
 『……うむ……我は【ネクロマンス】で使用する魔物の死骸を用意するとしよう……魂喰いの大鎌ソウルイーターで殺せば死骸が残らぬからな……』

 なるほど、今まで倒して来た魔物が光になって消えて行ってたのって、魔物だからじゃなくて魂喰いの大鎌ソウルイーターの能力だったのか。

しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

最低のEランクと追放されたけど、実はEXランクの無限増殖で最強でした。

みこみこP
ファンタジー
高校2年の夏。 高木華音【男】は夏休みに入る前日のホームルーム中にクラスメイトと共に異世界にある帝国【ゼロムス】に魔王討伐の為に集団転移させれた。 地球人が異世界転移すると必ずDランクからAランクの固有スキルという世界に1人しか持てないレアスキルを授かるのだが、華音だけはEランク・【ムゲン】という存在しない最低ランクの固有スキルを授かったと、帝国により死の森へ捨てられる。 しかし、華音の授かった固有スキルはEXランクの無限増殖という最強のスキルだったが、本人は弱いと思い込み、死の森を生き抜く為に無双する。

猫好きのぼっちおじさん、招かれた異世界で気ままに【亜空間倉庫】で移動販売を始める

遥風 かずら
ファンタジー
【HOTランキング1位作品(9月2週目)】 猫好きを公言する独身おじさん麦山湯治(49)は商売で使っているキッチンカーを車検に出し、常連カードの更新も兼ねていつもの猫カフェに来ていた。猫カフェの一番人気かつ美人トラ猫のコムギに特に好かれており、湯治が声をかけなくても、自発的に膝に乗ってきては抱っこを要求されるほどの猫好き上級者でもあった。 そんないつものもふもふタイム中、スタッフに信頼されている湯治は他の客がいないこともあって、数分ほど猫たちの見守りを頼まれる。二つ返事で猫たちに温かい眼差しを向ける湯治。そんな時、コムギに手招きをされた湯治は細長い廊下をついて歩く。おかしいと感じながら延々と続く長い廊下を進んだ湯治だったが、コムギが突然湯治の顔をめがけて引き返してくる。怒ることのない湯治がコムギを顔から離して目を開けると、そこは猫カフェではなくのどかな厩舎の中。 まるで招かれるように異世界に降り立った湯治は、好きな猫と一緒に生きることを目指して外に向かうのだった。

解呪の魔法しか使えないからとSランクパーティーから追放された俺は、呪いをかけられていた美少女ドラゴンを拾って最強へと至る

早見羽流
ファンタジー
「ロイ・クノール。お前はもう用無しだ」 解呪の魔法しか使えない初心者冒険者の俺は、呪いの宝箱を解呪した途端にSランクパーティーから追放され、ダンジョンの最深部へと蹴り落とされてしまう。 そこで出会ったのは封印された邪龍。解呪の能力を使って邪龍の封印を解くと、なんとそいつは美少女の姿になり、契約を結んで欲しいと頼んできた。 彼女は元は世界を守護する守護龍で、英雄や女神の陰謀によって邪龍に堕とされ封印されていたという。契約を結んだ俺は彼女を救うため、守護龍を封印し世界を牛耳っている女神や英雄の血を引く王家に立ち向かうことを誓ったのだった。 (1話2500字程度、1章まで完結保証です)

死んだはずの貴族、内政スキルでひっくり返す〜辺境村から始める復讐譚〜

のらねこ吟醸
ファンタジー
帝国の粛清で家族を失い、“死んだことにされた”名門貴族の青年は、 偽りの名を与えられ、最果ての辺境村へと送り込まれた。 水も農具も未来もない、限界集落で彼が手にしたのは―― 古代遺跡の力と、“俺にだけ見える内政スキル”。 村を立て直し、仲間と絆を築きながら、 やがて帝国の陰謀に迫り、家を滅ぼした仇と対峙する。 辺境から始まる、ちょっぴりほのぼの(?)な村興しと、 静かに進む策略と復讐の物語。

クラス転移したけど、皆さん勘違いしてません?

