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18:深森のダンジョンに到着
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「待って待って待って!!怖い怖い怖い怖い!!!!!」
ダンジョンに向かって移動し始めた瞬間、灰田さんが悲鳴を上げる。
周囲はいつもと変わらぬ森だし、移動手段はただ走るだけ、一体何が怖いのだろうか?
僕たちは一旦足を止める。
『……なんだ?……』
『どうしたの?』
「どうもこうもないわよ!何よあのスピード!!人間が走って出せる速度じゃないでしょ!!」
もしかして、自分の足の速さに驚いていたのだろうか?
『……レベルが上がっているのだ……身体能力が上がっているのは当然だろう……慣れろ……』
「無理無理無理!ちょっとずつ慣らさせてよ!」
『……動体視力も上がっているだろうに……何がそんなに怖いのだ……』
「凄い勢いで木々がビュンビュン後ろに流れて行くのよ!足場も悪いし!!街中を時速500kmで飛ばすより怖いわよ!運転したことないけど。動体視力が良くても事故るわよ!」
『死神さん、少しずつ慣らしていきましょう。ダンジョンに潜った時に自分の速度についてこれないのでは危険かもしれませんし』
『……この速さで壁に激突しても……多少痛いぐらいで済む筈だがな……仕方ない……今の速さでも2日は掛かるのだがな……少しずつ速くしていく……』
僕の場合、レベル限界ごと止まっていたからそこまでの急成長は体感出来ていなかったけど、確かにとんでもない速さで走っているなと、改めて実感した。時速換算だとどれぐらいのスピードが出ているのか気になりはするが、今の僕たちには計りようもない。
日が暮れると死神が腕輪から拠点用の魔道具を取り出し、灰田さんはそこで休み、僕はレベル上げに向かう。その間死神が何をしているのかは知らないが、時折食料を確保してくれているようだ。
日が昇ると、拠点を腕輪に戻しまた走り始める。その間魔物は無視だ。
それを繰り返す事4日の昼、僕たちは漸く目的のダンジョンに辿り着いた。今では灰田さんも最初のスピードで走る事が出来るようになった。ちなみに全速力ではない。人間でいう所のマラソンぐらいのスピードで走っている感覚だろうか。
「……はぁはぁ……いくらレベルが高くても、疲れるものは疲れるわね……はぁはぁ……」
『僕らはアンデッドだから疲れないけどね』
『……当初の予定より大分遅れたが……ここが深森のダンジョンだ……人間の基準では恐らくAランク指定に相当するだろう……まぁ、人間がここまで来れるかは知らんがな……』
「いや、私人間なんですけど?」
『……そうであったな……』
深森のダンジョン、死神がそう言った場所を見る。
森のそこだけが開けていて、その中央にただデカい扉だけが置かれている。
黒い扉には金色の金属でシンメトリーな装飾が施されている。
「変わった感じね。アレに入るの?」
『……そうだ……人間に発見されていないダンジョンの入り口は大体こんな感じだな……人間どもが見つけた場合は……周囲に町が出来る事が多い……ダンジョン目当ての冒険者が群がるし……領主にとっては良い財源になるからな……』
「へぇ、ダンジョンってお金になるのね。あれ?でもダンジョンコアを壊しちゃったら、ダンジョンは崩壊すると言ってなかった?」
『……崩壊する……その替わりに様々な恩恵がある……領主はいい顔をしないだろうがな……そもそも人間の冒険者が踏破出来る程度のダンジョンなど……もとより大したものではない……精々ランクD程度だろう……』
「いや、だから私は人間……って!このダンジョンはAランク指定って言ったわよね?!人間には攻略不可能なんじゃないの?!そんなところに潜らされるわけ!?」
『……レベルも十分上げた……それに我もアンディもいるのだ……何も問題あるまい……ほら、さっさと行くぞ……』
「ちょ、ちょっと!少しは休ませてよ!鬼!!」
『……我はアンデッドだが?……』
そんなやり取りを聞きながら、僕は死神に名前を呼ばれたのが初めてだなと気づき、少しだけ嬉しかった。
ダンジョンに向かって移動し始めた瞬間、灰田さんが悲鳴を上げる。
周囲はいつもと変わらぬ森だし、移動手段はただ走るだけ、一体何が怖いのだろうか?
