クラスメイトのなかで僕だけ異世界転移に耐えられずアンデッドになってしまったようです。

大前野 誠也

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21:サイクロプス

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 僕たちは順調に5階層のフロアボスがいるというボス部屋の前まで来た。
 死神の話では高位の冒険者でもAランクダンジョンのフロアボスの攻略は難しいらしい。が、何度もこのダンジョンに来ているという死神は余裕そうだ。
 反して灰田さんは緊張している。

 「いよいよね」
 『……別に小娘が気負う必要はない……戦闘はアンディに任せればよい……』
 「Aランクのフロアボスは高ランクの冒険者でも倒せないって言ってたわよね?アンディ1人で大丈夫なの?」
 『……お前たちがいた森には……この先のフロアボスよりも強い魔物も多くいたが?……』
 「うえ?!あのおっさん!なんてところに飛ばしてくれてんのよ!!」
 『……流石に30階層のボスより強い魔物は居なかったが……それでも今のアンディならば問題ないだろう……万が一手こずるようなら我が手を貸せば良いだけの事……経験値は多少勿体ないがな……貴様は部屋の端で攻撃に巻き込まれないように注意しておけ……とはいえ、仮にフロアボスの攻撃が直撃しても大したダメージは無いと思うがな……』
 「了解。やっぱり早くまともな武器が欲しいわね。ところで、なんでアンディは名前で呼ぶのに、私は小娘なのよ」
 『……別に……特に理由はないが……』
 「じゃあ名前で呼んで。灰田か、亜希かで」
 『……かまわんが……それでは次からは灰田亜紀と呼ぼう……』
 「まさかのフルネーム。まぁ、小娘よりはいいか」
 『あの、そろそろ中に入りません?』

 初めてのボス戦の割には、あまりに緊張感が足りない気がするけど、緊張しすぎるよりは良いのだろう。

 『……そうだな……では2人とも……入るぞ……』

 先頭にたつ死神が扉の前に移動する。
 重厚な両開きの扉がゆっくりと開き、僕らを中へと誘った。

 今までのどのフロアよりも広い円形のフロア、その中央にそれは居た。
 高さ10メートルはあろうかと言う1つ目で肌が緑色の巨人。ファンタジーものに良く出てくるサイクロプスだろう。手には巨大な棍棒を持っている。

 流石にボス相手にスキルレべル上げなどと言っていられない。
 初手から魂喰いの大鎌ソウルイーターで一気に決めに掛かる。

 地面を蹴り、一気にサイクロプスとの間合いを詰める。
 サイクロプスは僕の動きに気付いて棍棒を振り上げるが、その動きは早くない。
 サイクロプスが棍棒を振り下ろすより早く魂喰いの大鎌ソウルイーターでサイクロプスの体を薙ぎ払った。
 決まった、そう思ったのもつかの間、サイクロプスの振り下ろした棍棒が僕に向かってきた。

 『なっ!?』

 咄嗟にそれを避ける。
 幸いサイクロプスの攻撃にスピードが無いため、なんとか避けることが出来た。
 僕が居た場所の地面は大きくえぐれていた。

 『……言い忘れていたが……フロアボスには魂喰いの大鎌ソウルイーターは効かんぞ……』

 そんな大事な事、言い忘れないで欲しい。

 魂喰いの大鎌ソウルイーターが効かないとなれば、僕の攻撃手段は限られる。魂喰いの大鎌ソウルイーターを左手に持ち替えて、【シャドウエッジ】で作った剣を右手に持った。
 【シャドウエッジ】のスキルレベルは未だに1。
 さて、これで何処まで戦えるだろうか。
 
 再び地面を蹴り、サイクロプスに一直線に向かう。
 サイクロプスはまたも棍棒を振り上げるが、その動きはやはり遅い。
 サイクロプスの弱点とは言えばやはり目だろうか。
 僕はサイクロプスの足元から大きくジャンプしてサイクロプスの顔の高さまで跳んだ。
 そして【シャドウエッジ】で作った剣をサイクロプスの瞳に突き刺した。

 「guooooooooooo!!」

 サイクロプスが断末魔を上げ、そして光になって消えていった。

 ……え?終わり?あっけなさすぎない?
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