青いウーパーと山椒魚
ファンタジー
加藤あいは高校2年生。 最近ネット小説にハマりまくっているごく普通の高校生である。 普通に過ごしていたら異世界転移に巻き込まれた? しかも弱いからと森に捨てられた。 いやちょっとまてよ? 皆さん勘違いしてません? これはあいの不思議な日常を書いた物語である。 本編完結しました! 相変わらず話ごちゃごちゃしていると思いますが、楽しんでいただけると嬉しいです! 1話は1000字くらいなのでササッと読めるはず…

ゲームの悪役パパに転生したけど、勇者になる息子が親離れしないので完全に詰んでる

街風
ファンタジー
「お前を追放する!」 ゲームの悪役貴族に転生したルドルフは、シナリオ通りに息子のハイネ(後に世界を救う勇者)を追放した。 しかし、前世では子煩悩な父親だったルドルフのこれまでの人生は、ゲームのシナリオに大きく影響を与えていた。旅にでるはずだった勇者は旅に出ず、悪人になる人は善人になっていた。勇者でもないただの中年ルドルフは魔人から世界を救えるのか。

無能扱いされ、パーティーを追放されたおっさん、実はチートスキル持ちでした。戻ってきてくれ、と言ってももう遅い。田舎でゆったりスローライフ。

さら
ファンタジー
かつて勇者パーティーに所属していたジル。 だが「無能」と嘲られ、役立たずと追放されてしまう。 行くあてもなく田舎の村へ流れ着いた彼は、鍬を振るい畑を耕し、のんびり暮らすつもりだった。 ――だが、誰も知らなかった。 ジルには“世界を覆すほどのチートスキル”が隠されていたのだ。 襲いかかる魔物を一撃で粉砕し、村を脅かす街の圧力をはねのけ、いつしか彼は「英雄」と呼ばれる存在に。 「戻ってきてくれ」と泣きつく元仲間? もう遅い。 俺はこの村で、仲間と共に、気ままにスローライフを楽しむ――そう決めたんだ。 無能扱いされたおっさんが、実は最強チートで世界を揺るがす!? のんびり田舎暮らし×無双ファンタジー、ここに開幕!

王女の中身は元自衛官だったので、継母に追放されたけど思い通りになりません

きぬがやあきら
恋愛
「妻はお妃様一人とお約束されたそうですが、今でもまだ同じことが言えますか?」 「正直なところ、不安を感じている」 久方ぶりに招かれた故郷、セレンティア城の月光満ちる庭園で、アシュレイは信じ難い光景を目撃するーー 激闘の末、王座に就いたアルダシールと結ばれた、元セレンティア王国の王女アシュレイ。 アラウァリア国では、新政権を勝ち取ったアシュレイを国母と崇めてくれる国民も多い。だが、結婚から2年、未だ後継ぎに恵まれないアルダシールに側室を推す声も上がり始める。そんな頃、弟シュナイゼルから結婚式の招待が舞い込んだ。 第2幕、連載開始しました! お気に入り登録してくださった皆様、ありがとうございます! 心より御礼申し上げます。 以下、1章のあらすじです。 アシュレイは前世の記憶を持つ、セレンティア王国の皇女だった。後ろ盾もなく、継母である王妃に体よく追い出されてしまう。 表向きは外交の駒として、アラウァリア王国へ嫁ぐ形だが、国王は御年50歳で既に18人もの妃を持っている。 常に不遇の扱いを受けて、我慢の限界だったアシュレイは、大胆な計画を企てた。 それは輿入れの道中を、自ら雇った盗賊に襲撃させるもの。 サバイバルの知識もあるし、宝飾品を処分して生き抜けば、残りの人生を自由に謳歌できると踏んでいた。 しかし、輿入れ当日アシュレイを攫い出したのは、アラウァリアの第一王子・アルダシール。 盗賊団と共謀し、晴れて自由の身を望んでいたのに、アルダシールはアシュレイを手放してはくれず……。 アシュレイは自由と幸福を手に入れられるのか?

処理中です...