僕たちは一旦足を止める。
『……なんだ?……』
『どうしたの?』
「どうもこうもないわよ!何よあのスピード!!人間が走って出せる速度じゃないでしょ!!」
もしかして、自分の足の速さに驚いていたのだろうか?
『……レベルが上がっているのだ……身体能力が上がっているのは当然だろう……慣れろ……』
「無理無理無理!ちょっとずつ慣らさせてよ!」
『……動体視力も上がっているだろうに……何がそんなに怖いのだ……』
「凄い勢いで木々がビュンビュン後ろに流れて行くのよ!足場も悪いし!!街中を時速500kmで飛ばすより怖いわよ!運転したことないけど。動体視力が良くても事故るわよ!」
『死神さん、少しずつ慣らしていきましょう。ダンジョンに潜った時に自分の速度についてこれないのでは危険かもしれませんし』
『……この速さで壁に激突しても……多少痛いぐらいで済む筈だがな……仕方ない……今の速さでも2日は掛かるのだがな……少しずつ速くしていく……』
僕の場合、レベル限界ごと止まっていたからそこまでの急成長は体感出来ていなかったけど、確かにとんでもない速さで走っているなと、改めて実感した。時速換算だとどれぐらいのスピードが出ているのか気になりはするが、今の僕たちには計りようもない。
日が暮れると死神が腕輪から拠点用の魔道具を取り出し、灰田さんはそこで休み、僕はレベル上げに向かう。その間死神が何をしているのかは知らないが、時折食料を確保してくれているようだ。
日が昇ると、拠点を腕輪に戻しまた走り始める。その間魔物は無視だ。
それを繰り返す事4日の昼、僕たちは漸く目的のダンジョンに辿り着いた。今では灰田さんも最初のスピードで走る事が出来るようになった。ちなみに全速力ではない。人間でいう所のマラソンぐらいのスピードで走っている感覚だろうか。
「……はぁはぁ……いくらレベルが高くても、疲れるものは疲れるわね……はぁはぁ……」
『僕らはアンデッドだから疲れないけどね』
『……当初の予定より大分遅れたが……ここが深森のダンジョンだ……人間の基準では恐らくAランク指定に相当するだろう……まぁ、人間がここまで来れるかは知らんがな……』
「いや、私人間なんですけど?」
『……そうであったな……』
深森のダンジョン、死神がそう言った場所を見る。
森のそこだけが開けていて、その中央にただデカい扉だけが置かれている。
黒い扉には金色の金属でシンメトリーな装飾が施されている。
「変わった感じね。アレに入るの?」
『……そうだ……人間に発見されていないダンジョンの入り口は大体こんな感じだな……人間どもが見つけた場合は……周囲に町が出来る事が多い……ダンジョン目当ての冒険者が群がるし……領主にとっては良い財源になるからな……』
「へぇ、ダンジョンってお金になるのね。あれ?でもダンジョンコアを壊しちゃったら、ダンジョンは崩壊すると言ってなかった?」
『……崩壊する……その替わりに様々な恩恵がある……領主はいい顔をしないだろうがな……そもそも人間の冒険者が踏破出来る程度のダンジョンなど……もとより大したものではない……精々ランクD程度だろう……』
「いや、だから私は人間……って!このダンジョンはAランク指定って言ったわよね?!人間には攻略不可能なんじゃないの?!そんなところに潜らされるわけ!?」
『……レベルも十分上げた……それに我もアンディもいるのだ……何も問題あるまい……ほら、さっさと行くぞ……』
「ちょ、ちょっと!少しは休ませてよ!鬼!!」
『……我はアンデッドだが?……』
そんなやり取りを聞きながら、僕は死神に名前を呼ばれたのが初めてだなと気づき、少しだけ嬉しかった。
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